01164

戯言にも満たない。

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短文放り込んであります。ほぼ創作。たまに版権。
えろぐろほも有、全体的にR15くらいです注意報発令中
お金ならいくらだって出すから NEW / ふゆの
欲しいものは何でも簡単に手に入るだなんてそんなことは思っていなかった。お金があればなんでも手に入れられるんでしょう?とか三流ドラマの金持ちは言うけど、そんなのはパロディですなわち本物の金持ちはお金があればなんでも手に入れられるなんて思っていない。足りない本当に欲しい何かを手に入れたくて、でも手に入らないからお金を使って使って使って、凡人の一般人がいつでも求めているお金を湯水の用に使って孤独を押しとどめているだけ。気づかせないように、気づかないようにしているだけ。人々が求めて止まないものを溢れるほどに持っているのに、空っぽなはずはないと思い込ませているだけ。その道理に子供の僕はもうとっくに気づいていて、王宮みたいに広い家の中にいても満たされなんて微塵もしなかった。僕は僕の家は確かにお金持ちだったけど、果たしてそれは本当に裕福だったんだろうか。パパとママは満たされていたんだろうか。息子の僕がからっぽで空虚で少し狂っていたことに気づいていたんだろうか。
雨が降っている。橋の下にいる。目の前には小さな川。川原には石はなくて雑草だらけだった。雨と雨に濡れた雑草がそこに横たわる僕と彼をびしょびしょに濡らす。どんよりと厚い雲が空を覆い、昼間なのに灰色に彩られる。空が泣いていると思った。思いたかった。満たされなかった僕と愛されなかった彼をかわいそうに思って。せめて、空だけは。大切なものを永遠に失ってしまった僕と永遠に愛されることを知らなかった彼のことを。
(で、も)
すきだったのになあ、と思った。僕は彼のことを好きだったのに。ずうっと好きでいたいと思っていたのに。友愛のような恋慕のようなあるいは独占のような気持ちの中で。それは僕が自分の存在の意味を得るためのおもいだったのかも知れないけど、確かにそう思っていたのに。もうそれを伝えることもままならない。あなたを愛していた人がこの世界に一人はいたことを。だって彼はしんでしまったのだから。名前を呼んだってもう答えてなんかくれない。もうこの身体は抜け殻なのだ。それなのにどうして離す気にならないんだろうと思う。ぼくは一体彼の何を好きだったんだろう。この抜け殻になった外見だったんだろうか。身体が欲しかったんだろうか。ああ分からない。ほらお金があったってなにも分からないじゃないか!
(ひとりは、いや)
どうすれば永遠に失ったものを返してもらえるのだろう。復讐をしても何もなかった。ただ彼を殺した人たちの呼吸が止まっただけで。彼の呼吸が戻るなら、僕はなんだって差し出すのに。両親なんて要らない。妹もいらない。じいやもメイドも要らない。名声なんていらない。お金なんて要らない。空は泣いている。悲しんでくれている。同情してくれている。それなら空の向こうにいる神様もぼくたちに同情してくれないだろうか。可哀相だといって、彼を生き返らせてくれないだろうか。彼の潰れた目を割れた額を曲がった鼻を折れた腕を蹴られた腹を破裂した内臓を元に戻してはくれないだろうか。同情してください同情してください神様。可哀相な彼に、可哀相な僕に。
(ひとりに、しないで)
からっぽな彼の壊れた身体を離せないのは、僕が一人になりたくないからだろうか。僕の、僕が可愛いゆえの行動なんだろうか。嗚呼なんでもいい。僕の心なんてどうでもいいから。早く死体が腐らないうちに彼を生き返らせてください。

+++
地獄の沙汰も金次第。
No.55 - 2009/07/03(Fri) 02:43:23
対処法はまだ不明です / ふゆの
「サカくん、結婚式あげたい」
「…着れるドレス、無いから無理」
えーどうにかなるよーそんなものー、とか言いながらソファの俺の隣りに座って足をばたばたさせている。金髪碧眼童顔でおまけに美少年。そうしてもう1つおまけに我侭な友人兼同居人兼恋人。いつでもこの人は唐突だ。唐突にとんでもないことを言う。とんでもないことをする。自分よりも一枚も二枚も上手で、きっとあと2、3回生まれ変わっても俺はこの人には敵わない。
「あっ、じゃあ和風でいいじゃない。着物なら、結構着られるんじゃない?ほら、こう、花魁風にして」
「…」
結婚式の着物ってそんなに色気があっていいのか。いやそもそもあげるなんて言ってない。ていうか俺よりこの人の方がずっと似会うと思う。ドレスも、着物も。上質な絹糸みたいに上品な金色の髪に純白のドレスはものすごく映えるだろうし、綺麗に化粧をして煌びやかな刺繍の施された着物を着れば、きっと女性と見紛うほどに美しいだろう。しかしだからといって俺にタキシードやら袴が似会うはずもなく…ってなんで結婚式もあげないのにこんなこと考えてるんだろう俺は。恋は盲目というやつですか?いやちょっと違うような気もするけど…
「えーだってー」
いきなり髪の毛の中に手を突っ込まれて体が震えた。俺の手より小さいそれが俺の髪を勝手に無造作に触る。
「こんなに黒くて長くて綺麗な髪、丁寧に結い上げて、かんざしつければきっとものすごく素敵になると思うよー」
ざばー、とか言いながら俺の髪を勝手に上にかき上げる。うなじがさらされて、外気に触れて少し寒い。と、思ったらいきなり舐められて、小さく悲鳴をあげてしまった。
「花魁はねー、こうやって肩出して着物着るんだよーってそれって漫画の中とかだけ?あはは、でもこのほうがいいよ、サカくんはー」
とか何とか言いながら俺の着ていた着流しを勝手に着崩していく。何か、最初の話から離れてませんか?ていうかこのままでは夕食を作り損ねてしまう。どう考えてもいつものパターンだ。このまま俺はソファの上に押し倒されてキスされて抱かれて眠ってしまって、結局夕食作りは遅くなり、昨日から仕込んであった食材は使えずに簡単な適当な夕食食べて…みたいな。ちょっと、今日は止めて欲しい、冷蔵庫に昨日から漬け込んである鶏肉があるのに、ちょっとだけ手間かけて美味しいから揚げでも作ろうかと思ってたのに。覆いかぶさろうとする彼を手で押し戻そうとしてみる、けど、わあ、目がすごく、こう、本気なんですけど…
気が付けば外国のB級映画みたいな熱のこもったキスをされてて、左手は着流しをはだけるどころが完璧に脱がしにかかっていて、右手はまちきれないといわんばかりに肌をまさぐる。ああ、そんなに急がなくてももう逃げやしないのに。もはや口の中で好き勝手に動く舌とか自分のと一緒くたになる彼の唾液に脳がしびれて、抵抗する気がなくなっている。ああ、から揚げを作れるのは何時になるんだろうか。大体花魁と初めて契りを結ぶには3回会う必要があるというに、ルール違反だ。なんてせっかちなんだろう。知ってるけど。多分結婚式を挙げようとしても、ドレスアップした姿を見せた時点で押し倒されるだろう。いつになっても新郎新婦が出てこない結婚式なんて、反則にもほどがある。自分達だけで知らないところで盛り上がるなんて、結婚式には招待客もいるんだよ?シャルル。
鼻にかかった声を上げながらキスを甘受し、足の付け根まで伝ってきた指に太ももを震わせ、彼の首に腕を回す。今度は「子供が欲しい」とか言い出しそうな唇から、愛してると言われて体が震えた。

+++
ちょんぎれ。
No.54 - 2009/06/04(Thu) 00:35:51
孤独姫 / ふゆの
誰も居ない広い食堂で一人、切り分けられたロールケーキを咀嚼する。卵色のスポンジにチョコレートクリームの巻かれたそれを一口一口、フォークで切り分けて口に運ぶ。今日は曇り。城の外は暗い。食堂の電気は付いていても、城の中もどこか暗い。私はケーキを咀嚼する。甘いクリームを舐めて、柔らかなスポンジを飲み込む。夢のような可愛らしいロールケーキ。甘くて美味しい絶品のはずのロールケーキ。でも見つめるわたしの目は曇る。灰色の瞳はケーキを映してなんかいない。赤いネイルの剥げた爪も縁の少し欠けている皿も柄の曲がったフォークも手袋を取った自分の手首も移していない。ただ空っぽの空虚。かつてのように手首から血が流れていたとしても、その傷跡がいまでも残っていても、ただ空虚。何も見えない何も聞こえない何もいらない。甘いケーキを食べているのは優しい弟が作って切り分けてくれたから。折角作ったのに食べないなんて、弟に悪いから。よく出来た可愛い弟。私より何倍も良い子の弟。
かつての家族はいないのに、今でも考える。幸せだと思い込んで思い込んで生きていた。私は恵まれているのにどうしてこんなに辛いんだろう?それは私が悪いから私が期待に答えられないから私に気を使ってくれている私のことなんて本当は誰も好きなんかじゃないのに可哀相だから対面のために誰の言葉も本当に私のことを思ってなんかいないお世辞と偽りと裏のある言葉の嵐嵐嵐。そんなの普通なのに、傷つく私が馬鹿なのに。
かつては泣いてばかりだった私。氷ついた心にはもう涙も流れない。皿に残ったクリームをフォークですくって飲み込んだ。何の味もしなかった。
No.53 - 2009/05/20(Wed) 23:05:57
家庭事情勝手交換場 / ふゆの
「親にとって子供ってなんなんだろう」
隣りに座る金髪の少年が呟く。小さな頭をこてんと傾け、俺の左肩に預けた。ふわふわとした毛が首をかすめ、香水の香りが鼻をくすぐる。
さあな、と右隣りの更に隣に居る長い髪を1つにまとめた青年が呟く。頭の後ろで手を組み、どこか虚空を見つめていた。
「俺、あったことねえから、わかんねえんだ」
物心付いた時にはもう1人で生きてたよ、と言う。俺のすぐ右隣、女性と見まがうほどに美しい青年が1つ縛りの青年の手をきゅうと握る。青年はもう片方の自由な手で不安そうに彼の名を呟いた美貌の青年の頭を安心させるようにぽんぽんと叩いた。
「その方が幸せだったかもしれないよ。最初から存在を知らなければ、愛することも憎しむことも何もせずに他人として生きることが出来るんだから」
左隣の少年が虚ろに呟く。瞳が何も映していない。心はここにはないのかもしれない。もっと遠く昔、俺たちが普通の世界で生きる人間であり、少年が両親から見捨てられ続けていた、あの頃に。
「…ぼくは顔も名前も知らない父親のことを憎んだよ。いや、父親とすら呼べない、母さんを犯して心も身体も傷つけた男。ただの犯罪者」
でも、そんな男の遺伝子を受け継いでいる、それを認識すると気が狂いそうになる、と震える声で続けた。綺麗な血のように赤い瞳から涙が溢れて、彼の右隣の青年はそれを拭い、頭をなだめる様に撫でた。大丈夫だ大丈夫だよ、という声が何回か聞こえた。
「期待にこたえられなかったら、駄目な子に育った、育て方を間違えたとか勝手なこと言って、まるで自分達の人形みたいに。心があるのは自分達だけで、子供には無いみたいに。子供にだって心はあるよ、思ったとおりに育たなかったからって、使い捨ての道具みたいに捨て置くなんて、どうかしてる」
自分達がおおっぴらには言えない様な事して勝手に作ったのに。吐き捨てるように言った。声が苛々していた。少しでも心が落ち着く助けになればと右2つ隣の青年に習い、彼の頭を撫でてやる。ゆるゆると撫でていれば、しっとりと彼は目を閉じた。落ち着いたのだろうか、それとも落ち着こうと努力しているのだろうか。
「…俺は…よく、…わからない」
それだけ呟く。本当に分からないのだ。両親にとって俺は何だったのか、俺にとって両親が何なのか。今だけ考えた訳ではない、たくさん、よく考えても答えが出ないのだ。俺の体中の傷跡を見て左隣の彼は可哀相だと言う。右隣の彼はあんたも辛い思いをしてきたんだね、と言う。2つ隣の彼はもう無理はするな、と言う。だけどどんな言葉も俺には今ひとつ分からない。果たして俺は可哀相なんだろうか、辛かったんだろうか、無理をしてきたんだろうか。両親に殴られ蹴られ殺された、その事実だけが俺を取り巻く。だけど心が付いてこない。どう思えば良いのか、俺には事実は見えても真実が見えない。果たして、あれは何だったんだろう?
4人の人間で話し合ったところで結局それは空虚なのだ。それが悲しいか、真実なのか、それは自分にしか分からないのだから。傷跡だけがじくじくと俺達を蝕む。
No.51 - 2009/05/17(Sun) 02:27:10
Re: 家庭事情勝手交換場 / ふゆの
今読み返したらすごく変なところがっ そんな状況ありえないよ^^
…書き直したい
No.52 - 2009/05/17(Sun) 13:08:52
潰れた森と零れる血膿(ロクティエ/00) / ふゆの
「あなたが傷つくことなんて、なかったのに」
薄茶のくせっ毛の中に手を差し入れて、包帯の巻かれた右目にそっと口付ける。ついこの間まで美しい森の色を湛えていた瞳は私のせいで片方失われた。私を気遣ってか傷の状態を彼は話そうとしないが、機体を貫かれかけたのだ、傷が浅いと言う訳はないだろう。傷が治り、包帯が外れたとしても恐らくほとんど視力は失われ、かつての美しい双眸には戻らないだろう。あるいはもうすでに潰れて眼球すらないのかもしれない。そう思うと胃にすうと冷たいものが落とされたような気がして身体が震えた。彼をそんな体にしてしまった自分が酷く憎らしかった。もう双眸を閉じて静かな寝息を立てて眠る彼を見ることは出来ない。その瞼を舐め上げて、彼の右目を開かせることは出来ない。森のように静かで優しい彼の瞳が好きだったのに、それを自らの過失で失わせてしまった。後悔と謝罪の念がぐるぐると頭の中を巡り、そのくせ口からはそんな言葉は何も出てこない。ベッドの上の彼の頭を隣りに引き寄せ、見えない右側に頬を寄せ、ただ体中を震わせていた。嗚咽が漏れ、瞳から涙が零れて彼の頬と包帯を濡らした。
「わたしの目が、代わりに潰れればよかったんです」
言葉に出せばそれが至極当然のことのように思えた。この美しくもない血膿のような瞳など二つもいらない。狙撃に使われることも彼のように優しく細まることもできず、ただ涙を流すだけの瞳など。嗚呼時間があの時に戻せるのならば、どうかぼくの瞳と引き換えに彼にあの深い緑を返して欲しい。
「…そりゃ、嫌だな」
黙って僕の髪を撫でていた彼が急に呟いた。片目が僕を捕らえていた。
「何故、こんな、気分の悪い色の目」
「そんなこというな。無くしたらもったいねえよ。ぱっちりしてて、宝石みたいにきらきらしててすげえ綺麗なのに」
そう言って、私の涙を指で拭いそのまま私の頬を両手で包み込む。手袋をしていない彼の手はとても綺麗な形をしている。その手を伝い、また私の瞳から涙が流れた。
「ロックオン、わたしはあなたの瞳が、好きだったのに」
優しく細まる片目はずっと私を捉えている。彼の両目が無事だった時と何も変わらずに。
「それを、私のせいで、無くして、しまっ、て」
「いいや、お前のせいじゃないよ」
「だって、あの時私が動いていたら、あなたは」
「俺は俺の意志で動いたんだ。お前のせいじゃない。お前が責任を感じることも、泣くこともないんだよ、ティエリア」
彼の胸に抱き寄せられる。いつもと同じように。嗚呼、何も変わらない。何も変わらずに彼は接してくれる。こんな、片目を失わせた張本人がここにいるというのに。怒りも咎めも突き放しもしない。何も悪くないと言い、ベッドの上で横たわり抱きしめる。いっそ殴ってくれたらいいのにと思った。狙撃手の要を返せと怒鳴ってくれれば良いのに。私がこの目を潰すのに、何の躊躇もなくなるように。どうしてこんなにこの人はどこまでも優しいんだろう。
「…っ…めん、…なさい……ごめん、なさい…」
嗚咽の隙間からやっと途切れ千切れに謝罪の言葉を捻り出す。彼の胸に顔を埋めて彼の服を涙で濡らす。弱い私にはただ彼から切ないまでの優しさを与えられることしかできなかった。

+++
ろっくおんとてぃーの中が急接近したのはろっくおん負傷後じゃないの?っていうのは置いといて。
版権は書いていて申し訳なくなります。色々。
No.50 - 2009/05/08(Fri) 00:50:53
思い出せればそれが世界 / ふゆの
欲しかったものを手に入れて、幸せで、それを自分のせいで失って、泣き叫んで、懺悔と後悔の念で満ちた心が大切な思い出を忘れてしまって、寂しくて苦しくて、過ちを犯して、諦めて、放棄して、そうしてまた救われた。
流した涙を拭ってくれる相手の温もりに驚いて、でもずっとそれが欲しかった。思い出したかったあの人の手の暖かさに良く似ていて、拭われても拭われても涙が零れた。そうして、自分だけの苦しみだと思い込み、寂しさを紛らわせるために報いだと言い訳をして自分を粗末にしてきたことにやっと気づいた。ぼくの閉ざされた心に比例して張り巡らされた、牢獄のような樹木の檻。その最奥で全てを捨てようとしていたぼくを救うために樹木の棘で傷ついた少年の身体を抱き寄せて、泣きながら頭を撫でた。絹糸のように柔らかな髪は会いたい彼のものとは違ったけれど、それでも遠い昔に愛しさと寂しさが入り混じった感情の中であの人の髪を梳いた感覚がぼくの掌に戻っていた。おれはあなたに生きていて欲しい、と言ってくれた彼に感謝した。自分は生きていても良いのだと、ずっと誰かに言って欲しかったことにその時やっと気づいた。
ぼくの瞳から流れる涙は彼の肩をとめどなく塗らしていく。頑なに固まっていた心がゆっくりと溶けていく感覚を過ちを許すかのごとく優しく抱きしめる、腕の中で感じていた。


「あなたのそばに、居たかったんだと思います」
ベッドから背を起こしたぼくに、そばの椅子に座っていた彼は唐突に言った。臙脂の森の管理人であり、彼の姉でもある百合子の家でぼくは治療を受けていた。ぼくは国が滅びない限り死ぬことのない身体だから、何日か休んでいれば外傷はすぐに治った。疾患を起こした内部や落ちた体力を元に戻すにはそれよりは時間がかかるけれども、それでも普通の人よりは早く治るだろう。むしろ人並みな治癒力の彼の傷の具合が心配だったが、彼はぼくの心配をしてばかりで自分の傷のことなど少しも問題にしてないようだった。傍に居て甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる彼を見ていると、昔の自分を見ているようで少し恥ずかしいような懐かしいような気分になった。
彼に助けられてからぼくはいろいろなことを思い出していた。ぼくもまた昔、この森の、このベッドの上に寝ていた恋人の看病をしていた。治らぬ病にかかった彼は、自分のことではなくぼくのことばかりを心配していた。情けなくも病人の前で病人よりもはるかによく泣いたぼくは、彼に抱きしめられては頭を撫でてもらっていた。泣かなくていい、と言ってくれた声も、子供をあやすように抱いてくれた腕も止まらないぼくの涙を全て受け止めてくれた。そんな彼が好きだった。そんな彼を救えない自分が情けなくもどかしく思え、自分が彼の命を削る原因だと知った時はどうしたらよいのか分からなくなって取り乱し、殺して欲しいと彼に泣きついて懇願した。それでも彼はぼくの頭を撫でるのを止めなかった。優しい声を止めなかった。自分を苦しめ死に至らしめる原因がこんなに近くにいたと言うのに。捨てないで欲しい、嫌わないで欲しい、許してと身勝手を言うぼくに言った。許すも許さないも無いと、お前は何も悪くないと。そんな優しい言葉を残したまま彼は逝った。ぼくの心にはぽっかりと穴が空いた。彼の優しさが注ぎ込まれてようやく保っていた心はぼろぼろと崩れていった。いっそ憎んでくれれば良かったのに。彼の優しい心の思い出は、時が経てば経つほど、後悔や謝罪の念、自分の愚かさや罪深さを浮き彫りにさせていった。
「あなたの傍に、ずっと居たかったんだと思います。あなたの恋人だった人は」
座る少年はまっすぐな瞳でぼくを見つめる。宝石のように美しいアイスブルーの瞳。若い王子の一途な眼差し。
「あなたの傍にずっと居たくて、だけどあなたと話をし、あなたを愛している時間が長ければ長いほど、あなたと別れが早まる。けれども別れを遅めようとすればあなたの傍にはいられない。あなたの声も聞こえなくなる。あなたを独りぼっちにさせたくなくて傍に居たくて、安心させてあげたいのにすればするほどあなたを孤独に追いやる時がすぐそこに迫る。そんな葛藤の中でこのベッドの上にいたのだと思います」

***
寝ます。ちょんぎれ。
No.49 - 2009/04/28(Tue) 01:20:36
下の続き。 / ふゆの
姫「ちょ、何するのよ矢印!いいところだったのに!」
矢印「当然だろうが!公共の場でいちゃつくな!」
メロ「…羨ましいの?」
矢印「全然違う」
サカ「……ぐすっ」
矢印「どうしてそこで泣くんだよ!気絶してるだけだろシャルルは」
姫「(パシャア)」
矢印「姫も撮るな!サカもシャルルのこと何時までも抱きしめながら泣いてんじゃない!ああ…何でこの国は変態ばっかりなんだよ…」
メロリ「あ、矢印が突っ込み疲れてる…ちゃぷ、交換してあげたら…?」
ちゃぷ「嫌ですよ!どんだけ体力消費すると思ってるんですか!体内のカラメルソースの濃度が60%切ると、わたし動けなくなっちゃうんですよ!」
メロリ「…そんな説明的文章誰も望んでないよ」
王子「そういえばいつのまにかとけ込んでるけど、何時戻ってきたのちゃぷ?」
グィ「ていうかみりんを持ってくるんじゃない。重いだけで不味い」
ちゃぷ「だって似たようなのそれしかなくて…」
メィ「どの辺が似てるの」
ミィ「名前も「ん」しか合ってないしね☆」
ちゃぷ「にゅ…ニュアンスが」
藁・刻『チャップリンは類まれなる阿呆なので許してやってください』
ちゃぷ「ちょーっと!!何言ってるんですか!」
メィ「良かったね、フォローしてもらえて」
ちゃぷ「さっきのフォローじゃないでしょう!」
ジョエル「まあいいじゃねえか、お前も座って飲めよ」
グィ「ワイン入りプリンが出来るな」
メィ「新しいスイーツだね」
ちゃぷ「…私は食用プリンじゃないんですけど」
王子「でも最初は食べようとして作ったんだよ。3時のおやつにしようと思って」
姫「そうね。たらいにプリン生地流し込んでたわね。前、不気味川でたらい船遊びしたやつに」
ちゃぷ「その辺の川で何やってるんですか」
王子「で、固まったかなーと思ってたらいから出したら、ぶるぶる動き始めたから、そのまま食べちゃうのかわいそうだなーと思って、片栗粉とゼラチンと寒天と固めるテ○プル混ぜてすっごくよく固めて、乗り物かつ従者かつお友達の人型にもなれる巨大プリン、名づけてチャップリンにしたの」
メィ「超不味そうだね」
グィ「ていうか固めるテン○ルじゃ固まらなくないか」
ちゃぷ「王子はスイーツ作りの天才ですから、スイーツのことなら何でもできるんです!」
メィ「ていうかテ○プル入った時点で君スイーツじゃなくない?」
ジョエル「…まあ、色んな意味で一生食わないから安心しろよ。ほら飲めよ」
ちゃぷ「…ジョエルさん、いい人ですね(ぐすっ)」
グィ「顔に似合わないだろう」
ジョエル「そんなに悪人顔してねーよ。ほら、サカも続き飲もうぜー。シャルルはそこのソファに寝かせとけば、目醒ますだろ」
サカ「……ぐすっ…(こくん)」
グィ「そういえばさっきからチィが静かだが」
ジョエル「ああ。こいつも一緒にソファに寝かしとくか。椅子じゃ落ちちまいそうだもんな」
グィ「寝てたのか」
ジョエル「うん、どうやら酒飲むと眠くなっちまうみたいで。ワイン2杯目の時点で、目がとろーんとしてきてた」
メィ「普段飲まないもんねえ」
ジョエル「なー。あーやっぱ可愛いなー」
グィ「…のろけるな。見てるこっちが恥ずかしい」
姫「もっとのろけていいわよ!」
グィ「ちょっと黙れ、姫」
ジョエル「はいはい…よいしょっと。ソファ、ソファ…と」
サカ「…ソファ…半分…使う…?」
ジョエル「おう、ありがとな。シャルルもそうやって横にしとけば平気だろ。…シャルルも寝てれば可愛いんだけどな」
サカ「…(びく)」
ジョエル「はは、安心しろ、取ったりしないから。さあ、続きしようぜー」
チィ「(ぐい)」
ジョエル「んん?」
グィ「どうした後ろにのけぞったりして」
メィ「ブリッジの練習?」
ちゃぷ「そんな訳ないでしょう」
藁・刻『チャップリンではあるまいし』
ちゃぷ「私もそんなことしませんよ!」
チィ「…」
ジョエル「チィ?起きてたのか?裾引っ張ったりして、どうかしたか?」
チィ「…ジョエル」
ジョエル「ん?」
チィ「…うう、う、ふえ…」
ジョエル「え?な、何、どうしたんだよ!?」
メィ「あ、泣き出した」
グィ「泣き上戸か、酒癖は。しかも時間差で来るタイプ」
ちゃぷ「時間差とかあるんですか?」
チィ「ジョエルのばか、馬鹿馬鹿馬鹿!!ふえ…何で…そんなとこ…ばか…ううう、わぁん…!」
ジョエル「ちょ…叩くなって!何だよ、ああ、もうお前、泣いたり怒ったりでまったく…!…可愛いけど」
チィ「可愛いとか言うな…ううう、あ、やだ、顔うずめない、で…ぐす、ふえええ…」
グィ「…何で若干そういう雰囲気なんだ」
ミィ「あーなんで目隠すの?☆メィ?☆」
メィ「おねえちゃんにはまだ早いから」
ちゃぷ「王子見ちゃいけません!!(ばっ)」
王子「ちゃぷ、ぼくそんなに純真じゃないから大丈夫だよ。君の親だし」
ちゃぷ「そういうこと言わないで下さい!」
姫「一旦寝た後、時間差で、泣き上戸になり怒り上戸になり、色っぽくもなっちゃうだなんてどういう酒癖っていうか酒癖万歳(パシャア)」
メロリ「矢印ー突っ込まないのー?」
矢印「もう疲れた…ていうかボケと突っ込みのバランス間違ってるって…あたしはこんなに…(ぐちぐち)」
メロリ「…愚痴言い始めた。酔っ払うと愚痴言うタイプ…ぐちぐち」
矢印「吊るしは相変わらず、同性愛見ると気絶するし…もう…なんなの…(ぐちぐち)」

***
続くかもしれない。ていうか酒盛り関係無くないか^^ 
No.48 - 2009/04/24(Fri) 01:17:38
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