みなさん、こんばんは。 No.1054に書いたカトリーヌ・ジュールダン出演のゴダールの短編『愛 L'Amore』(ビデオ題『愛と怒り』の1篇。日本版ビデオの字幕にはかなり難あり)がYouTubeに。 市街地の屋上庭園で、プチブルのイタリア男(パオロ・ポゼッシ)と20歳のフランス女(カトリーヌ・ジュールダン)が、革命家の息子(ニーノ・カステルヌオーヴォ)とブルジョワ民主主義者の娘(クリスティーヌ・ゲオ)の「愛」を描いた「映画」らしきものを観察し、それについて語り合います。二人の男はイタリア語、二人の女はフランス語で対話します。 黒いレコード盤が回転し、「映画」の「主題歌」らしきマリー・ラフォレの歌"Prenons Le Temps"(おそらく無断使用)を、「映画」を見る男がイタリア語に翻訳します。
[refrain] : Le temps prend son temps Et je t'attends depuis longtemps Le temps prend son temps Vois-tu, le temps A tout son temps
Ils s'aimaient d'amour, vraiment Et de cet amour, les ans N'avaient rien change L'histoire le disait, c'est vrai Les contes de fees d'antan Moi, je les lisais, enfant Voila qu'aujourd'hui, ils entrent dans ma vie Dans ma vie, car
[refrain]
Et puisque voila l'instant Ou ta main vers moi se tend Je dois t'avouer Que mon coeur en doutait, c'est vrai Devant cet amour present Vivons chaque jour vraiment Tu sais comme moi Qu'on ne vit qu'une fois Qu'une fois car
[refrain]
Comme le temps Prenons le temps
さらに、「映画」を見る男はブルジョワ女のフランス語をイタリア語に翻訳し、「映画」を見る女は革命家の息子のイタリア語をフランス語に翻訳し、「映画」内の男女も互いの台詞を翻訳し合います。 「映画」を見る女は「映画」内の男女が別れるほうに賭け、「映画」を見る男は別れないほうに賭けます。 「映画」内の男は女に別れたくないが、お互いの階級が違うので別れねばならないと告げ、5時の飛行機でメキシコ・シティへ発つと言います。 「映画」を見る男は「映画」を見る女に、君は映画を知らない、映画は年をとりすぎた、本物の映画はまだ存在しない、ムルナウの映画には何かがあったなどと語ります。 「映画」を見る男女は互いの言語(何かの引用か?)で自由主義の帝国アメリカのヴィエトナム侵略を批判します。そしてヌードについての哲学を語ります。 結局、裸で抱き合う「映画」内の男は女に、一緒にいることも愛することも不可能だと語り、二人は互いに別れを告げ合います。 最後に「映画」を見る男が、この映画の題名は、聖書に由来する「放蕩息子たちの出発と帰還」だったと思い出します。 音楽はジョヴァンニ・フスコ(68年7月1日没)です。 『愛』#1(無字幕) http://jp.youtube.com/watch?v=0ZuN6uo9m4I 『愛』#2(無字幕) http://jp.youtube.com/watch?v=b3FlhJvM-5Q 『愛』#3(無字幕) http://jp.youtube.com/watch?v=NhokWkDM0ok
マリー・ラフォレの"Prenons Le Temps"(66年のTV映像。画質悪いです) http://jp.youtube.com/watch?v=gXLQoOAIgTM
『ふたりだけの夜明け』(67。マルセル・カミュ)抜粋(無字幕。画質よくないです)。 音楽はクロード・ボラン。ゴーゴー・クラブを舞台に、カトリーヌ・ジュールダン(ノラ)と一緒にゴーゴーを踊るのはエステラ・ブラン(ニコール)。フランス・ローリーの歌は「Heart and Soul」。ゲンズブールも出演。 http://jp.youtube.com/watch?v=mhIZ0vAHMNk
クロード・ボランのサイト http://www.claude-bolling.com/fr/films.php
アラン・フレシェール監督、クラウス・キンスキー共演のビザールな映画『Zoo zero』(79)抜粋。撮影はブリュノ・ニュイッテン。音楽はカール・ベーム指揮、モーツァルトの『魔笛』。 http://jp.youtube.com/watch?v=x5d65Wqob0A |
No.1155 - 2008/06/27(Fri) 21:22:10
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