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LE CERCLE ROUGE BBS
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メルヴィル作品の上映情報、感想はもちろん、関連する事柄等、何でもどうぞ。
メルヴィル研究書 / Faux
 みなさん、こんにちは。
 昨年末にフランスのEditions du RevifからDenitza Bantchevaのメルヴィル研究書『Jean-Pierre Melville de l'oeuvre a l'homme』増補新版が刊行されましたが、ようやく入手しました。初版は1996年に刊行されています。
 デニツァ・バンチェヴァDenitza Bantcheva(69年生まれ、ブルガリア系フランス人)は、詩人・小説家、翻訳者、映画評論家です。
 関係者インタヴューが充実しており、アラン・ドロン、フロランス・ウェルシュ(メルヴィル夫人)、フィリップ・ラブロ、レミ・グランバック(メルヴィルの甥)、フィリップ・ルメール、ダニエル・コーシー(『賭博師ボブ』出演)、ジネット・ビヤール(映画評論家ピエール・ビヤールの妻)、フランソワ・ペリエ、フランソワ・ド・ラモット(『サムライ』セット美術、助手のテオバルド・ムリッスはポール・ムリッスの甥)、ピエール・グラッセ、フランソワーズ・ボノ(編集技師モニーク・ボノの娘)の談話を採録。
 仏語読解力不足のため、まだ詳細は不明ですが、取り急ぎ、ご報告まで。
No.1039 - 2008/04/19(Sat) 13:34:38
Re: メルヴィル研究書 / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんばんは。
『Jean-Pierre Melville de l'oeuvre a l'homme』の情報ありがとうございます。
実は偶然にも数日前に私も内容も分からぬまま仏Amazonに注文したばかりでしたが、想像以上に内容は充実しているようですね。
インタビューのメンツも凄いです。
読みこなせるか否かが問題ですが、届くのを楽しみにしております。
http://www.amazon.fr/gp/product/2952596069/ref=olp_product_details?ie=UTF8&me=&seller=

ちなみに、同時にこんな本(?)も注文してみましたが、これまたどんな本やら届くのが楽しみです。
http://www.amazon.fr/Lentretien-avec-Jean-Pierre-Melvil-Melville/dp/2840491532/ref=pd_rhf_p_3
No.1042 - 2008/04/20(Sun) 00:46:32
コルノー『Deuxieme souffle』仏盤DVD / Faux
 みなさん、こんばんは。
 4月24日、フランスのARP Selectionから、アラン・コルノー監督の『Deuxieme souffle』のDVDが発売されます。フランス語音声。
http://www.ecranlarge.com/dvd-details-5250.php
 2枚組のコレクターズ・エディションも発売。特典盤には、メイキング(35分)、コルノー・インタヴュー(1時間24分)、出演者インタヴュー(1時間22分)収録。
http://www.ecranlarge.com/dvd-details-5443.php
 サントラCDは2007年11月30日、Naiveより発売。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1715748&GOODS_SORT_CD=101
No.1037 - 2008/04/18(Fri) 00:13:13
Re: コルノー『Deuxieme souffle』仏盤DVD / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんばんは。
アラン・コルノー監督の『Deuxieme souffle』の情報ありがとうございます。
DVDは通常盤にするかコレクターズ・エディションにするか迷うところですね。
特典に英語字幕が付いていれば、迷うことなくコレクターズ・エディションにするところですが…。
国内公開を待っていますが、厳しそうですね…。
No.1038 - 2008/04/19(Sat) 01:59:20
『コントラクト・キラー』ほか / Faux
 みなさん、こんばんは。
 アキ・カウリスマキの『街のあかり』(2006)のレヴューでイアン・ジョンストンは、この映画をメルヴィルの『仁義』やブレッソンの『スリ』と比べています。
http://www.brightlightsfilm.com/57/lights.html

 実は『街のあかり』は未見なのですが、アキ・カウリスマキの『コントラクト・キラー』(90)は、寡黙さやブルーがかった灰色のトーンがメルヴィル調だったという記憶があります。ジャン=ピエール・レオー主演のコミカルな犯罪劇ですが、セルジュ・レジャーニが最後に出てきます。
 『コントラクト・キラー』は、ロンドンを舞台にした、カウリスマキ唯一の英語映画ですが、英国のイーリング・コメディ(『マダムと泥棒』や昨年ついに国内盤DVDの出たものの早くも廃盤で再発が待たれる『ラベンダー・ヒル・モブ』のエッフェル塔の模型)、1950年の日本未公開のアレック・ギネス主演作『Last Holiday』、ジャン=ピエール・メルヴィルなどへのオマージュともいわれます。
 『ラヴェンダー・ヒル・モブ』冒頭のオードリー・ヘプバーン登場場面(無字幕)
http://jp.youtube.com/watch?v=9mM5Du6rhSQ
 DVD『トータル・カウリスマキ4』(『ラヴィ・ド・ボエーム』『コントラクト・キラー』の2本を収録)が出ていましたが廃盤で高値が付いているようです。レンタルがありますが。
http://www.uplink.co.jp/dvd/uld/uld071.html

 『コントラクト・キラー』のジョー・ストラマーが、"Burning Lights"を歌う場面。壁にエルヴィス・プレスリーの写真。ジャン=ピエール・レオーにサングラスを売る男はアキ・カウリスマキ。
http://jp.youtube.com/watch?v=2I9KXRr3VhI

Some dreams are made for children
But most grow old with us
And when the air can hope to hold on
And to the ground from dust to rust.

Burning lights in the desert
Such a sign only you would know
Your running tyres, they're out of pressure
Such a sign only you would know

And I've been a long haul driver
Moving things but the cops don't know
Now I can see the writing
You are the last of the buffalo

Burning lights in the desert
Such a sign only you would know
Your running tyres, they're out of pressure
Such a sign only you would know.

Now I've been to California
And I've been to New South Wales
Sometimes I, I pull over
When I realise I've left no trace

Burning lights in the desert
Such a sign only you would know
Your running tyres, they're out of pressure
Such a sign only you would know.

 ところでジャン=ピエール・レオーの最新作は、セルジュ・ル・ペロン監督の、しばしばメルヴィル風とも言われる実録ノワール『私はベン・バルカ殺害を目撃した J'ai vu tuer Ben Barka 』(2005)です。
 1966年に実際にパリで起きたモロッコの左翼活動家メフディ・ベン・バルカ(20−65)拉致殺害事件(未だに真相不明)を映画化しています。
 この事件への言及はレオーやマリアンヌ・フェイスフルやフィリップ・ラブロも出ているゴダールの『メイド・イン・USA』(66)にもあります。
 ジャン=パトリック・マンシェットの長編小説『ヌ・ギュストロ事件 L’Affaire N’Gustro』(71。邦訳なし)もこの事件を下敷きにしているようです。
 レオーは実在の映画監督ジョルジュ・フランジュに扮しています。映画製作者役はシャルル・ベルリング。作家マルグリット・デュラス役は女優・作家・監督のジョジアーヌ・バラスコ。
 セルジュ・ル・ペロン(48年生まれ)は68年世代の左翼映画作家で、1975年にパレスチナについての記録映画『L'Olivier』を撮り、1984年にパリ郊外(バンリュー)を描く、ジャン=ピエール・カルフォン主演の劇映画『Laisse beton』を監督。「カイエ・デュ・シネマ」の編集委員も務めました。ジャン=ピエール・レオー、イレーヌ・ジャコブ主演『L'Affaire Marcorelle』(2000)を監督。レオーについての記録映画『Leaud l'unique』(2001)も演出しています。
 『私はベン・バルカ殺害を目撃した』予告編と2抜粋(無字幕)
http://www.allocine.fr/video/player_gen_cmedia=18402951&cfilm=59231.html
 『私はベン・バルカ殺害を目撃した』のDVDは英国Artificial Eyeから2007年に出ています。
http://www.dvdtimes.co.uk/content.php?contentid=64157
 イヴ・ボワッセの代表作ともいわれる『影の暗殺者/フランスの陰謀 L'Attentat』(ビデオ題。72)もベン・バルカ事件を踏まえた映画です。出演者は、ジャン=ルイ・トランティニャン、ミシェル・ピコリ、シーン・シバーグ、ジャン・マリア・ヴォロンテ、ミシェル・ブケ、ブリュノ・クレメールなど。フィリップ・ノワレ、フランソワ・ペリエ、先ごろ亡くなったロイ・シャイダーも出ています。
 検閲のため人物名は変えられていますが、ベン・バルカにあたるサディエル役はヴォロンテです。
 脚本は赤狩り脚本家のベン・バーズマン、バーズマンと『ローマ帝国の滅亡』(64)で組んだシチリア出身のバジリオ・フランキーナ、『戦争は終わった』(66)、『Z』(69)、『告白』(70)、『薔薇のスタビスキー』(74)のホルヘ・センプルン。
 撮影はラウル・ルイスの『見出された時-「失われた時を求めて」より-』(99)、『クリムト』(06)のリカルド・アロノヴィッチ。音楽はエンニオ・モリコーネ。未見ですが一度見てみたいです。
 『影の暗殺者/フランスの陰謀』抜粋(無字幕)
http://jp.youtube.com/watch?v=nJBnR6hAExM
No.1033 - 2008/04/13(Sun) 01:47:44
Re: 『コントラクト・キラー』ほか / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんばんは。
『コントラクト・キラー』、ベン・バルカ殺害事件ほかの情報ありがとうございます。
アキ・カウリスマキ監督の作品は『過去のない男』と『10ミニッツ・オールダー』の一篇しか観ていませんが、とりわけ『過去のない男』は面白い映画でした。
『コントラクト・キラー』はレンタルもあるとのことなので、今度観てみようと思います。
ジャン=ピエール・レオー、セルジュ・レジャーニも楽しみです。

メフディ・ベン・バルカ拉致殺害事件のことは初めて知りましたが、興味深いです。
『メイド・イン・USA』はしばらく観直していないので、今度注意して観たいと思います。
あと、『影の暗殺者』はキャストが魅力的ですね。
ご紹介のYouTubeをざっと観た感じでは、かなり面白そうです。
レンタルがあれば是非観たい映画ですね。
No.1034 - 2008/04/15(Tue) 00:55:41
モリス・オゼル / Faux
 みなさん、こんばんは。
 モリス・オゼルは1932年10月26日、パリ生まれ。1995年11月18日没(BoxRecのデータは誤り)。フランス最高のアマチュア・ボクシング・クラブだったアヴィア・クラブ(43年設立)で出会ったベルモンドの友人で、ベルモンドのスタントも務めました。
 1959−60年、63−64年のウェルター級フランス・チャンピオン。BoxRecによると69戦44勝(20KO)、3分け、22敗(8KO)。1960年、ヨーロッパ・チャンピオン戦でイタリアのドゥイリオ・ロイ(29−08)に敗退。
http://www.aviaclubboxe.com/champions-avia-club.htm
 アヴィア・クラブを訪れスパーリングするベルモンド(61年)
http://www.ina.fr/archivespourtous/index.php?vue=notice&id_notice=I04161117
 
 BBSのNo.991で言及されていた、クロード・ソテの『はめる/狙われた獲物 Max et les ferrailleurs』(71)は、ロミー・シュナイダー、ミシェル・ピコリ主演ですが、『Z』のベルナール・フレッソンとフランソワ・ペリエ、『ピアニストを撃て』で「Framboise」を歌う歌手役、『帰らざる夜明け』(71)にも出ているボビー・ラポワント)、『勝手にしやがれ』のアンリ=ジャック・ユエ、『恋のエチュード』のフィリップ・レオタールらと共に、モリス・オゼルが出ています。オゼルはソテの『友情』(74)、『僕と一緒に幾日か』(88)にも出ています。
 ちなみにボビー・ラポワントは1970年、ジュールス・ダッシンの息子の歌手ジョー・ダッシン(38−80)とツアーを行いました。1972年のボビーの死後、ジョー・ダッシンがフィリップス社に働きかけ、ボビーの全録音を再発させたそうです。
 ボビー・ラポワントの公式HP(仏語)
http://www.bobylapointe.org/
 『はめる』には、ほかにも『サムライ』、『仁義』のロベール・ファヴァール(No.834も参照)、『いぬ』でピコリ扮するヌテッチョの手下を演じ、『フェルショー家の長男』でリング・アナウンサーを演じたドミニク・ザルディも出ています。
 ドミニク・ザルディについての記事(仏語)
http://coinducinephage.canalblog.com/archives/2007/01/29/3839715.html
 『はめる』の撮影は『アデュー・フィリピーヌ』のルネ・マトラン。音楽はフィリップ・サルド。原作・脚本は『夕なぎ』(72)、『友情』のクロード・ネロン(27−91)。共同脚色のジャン=ルー・ダバディは、元サッカー日本代表監督トルシエ通訳だったフローラン・ダバディ(74年生まれ)のお父さん。
 DVDはフランスStudio Canalから2001年にクロード・ソテ・コレクションの1枚(英語音声あり。特典に1994年INA所蔵の『Le Regard de Claude Sautet』)として、2005年にロミー・シュナイダー・コレクションの1枚(特典なし)として出ています。
http://www.studiocanaldvd.com/fr/produit_6_scv_11442.php
http://www.studiocanaldvd.com/fr/produit_6_scv_22188.php
 以下の英語記事では、この映画がメルヴィルと比較され、特にピコリの役マックスは『サムライ』のドロンと同じ性格の人物だといわれています。
http://filmsdefrance.com/FDF_Max_et_les_ferrailleurs_rev.html
 『はめる/狙われた獲物』予告編(無字幕)
http://jp.youtube.com/watch?v=xPpvLVGoHvU
 『はめる/狙われた獲物』出演中のロミー・シュナイダー
http://jp.youtube.com/watch?v=ZQsEJrwiFoQ
 『はめる/狙われた獲物』最後のシークエンスの、リール、サンタンヌ街での撮影風景
http://www.ina.fr/archivespourtous/index.php?vue=notice&from=fulltext&full=max+et+les+ferrailleurs&num_notice=1&total_notices=4
 『Claude Sautet ou la magie invisible』の中での紹介
http://www.allocine.fr/video/player_gen_cmedia=18359227&cfilm=48683.html

 モリス・オゼルは以下の映画にも出ています。『オー!』(68)、『シシリアン』(69)、『流れ者』(70)、『ボルサリーノ』(70)、『恐怖に襲われた街』(75)、『ベルモンドの怪盗二十面相』(75)、『危険を買う男』(76)、『追悼のメロディ』(76)、『警部』(79)、『ジャン=ポール・ベルモンドの道化師/ドロボー・ピエロ Le Guignolo』(80)、『プロフェッショナル Le Professionnel』(81)、『パリ警視J』(83)、『Les Morfalous 』(84)、『ソフィー・マルソー/恋にくちづけ』(84)、『Le Solitaire』(87)、『レ・ミゼラブル』(95)。
 No.614で書いたように、ベルモンド作品の多くはルネ・シャトーが広報を手がけています。ルネ・シャトー・ヴィデオとルネ・シャトーの関係は不明と書きましたが、木野雅之『異形の監督ジェス・フランコ−ユーロトラッシュ映画がほこる巨匠のすべて』(洋泉社)の『フェイスレス』の項によると、やはりルネ・シャトーがルネ・シャトー・ヴィデオを設立したようです。
No.1029 - 2008/04/08(Tue) 20:33:23
Re: モリス・オゼル / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんばんは。
モリス・オゼルの情報を大幅に補足していただきありがとうございます。
『はめる/狙われた獲物』などの情報もありがとうございます。
予告編を観る限り、ミシェル・ピコリ、ロミー・シュナイダー共に魅力的で、機会があれば是非観たい作品です。
海外のDVD情報を見るたび、この作品やメルヴィルの作品に限らず、この頃のフランス映画の国内未DVD化作品が多すぎることを嘆かずにはいられません。
あと、ルネ・シャトー・ヴィデオの情報もありがとうございました。
No.1030 - 2008/04/10(Thu) 00:45:05
「リスボン特急」冒頭はいいですね / 澤 [ Mail ]
マサヤ様
こんばんは。

「リスボン特急」を観ています。
字幕のある国内VHS版(ポニーキャニオン)です。

「刑事が人間に抱く感情は
 疑いと嘲りだけでる…」
 (フランソワ=ユジェーヌ・ヴィドック)

という引用ののあと

靄けた海に浮かぶ何か変なものが見えました。
右手にマンションが見えます。海に浮かんでいるもの。
それは次に、新しいマンションを建てるアーム・クレーンのように見えます。

鳥が飛び、海が荒れ、誰も住んでいないマンションが映り、車が来そうなのに

ROVERT DORFMN

一瞬、車が来そうな道が

ALAIN DELON

見え、車が向かってくる

RICHARD CRENNA

車がゆっくり進み (ET)

CATHEERINE DENEUVE (DANS)

冒頭から、マルセイユを走る車

タイトル 「UN FLIC」

このあと、ポール・クローシェなどの紹介。

サイレン。

仲間の埋葬。

ここまでで、一編の映画として出来ています。

メルヴィル監督の遺作「リスボン特急」については、
ファンの間でも、「完成度」の面で、うるさいのですが、
わたしは、この冒頭を、メルヴィルの到達点と観る者です。
マサヤさんは、いかがですか?

京都市の「ふや町映画タウン」で借りたビデオです。











車が止まり、パリのドロンのいる警察
No.1025 - 2008/04/06(Sun) 02:44:24
Re: 「リスボン特急」冒頭はいいですね / マサヤ@管理人
澤さん、こんばんは。
『リスボン特急』はいろいろな評価があり、私もどちらかというと批判的だったのですが、最近考えを改め始めています。
ご指摘の通り、映画の冒頭場面は私も素晴らしいと思っています。
「メルヴィルの到達点」…澤さんのおっしゃる通りかもしれません。

このHPのレビューも、批判的だった頃に書いたものなので現在書き直している最中ですが、UPできるのはいつになりますやら…。
もちろん、その時はこの映画の問題点も指摘したいと思います。
No.1027 - 2008/04/08(Tue) 00:03:40
『拾った女』ほか / Faux
 みなさん、こんばんは。 
 『拾った女』(53。サミュエル・フラー)、『スリ』(59。ロベール・ブレッソン)、『サムライ』(67。ジャン=ピエール・メルヴィル)の画面比較です。
http://theartofmemory.blogspot.com/2008/03/robert-bresson-samuel-fuller-jean.html
 『拾った女』(DVD、ビデオともにジュネス企画)は3月24日に亡くなったリチャード・ウィドマークの代表作の1本ですが、邦題はあきらかに誤訳。「Pickup on South Street」というのは「(マンハッタンのウォーターフロント)サウス・ストリートでせしめた拾いもの(意外なブツ)」といったような意味と思われます。この「拾いもの(意外なブツ)」は、フランス公開版『麻薬の港 Le Port de la drogue』では麻薬に変えられています。
 ちなみに英語で「スリ」は「pickpocket」ですが、これはブレッソンの『スリ』の原題。『拾った女』の原題は「pickup」と「pickpocket」をかけているのかもしれません。
 2004年に出た『拾った女』仏盤DVDには、オリジナル音声とフランス語音声版『麻薬の港』の2ヴァージョン収録。
http://www.dvdrama.com/fiche.php?4714
 DVDビーヴァーによる仏盤、北米Criterion盤、英国盤比較。なぜか『麻薬の港』への言及がないのですが。
http://www.dvdbeaver.com/FILM/DVDReview2/pickuponsouthstreet.htm
 以下のグレン・エリクソンによる英語レヴューによると、ロサンジェルスで撮影された最良のニューヨーク映画とのこと。「3番街」地下鉄駅やブルックリン橋の下の河べりの小屋はセット。第二班の撮影したマンハッタン・ロケの映像と見事に組み合わされています。
http://www.dvdtalk.com/dvdsavant/s1122pick.html
 『拾った女』抜粋(無字幕)。ウィドマークがイースト・リヴァーの河べりの小屋でジーン・ピータースを殴り倒す場面。
http://jp.youtube.com/watch?v=s5R-vjWWLB8

 2004年にフィリップ・ロペイトの著書『Waterfront: A journey around Manhattan』(Crown)出版を記念しMoMAで18本の映画が上映された際に『拾った女』も選ばれています。他の上映作は、スタンバーグの『紐育の波止場』(28)、ワイラーの『デッドエンド』(37)、アラン・ドワンの『タイタニック』(27)、マーティン・リットの『暴力波止場』(57)、ラウル・ウォルシュの『Regeneration』(15)、カザンの『波止場』(54)、シドニー・ルメットの『橋からの眺め』(62)など。
http://moma.org/exhibitions/film/2004/waterfront_2004.html
 『橋からの眺め』にはレイモン・ペルグランが出ていますが未見。撮影は『フレンチ・カンカン』(54)のミシェル・ケルベールです。
No.1022 - 2008/04/04(Fri) 23:56:48
Re: 『拾った女』ほか / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんにちは。
『拾った女』他の情報ありがとうございます。
題名の語源、勉強になります。
ジュネス企画から出ているDVDを持っていますが、ストーリーも面白いですし、リチャード・ウィドマークが異様な魅力を放っていて好きな映画です。
フランス語音声版もあるのですね。
河べりの小屋が印象的な映画ですが、ロスでセット撮影されたものだとは。
あと、シドニー・ルメットの映画にレイモン・ペルグランが出ているということも初めて知りました。
No.1024 - 2008/04/05(Sat) 14:35:36
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