みなさん、こんばんは。 50年代の学生時代にアメリカ映画狂だったベルトラン・タヴェルニエ(41年生まれ)が最初に映画業界に入って関わった映画監督はジャン=ピエール・メルヴィルでした。 タヴェルニエは『モラン神父』『いぬ』の助監督フォルカー・シュレーンドルフ(39年生まれ)とは高校の同級でした。 タヴェルニエは、『マンハッタンの二人の男』の直後、自ら作った映画誌「L'Etrave」のためメルヴィルにインタヴューしたことがきっかけでメルヴィルと親しくなり、ソルボンヌ大学法科を中退し、『モラン神父』の見習い助監督に就いたものの、使い物にならずクビになり、メルヴィルの口利きでジョルジュ・ド・ボルガールに紹介され、『いぬ』の宣伝広報担当になりました。 『墓場なき野郎ども』公開時、最初にクロード・ソテにインタヴューしたのも「シネマ60」のタヴェルニエでした。 タヴェルニエによる『墓場なき野郎ども』(英語) http://www.filmforum.org/films/classe.html
メルヴィルはクロード・ソテと共にタヴェルニエの両親宅を訪ねた際、息子の映画界入りを強く勧めたそうです。 『モラン神父』撮影中、タヴェルニエはシネマ・マクマオンで掛かっていたラングの『ムーンフリート』(55)をメルヴィルに勧め、この映画を気に入らなかったメルヴィルは、罰として全スタッフに3日間タヴェルニエと口をきくなと命じたそうです。 1960年、タヴェルニエに、パリ公開時、黙殺されていたマイケル・パウエルの『血を吸うカメラ』(60)を観るよう勧めたのはメルヴィルで、1968年の同作再映時ににタヴェルニエはマイケル・パウエルをパリに招聘、パウエルとも亡くなるまで親交を結んだそうです。 ちなみにマーティン・スコセッシ(42年生まれ)もマイケル・パウエルを敬愛し、彼の編集技師のセルマ・スクーンメイカー(40年生まれ)をパウエルに紹介、彼女は1984年からパウエルの亡くなった90年までパウエルの妻でした。 『河』(51。ジャン・ルノワール)のルーマー・ゴッデン原作、昨年亡くなったデボラ・カーが尼僧に扮する『黒水仙』(47。パウエル&プレスバーガー)の2005年発売の英国Network盤、2006年発売のフランスWarner盤DVDには、スコセッシとパウエルの音声解説を収録。フランス盤にはタヴェルニエによる8分26秒の紹介ビデオも付いています。 http://www.dvdbeaver.com/FILM/DVDReview2/blacknarcissus.htm
タヴェルニエは『アデュー・フィリピーヌ』『カラビニエ』『5時から7時までのクレオ』『軽蔑』『悪意の眼』『気狂いピエロ』『317小隊』の宣伝を担当。 ボルガールの下で2本のオムニバス用短篇(うち1本は『キス!キス!キッス!』の1篇『ユダのキス』)を監督しました。 しかし60年代には、あくまでも映画広報として有名で、『勝手にしやがれ』の助監督で、マクマオンの番組責任者だった友人のピエール・リシアンと共にフリーランスの映画広報となり、世界中の映画作家のインタヴューを採りました。 Stephen Hay"Bertrand Tavernier: The Film-Maker of Lyon"を参照。 http://books.google.co.jp/books?id=DiILM8ois6cC&pg=PP1&dq=bertrand+tavernier&as_brr=3&sig=c0jEt6dIG-5W2z9Kal6bSMwKF6s#PPA15 ベルトラン・タヴェルニエのDVDブログ(フランス語) http://www.sacd.fr/blogs/tavernier/
タヴェルニエの監督最新作は、昨年撮影を終えた、トミー・リー・ジョーンズ主演の『In the Electric Mist』(原作『エレクトリック・ミスト』)です。トミー・リー・ジョーンズが演じるのは、『ヘブンズ・プリズナー』(96。原作『天国の囚人』)でアレックス・ボールドウィンの演じたロビショー刑事の役。 原作者ジェイムズ・リー・バークの日本語書誌 http://homepage1.nifty.com/ta/sfb/burke_jl.htm |
No.968 - 2008/03/03(Mon) 19:03:06
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