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LE CERCLE ROUGE BBS
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メルヴィル作品の上映情報、感想はもちろん、関連する事柄等、何でもどうぞ。
ピエール・ブロンベルジェ / Faux
 みなさん、こんばんは。
  『海の沈黙』のプロデューサー、ピエール・ブロンベルジェ(1905−90)は、ヌーヴェル・ヴァーグの生みの親というべき人物です。DVD『アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール短編傑作選』もブロンベルジェ製作短編のコレクションです。
 ジャン・ルノワールの初期作品や、アラン・レネの短編、ジャン・ルーシュ作品などに加え、ヌーヴェル・ヴァーグの最初の作品ともいわれるクロード・シャブロル製作、ジャック・リヴェット監督、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ主演の短編『王手飛車取り』、ヴァルクローズ監督の『唇(くち)によだれ』、トリュフォーの『ピアニストを撃て』、ゴダールの『女と男のいる舗道』の製作者として有名。寺山修司の『草迷宮』を含むオムニバス映画『Collections privees』も製作しています。北米Rykoから2007年に『Private Collections』のDVDが出ましたが、日本語音声の『草迷宮』には英語ナレーションがかぶるようです。
 ピエール・ブロンベルジェ『シネマメモワール』(白水社)は貴重な証言満載です。

 『女と男のいる舗道』でアンナ・カリーナをアパートから追い出す管理人のおばさん役がブロンベルジェ夫人のジゼル・オシュコルヌです。
 『女と男のいる舗道』は、子供を流産し、不妊になったカリーナが撮影中にCENSORED未遂を企てたりしたため、ゴダールが、夜中に街をうろついたあげく、メルヴィルやボルガールにたびたび「自分は死ぬ」と訴えたりしていたという逸話もあります。
 『女と男のいる舗道』の頃、ゴダールはメルヴィルに迷惑をかけつつ、自分がメルヴィルのファンであることを強調し、「ボブ・モンタニエ(賭博師ボブのこと)の生まれたところで、僕は妻を死なせる」と言ったとか。『勝手にしやがれ』にも「友人のボブ・モンタニエ」というセリフがありましたが。アンナ・カリーナは自分が最後に無惨に殺される役だったので、よけいゴダールと不仲になったようです。
 この頃、荒れたゴダールは自宅のTVを壊し、服を切り裂いたそうですが、この実話がリヴェットの『狂気の愛』で、演出家役のジャン=ピエール・カルフォンと女優役のビュル・オジェの夫婦が服を切り裂き、部屋を壊す挿話の元ネタになっています。この辺のゴシップはコリン・マッケイブの『ゴダール伝』(みすず書房)には出てきませんが。

 『王手飛車取り』は国内ソフトでは『美しきセルジュ』DVDに収録されています。最後のパーティ場面にトリュフォーとゴダールが出ています。
 撮影はシャブロルのアパートで行われました。ちなみに『シャルロットとジュール』の撮影はゴダールのアパートで行われました。
 『王手飛車取り』の原題はチェス用語の「フールズ・メイト(愚者の詰み)」のこと。最短で負ける手のことです。
 山田宏一氏のブロンベルジェ・インタヴューによるとメルヴィルとアラン・レネもちらっと出ているとのことでしたが、画面を見るかぎり確認できません。
 『王手飛車取り』のストーリーは有名な小話で、デュヴィヴィエの『フランス式十戒』にも同じ挿話(現行版の第2話。主演フランソワーズ・アルヌール、クロード・ドーファン、ミシュリーヌ・プレール)があります。
 またヒッチコック演出のTVドラマ「ヒッチコック劇場」の『女性専科第一課 中年夫婦のために』は、原作がロアルド・ダール『ビクスビイ夫人と大佐のコート』ですが、ほぼ同じ話です(DVD『ヒッチコック劇場 第二集1』に収録)
http://www.universalpictures.jp/sp/1500/no11/5.html
 以下の英語記事も参照。
http://www.snopes.com/love/betrayal/minkcoat.asp
No.981 - 2008/03/11(Tue) 21:31:30
Re: ピエール・ブロンベルジェ / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
ピエール・ブロンベルジェの情報ありがとうございます。
さっそく手元にある山田宏一氏によるブロンベルジェのインタビュー(「わがフランス映画誌」平凡社刊)を読み直してみましたが、実に興味深い話ばかりですね。
これまであまり観ていないジャン・ルノワールの初期作品にも興味が出てきました。
『王手飛車取り』は未見ですので、内容を確認できませんが、お話を聞いてDVDが欲しくなりました。
『唇によだれ』はゲンズブールの音楽とモノクロ映像が印象に残っています。
『女と男のいる舗道』の裏話もありがとうございます。
映画の出来は素晴らしいですが、ゴダールとカリーナの間にそんな厳しい事情があったのですね。
あの映画はしばらく見直していませんが、そんな事情を踏まえて観れば、また印象が変わるかもしれません。
ブロンベルジェの製作ではありませんが、ゴダールといえば、先日ロメールの短編『紹介またはシャルロットとステーキ』を観ましたが、なんと20歳のゴダールが主演した映画でした。
No.983 - 2008/03/12(Wed) 11:00:29
ジャッキー・レナルほか / Faux
 マサヤさん、こんばんは。 No.495で言及した韓国盤DVD『Their First Films』はAlto Mediaから2004年5月7日に発売されましたが、廃盤のようです。英語字幕付き。
 収録作は、『ある道化の人生の24時間』(46。メルヴィル。18分)のほか、『愛は存在する』(映画祭題。61。モリス・ピアラ。19分。カラー)、『スチレンの唄』(57。アラン・レネ。14分。カラー)、『シャルロットとジュール』(58。ゴダール。13分)、『王手飛車取り』(56。リヴェット。27分)、『水の話』(58。トリュフォー&ゴダール。12分)、『Le Laboratoire de l'angoisse』(71。パトリス・ルコント。11分。カラー)、『Les Surmenes』(監督ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ。19分。脚本にトリュフォー参加。出演、ジャン=クロード・ブリアリ、ジャン=ピエール・カッセルほか。音楽ジョルジュ・ドルリュー)。特に最後の2本はこのDVD以外で見る機会はほとんどなかったようです。
 英語レヴュー
http://www.dvdbeaver.com/film/DVDReviews5/theirfirstfilms.htm

 『Les Surmenes』のメイク担当ジャッキー・レナル(40年生まれ)は、アンナ・カリーナの『今夜でなきゃダメ Ce soir ou jamais』、『女と男のいる舗道』、『修道女』、『アンナ』のメイク担当。マーロン・ブランド主演の異色作『私は誘拐されたい』(68)のメイクも手がけています。編集技師としては、ロメールの『モンソーのパン屋の女の子』、『シュザンヌの生き方』、『エトワール広場』(『パリところどころ』の一編)、『コレクションする女』を担当。
 1964年にエチエンヌ・ベッケル、パトリス・ヴェルスと共同で、モダン・ダンスの振付師マース・カニンガムのフランス公演を撮った記録映画『マース・カニンガム Merce Cunningham』(29)を監督。
 その後、実験映画の監督としてバルセロナで9日間で撮った『2回 Deux fois』(69。72分)ほかを主演・監督。
 1999年にアンジェリカ・フィルム・センター創設者で、アイヴォリーの『野蛮人たち Savages』(72)の製作総指揮者ジョーゼフ・サレー(1934年、イランのハマダン生まれ。2007年4月18日、パリにて没)と結婚。(アンジェリカは彼の前妻の名)。
 『2回』のDVDは、2006年にフランスのRe:voirから出ていますが未見です。英語字幕付き。同DVDの特典には、『新・個人教授』(73)の映画作家ジャック・バラチエ(18年生まれ)に関する記録映画『バラチエをめぐって Autour de Baratier』(2005。ジャッキー・レナル。24分)が付いており、ジャン=ポール・ベルモンド、ベルナデット・ラフォン、ビュル・オジェ、スペインの前衛劇作家フェルナンド・アラバールが出演しているそうです。
 ジャック・バラチエの『Dragees au poivre』(63。撮影アンリ・ドカ、編集ネナ・バラチエ。93分)にはベルモンド、アンナ・カリーナ、シモーヌ・シニョレ、フランソワ・ペリエ他多数のスターが出演、SM映画『Piege』(68。38分)にはラフォン、オジェ、アラバールが出演していますが共に未見。
 『2回』の編集担当のネナ・バラチエは『ある夏の記録』の編集にも参加、記録映画『La femme volee』(80)、『Le repas des ancetres』(94)、『Sarcelles,1997 apres J.C.』(97)などの監督作があるようですが、ジャック・バラチエの妻だったそうです。
 ロメールの『木と市長と文化会館』(93)から『アストレとセラドンの恋』(2007)までの撮影監督ディアーヌ・バラチエ(63年生まれ)はジャックの娘です。
No.984 - 2008/03/12(Wed) 23:20:23
Re: ピエール・ブロンベルジェ / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんばんは。
『Their First Films』、ジャッキー・レナルの情報他ありがとうございます。
『Their First Films』はずっと欲しいのですが、なかなか安く市場に出ないですね。
そこで、手持ちの『ある道化の人生の24時間』収録のロシア盤DVD(ロシア語によりタイトル記載不能)を確認してみたのですが、内容は『ある道化の人生の24時間』(メルヴィル)、『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』(ゴダール)、『Le Laboratoire de l'angoisse』(ルコント)、『Les Surmenes』(ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ)の4作品でした。
ロシア語の字幕、吹き替え付きですが、英語字幕はありません。
画質は極めて良好です。

『Les Surmenes』は今回初めて観ましたが、言葉は分からなくとも映像は魅力的でした。
ドルリューの音楽、ヒロインの女性が良いですね。
あと、収録時間がどういうわけか23分もありました。

ジャッキー・レナルはロメールの初期作品の編集技師だったのですね。
最近ロメールのそのあたりの作品を観直しましたので、興味深いです。
アンリ・ドカ撮影、豪華キャスト出演というジャック・バラチエの『Dragees au poivre』は観てみたい作品です。
また、ロメールの最近作の撮影監督ディアーヌ・バラチエはジャック・バラチエの娘だったのですね。
No.985 - 2008/03/14(Fri) 00:47:28
『疲れきった人々』 / Faux
 マサヤさん、こんばんは。
『疲れきった人々 Les Surmenes』(57)は、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ監督作品。脚本はドニオル=ヴァルクローズ、ミシェル・フェルモー(『恋愛日記』の脚本にも参加)、フランソワ・トリュフォー。撮影はジャック・ルテリエ。音楽はジョルジュ・ドルリュー。

 ナレーション(モニク・ショメット)「カトリーヌは20歳まで平穏に生きてきた。郊外の小さな町で起きた二つの出来事が彼女の純朴な生活を変えた。リムザンのタイプ・コンテストで優勝。夏休みに、パリで秘書をしている姉の若い上司との出会い。彼らは惹かれ合い、婚約した。カトリーヌは故郷の田舎町を捨て、パリ行きの列車に乗り、婚約者の会社のタイピストになることにした」。
 列車のカトリーヌ(ヤンヌ・バリ)は隣りに座った青年ジミー・ブランクール(ジャン=クロード・ブリアリ)に口説かれる。彼はビックリ箱の蓋の裏に勤務先と自宅の電話番号を彼女に渡す。
 パリに着いたカトリーヌは姉ソランジュ(シャンタル・ド・リュー)と義理の兄で植字工主任のエチエンヌ(ジャン・ジュイヤール)の部屋に転がり込む。婚約者のベルナール・バルダン(ジャン=ピエール・カッセル)も彼女を迎える。
 彼女はパリでの最初の夜から現代生活に夢中になる。エチエンヌは毎晩午前4時に帰り、4時間しか寝ていない。彼の朝の日課はジョギングだ。
 彼女の上司はファルミネ氏(ユベール・デシャン)だ。彼はベルナール・バルダン(職場の最初の場面で「アール」紙を読んでいる)の仕事上のパートナーだ。
 カトリーヌは最初のうちはベルナールと楽しく過ごすが、やがて仕事熱心な彼は夜、付き合ってくれなくなる。彼女はジミーに電話し、彼と踊りに行く。彼女は夜遊びを覚え、朝帰りするようになる。一方、エチエンヌは過労によるストレスから食欲もなくし、苛立つようになる。やがてカトリーヌはジミー以外の男とも遊びに行くようになる。
 ある日、ベルナールはカトリーヌに『処世術』という本を渡し、そこに君の秘密が書いてあると言うが、彼女にはまったく理解できない。
 一方、エチエンヌの過労は限界に達し、勤務中に倒れる。同僚(リュック・アンドリュー)が彼を家に送り届ける。翌日、ソランジュは医者(ジャン・グリュオー)を呼ぶ。
 パリに来て2か月、カトリーヌは勤務怠慢でファルミネ氏に怒られる。彼の横にはベルナールが立っているが、彼女のことを弁解してくれない。彼女は落ち込み、反省する。ベルナールも彼女が立ち直るのを手伝うと約束する。二人は和解のキスを交わす。
 翌日の夜、カトリーヌはベルナールと踊りに行く。ナレーション「数週間後、カトリーヌはベルナールと結婚した。だが彼女はある秘密を知ることに」。
 以前に貰った本の秘密を聞いたカトリーヌに、ベルナールはラ・フォンテーヌの「農夫と子供たち」の教訓に基づく策略だったと答える。農夫は子供たちに畠に宝が埋まっていると言うが、実は、宝とは農作業そのものだった。
 
 カトリーヌ役のヤンヌ・バリは『男と女』(66)のジャン=ルイ・トランティニャンの前妻役、『男と女?U』(86)にも出ています。ジャック・ドレーの『Le Gigolo』(60)でもブリアリと共演。
http://dvdtoile.com/Filmographie.php?id=34113
 ユベール・デシャンは『死刑台のエレベーター』(58)にも出ていますが、『地下鉄のザジ』(60)のテュランド役、『鬼火』(63)のダヴェルソー役。
 モニク・ショメットはフィリップ・ノワレの妻。
 ジャン・グリュオーはトリュフォーの脚本家。
No.986 - 2008/03/14(Fri) 04:17:28
Re: 『疲れきった人々』 / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんばんは。
『疲れきった人々』の内容の情報ありがとうございます。
これを参考にまた観直してみようと思います。
カトリーヌ役のヤンヌ・バリの情報もありがとうございました。
なんと『男と女』のジャン=ルイ・トランティニャンの前妻役が彼女でしたか。
ブリアリと共演しているというジャック・ドレー監督の『Le Gigolo』も機会があれば観たいものです。(アリダ・ヴァリも出ているようですね)
No.987 - 2008/03/14(Fri) 23:52:48
『ある訪問』ほか / Faux
 マサヤさん、こんばんは。ヤンヌ・バリは以下のサイトによると、本名クリスチャーヌ・ベナシル。1936年7月31日、ヌイイ=シュル=セーヌ生まれ。
http://www.lesgensducinema.com/biographie/BarryYane.htm

 『Les Surmenes』のジャン・ジュイヤールは、『相続人』ではルネ・アリエと共に社長役。マリー・ラフォレ主演の『金色の眼の女』(61)にも出演。『黙って抱いて』ではビストロの酔客役。
 リノ・ヴァンチュラ主演、ジャン・ドゥセイ共演の『125 Rue Montmartre』(59)にも出演。
  フランス盤『125 Rue Montmartre』DVDレヴュー(フランス語)
http://www.dvdclassik.com/Critiques/125-rue-montmartre-dvd.htm
 『125 Rue Montmartre』は1959年5月25日から7月12日にかけて撮影されました。つまり『獅子座』や『勝手にしやがれ』直前のパリ・ロケーション撮影が見られます。助監督にジャック・ドレーが就いています。興味ありますが未見です。
 撮影のジャック・ルマール(12−88)は、ルノワールの『ゲームの規則』の撮影助手の一人で、エディ・コンスタンティヌのレミー・コーションものの撮影で知られ、『アデュー・フィリピーヌ』に撮影風景の出てくるTVドラマ『Montserrat』(60)の撮影も手がけています。

 話は変わりますが、トリュフォーの16ミリ初監督作『ある訪問 Une Visite』(54)は、「カイエ・デュ・シネマ」編集長だったジャック・ドニオル=ヴァルクローズのアパートで撮影されました。ドニオル=ヴァルクローズの2歳になる娘フロランスも出演。撮影はジャック・リヴェット。編集はアラン・レネ。製作はトリュフォーの親友ロベール・ラシュネ。
 出演は、「カイエ」の批評家で、『終電車』にも出ている(製作管理も)ジャン=ジョゼ・リシェール、フランシス・コニャニ、トリュフォーの当時の恋人ローラ・モリ。
 『ある訪問』は、1982年4月に東京でぴあ主催の映画祭「フランソワ・トリュフォー全集」において「世界初公開」されました。
 フランシス・コニャニは『大人は判ってくれない』、『ピアニストを撃て』、『女は女である』、『アデュー・フィリピーヌ』、『小さな兵隊』、『青髭』の助監督。
 ジャン=ジョゼ・リシャールは『Les Surmenes』のセカンド助監督で、『唇によだれ』、『夜霧の恋人たち』、『暗くなるまでこの恋を』の助監督です。トリュフォー脚本、クロード・ミレール監督の『小さな泥棒』、同じくミレール監督の『伴奏者』、『オディールの夏』の製作者です。
No.988 - 2008/03/15(Sat) 01:08:41
Re: ピエール・ブロンベルジェ / マサヤ@管理人
Fauxさん、こんばんは。
ヤンヌ・バリの情報ありがとうございます。
『125 Rue Montmartre』にも出演しているのですね。
この作品のDVDパッケージはヴァンチュラの「手」が印象的で見覚えがあります。
ご紹介のレビューでは『マンハッタンの二人の男』にも言及しているようですね。

トリュフォーの『ある訪問』の情報もありがとうございます。
一応トリュフォー作品は全部観ましたが、この作品だけはさすがに未見です。
日本で「世界初公開」されたというのも凄いことですね。
ご指摘のクロード・ミレール監督作品では『小さな泥棒』だけ観ています。
No.990 - 2008/03/16(Sun) 01:11:14
ジャン・ネグローニ / Faux
 みなさん、こんばんは。
 『ギャング』(66)、『危険を買う男』(76)のジャン・ネグローニは1920年12月4日、仏領アルジェリア、コンスタンティヌ生まれ。本名ジャン・ガストン・マリー・ネグローニ。
 若くして劇団を立ち上げ、7歳年長のアルベール・カミュと親交を結び、34年にカミュ演出で舞台初出演。36年に共同で劇団を設立。
 44年にジャン・ヴィラールの劇団(51年に国立民衆劇場TNPとなる)に入りました。黄金期のラジオ劇でも活躍。47年にはアヴィニョン演劇祭の創設に参加。ジェルメーヌ・モンテロ、アラン・キュニー、ミシェル・ブケ、ジャン=ピエール・ジョリス、シルヴィア・モンフォール、ジャンヌ・モロー、ダニエル・ソラノ、マリア・カザレス、ジャン・トパール、ジェラール・フィリップと共演。
 53年にはルノー=バロー劇団に参加。フランスで最も有名な美声の持ち主の一人と言われます。2005年5月28日没。
http://www.lesgensducinema.com/biographie/Negroni%20J.htm
 死亡記事(仏語)
http://coinducinephage.canalblog.com/archives/2005/05/31/4616561.html
 ロッセリーニの『ロベレ将軍』(59)、『ヴァニナ・ヴァニニ Vanina Vanini』(61)の助監督、ロッセリーニの『インディア』(59)、ジャック・ベッケルの『穴』(60)、リヴェットの『パリは我らのもの Paris nous appartient』(60)、ゴダールの『カラビニエ』(63)の音楽家でもあるフィリップ・アルチュイスの脚本・監督・出演作『La Cage de verre』(65)、『Noces de seve』(79)にネグローニが主演しています。
 前者では強制収容所から生還したユダヤ系フランス人でイスラエル市民になったピエール役。後者は未公開のようです。
 アラン・レネとクリス・マルケルの短篇記録映画『彫像もまた死す』(53。撮影ギラン・クロケ)とマルケルの『ラ・ジュテ』(62)ではナレーターを務めています。
 
 ネグローニがロベスピエールを演じたTV史劇シリーズの1篇『La Camera explore le temps: La terreur et la vertu- Danton』(64)はフランスでDVDが出ています。
 演出のステリオ・ロレンツィ(21−90)はジャック・ベッケルの『偽れる装い』(45。撮影ニコラ・アユール)の助監督にクレジットされていますが、TV草創期の演出家として有名です。
 ロレンツィのTVドラマ生中継時代の演出作『Montserrat』(60)の撮影の様子はヌーヴェル・ヴァーグの代表作『アデュー・フィリピーヌ』(62。ジャック・ロジェ監督。紀伊國屋書店からDVD発売)に出てきます。出演者のミシェル・ピコリも少しだけ登場します。紀伊國屋盤のDVDには、トリュフォーが出演する異例のオリジナル予告編も付いています。
No.955 - 2008/02/26(Tue) 19:57:37
Re: ジャン・ネグローニ / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんばんは。
ジャン・ネグローニの情報ありがとうございます。
もともと演劇畑の人だったのですね。
『ギャング』でリノ・ヴァンチュラを尋問(?)するシーンは好きなのですが、セリフが印象的で、フランスで最も有名な美声の持ち主の一人だったという話を聞いて納得がいきました。
先日観た『パリは燃えているか』にちょい役で出ていたのも嬉しかったです。
ジャック・ロジェ監督の『アデュー・フィリピーヌ』の情報もありがとうございます。
DVDを所有してますが、未見です。
No.956 - 2008/02/27(Wed) 00:53:37
『アデュー・フィリピーヌ』 / Faux
 マサヤさん、こんばんは。
  『アデュー・フィリピーヌ』は、『勝手にしやがれ』で成功したゴダールが、友人のジャック・ロジェを製作者ジョルジュ・ド・ボルガールに売り込み、実現した映画ですが、製作は難航し、最終的にボルガールの意向でメルヴィル専属の編集技師だったモニク・ボノに編集を委ねましたが、ロジェは気に入らなかったようです。編集には、クロード・デュラン、マルク・パヴォもクレジットされています。なおボノは『冬の猿』(62)の編集も手がけています。
 撮影技師は『冒険者たち』(67)などアンリコ監督作の撮影監督を何本か手がけているジャン・ボフェッティ。
 終盤で『冒険者たち』のサントラでもおなじみ、「スウィングル・シンガーズ」のクリスチャーヌ・ルグランのスキャットが聴けるのも興味深いのですが、冒頭で、音楽PVを発明したといわれるジャン=クリストフ・アヴェルティ(28年生)演出のTV番組「ジャズ・メモリーズ」スタジオ中継風景が見られるのも貴重。『ぼくの伯父さん』(58)のサントラでも吹いているクラリネット奏者マクシム・ソーリの演奏が見られます。
http://www.festival-vendee.com/vendee-htm/artistes/maxim-saury.html
 ジャック・ロジェの短篇『十代の夏』(58)はゴダールが激賞した作品ですが、ヘンリー・コーディングことアンリ・サルヴァドールの音楽が使われています。
 ヘンリー・コーディングというのは、1956年、ボリス・ヴィアンの企画で「フランス初のロックンロール・バンド」という触れ込みで、ヴィアンとミシェル・ルグランが変名で作曲した覆面バンド「Henry Cording & his original Rock'n'Roll boys」のレコードでの変名です。同ディスクはセカンド・プレスから「Henry Salvador alias Henry Cording」と表記され、ヒットしたそうです。
 アンリ・サルヴァドール日本語略歴
http://rigoler.hp.infoseek.co.jp/who.html
 なお、川崎市市民ミュージアム主催「レトロスペクティヴ/ジョルジュ・ド・ボールガール」(97年)のカタログは、充実したできばえですが、アテネ・フランセ文化センター等にまだ在庫があるようです。『モラン神父』はこの回顧上映のとき、初めて日本で上映されました。
 80年代頃には日仏学院、アテネ・フランセ文化センターで16ミリ・英語字幕版がたびたび上映された『アデュー・フィリピーヌ』はこのときは上映されませんでしたが、2004年に「ダンスinシネマ」という映画祭で、初めて35ミリ・日本語字幕付き上映されました。このとき一緒に上映されたジャン・ルーシュの『人間ピラミッド』も、ロメールやゴダールが高く評価する、ヌーヴェル・ヴァーグの隠れた名作ですが、これも紀伊國屋書店からDVDが出ています。コート・ジヴォワールのエリート高校生たちの日常を捉えたフェイク・ドキュメンタリーです。
No.957 - 2008/02/27(Wed) 02:17:38
Re: ジャン・ネグローニ / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
『アデュー・フィリピーヌ』周辺のいろいろな情報ありがとうございます。
ジャン・ボフェッティ、クリスチャーヌ・ルグラン、マクシム・ソーリらの情報もありがたいです。
お蔭様で観るのが楽しみです。

「レトロスペクティヴ/ジョルジュ・ド・ボールガール」のカタログはまだ在庫がありそうですか。
機会があったら手に入れたいものです。
ところで、川崎市市民ミュージアムといえば、2月10日に『モラン神父』が再映されたようですね…。
このサイトでお知らせできなかったのは無念です。
http://www.kawasaki-museum.jp/display/cinema/february.html#B003

『人間ピラミッド』の情報もありがとうございます。
DVD化されていたんですね、知りませんでした。
ジャン・ルーシュの作品は『パリところどころ』で短編『北駅』を観ただけですが、興味あります。
No.958 - 2008/02/28(Thu) 09:37:54
『ピアニストを撃て!』 / Faux
 マサヤさん、こんにちは。
 ジャン・ルーシュの『人間ピラミッド』『北駅』の女優?ナディーヌ・バロが、トリュフォーの『ピアニストを撃て!』にカメオ出演?していることを知り、チェックしてみました。最後のバーの場面で、新入りのウエイトレスとして登場し、シャルル・アズナヴールと握手します。トリュフォーと一緒に食事をした際、出演を請われ、引き受けたそうです。
 この場面が撮られたのは撮影終盤の1960年1月頃か。コート・ジヴォワール独立は1960年8月7日。『人間ピラミッド』の公開は1961年4月なので、『ピアニストを撃て!』公開の方が先でした。
 ナディーヌ・バロは銀行家の娘で、1958年頃、当時フランスの植民地だった象牙海岸でルーシュと知り合い、リセの最終学年だった1959年の夏休みに『人間ピラミッド』の主要場面を無声で撮影後、ルーシュに同行し、パリに行ったのだと思われます。12月のクリスマス休暇に『人間ピラミッド』の追加撮影が同時録音で行われ、1960年の復活祭休暇にパリのゴーモン撮影所に組まれたセットでさらに追加撮影が行われました。
 1960年夏には、バロは、ルーシュと社会学者エドガール・モラン共同監督の名高いシネマ・ヴェリテの代表作『ある夏の記録』に出演。この映画にはリヴェットが当時の恋人マリルー・パロリーニと一緒に少しだけ出ています。パロリーニは、この後、ゴダールの『はなればなれに』などのスチル写真家を経て、リヴェットの『狂気の愛』『ノロワ』『デュエル』『地に堕ちた愛』、ベルトルッチの『暗殺のオペラ』の共同脚本家になります。
 
 なお驚異的な長廻しで有名な『北駅』は即興ではなく、ナディーヌ・バロとルーシュが短時間で台本を作ってあったそうです。あのアパートは彼女の住んでいたアパートだそうです。
 彼女は現在、シテ・ド・ラ・ミュジークの編集者だそうです。
No.972 - 2008/03/08(Sat) 14:51:49
Re: 『ピアニストを撃て!』 / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんばんは。
ナディーヌ・バロ、ジャン・ルーシュ他の情報ありがとうございます。
ナディーヌ・バロは『ピアニストを撃て』にも出ていたのですね。
『ピアニストを撃て』『パリところどころ』はDVDを所有しておりますが、事情がありましてどちらも家人の実家に置いてありますので、また近く確認してみたいと思います。
ちなみに『ピアニストを撃て』は運良くスクリーンでも観たことがありますが、トリュフォー作品の中でも好きな作品の一つです。

ところで、先日ようやく『アデュー・フィリピーヌ』を観ました。
感想等はそのうちブログにでも書こうと思いますが、DVDのブックレットを読んで驚いたのはメルヴィルとも因縁浅からぬ作品だったということです。
No.973 - 2008/03/08(Sat) 23:30:53
ニコール・ベルジェ / Faux
 マサヤさん、こんばんは。
 『ピアニストを撃て!』じゃなくて『ピアニストを撃て』でしたね。テレーズ役のニコール・ベルジェは、製作者ピエール・ブロンベルジェの義理の娘ですが1967年に30歳の若さで事故死してしまいました。『今晩おひま?』(59)でもアズナヴールと共演しています。
 ニコール・ベルジェの主演作では、ロメールの短篇『ヴェロニクと怠慢な生徒』(58。『愛の昼下がり』DVDに収録)、ロメール脚本、ゴダール監督の短篇『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』(59。DVD『アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール短編傑作選』収録)が好きです。けっして美人とはいえませんが。
 黒人映画の革新者メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ監督・音楽の『Story of a Three-Day Pass』(68)がニコール・ベルジェの遺作です。2006年にXenon PicturesからDVDが出ていますが未見です。
予告編
http://jp.youtube.com/watch?v=ALJqmAWu1pI
日本語紹介記事
http://crossinsane.20.dtiblog.com/blog-entry-3.html

『愛の昼下がり』DVD
http://forest.kinokuniya.co.jp/ItemIntro/113447
『アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール短編傑作選』
http://forest.kinokuniya.co.jp/ItemIntro/81386
No.974 - 2008/03/09(Sun) 00:40:32
Re: ニコール・ベルジェ / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんばんは。
ニコール・ベルジェの情報ありがとうございます。
『ピアニストを撃て』でのアズナブールの妻役が印象的でしたが、事故死してたんですね…。
魅力的な女優さんだっただけに残念です。
ロメールの『ヴェロニクと怠慢な生徒』にも出ていましたか。
これはDVDを所有しておりまして、作品も観ておりますが、彼女のことはほとんど記憶にありません。(ちなみに『愛の昼下がり』は面白い作品でした)
例によって現在はDVDが手元にありませんが、いずれ確認してみようと思います。

ゴダールの『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』は(おそらく)未見です。
ご紹介のDVD『アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール短編傑作選』は以前から気になっています。
短編集なのに価格が高めなので躊躇していますが、廃盤になる前に欲しいです。

『Story of a Three-Day Pass』の情報もありがとうございます。
ご紹介のYouTubeを観ましたが、ちょっと気になる作品です。
No.975 - 2008/03/09(Sun) 21:55:37
アンヌ・コレット / Faux
 マサヤさん、こんばんは。
  ロメールとゴダールは後の『レネットとミラベル/四つの冒険』のような女の子2人組の活躍する連作短編「シャルロットとヴェロニクの冒険」というのを構想していて、シャルロット役に、ゴダールの恋人だったアンヌ・コレット(37年生まれ。本名アンヌ=マリ・コレット)、ヴェロニク役にニコール・ベルジェが選ばれました。『ヴェロニクと怠慢な生徒』はヴェロニクしか出てきませんが彼女の演じるキャラは『男の子の〜』と同じ。
 『男の子の〜』は、ロメール脚本、ゴダール演出ですが、ゴダールが脚本を勝手に変えてしまったためロメールは共作をやめてしまいました。
 リュクサンブール公園で、シャルロットをナンパしようとするパトリック(ジャン=クロード・ブリアリ)が「日本女性? 溝口、黒澤?」と声をかけるセリフもあります。
 『男の子の〜』(英語字幕)1
http://jp.youtube.com/watch?v=fbgU5Fp_-28
 『男の子の〜』2
http://jp.youtube.com/watch?v=WeBHBf_BXaY
 
 しかし、ゴダールはロメールの創作したキャラを無断流用し、ジャン=ポール・ベルモンド主演の『シャルロットとジュール』(「ジュール」は彼氏の意味)を撮りました。しかし自分で脚本が書けなかったので、クレジットなしでトリュフォーが半分くらい代筆したようです。ベルモンドの声の吹替えはゴダール。
 『シャルロットとジュール』(英語字幕)1
http://jp.youtube.com/watch?v=11P_1SXuauU
 『シャルロットとジュール』2
http://jp.youtube.com/watch?v=9PapO-PaeEI

 アンヌ・コレットとベルモンドは『黙って抱いて』でも恋人同士の役です。以下の抜粋(無字幕)ではドロンと共演してます。
http://jp.youtube.com/watch?v=iWNIEUEWBYo 

 アンヌ・コレットはマーティン・スコセッシの初長編『ドアをノックするのは誰? Who's That Knocking at My Door』(67)でハーヴィ・カイテルの白昼夢の場面にヌードで登場するそうですが未見です。
 『ドアをノックするのは誰?』日本語レヴュー
http://www009.upp.so-net.ne.jp/malaparte/malaparte_towa/critic/scorsese.html
No.976 - 2008/03/10(Mon) 03:24:49
Re: アンヌ・コレット / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
『ピアニストを撃て』のナディーヌ・バロ、『ヴェロニクと怠慢な生徒』のニコール・ベルジェを確認しました。
ニコール・ベルジェは確かに美人タイプではありませんが、人懐っこい笑顔が魅力的な女優ですね。
ご紹介のYouTubeの『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』も観ましたが、これはなかなか面白いですね。
ブリアリがニコール・ベルジェをナンパするシーンは、ニコール・ベルジェのファッションも相まって『拳銃魔』の銀行強盗のワンシーンのようです。
『シャルロットとジュール』、アンヌ・コレット、『ドアをノックするのは誰?』の情報もありがとうございます。
『シャルロットとジュール』は『勝手にしやがれ』のクライテリオン盤に収録されているようですが、未見でした。
ご紹介のYouTubeを観ますと、ベルモンドの声を知っているだけに妙な感じです。
『ドアをノックするのは誰?』は私も未見です。
No.978 - 2008/03/11(Tue) 11:49:29
『男の子の名前は〜』 / Faux
 マサヤさん、こんばんは。
 『男の子の〜』はCriterion盤『女は女である』にも収録されています。遊び心たっぷりで、愛着ある映画です。
 『四つの冒険』というより、ロメールの『パリのランデヴー』のリュクサンブール公園の出てくる第2話に近いかもしれません。
 シャルロットとヴェロニクの部屋には、ピカソ展のポスターと共に『理由なき反抗』のポスターが貼ってあります。
 シャルロットがストローの袋を吹き飛ばすのは、『ローマの休日』のオードリー・ヘプバーンのマネだと思うのですが。背後で文芸新聞「アール」を読む客がいますが、確か、見出しになっているのは若きトリュフォーのフランス映画に関する記事です。
 見直すたびに、ベートーヴェンのロンド・ア・カプリッチョ ト長調「なくした小銭への怒り」の諧謔的な旋律が耳に残ります。後半で掛けるレコードのジャズはなんだか不明。
 「ロンド・ア・カプリッチョ ト長調Op.129」キーシンの演奏
http://www.youtube.com/watch?v=ZHetvDqnkzE
 
 ご指摘の通り、ヴェロニクのベレー帽ファッションは『拳銃魔』から採ったのかもしれませんね。だとすると『俺たちに明日はない』のフェイ・ダナウェイに遥かに先行しているわけですが(もっとも本物のボニー・パーカーのトレードマークがベレー帽だったのですが)。
 本物のボニー・パーカー(身長約147センチ)の写真
http://www.pbs.org/wgbh/amex/dillinger/gallery/gal_dillinger_11.html
 サングラスはやはり『拳銃魔』の印象が決定的でしょうか。1959年の『勝手にしやがれ』の頃でさえ、パリでは眼が悪くもないのにサングラスをかける人は少なかったらしいです。
 部屋でヴェロニクと口げんかするシャルロットのセリフ「Sois belle et tais-toi」は『黙って抱いて』の原題の常套句、「美人でいなさい、口を慎みなさい」の意味。
No.980 - 2008/03/11(Tue) 21:13:58
Re: 『男の子の名前は〜』 / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』の詳しい情報ありがとうございます。
ずっと流れていたピアノはベートーヴェンでしたか。
モーツァルトっぽいようにも感じていましたが、曲のテンポが映画にピッタリでしたね。
サイレントにも巧くはまりそうな曲です。
副題は変ですが。

本物のボニー・パーカーの情報、写真も紹介いただきありがとうございます。
写真は初めて見ましたが、想像していたより強烈ですね。
ヘタな女優よりずっと女優っぽいです(笑)。
No.982 - 2008/03/12(Wed) 09:58:30
サムライ / 影
久々! 太陽がいっぱい のロケ地はナポリ湾に浮かぶ

イスキアらしいですね、撮影時とは景色も違うかもしれない

でもチャンスがあればいいですねーー。サンタアジェロで
撮影をしたとか。

それから サムライは見所のパリ警察との追っかけシーン

リド側の116bisに姿を現しジョルズサンクから入り、

バンセンヌ線を使いポルトデイブリー駅へ、ここで撃たれ

アパートはテレグラフ駅。。。。。切がないのでこれで

それにしてもメトロの雰囲気が最高でした。
No.977 - 2008/03/10(Mon) 13:13:38
Re: サムライ / 管理人@マサヤ
影さん、お久しぶりです。
『太陽がいっぱい』のロケ地はイスキアという所ですか。
映画の頃とは雰囲気が変わっていますかね…。
変わっていなかったら感動モノですが。

『サムライ』のメトロの雰囲気は最高ですよね。
私も昨年『サムライ』メトロ紀行を敢行(?)しました。
雰囲気がほとんど変わっていないのは嬉しかったです。
ブログにも掲載しましたが、ご指摘のコースはこちら(http://melville.blog.shinobi.jp/Entry/7/)に、後半のコースはこちら(http://melville.blog.shinobi.jp/Entry/16/)に記録していますので、よろしければご覧下さい。
No.979 - 2008/03/11(Tue) 12:04:05
ベルトラン・タヴェルニエ / Faux
 みなさん、こんばんは。
  50年代の学生時代にアメリカ映画狂だったベルトラン・タヴェルニエ(41年生まれ)が最初に映画業界に入って関わった映画監督はジャン=ピエール・メルヴィルでした。
 タヴェルニエは『モラン神父』『いぬ』の助監督フォルカー・シュレーンドルフ(39年生まれ)とは高校の同級でした。
 タヴェルニエは、『マンハッタンの二人の男』の直後、自ら作った映画誌「L'Etrave」のためメルヴィルにインタヴューしたことがきっかけでメルヴィルと親しくなり、ソルボンヌ大学法科を中退し、『モラン神父』の見習い助監督に就いたものの、使い物にならずクビになり、メルヴィルの口利きでジョルジュ・ド・ボルガールに紹介され、『いぬ』の宣伝広報担当になりました。
 『墓場なき野郎ども』公開時、最初にクロード・ソテにインタヴューしたのも「シネマ60」のタヴェルニエでした。
 タヴェルニエによる『墓場なき野郎ども』(英語)
http://www.filmforum.org/films/classe.html

 メルヴィルはクロード・ソテと共にタヴェルニエの両親宅を訪ねた際、息子の映画界入りを強く勧めたそうです。
 『モラン神父』撮影中、タヴェルニエはシネマ・マクマオンで掛かっていたラングの『ムーンフリート』(55)をメルヴィルに勧め、この映画を気に入らなかったメルヴィルは、罰として全スタッフに3日間タヴェルニエと口をきくなと命じたそうです。
 1960年、タヴェルニエに、パリ公開時、黙殺されていたマイケル・パウエルの『血を吸うカメラ』(60)を観るよう勧めたのはメルヴィルで、1968年の同作再映時ににタヴェルニエはマイケル・パウエルをパリに招聘、パウエルとも亡くなるまで親交を結んだそうです。
 ちなみにマーティン・スコセッシ(42年生まれ)もマイケル・パウエルを敬愛し、彼の編集技師のセルマ・スクーンメイカー(40年生まれ)をパウエルに紹介、彼女は1984年からパウエルの亡くなった90年までパウエルの妻でした。
 『河』(51。ジャン・ルノワール)のルーマー・ゴッデン原作、昨年亡くなったデボラ・カーが尼僧に扮する『黒水仙』(47。パウエル&プレスバーガー)の2005年発売の英国Network盤、2006年発売のフランスWarner盤DVDには、スコセッシとパウエルの音声解説を収録。フランス盤にはタヴェルニエによる8分26秒の紹介ビデオも付いています。
http://www.dvdbeaver.com/FILM/DVDReview2/blacknarcissus.htm

 タヴェルニエは『アデュー・フィリピーヌ』『カラビニエ』『5時から7時までのクレオ』『軽蔑』『悪意の眼』『気狂いピエロ』『317小隊』の宣伝を担当。
 ボルガールの下で2本のオムニバス用短篇(うち1本は『キス!キス!キッス!』の1篇『ユダのキス』)を監督しました。
 しかし60年代には、あくまでも映画広報として有名で、『勝手にしやがれ』の助監督で、マクマオンの番組責任者だった友人のピエール・リシアンと共にフリーランスの映画広報となり、世界中の映画作家のインタヴューを採りました。
 Stephen Hay"Bertrand Tavernier: The Film-Maker of Lyon"を参照。
http://books.google.co.jp/books?id=DiILM8ois6cC&pg=PP1&dq=bertrand+tavernier&as_brr=3&sig=c0jEt6dIG-5W2z9Kal6bSMwKF6s#PPA15
 ベルトラン・タヴェルニエのDVDブログ(フランス語)
http://www.sacd.fr/blogs/tavernier/

 タヴェルニエの監督最新作は、昨年撮影を終えた、トミー・リー・ジョーンズ主演の『In the Electric Mist』(原作『エレクトリック・ミスト』)です。トミー・リー・ジョーンズが演じるのは、『ヘブンズ・プリズナー』(96。原作『天国の囚人』)でアレックス・ボールドウィンの演じたロビショー刑事の役。
 原作者ジェイムズ・リー・バークの日本語書誌
http://homepage1.nifty.com/ta/sfb/burke_jl.htm
No.968 - 2008/03/03(Mon) 19:03:06
Re: ベルトラン・タヴェルニエ / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
ベルトラン・タヴェルニエの情報ありがとうございます。
お蔭様でタヴェルニエの映画界入りの事情がよく分かりました。
ラングの『ムーンフリート』をめぐるエピソードはいかにもメルヴィルらしいですね。
マイケル・パウエルの『血を吸うカメラ』の情報もありがとうございます。
マイケル・パウエルといえばファンタジーというイメージを持っていましたが、これはサイコ・スリラーのようですね。
機会があれば観てみたいです。

ところで、タヴェルニエがメルヴィルを語る映像といえば『影の軍隊』のクライテリオン盤の特典映像がありますが、昨年、私がパリの小さなDVDショップで購入したDVD(『モラン神父』『いぬ』『LE CINEMA DE MELVILLE』なるドキュメンタリーの3枚組)には、『SOUVENIRS SUR MELVILLE』と題されたタヴェルニエが一人で49分に渡ってメルヴィルとの思い出を語るドキュメンタリーが収録されています。
字幕もなく、話の内容もてんで理解できないので、紹介できないのが大変残念ですが。
パッケージには「CNC」なる文字がありますが、正規盤か否かもよく分かりません。(画質は大変良好です)
Amazonなどでも売られてはいないようです。
No.969 - 2008/03/04(Tue) 10:45:08
Re: ベルトラン・タヴェルニエ / Faux
 マサヤさん、こんばんは。タヴェルニエのインタヴュー『メルヴィルの思い出 Souvenirs sur Melville』(49分)は興味深いですね。内容は、メルヴィルの私生活や撮影現場における独裁者ぶり、きわどい逸話満載とのこと。
 フランス語に堪能なら購入したいところですが。こういうのを、ニコニコ動画あたりにうpしたら、字幕職人が日本語字幕付けてくれるというようになれば、というのはありえない夢想でしょうか。
 2005年8月25日発売フランスOpening盤メルヴィルBOX『いぬ』+『モラン神父』のレヴュー(フランス語)
http://www.dvdcritiques.com/critiques/dvd_visu.aspx?dvd=3621
 このソフトは正規盤と思われますが、ウェブ上の情報は限られていて(www.opening.frのカタログにも記載なし)、現物が手元にないので発売元等の詳細はわかりません。ちなみにCNCというのはフランス国立映画庁のことです。
 他の特典は『隠遁者メルヴィル Melville le Solitaire』(23分)。ミシェル・ブジュ(映画評論家・作家。40年生まれ)、オリヴィエ・アサイヤス(55年生まれ。映画監督・評論家)、ディディエ・デナンクス(49年生まれ。『記憶のための殺人』の作家)のインタヴュー。
 内容はメルヴィル紹介、彼のパリおよび都会への愛、彼の厳格さ、彼の世界観および社会観、彼の作り出した登場人物などだそうです。
 『モラン神父:欲望と恩寵 Leon Morin Pretre, Le Desir et la Grace』(32分)、『いぬ:嘘と死 Le Doulos, le Mensonge et la Mort』 (39分)は、上記3者のインタヴューによるそれぞれの作品の解題。
 ディディ・デナンクスについての日本語記事
http://www1.ocn.ne.jp/~ppl/epaves/didier.htm

 ミシェル・ブジュ・インタヴュー(フランス語)。
http://www.arkepix.com/kinok/Michel%
20BOUJUT/boujut_interview.html
 著書『クロード・ソテとの会話 Conversations avec Claude Saute』(94)、北野武論『Rencontres du septieme Art』(2000)ほか多数。
 ミシェル・ブジュは、クロード・ソテと親しかったそうですが、『僕と一緒に幾日か』(88)と『愛を弾く女』(92)が大好きで、『とまどい』(95)はそうでもないとのこと。

 ミシェル・ブジュは、80年代のTV番組「シネマ、シネマ」の1話「Kazan Barbara Loden」(82)をクロード・ヴァンチュラ(Criterion盤『勝手にしやがれ』DVD特典の93年のTV用記録映画『スウェーデン・ホテル12号室 Chambre 12, Hotel de suede』の演出家)と共同演出。この番組のエリア・カザンの談話の抜粋(6分)はフランスMK2盤『ワンダ Wanda』(70)のDVDの特典に収録。
 カルト映画『ワンダ』の監督・脚本・主演はエリア・カザンの妻だった女優のバーバラ・ローデン(32−80)。若くして亡くなったため、『ワンダ』が唯一の長編監督作。
 2004年に出たフランスMK2盤DVD(2枚組)には、プラスティック・オノ・バンドの小野洋子とジョン・レノンとバーバラ・ローデンが一緒に出たTVバラエティや演奏風景も収録。
http://www.dvdclassik.com/Critiques/dvd_wanda.htm
 上記の演奏風景(パーカッションがバーバラ・ローデン)
http://jp.youtube.com/watch?v=a6dnMajx5UM

  イザペル・ユペールが惚れこんでフランス公開した『ワンダ』は、夫に捨てられ、ゆきずりの男に利用される頭の弱い薄幸の女性ワンダの転落と放浪を描く、おどろくほどチープで(撮影は16ミリ。オールロケ)殺伐とした、かつ魅力的で特異な女性映画です。日本でももっと知られてよいのですが。
 北米盤DVDは2006年にParlour Picturesから出ましたが特典映像はなし。
http://parlourpictures.com/releases.html

 バーバラ・ローデンの短篇『鹿が好きだった少年 The Boy Who Loked Deer』(76)。非行小学生の破壊行為に反対する教育映画。主人公ジェイソン少年の仲間の悪ガキが鹿の餌にネズミ駆除用の毒を入れ、メイソン先生の大切にしている詩人E・E・カミングスの初版署名本を破る。
パート1
http://jp.youtube.com/watch?v=SFudjk_KW3Q
パート2
http://jp.youtube.com/watch?v=O4hdC_i5b4c
パート3
http://jp.youtube.com/watch?v=N3V-IRMS_Oc
パート4
http://jp.youtube.com/watch?v=ks4FL9ojsTU
パート5
http://jp.youtube.com/watch?v=qd7BcSiNv6s
パート6
http://jp.youtube.com/watch?v=JuYpvb6kHfQ

 先生が、リズムに耳を傾ければ自ずと意味が伝わると言って朗読するE・E・カミングスの詩「In Just-」

in Just-
spring      when the world is mud-
luscious the little
lame balloonman

whistles     far     and wee

and eddieandbill come
running from marbles and
piracies and it's
spring

when the world is puddle-wonderful

the queer
old balloonman whistles
far     and     wee
and bettyandisbel come dancing

from hop-scotch and jump-rope and

it's
spring
and
    the

       goat-footed

balloonMan    whistles
far
and
wee
No.970 - 2008/03/04(Tue) 20:49:13
Re: ベルトラン・タヴェルニエ / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
私が所有しているのはそのフランスOpening盤メルヴィルBOXのことです。(パッケージも全く同じです)
よくぞ見つけて下さいました。
パッケージにメーカー表示などもハッキリされていない上、価格も3枚組で19ユーロと驚くほど安かったので、もしや海賊盤かと疑っていました。
タヴェルニエの話の内容も面白そうですね。
他の3人の話もそうとう突っ込んだところまで話しているようなので、内容をなんとか理解できるようになりたいものですが。
ニコニコ動画は利用したことがないので、今のところはなんとも言えません…。

ミシェル・ブジュ、バーバラ・ローデン、『ワンダ』の情報もありがとうございます。
いずれも未知の情報でしたので、助かります。
ご紹介の小野洋子との演奏シーン、『鹿が好きだった少年 The Boy Who Loked Deer』の映像は興味深く観ました。
いつもながら、オノさんはぶっ飛んでますね(笑)。
『鹿…』もなかなか感慨深いです。
No.971 - 2008/03/05(Wed) 11:05:33
エチエンヌ・ベッケル、オイゲン・シュフタン / Faux
 マサヤさん、こんにちは。
 「レトロスペクティヴ/ジョルジュ・ド・ボールガール」カタログは以下で購入可。
http://www.athenee.net/culturalcenter/books.html

  『北駅』にはナディーヌ・バロとバルベ・シュレデールが主演していますが、バロは『人間ピラミッド』ではコート・ジヴォワールの高校の白人・黒人共学クラスに転入してくる女子高生役で出ています。
 『北駅』の撮影を手がけたエチエンヌ・ベッケル(36−95)は、ジャン・ベッケルの息子です。『勝負をつけろ』(61)では撮影助手。遺作は、ジャン・ベッケルの『エリザ』(95)です。
http://www.lesgensducinema.com/biographie/BeckerEtienne.htm
 エチエンヌ・ベッケルは、マルケルの『ラ・ジュテ』(62)とリヴェットの『狂気の愛 L'Amour fou』(69)には出演もしています。
 『狂気の愛』では35ミリで撮られた劇中のTV番組(16ミリ)の撮影も担当。
 「ジャック・リヴェット・レトロスペクティヴ 秘密と法則の間で」
http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=131

 ウィリアム・バロウズやオーネット・コールマンが出演したトンデモ映画?『チャパクア』(66)では、写真家として有名なロバート・フランク、名匠オイゲン・シュフタンと共に撮影を手がけています。
 ロバート・フランクについて
http://artphoto-site.com/story44.html

 ドイツ(現ポーランド)出身のオイゲン・シュフタン(1893−1977)は映画史上の重要人物の一人です。『ニーベルンゲン第一部:ジークフリートの死』(24)、『メトロポリス』(27)や『ナポレオン』(27)などの「シュフタン・プロセス」と呼ばれる、鏡を利用した二重焼き技法で有名。ロバート・ロッセン晩年の『ハスラー』(60)でオスカー受賞。
 ロッセンの遺作でジーン・シバーグの代表作の1本『リリス』(DVD発売。64)、No.634でも言及した『マンハッタンの哀愁』(65)の撮影も見事ですが、ドイツ時代の『日曜日の人々 Menschen am Sonntag』(30)やマックス・オフュルス、ダグラス・サークの日本未公開作、フランス時代の『霧の波止場』(38)、アヌーク・エメの美しい、アストリュックの中篇『恋ざんげ』(53)、ジョルジュ・フランジュの『壁にぶつけた頭 La Tete contre les murs』(59)、古典ホラー『顔のない眼』(60)などが有名。
 トリュフォーの『終電車』(80)のメトロの場面でも引用された、メトロの幻想を扱ったフランジュの短篇『白い少女』(58)も撮っています。
No.959 - 2008/02/28(Thu) 12:09:39
Re: エチエンヌ・ベッケル、オイゲン・シュフタン / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
「レトロスペクティヴ/ジョルジュ・ド・ボールガール」カタログの情報ありがとうございます。
他にも欲しいのが何点かありますので、まとめて注文しようかとも考えています。
『北駅』の撮影はエチエンヌ・ベッケルでしたか。(ジャックの息子の勘違いですよね)
長廻しが凄い映画だったと記憶しています。
「ジャック・リヴェット・レトロスペクティヴ 秘密と法則の間で」の情報はお知らせしようと思っていました。
ありがとうございます。
オイゲン・シュフタンの情報もありがたいです。
先日私も観た『マンハッタンの哀愁』、以前観て、映像の素晴らしかった『霧の波止場』、『ハスラー』もこの人でしたか。
『メトロポリス』もDVDを買ったままなので、早く観たいと思います。
No.960 - 2008/02/29(Fri) 10:54:27
Re: エチエンヌ・ベッケル、オイゲン・シュフタン / Faux
 マサヤさん、こんばんは。もちろん、エチエンヌはジャックの息子です。『北駅』の手持ちの長廻しでわかるように、ドキュメンタリーを得意としていたので、『狂気の愛』でも劇中で演出されるラシーヌの悲劇『アンドロマク』のアングラ上演(ビュル・オジェは、演出家の妻で主演女優ながら、主演を降板し、次第に精神異常をきたす役)のドキュメンタリー番組のカメラマンを演じていますが、晩年はジャンのカメラマンでした。『人間ピラミッド』『北駅』のナディーヌ・バロと結婚したという情報も見たことありますが不詳。

 『北駅』主演のシュレデールは『パリところどころ』やロメール初期映画のプロデューサーですが、ロメールの短篇『モンソーのパン屋の女の子』にも主演しています(声はベルトラン・タヴェルニエの吹替え)。
 リヴェットの『セリーヌとジュリーは舟でゆく』にも出ていましたが、長年、ビュル・オジェの内縁の夫でもあります(パスカル・オジェの父親は別人)。
 今や大監督ですが、初期のピンク・フロイドの音楽で知られる『モア』に続く監督第2作『ラ・ヴァレ』(サントラは『雲の影』)が昨年ようやく日本で始めてDV上映されました。
 監督最新作は、江戸川乱歩原作の『陰獣 Inju』(2009年日本公開予定)。祇園が舞台ですが、 昨年末、金沢ロケが行われました。主人公のフランス人探偵役は『ピアニスト』のブノワ・マジメル、ヒロインの芸者役はミナモト・リカ。他に日本人俳優多数出演。
 シュレデール(シュローダー)は俳優としては、ウェス・アンダーソンの『ダージリン急行』(2007)に出ています。
http://www.foxjapan.com/movies/lineup/index.html
No.961 - 2008/02/29(Fri) 19:34:36
Re: エチエンヌ・ベッケル、オイゲン・シュフタン / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
『狂気の愛』やバルベ・シュレデールの情報などありがとうございます。
『狂気の愛』は未見ですので今度のリヴェット特集で是非観たいのですが、時間が取れますやら…微妙です。
シュレデールはピンク・フロイドがサントラを担当した2作の監督でもありましたか…意外な事実にビックリです。
偶然にも、この2作は今度DVDが出るのですね。(単品でも発売)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89-DVD-BOX/dp/B0011182JS/ref=pd_rhf_p_3
私は実はピンク・フロイドのファンでもあるのですが、どちらも未見ですので、興味深いです。
エリック・ド・マルサンの話では、メルヴィルにピンク・フロイドのことを言及した際に、「君はクレイジーだ!あんなのは音楽ではない!」と言われたらしいですが。

『陰獣 Inju』の情報もありがとうございます。
江戸川乱歩原作ということで、これも面白そうな映画です。
No.962 - 2008/03/01(Sat) 09:59:36
ピンク・フロイドほか / Faux
 マサヤさん、こんにちは。昨年のシアター・イメージ・フォーラムでのピンク・フロイド映画上映は、DV上映ということもあり、DVD発売のプロモであったと思われます。
 ピンク・フロイドといえば、アントニオーニの『砂丘』の超高速度撮影のラストでの「ユージン、斧に気をつけろ Careful with That Axe, Eugene」の改作「51号の幻想 Come in Number 51, Your Time Is Up」が忘れがたいですね。繰り返し見ると、いかにもサイケデリック流行時らしいハッタリにしか思えませんが。
http://jp.youtube.com/watch?v=9rxpfO90mg8
 主演女優ダリア・ハルプリン(47年生まれ)は1972年5月にデニス・ホッパーと結婚、76年に離婚。その後、クリエイティヴ・アート・セラピーを実践しているようです。

 「ユージン〜」は、キース・エマーソン率いるナイスのデビュー・アルバム『ナイスの思想』収録の「ユージンの叫び The Cry of Eugene」へのアンサー曲だったと思いますが。
 「ユージン、斧に気をつけろ」
http://www.youtube.com/watch?v=tGsBUWD5r2o

 ついでにコンラード・ルークス監督・主演『チャパクア』(66)のファッグスの演奏場面
http://jp.youtube.com/watch?v=nZ5Gzclz7xA
 『チャパクア』にはラヴィ・シャンカールまで出ていました。予告編です。
http://jp.youtube.com/watch?v=0lRAvRQBwco

 『モア』はシュレデールの初監督作、撮影は『コレクションする女』『モード家の一夜』『野性の少年』などのネストル・アルメンドロスなので、期待して見たのですが、イビサ島を舞台にしたドラッグ映画で、時間が間延びしたような感覚が冗漫で辛かった記憶があります。『チャパクア』と並ぶトンデモ映画かも。サントラ盤だけ聴いてるほうがよかったような気もします。
 YouTubeにいくつか動画があがってます。「サイラス・マイナー Cirrus Minor」の流れる場面。
http://jp.youtube.com/watch?v=QtyFcxxQFI4

 『ラ・ヴァレ』は、ビュル・オジェ、ジャン=ピエール・カルフォンという『アイドルたち』(68)、『狂気の愛』(69)の2人、カルフォン出演の『ウイークエンド』(67)、『アイドルたち』に出ているヴァレリー・ラグランジュ(『サテリコン』にも出演)というヒッピー3人組?が出ています。撮影はこれもアルメンドロス。
 『ラ・ヴァレ』日本語レヴュー
http://www.nobodymag.com/journal/archives/2007/1115_1705.php
 『ラ・ヴァレ』イタリアRaro Video盤DVD抜粋
http://jp.youtube.com/watch?v=YAmevgaNBfU
 「泥まみれの男 Mudman」の流れる場面
http://jp.youtube.com/watch?v=ulkXnU5Joz8

 『モア』『ラ・ヴァレ』の脚本には、『いとこ同志』『勝手にしやがれ』『獅子座』の主人公のモデルともいわれる作家ポール・ジェゴフ(22−83)が参加しています。『太陽がいっぱい』やシャブロル映画の脚本で有名です。デュヴィヴィエ遺作『悪魔のようなあなた』の脚本にも参加したようです。
 ゴダールの『ウイークエンド』ではモーツァルトのピアノ・ソナタ第17番を戸外で弾いています。
http://www.youtube.com/watch?v=i40i2fOUnmA
 ポール・ジェゴフの脚本作ではシャブロルの『気のいい女たち』(60)が一番好きです。ステファーヌ・オドラン、ベルナデット・ラフォン、儲け役のクロチルド・ジョアノ(32−74)が出ています。撮影はアンリ・ドカ。
http://jp.youtube.com/watch?v=EAe7zZYUwS0

 なおシュレデール、アルメンドロスの、ウガンダの人食い大統領アミン(昨年公開の『ラストキング・オブ・スコットランド』という映画もあります)を扱った『General Idi Amin Dada: Autoportrait』(74)、ジェラール・ドパルデュー、ビュル・オジェ共演のSM映画『Maitresse』(76)のDVDは北米Criterionから出ています。
 『Maitresse』についての日本語記事
http://antorume68.blog104.fc2.com/blog-entry-250.html

 いつのまにかアマゾン中古で高値が付いてますが、ネストール・アルメンドロス『キャメラを持った男』(筑摩書房、リュミエール叢書、1990)は撮影技術について大変タメになります。
No.963 - 2008/03/01(Sat) 18:23:58
Re: ピンク・フロイドほか / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
ピンク・フロイド他の情報ありがとうございます。
『モア』『ラ・ヴァレ』の撮影がネストール・アルメンドロスだということにまたビックリです。
私はフロイドのファンだと言う割に、初期のサイケ期はちょっと苦手だったりするのですが、「ユージン、斧に気をつけろ」や「エコーズ」あたりは好きです。
『砂丘』はいつかDVD化されたらまた観直してみたい作品なのですが。

ご紹介のYouTubeを観ますと、『ラ・ヴァレ』が面白そうですね。
ビュル・オジェも美しいので、これだけでも買おうかと思います。
ポール・ジェゴフは『ウイークエンド』でピアノを弾いている人でしたか。
『獅子座』『いとこ同志』はまた是非観直してみたいですね。
『気のいい女たち』は以前DVDを持っていましたが、よく分からない不思議な作品でした。
YouTubeで観ますとドカの撮影が印象的な作品ですので、DVDを手放してしまったのをちょっと後悔しています。
ネストール・アルメンドロス著『キャメラを持った男』はたまに古本屋で見かけますね。
手ごろな値段でしたら買ってみようと思います。
No.964 - 2008/03/02(Sun) 10:30:04
ポール・ジェゴフ / Faux
 マサヤさん、こんにちは。 
  『いとこ同志』の主人公のモデルがポール・ジェゴフと書きましたが、ジェラール・ブラン演じた役のことではなく、ジャン=クロード・ブリアリが演じたイヤミな役のほうです。
 確か、ブリアリがパーティでナチの制服を着て顰蹙を買うというエピソードがありますが、これはジェゴフの実体験に基づくそうです。ジェゴフの屈折した保守反動性は、前衛左派の評論家から叩かれていたようです。
 『気のいい女たち』もイヤミで後味の悪い話ですが、パリの文化人類学的記録映画のようなところがあり、ドカのロケーション撮影の魅力は抜群です。
 ちなみにジェゴフはアルザス出身(獅子座)です。
 ヴァディム監督、アニー・ジラルド、カトリーヌ・ドヌーヴ共演の『悪徳の栄え』(63)ではナチ親衛隊の医師、ボルガール製作、シャブロル監督、モリス・ロネ、ジーン・シバーグ共演のレジスタンスもの『境界線 La Ligne de demarcation』(66)ではゲシュタポ隊員を演じています。
 ジェゴフは1983年にノルウェーで二度目の妻に刺し殺されました。
 ジェゴフの私小説に基づくシャブロルの映画『Un Partie de plasir』で、ジェゴフは結婚生活に破綻する自分を演じていますが未見です。ジェゴフの前妻と娘も出ています。シャブロルの最も悲惨な映画ともいわれています。北米でDVDが出ています。以下、英語レヴュー。
http://www.dvdtalk.com/reviews/read.php?ID=10531
No.965 - 2008/03/02(Sun) 18:12:52
訂正 / Faux
 『Un Partie de plaisir』は『Une Partie de plaisir』のマチガイです。
No.966 - 2008/03/02(Sun) 18:27:37
Re: ポール・ジェゴフ / 管理人@マサヤ
Fauxさん、こんにちは。
ポール・ジェゴフの情報ありがとうございます。
ヌーヴェル・ヴァーグを理解する上での重要人物と言えそうですね。
亡くなり方も映画のようです。
『いとこ同志』はどうにも救いのないストーリーでしたが、重苦しい『美しきセルジュ』よりは大分観やすかったと記憶しています。
ワーグナーの『トリスタン』も巧く使われていました。
『悪徳の栄え』『境界線』『Une Partie de plaisir』の情報もありがとうございます。
『悪徳の栄え』はレンタルでも見かけたと思いますので、探してみます。
No.967 - 2008/03/03(Mon) 09:18:56
わかりました / 警視の猫
レビューを拝見しました。
「仁義だ」のセリフについて詳しく書いていらっしゃいましたね。
やっぱり意訳より直訳の方が良いですね。
ありがとうございました。
No.952 - 2008/02/23(Sat) 12:41:22
Re: わかりました / 管理人@マサヤ
警視の猫さん
『仁義』のレビュー読んでいただいてありがとうございます。
あの辺のセリフに関しては、当方の能力不足によりまして、原語でお伝えできないのが残念なのですが、米クライテリオン盤と英BFI盤の英語字幕が同じでしたので、それを元に説明しています。
非常に深い意味が隠されているシーンですが、国内盤DVDなどの字幕はちょっと意訳し過ぎで、意味がよく伝わりづらいですよね。
No.954 - 2008/02/23(Sat) 23:50:34
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