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裏板

危険区域。石凪の脳内と同じくちょうごった煮。避けて通るが吉。

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taskサイド・りんご飴ネタの続編。 / 石凪
 なんていうか、こう、落ち着かない。
 って、言うか。
 その。


「ぅ〜…」

 タローは何とはなしに自分の手を見て、微かに唸った。
 ついさっき、ナカジによって散々丁寧に舐めあげられた手だ。
 見ていると、ナカジの舌のざらついた感じや、濡れた感触、指を含まれた時の口の中の粘膜の熱さなんかが生々しく思い出されて。
 ぞく、と、寒気に似た何かが背筋を這う。

「っ…」

 ふるりと一度頭を振って、タローはその感覚を追い払った。
 その動作に隣に座っていたナカジが気付く。口の中に残る鼈甲飴の甘さを払拭すべく、フランクフルトを食べていた。

「どうかしたのか」
「な、んでも、ない」

 そんな訳はない。
 ナカジにあんな事をされてから同じ事を幾度か繰り返していて、気もそぞろ。屋台を物色しにも行かず、妙に大人しく石段に腰掛けたままだ。
 顔も、赤いまま。タローは気付かれていないと思っているが、照明が十分でなくてもすぐ隣にいるナカジには、頬が紅潮している事など最初からばれてしまっている。
 だから、タローの心境など大方察しがついているが、助け舟などナカジが出すわけもない。

「そうか」

 明らかに詰まった返答も、気付かないふりで流す。ほんの少し、タローが恨みがましそうな顔をしたのにも無視を決め込んで、気付かれないように僅かに唇の端を持ち上げた。
 さて、これからこいつはどう出るだろう。

「…ぅー…」

 フランクフルトを食べ終えて唇についたケチャップを舌で舐め取ると、ちょうどそれを目撃したらしいタローが、何度目かの呻き声を漏らす。
 その様子が面白かったので、ナカジは親指にもケチャップがついているふりをして、少し口に含んで舐めた。

「何だ」

 何気ない風を装って、でも見せ付ける為にタローの眼を見据えて、少し低い声で。
 薄闇に浮かび上がるような、ナカジの白い肌。普段なら不健康な色だと思うのだが、状況が状況だけに、しかも身につけているのが浴衣であるが故に、タローにとってはどうにも情を煽られる一因になってしまっている。
 こく、と喉がなった。

「ナカジ、」

 言うより早く、手を伸ばして白い手首を掴んで引き寄せた。飴でよごれていながら、唯一触れられなかった唇を、ナカジの口元に押し付ける。
 抵抗はない。
 その代わり、タローの唇の上を這う舌の感触。丁寧に、丁寧に、指や口の回りにした時と同じように、ただ鼈甲の味だけを舐め取っていくよう。

「んっ…」

 焦れて、タローは自分から舌を差し出した。途端舌先に微か感じる、あまいあまい味。
 痺れそう。
 珍しくナカジが主導権を奪おうとしないので、タローの方が積極的に舌を使う形で口付けは深くなる。
 気が済むまで味わって鼈甲の味がしなくなった頃、ようやく唇を離すと、互いの口元が夜宮の灯りでてらてらと光った。
 そのまま、ナカジがにやりと笑う。

「さかってんじゃねぇよ」
「なっ…!!」

 かぁっと顔に血が上って、同時に頭にも上った。
 元はといえばこんな状況に陥っているのは、ナカジのせいであるというのに。

「あーもう!決めた、今決めた!今日こそナカジ攻める。攻めてやる!こいナカジ!!」

 いつもと同じ目標を今日こそ達成してやる、と半ば自棄のように言うなり、タローはナカジの手首を引っ掴んで立ち上がった。
 そのままずるずるとナカジを引き摺るように石段を登って、夜宮の賑わいから遠ざかり人気のない神社の裏手へと向かっていく。

「あーあー、お盛んなこって」

 連れ込まれる立場であるはずのナカジは、事の成り行きを面白がるかのようにニヤニヤと抑えきれない笑みを浮かべながら、わざとゆっくりとついていった。


 喧騒が、遠くなる。
No.37 - 2006/08/25(Fri) 00:50:34
後半戦エロ・浴衣仕様 / 石凪
 何故、こんな状況に陥っているのだろうと、タローはぼんやりと霞んだ頭で考えた。
 が。

「ふっ、く…あぅ…!」

 微かな水音と共に細く白い指が中心を擦り上げるせいで、思考はバラバラとまとまらない。

「声あげていいのか?ここ、外だぞ?」

 白い指を絡ませている本人―――ナカジに意地悪く言われて、タローは慌てて片手で口を塞いだ。その反応を見て気を良くしたのか、先端をつぅと爪でなぞられ、肩が跳ねるのと一緒に抑え切れなかった嬌声が唇と手の隙間から闇に零れる。
 それと一緒に、頭の中は最初の疑問へと戻った。
 どうして、こんないつも通りな展開に。今日は一体どこで間違ったのだろう。
 ナカジを神社の裏へ連れ込んだまではよかった。
 その浴衣の合わせを乱して首筋に口付けて、微かに歯を立ててるところまで順調だった。
 問題はそこから先。
 キスマークをつけてやろうとした瞬間、なんとも綺麗に足元をすくわれ、見事に尻餅をついた。
 後はもう、マウントポジションをあっさり奪われて、「気はすんだか?」なんて言われながらいとも簡単に浴衣を剥がされてしまったのだ。
慌ててナカジの浴衣の背を掴んで抵抗してはみたものの、その頃にはタローの帯は既に引っ掛かっているだけになっていて、そうこうしているうちに健康的な色の肌を白い指がなぞって。挙句唇や舌まで這わされて、あっという間に屈服させられて。
 現在に、至る。

「考え事か?余裕だな」
「ひぅ!ちょっ…ぁ、あ…!」

 一際強く握りこまれて、タローの思考は一瞬で霧散した。そのまま根元から擦り上げられて、急に湧き上がる射精感。
 自らの切羽詰った欲望を意識してしまうと、今まで必死で考えていた事なんてどうでもよくなって、それだけが頭の中を支配する。

「な、かじ…!もぅ…っ…出そ…ッ」

 とくとくと溢れる先走りが、中心に絡みついた手を汚してずるりと滑らせ、堪らずに上擦った声で限界を訴えた。
 懇願に、満足そうに口の両端を持ち上げるナカジ。眼鏡越しの黒い瞳に確かな情欲が宿っているのを見つけて、タローの熱が上がる。

「浴衣汚すなよ?」
「ぅぁ、ぁ!だ、っ…だめ…ぇ!出ちゃ……ひゃぐ、ぅ…!!」

 今更とも思える言葉と同時に、先端を集中的に攻められた。指の腹で執拗に擦られて、意識がちかちかと明滅する。
 それでも何とか、一番高い声を自分の手で遮って、タローはナカジの手のひらに白濁を吐き出した。

「ッは…は…はぁ……っ…!」

 何とか浴衣を汚す事態は避けられたものの、粘着質なソレはナカジの手から今にもどろどろと溢れそうになっている。零してしまっては、結果は変わらない。

「―――多い、な」

 ぽつりと呟いて、ナカジはタローの吐き出した欲望でしとどに濡れる自らの手に躊躇いもなく舌を這わせた。

「っっ―――!!」

 一部始終を目撃してしまったタローは、内心、絶叫したかった。
 夜宮の橙色の灯りはここからでは遠く、あたりは薄い闇が満ちている。
 その闇に、ぼうと浮かび上がるような、すうと溶けていくような、ナカジの白い肌。濃い色の浴衣に包まれたその白い肌でできた顔の、薄い唇から伸びる、赤い舌。赤い舌が舐めとっていく、自分の吐き出した白濁。
 顔と、たった今欲を吐き出したばかりの下半身に、再び熱が集まっていくのをタローは感じた。

「こんなもんでいいか」

 何が、と聞き返す暇はなかった。

「ひ、」

 ナカジのいまだ汚れたままの手がタローの後ろに回されて、つぷ、と指が侵入してくる。浴衣が汚れないように、零れないくらいの量だけ残して舐め取ったのだという事には、頭が回らない。
 余裕なんか、与えられない。

「っ、ぅく…ぁ、ふ…ぅッ!」

 指はすぐに増やされて、ぐちぐちと卑猥な音がタローの身体の内外から聞こえだす。そこから引き摺りだされるのは、誤魔化しようもない快楽だ。
 何とか自分の口を手で押さえる事は忘れずにいるが、ただでさえ息が上がっているのにそれが酸素不足を進行させて、タローの目元には涙が滲む。

「もう、いいか」

 口を閉じる事も満足にできなくなって、口端から唾液が零れているのに拭うのも意識できなくなった頃、ようやくナカジの指はタローの中から引き抜かれた。

「っは……な、かじ…」

 散々慣らされて、ひくひくと疼いている。期待、してしまう。
 これから、指なんかよりもっともっと熱いモノが入ってくる。こうなってしまったら欲せずにはいられない。
 タローは無意識に衝撃に備えて息を整えた。
 が、そこにとでもない言葉が振ってきた。

「上に乗れ、タロー」
「……えぇっ!?」

 なんだって。
 あまりの言葉に、タローは意味を掴みかねて素っ頓狂な声をあげてナカジを見上げた。見上げると、ナカジはこういう時限定の、とても悪戯で色を含んだ笑みを浮かべる。
 上に乗れ、ですと?
 それは、つまり、その。

「上に乗って、自分で入れて、自分で動け。騎上位だ」

 混乱はナカジによって非常に解りやすく解説された。
 この人物に、執着心とか慎みとかデリカシーとかオブラートに包んだ表現とか、とにかくそいう類のものはないのか。

「ちょ…ちょっ…待ってよ!な、なんで…」

 あまりといえばあまりな展開に、タローは酷く狼狽する。しかし、そのあまりな発言をしたナカジの方は冷静に諭すように、けれど同時に、明らかにからかうように言う。

「考えてみろ、ここは外だぞ?普段通りお前を下にしてやったら、相当背中が痛いと思うが?第一、浴衣も汚れる」
「ぅ…」

 それは、そうかもしれない、とタローは思ってしまった。幸いというか罰当たりというか、神社の裏手である為下は木板なのだが当然硬いし、野外で風雨にさらされているゆえ表面はザラザラしていて、あまり綺麗ともいえない。
 付け加えるなら、この手の言い合い及び屁理屈の応酬でタローがナカジに勝ったためしも、ない。

「わ…解った……の、る…」

 結局、渋々ながら同意してしまった。ここまできてお預けなど、思考よりも身体の方が納得してくれない。
 了承の返事を聞いた時のナカジの満足げな笑みからは顔を背けて、タローは膝立ちになりギクシャクと腰の辺りに跨った。
 おずおずと浴衣の合わせから下肢へと手を入れ、硬く膨張した熱に触れる。
 これから自分がしようとしている事を思うと、指先が触れただけで顔へ血が上るが、タローは意を決して静かに脈打つそれを、下着の中からずるりと引っ張り出した。

「っ、…」
「どうした、欲しいんじゃないのか」
「ぅ〜…解ってる、よ……ぃ、いれるよ…」

 視界に入ったそそりたつモノに一度息を呑むと、ナカジが戯れのように後に触れて急かしてきた。
 ぐ、と掴んで先端を自ら入り口に宛がう。濡れた感触、伝わる熱。

「はぁ……ぅ、く…!」

 深く息を吸って、片手をナカジの肩口に置いてつかまり、ゆっくりと腰を沈める。
 入ってくる。じくじくと疼いていた肉を掻き分けて、圧倒的な熱が。
 解けてしまうんじゃないかと錯覚しそうなその熱は、タローが体重をかけた分だけ、奥へ奥へと入ってきて、内側を犯していく。

「ぁ、あ…!ひぅ、…うぅっ…!」

 堪らず、両手でナカジにしがみ付いてタローは鳴いた。
 漸く全てを内に収めると、ぶるりと腰を震わせる。滲んだ視界の先、すぐ近くで、ナカジが少し辛そうに眉間に皺を寄せていた。

「なか、じ…っ」

 繋がる事で常より遥かに縮んだ距離に、急に口付けをしたくなってタローが顔を寄せると、触れる直前、ナカジは眉間に皺をつくったままでたった一言、言った。

「重い」



―――いくらなんでも、この場面でそれはないだろ!



 と、タローは思ったとか思わなかったとか。
 どちらにしても、この後散々自ら動くことを強要され、下からも突き上げられ、タローは野外でナカジを襲おうとした事を甚く後悔する事になったのだった。
No.39 - 2006/08/28(Mon) 04:00:40
……長っ! / 石凪
あまりの長さに、途中挫けそうになりました。

そんな訳で、本当にお待たせしてしまってすみません。
りんご飴後半戦エロ・浴衣仕様にございます。
誰だー翌日あげるとか言ってたの。…ゴメンナサイ。返す言葉もございません。

つか……長いよ…長すぎるよ…無駄に長すぎるよ…
もう、あまりの長さに、本とかにするべきなんじゃないかと本気で考えた。

どうでもいいけど、騎上位って言うか、対面座位、だよね。(ホントどうでもいい
No.40 - 2006/08/28(Mon) 04:08:32
ナカタロ祭 / 石凪
【屈する瞬間】



 その瞬間は、とてもドキドキする。


「ナカジ、えっちしよっか」

 壁に背中をくっつけて座り込んだまま、俺はいつもと同じように、単純明快にそう言ってナカジを誘った。

「忙しい」

 が、クーラーの効いた俺の部屋のガラステーブルに向かって何か書き物をしてるナカジは、俺には視線も寄こさずにすっぱりと断ってくれちゃった。
 愛がなさ過ぎる!

「しようよー」

 今日こそは俺がナカジを攻めるんだから。

「しない。暑いから」

 机の上に乗ってる左手を軽く引きながら言ってみても、まるでつれない。
 っていうか、さっきは忙しいって言ったくせに!理由変わってる!

「クーラー効いてるじゃん」
「したら暑くなるだろうが」
「ぅ」

 それは、否定できない。
 でも、今が夏で暑いからこそ、こういう涼しいクーラーの効いた部屋とかでないと、大好きなナカジとずっとくっついてもいられない。
 それにどうせくっつくなら、ついでに気持ちイイ事したいと思うのは当然だ。
 なんてったって俺たちお年頃!

「あっつくなって汗かいたらさ、一緒にお風呂はいろ?だから、しよ」

 口じゃあ勝てっこないのは解ってるし、じれったくなって、俺は掴んだままだったナカジの左手を力任せに引っ張った。

「っ…!」

 ナカジは身長も体重も腕力だって俺よりないから、簡単に体勢を崩して俺の方に倒れてくる。がつ、ってナカジの足がテーブルに当たった音がしたけど、無視。
 ここで畳み掛けて主導権とらないと、今日も俺はナカジを攻められない!

「ん…」

 不恰好に俺の腕に納まってるナカジの唇に、自分の唇を押し付ける。ぺろっと舌を出して、すぐに差し込んで、べろりと歯列を舐めた。そのまま舌に舌で触れると、独特の感触となんだか甘い味。
噛み付いてるみたいって言うか、がっついてるみたいって言うか、余裕がない感じ。
 そりゃあ、余裕なんかない。気を抜いたら形勢はすぐ逆転するんだ。

「ぅ…っんぅ!?」

 もっと、って思って舌を伸ばしたら、あっという間に絡めとられた。
ぐちゅっていやらしい音が口の中からして、それに気を取られてる隙に角度を変えられて、俺から仕掛けたはずのキスは勝手にどんどん深くなってく。
 ザラザラした舌の表面同士が擦りあわされて、裏側を舐め上げられて、背筋がゾクゾクしてきて力が抜ける。息も上手く吸えない。
 ぅあぁあぁ…まずい、まずい…!これじゃあナカジのペースだ。
 まずいんだけど、ナカジのペースなんだけど、でも結局は気持ちよくて拒否できなくて俺はいつもそのまま流される。
 …駄目じゃん俺!

「ンく、…っ…む…ぷはっ!ッは…はぁ…ちょっ、ナカジのバカ!息できな…って、あれ…?」

 やっと口を開放されて思いっきり空気を吸い込んで、文句を言おうとした俺は、抱きこんでたはずのナカジを見上げていた。
 ナカジの左手を握ってたはずの俺の右手も、逆に手首を取られて壁に押さえつけられちゃってる。俺の方が力があるはずなのに、何でか、びくともしない。
 …あれ。おかしい。
 気付かなかったぞ、一体いつの間に。

「莫迦とは何だ、本物の莫迦」
「ひでぇ!」

 少しばかり俺よりも上の目線で、にやりと笑うナカジ。一度逃げて形勢逆転!とかしたいんだけど、後ろが壁で前にはナカジがいて顔の横に手をつかれてて、どこにも逃げ出す隙間がない。
 っていうか、今気付いたんだけど、今日は壁を背にしてるから押し倒されない!とか思ったのって間違いじゃん!自分から逃げ場塞いでるじゃん俺!

「さて、」

 さっきまで俺の口の中を掻きまわしてた赤い舌で、ペロリと唇を舐めながら。ナカジが意味ありげにそう言うのを見て、無意識に喉がひくん、と鳴った。
 いっつも思うけど、ナカジのその仕種は凄く、エロい。

「お前の望み通り、俺はその気になったわけだが」
「ぅ…」

 その上、低い声で言われたら、なんていうか、その。
まずい俺、ちょっとその気になっちゃってる。ナカジになら襲われてもまぁいっかなーとか、思いはじめちゃってる。
 負けるな俺!頑張れ俺!
 蹴って逃げようか、と思うけど、お互いの距離が近すぎてそれも無理っぽい。押さえつけられてる腕は、相変わらず上手く力が入らなくて動かない。
 どうにか状況を打開しようとしてる俺を少しの間楽しそうに見てたナカジは、くつくつ笑ってやっぱり楽しそうに、言った。その笑い方は、なんか獲物を前にした狼みたいだ。

「勿論、責任は取ってくれるんだよなぁ?」

 言いながら、右手で眼鏡を外して背後のテーブルへ。

「うぅ…っ」

 ナカジが眼鏡を外す瞬間、俺はいつもドキドキする。
 だって、こういう時、ナカジが眼鏡を外すのは本気になったっていう合図だ。

 もう逃がさない。覚悟しろよ。

 そんなふうに、ガラス越しじゃなくなった眼が確かな欲みたいなものを孕んで、俺に言い聞かせてくる。
 そうなったらもう、俺は逃げられないし抵抗できない。
 白旗降参。



 こうして結局、今日も俺はナカジにおいしく頂かれてしまうのだった。


 ―――今に見てろよ!
No.35 - 2006/08/22(Tue) 00:59:33
長い割には / 石凪
ちゅうしかしてねぇ!
裏っぽい要素が見あたらねぇ!!

間開きまくったのにこれか!

…次こそはエロを。
No.36 - 2006/08/22(Tue) 01:06:36
ナカタロ祭・その弐 / 石凪
【無粋な邪魔者】


 手錠が邪魔だ。

「ひぁっ…ぅ、あ…っぁ…!」

 俺が突き上げるたびに、タローが身じろぎをする度に、ちゃらちゃらと音を立てる鎖。
 現在タローの両手を拘束している金属製のそれは、元はといえばどうしても俺に勝ちたいと日ごろ連呼するタロー本人が、俺の両手を拘束する為に持ち込んだものだ。
 さすがに両手の自由を奪ってしまえば、自分が勝てるだろう、と。
 まぁ、確かに勝てるだろうな。ただし、俺に手錠をかける事ができれば、だが。
 手錠をかける事ができるかどうかがまず問題だ、ということに、何故この莫迦は気付かないのだろう。
 だからこそ、からかいがいがあるのだが。
 結局その野望は俺によってあっけなく砕かれ、逆に手錠を用意した本人がかけられてしまっている。
が。
 なんと言うか、邪魔なのだ。

「ぅ、く…ぅう…っ!ぁぅ!」
「おい、口塞ぐな」

 タローの方も、両手首が繋がっていたのでは俺の背に腕を回すこともままならず、どことなく手持ち無沙汰のようで。やり場のない手で口元を押さえようとするのを、手錠ごと掴んで引き剥がした。
 俺の方にしたって体勢を変えるにしてもなんにしても無粋な金属の事を考慮せねばならず、どうも面白くない。
 どうにも、相手側の行動を制限する以上にこちら側の行動を制限されているような。

「…外すか…」

 顔を寄せて舌と舌を触れ合わせようとすると、身体の間にタローの腕と手錠とが挟まって距離をゼロにできないのが腹立たしい。
ので、外す事を決意する。別に手錠プレイに拘りがあるわけじゃあるまいし。
 が、問題が一つ。タローの奴め、何を無駄に拘ったのかこの手錠、ご丁寧に鍵がないと外せないタイプなのだ。
 一旦動くのをやめ、タローの昂りを片手で軽く弄ってやりながら。鍵をどこに放ったかと辺りを見回せば、それは生憎剥いて散らかしたタローの服と一緒に奴の頭上、少し遠くの畳の上。

「ちっ…」
「ひっ…!?ちょっ…な、かじっ!…深、ぃ…っ!」

 どうにか届かないかと上体と手を伸ばしてみるが、あと少しのところで届かない。それどころか、その動きのせいで繋がったままの俺のモノが奥まで入り込んで、タローが鳴き声をあげて締め付けてくる。
 くそ、今煽るんじゃねぇ。先に手錠を外させろ。
 とは言っても、鍵をとる為にここで一度抜いたりするのは余りに興醒めだ。
 …仕方ない。

「おい、タロー」
「はっ…、ぅく…な、に…?」
「手っ取り早く、一度イくぞ」
「ふぇ…?って…まっ…ぅあ、ぁあ!そんっ、な…ぃきな…り…っ!ひゃぅ、ぁ…ぁぁ…っ!!」



 そして邪魔者を外して、仕切り直しといこうじゃないか。
No.33 - 2006/08/08(Tue) 16:01:26
お約束な感じに / 石凪
手錠ネタですよ奥さん。

普通なら、「手錠で拘束、自由が利かなくてドキドキ☆」な展開なはずなのに、うちのナカタロでやるとこうなるらしい。
しかも、用意したのは受けの方ときたもんだ。

最近どうも、1作1作が長い気がするよ。
…表文より、裏文のほうが多いし長いって、どうなのよ。

祭り中に書きたいナカタロ。(更新予定ではなく、あくまで希望)
・騎上位
・目隠し
・淫乱タロ
No.34 - 2006/08/08(Tue) 16:11:44
ナカタロ祭・その壱 / 石凪
【悪魔の無理難題】




「タロー、言わなくても解ってるとは思うが」
「っひ、ぅ…?」

 突然そんな事言われたって、勿論今の状況で解るわけない。
 今の、俺の状況。
 場所は俺の部屋。クーラーがあって涼しいはずなのに、俺の息も体温もさっきから上がりっぱなしだ。
 主原因、俺の下腹部に顔をやっているナカジ。
「は、っぁ…!ちょ……ぅぁっ」
 訪ねたくても、声はろくに言葉になりゃあしない。
 着てたはずのTシャツもハーフパンツもとっくに脱がされちゃってて、脱がした本人は俺の中心に丁寧に舌を這わせてる。
 おまけに、後ろにまでナカジの指が二本くらい埋められていたりして。

 この状況で、一体全体何を解れと!

 解ってんのは今日も押し倒したつもりが、結局ナカジに犯されてるって事くらいだ。
 それなのに、俺が頭が働かなくて困ってるって言うのに、その原因であるナカジはすっごく楽しそうに、にやりと笑った。

「今イって眼鏡汚したら、お仕置き、な」

 なんですと。
 このムッツリめ!
絶対、執拗にじわじわ攻められて俺がそろそろ限界だって知ってて、そういう事言ってるんだ。
「こ、の――っふ、ぁ…ぅく…!」
 反論しようとしたら後ろの指でナカを突かれて、声がひっくり返った。よくわかんないけど急に恥ずかしくなって、慌てて口を自分の手で塞ぐ。
手で塞ぐ事はできても、息をするのに忙しくて口を閉じられない。情けない喘ぎが漏れて、それがまた恥ずかしくなる。
 そんな俺を見て、ナカジがまた笑う。
楽しそうで腹が立ったから睨んでおいたけど、目に涙が溜まってるから迫力不足に違いない。
「つっても、お前は何しても悦ぶしな…どんな罰がいい?」
 聞くな!っていうか、まるで俺が変態みたいに言うな!悦んでないし!
 あと、舐めながら言うのもやめろ!何か、もう、えっちぃし舐められてるしで心臓持たないから!
「あぁ…このままほっとく、とかどうだ?」
「ひゃあ…っ!ぁ、あ…!」
 不自然なくらい生々しい音と一緒に、やわらかくてあったかい口内に含まれた。目の前がちかちかして頭の中が白く霞む。あと、後ろとか、色々熱い。
 ああもう、言葉に驚いたんだかナカジに吸われた事に驚いたんだか、自分でもさっぱりだ。
 ていうか、この状況でそういう事を言うのは物凄く卑怯じゃないのか。舌絡めてくるし。
 って、まずいって!マジで!

「ゃっ…ぅ、あ!だ、だめ…っぃ…ィ、ちゃ……ぁぅっ、ぁあ…!!」

 シーツ握り締めて一生懸命我慢したけど、そんなの結局無駄だった。
 ぐちりと後ろの方から音がして、じゅるりと先っぽの方吸われて、それで我慢しろなんて理不尽過ぎる。
「っ、ん…」
「ぅ…っは、…はぁ…は……ぁ、…ぅあぁああ…」
 ふと気がついた時には、思いっきりナカジの口の中に出しちゃった後。
 ぅあああぁあぁ…やっちゃった…!
 やけにゆっくり俺のからナカジの顔が離れてって、後ろに埋まってた指も引き抜かれて、その喉がこくんって動くのを見てしまって、恥ずかしいやら恐ろしいやら訳わかんないまま汗だくになる。
 眼鏡は汚さなかった。眼鏡は汚さなかったよ。けど。
 これはこれでまずくないか…!
「眼鏡は、汚さなかったな」
 そんなニヤニヤしながら言われなくっても解ってる。やっぱり、何か、まずい。
 唇を舐めるみたいにした時チラッと見えたナカジの舌が、微かに白い。
「だっ…だって、ナカジがあんな……っふ、んぅ!」
 文句を言い切る前に強引に口付けられた。舌が絡められて、口の中にじんわり広がる独特の臭い。
 ぅへぁ…!自分のの味なんか知りたくないよ!
 顔が離れて、やっぱりナカジはいつもの悪そうな楽しそうな顔。
 ―――最近わかってきたんだけど、その顔を見てしまった時の俺はかなりの高確率で大変な目に合う。
 当然今日も、案の定。

「眼鏡は汚さなかった。が、だからと言って口の中に出していい、とは言ってねぇよな。―――さて、どうしてくれようか」



 悪魔だ。
 むっつりスケベな悪魔がいる。
No.31 - 2006/08/02(Wed) 23:30:29
やっとこさ祭一作目。 / 石凪
相方に出遅れすぎな感が否めません。
石凪でっす☆(誤魔化せてない誤魔化せてない)

我が家のナカタロでは、ナカジがムッツリ助平の策士。悪魔の笑みでたろんをやり込めます。食います。
にやにやしながら楽しそうに食らいます。
って言うか、結構がっついてます。かなりがっついてます。よ。

もう、いっつもこんなんばっかり浮かんでくるんですが、どうしましょう。
楽しいけどな!

さて。
手錠とか、目隠しとか、書くべきなのかな。
No.32 - 2006/08/02(Wed) 23:43:14
傍観が渦巻く10のお題 / 石凪
10.だって君の体はもう動かないじゃないか




 ほらみろ、何も言わなくても全部肯定してる。



 好きになられるのは嫌い?
 誰にも認められなくても平気?
 自分ひとりで立っていられる?
 ナカジひとりで存在できてるって思ってる?

 俺を否定したい?

 俺に好きって言われるのは嫌?
 俺に抱かれるのはもっと嫌?
 こうやって俺の身体の下で鳴いてるのは嫌?
 やめて欲しい?

 逃げ出したい?




 うそつき。

 本当は好きになって欲しいくせに。
 認められたいくせに。
 でもそしたら、きっといつか失望されるんじゃないかって思ってるんだ。
 いつか期待に応えられなくなるんじゃないかって怖がってるんだよ。
 それで、愛想つかされたりするんじゃないかって。

 弱虫。意地っ張り。

 もしかしてさ、今も本気で拒んだら嫌われるかもーとか考えてんの?
 最低だね。
 そんなに俺に嫌われたくないならさ、もっと足開いて大声で鳴いてよ。

 ―――嫌なら嫌だって言えよ。
 暴れて俺殴って本気の抵抗しろよ。



 どうせやめてあげないからさ。





 ほらみろ。
 ちっとも否定してるようになんか見えない。


 だって、ナカジの身体はもう動かないで俺を受け入れてる。
No.29 - 2006/06/27(Tue) 23:24:00
ラストー / 石凪
そんなわけで、長々ずるずるやってたお題もやっと最後です。
たった10題だというのに。


最後は、最後なので、あっさりめに(意味不明)

特に何も言う事はない気がする。
きっと、気がするだけ。
説明不足はいつもたくさん。


そして、毎度毎度一ヶ月放置申し訳ない。
そして、どんどこ回るカウンターが怖くてしかない。
気がついたら二千オーバー…


これから、少しでも皆様の欲望を満たせるようなものが書けるようがんがります。
No.30 - 2006/06/28(Wed) 00:01:07
諦観が渦巻く10のお題 / 石凪
9.腐りきった林檎



 掴んだ指先ごと、引き寄せた腕ごと、抱きこんだ身体ごと。
 その薄い皮膚の下へ、ずぶずぶと沈んでしまうような気がした。
 ずぶずぶと沈みこんでしまった方が、いっそ楽なような気がした。
 沈みこんで混ざって解らなくなってひとつになって、ぐちゃりと潰れて腐臭を放つ。

 まるで、腐った林檎みたいに。




「っ、は…ぁぅ…ナ、カジ、ナカジ…!」
 微かに卑猥な水音がして、かなりの熱を持った俺の中心はじくじくと埋まっていき、タローが少しだけ辛そうに眉を寄せて、ちゃんと息すればもう少し楽になるだろうってのに、呼吸よりも必死で俺の名前を呼んだ。
 震えた指先が背に回されて、身につけたままだった薄いシャツを掴む。繊維が、不揃いに切られた爪に引っ掛かって、ぎちりと鳴いたような気がした。
 ああ、脱いでおくんだった。
 そうしたらもしかしたら、タローの爪は俺の背中に食い込んで、そこから腐った果実に指が沈み込んでいくみたいにぐずぐずと溶け合えたかもしれない。

 もしかしたら、の話。




 今まで晒すを恐れていた己の抱えている全てを、お互いに吐き出して分け合った。
 連太郎という個人を確かに構成している、凝った傷痕のような部分と、中嶋正道という個人を確かに構成している、抉った傷痕のような部分を。
 それを隠そうとして何度となく衝突して、何度となく傷付け合ったのに。
 眼の前に晒されたその傷痕のような部分を、愛おしいと思ってしまった。
 吐き出して、分け合って、食らってしまって、その醜い部分まで俺のモノになってしまったし、タローのモノになってしまった。
 これで、もう何もない。
 進展したとか、そういう話ではない。
 お互いの全てを手に入れたような気がして、立ち止まって、堕ちていく。
 折角手に入れたものを、もう一度吐き出して零してしまったりしないように、内側に留めておくように、全部を止めて己を腐らせて。

 堕ちている。




「なか、じぃっ…もっ、と…っン、ふぅ…!」
 俺を見上げて、陶然と強請る言葉を音にする、その唇を貪った。お互いの口の中で響くいやらしい唾液の音に、内側から聴覚が犯される。
 甘く甘く、それでも何処か退廃的な匂いのするような。
 俺かタローの、ともしたら2人ともが内包している腐臭なのかもしれないと思った。
 
 それはきっと、晒して飲み込んだ傷痕の辺りから。




 腐りきった林檎の、薄い皮の表面をなぞる。
 ぶよぶよとおかしな手ごたえがして、少しでも力加減を間違えれば指先爪先は、ぎりぎりで張られていた境界の下へ潜り込む。
 腐汁が溢れて腐臭が溢れて、全部全部駄目になる。
 それでももっと、と奥を求めて指先で抉れば、きっとどこまでも飲み込まれて消える。
 腐りきった林檎同士ならば、

 潰れて混ざってひとつになれる。




「っひ、ぁ…あ、ぁ…!!」
 切れ切れで高い声を聞きながら、その奥を必死で犯しながら、その奥に汚らしいただの欲を吐き出しながら。
 この身体にタローが沈んでいって、この身体に俺が沈んでいく妄想をした。
 ぐずぐず、ずぶずぶ、ぐちゃりと潰れて形も定かじゃあなくなって。
 腐臭を放っていつか蒸発して消えても、ひとつになれると言うなら悪くない気がしたのだ。

 馬鹿馬鹿しい幻想。









 いっそ駄目になってしまおうか。
 ふたり揃ってこの世の藻屑。
 きっとしあわせになれるよ。
 だって、もう境界はない。


 腐りきった林檎みたいに。
No.27 - 2006/05/18(Thu) 23:55:59
ぎりぎり / 石凪
何がって、勝手に相方から言い渡された提出期限。
5分前。

…いや、ごめん。
ホントは昨日だった。
でも昨日はPCにありつけたのが日付変更30分前だった。無理だった!(威張るな)


そんなわけで、やっとお題の9まできました。
ナカタロです。ナカタロなんです。

内容については…触れないでおいた方がいいですか。そうですか。
えーと、エロ?グロ?エグ?(それすらも判然としないってどうなの)
とりあえず、相変わらず一般ウケしないものばかり書いてる自覚はあります。

直す気は、ありません。
No.28 - 2006/05/19(Fri) 00:04:49
傍観が渦巻く10のお題 / 石凪
8.目覚めるのはまだ先のようだね



「っひぐ…ぅあ、ぁあ…!」
「まったく、我が弟ながら酷い顔だねぇ…正道?」

 行為も序盤であれば盛大に反応したであろう嘲りの言葉も、今じゃ半分とまともに聞こえちゃいないだろう。
 ただ、組み敷かれて好き勝手に揺さ振られながら。
だらしなく口を半開きにしてひゅうひゅうと息を吸い、あられもない嬌声と共に吐き出して。
 涙やら精液やらで顔をべとべとに汚して、その瞳は焦点をなくして宙をさ迷い。
 今この時の快楽以外、何も考えられなくなっている。

 堕ちた身体と堕ちた魂。

「ふっ、ひゃ…ァ!も…むりぃ…っ」
 その手がぐずぐずと仲路の服に縋りついて、限界を訴えかける。もう、これが何度目になるのかも覚えていないに違いない。

「そういう時は、なんて言って強請るんだったかな?」
 少々息苦しくなる程度の力で首を押さえつけ、顔を寄せて覗き込むように言えば、ひくん、と正道の喉が鳴った。
 ただ単に息苦しさに鳴ったのかもしれないし、蟻の触角ほどに残った理性が、堕ちた懇願を拒絶したのかもしれない。
 どちらにしても同じ事だが。

「ぉに、ちゃ…ぃ…っイかせ…て、ぇ…!」

 どうせ、快楽で溶けた脳味噌は、迷う事もしないで浅ましく情けなく懇願するのだから。

「はっ!誰がお兄ちゃんだよ、他人のくせに。自分が気持ちよくなるためなら、言われた通りに真っ赤な他人お兄ちゃん呼ばわりなんざ、随分淫乱になったもんだよなぁ」
 普段ならば、他人である事を強調してくる当人が、己の快楽の為だけに自分を兄と呼ぶ姿を鼻で笑って。
 仲路は組み敷いた身体を一際激しく突き上げてやる。
「ひっ、ァ!!ぁ…ぅあ、あっ…ぁぅ…っ!!」
 ぼやけた像しか結んでいないであろう眼を見開いて、びくびくと身体を跳ねさせて、高く掠れた声をあげて、自らの腹の上に僅かな白濁を吐き出して。
「あーあ、もうイっちゃったか」

 とうとうそのまま意識を手放してしまった身体の、何の反応も返さなくなってしまった奥を何度か突いて、決まり事のように中に注ぎ込んだ。
 ずるりと引き抜けば、ソレはすっかり慣らされたソコから溢れてくる。
「はしたない格好だなぁ、正道ってば」
 言葉とはまるで裏腹に楽しげな口調、皮肉げにもち上がる口角。聞こえていないと分かっていても、忍び笑いは漏れてしまう。
 当然、いつも通り顔を拭う事も身体を清めてやる事もせずに、どろどろに汚れたまま直接畳の上に放置して。

 ふと思いついて仲路は、半ば自分のトレードマークとなってしまっている赤いマフラーを外した。
 見れば、無理矢理正道を上にしていた時に、奴が出したモノがべっとりとこびりついている。それはまだ、必死で無駄な抵抗を示していた序盤の事だったから、本人も覚えている筈だ。
 目を覚まして一番にこれを見たなら、さぞ嫌がるだろう。

 親切に意識のないその顔の横に赤いマフラーを置いて、勝手に弟呼ばわりをしている人物が目を覚ました際の反応を想像しながら、鼻歌でも歌いそうな上機嫌でこの狭い部屋の出口へと向かった。

 古い扉を開ける前に一度振り返ると、相変わらず意識を失ったまま投げ出された、白く薄い、卑猥に穢れた身体。



 あぁ、目覚めるのはまだ先のようだ。
No.25 - 2006/05/13(Sat) 01:30:12
石凪サイドの裏の更新が / 石凪
結局月一ペースな件について。


……

そんなわけでナカナカです。
マイブームです。
弟の意識がぶっ飛ぶまで抱き潰すお兄ちゃん最高。
もっと正道君を虐めてしまえ。

このお題を始めた当初はお題の8は何でやればいいんだろう…とか思ってましたけど、ナカナカがはまり役でした。

お兄ちゃんは最強だったという話。


余談だけど、えろいちゅー見るとえろいちゅー書きたくなりませんか。そんなのは私だけですかそうですか。

…いたいエロが書きたいかもしれない。サドマゾな(誰か止めろ)
No.26 - 2006/05/13(Sat) 01:36:01
傍観が渦巻く10のお題 / 石凪垣田
7.苛立ってしまう



 その黒い双眸は、何者にも何事にも屈しないと言っていた。
 あるいは何者も何事も下らないと言っていた。
 そいつは自分以外の全てを、もしかしたら自分を含めた全てを、否定して拒絶して卑下して見下して切り捨てて、見切っているみたいだった。
 俺が、どんな感情を抱いて彼に接しても何ひとつ揺るがない、何ひとつ変わらない。
 そんな雰囲気が漂っていた。
 それが無性に、

 苛ついた。


 授業中、彼の姿が見えないことに気がついて、適当な事を言って教室を抜け出した。別に探すつもりではなかった。
 ただ、彼のいない教室に、俺は興味も関心も抱かない。
 そして屋上で、その姿を偶然にも見つけた。
「ナカジー、なっかじまくーん」
 いる事をまったく予想していないわけではなかったから、驚きは特にない。けれど、扉が軋みながら開く音にも、俺の声にも、ちらりと視線を寄こしただけで、大して反応しない所が腹が立つ。
 俺がお前に影響しない?まさか。
 無造作に距離を縮めて、無造作に右腕を振りかぶった。
「返事くらい、しようよナカジ」
 ばきっ、という鈍い音の一瞬後、がしゃりとナカジの身体がフェンスにぶつかる音。
「つ、っ…」
 殴られた左頬を押さえて、眼鏡越しにぎらりと刺さりそうな視線で睨んでくる。
 ざまあみろ。
「無視してんじゃねぇよ」
 胸倉を掴んでやろうと腕を伸ばした時、視界の端っこで何かが動いた。それがナカジの足だと気付くよりも、まずいと思って身を引くよりも早く、今度は俺の腹の辺りで鈍い音と衝撃が響いて、蹴り飛ばされた。
「ってぇ…何、すんだよ」
 下はコンクリートが打ちっぱなしで、とっさについた手はざらりと擦り剥けてびりびりする。
「人を振り向かせるのに一々殴りかかってくる莫迦に、それなりの返事をしただけだ」
 尻餅をついた俺を見下ろすその顔は、無表情とは程遠くて酷く不機嫌そう。口の端に血が滲んでいて、時々痛そうに顔を歪める。
 俺のせいで、俺の為に、歪む、顔。
「ナカジが無視すっからだろ。―――見下げないでくんない?自分より背ぇ低い奴に上から見下ろされるってすっげぇ」
「黙れ」
 むかつく、と続けるより先に。
 立ち上がろうとしていたところをもう一度蹴られた。今度は上手く受身を取り損ねて、右肘がコンクリートに当たってごつりと骨に響く。
「そのへらへらと締りのない口を今すぐ閉じろ。不愉快だ」
 気が合うな。お互い様だろ。
 転がった体制のまま、足元を蹴りつけた。ぐらりと傾いだ隙に出来るだけすばやく起き上がると、蹴られた所がずきりと痛んだが、無視。お返しのつもりで腹を蹴ってやれば、その見るからに細い身体は案外軽く吹っ飛んで、ナカジは再びフェンスに背中を打ちつけた。
 今度こそ、胸倉を掴んで無理矢理視線を合わせる。
 至近距離で向けられる、酷く剣呑な視線。引き込まれそうな、黒曜石の瞳。
 引き込まれそうな?冗談だろ、俺。
「―――むかつく」
 どうしようもなく苛々して、突然思考がぐちゃりと絡まって、気がついたらその薄い唇に自分の唇を押し付けていた。
 少しかさついていて、女の子に比べれば弾力に乏しくて、けれどそれは確かに知っている独特の感触で。どうしてこんな事をしているのか、自分でも全然訳わかんないまま、俺は微かにナカジの唇を舐める。
 今まで事態についていけずただ固まっていた身体がびくりと跳ねて、間近にあるその眼が驚愕に見開かれるのを見た。
 何故か、酷く気分がよくなった。
 調子付いて、舌をその口内へぬるりと滑りこませると、ナカジの唾液は甘く感じられた。ああでも、他人の唾液は大概甘く感じるものだから、そこにきっと他意はない。
 ナカジの舌を探るように口の中を舐めれば、そこでようやく忘れていたらしい抵抗があった。俺の肩口に両手が突っ張られて、必死で引き剥がそうとしてるけど、単純な力比べならこっちに分がある筈で。
 フェンスのせいで後ろに下がる事も出来ない彼を、逃げられない獲物を、いたぶっているような。
「っ!?…い、っつぅ…」
 がり、と口の中で音がして、俺は舌と唇を一緒くたに噛まれた。間髪置かずにめ一杯の力で殴り飛ばされる。再び尻餅をついて、口元を拭った左手に真っ赤な鮮血。ずきずきする。
「ふざけるのも大概にしろ!!この、変態野郎!!!」
 上から降ってくる、息を荒げた罵声。激怒して感情が高ぶったせいか、血が上って赤くなった顔、俺の血が赤く汚した口元。
 今、目の前の彼を支配しているのは、平素の彼からは考えられない程の、ただ俺だけに向けられた、激情。
 気分がいい。
 さっきまでのぐちゃぐちゃとした訳のわからない感情は大半が霧散して、相手とはまるで逆に頭のどこかが冷静になっている。いや、これは冷静になってるとは言わない。
 これはきっと、狂気の類だ。
 気付いていながら、それでも自然、口元が笑みの形に歪むのを止められなかった。
「これくらいでぎゃーぎゃー騒ぐなよ、これだから童貞は」
 わざと小馬鹿にしたように言えば、その瞳にはほら、もう俺しか映らない。
 なんて、気分がいい。




 苛々する。

 お前の眼に、俺が映っていないのかと思うと。
 お前の存在に、俺が影響しないのかと思うと。
 お前の中に、俺がいないのかと思うと。
 ふざけるな、こっちだけを見ていろ。


 ああ、これではまるで。


 まるで、恋のようじゃないか。
 実に馬鹿馬鹿しい。
No.22 - 2006/04/12(Wed) 00:42:21
一ヶ月以上の放置 / 石凪垣田
まことに申し訳ありませ…
そして、やっとあげたと思ったらこんなのですみませ…
なんていうか、ある意味ちょうマニア向けというか。

目指したのは攻×攻です☆(☆じゃねぇよ)

ずっと書く機会を狙っていたものの一つ。
…あれ、でも、何か、ナカジの攻具合足りなくないか?
攻×攻か?これ。

…直さないぞ。直そうとしたら全部のバランス崩れるから(崩れるも何も、元からバランスなんてものは成立していない)

あ、あくまでもこの2人の間に愛はあるんですよ。きっと。
ただ少々歪んでるだけで。
いや、歪んでるのは筆者の頭の中身と性格と根性ですね。これは確実。

お題あと三つ。
ナカナカやりたくなったり容ナカやりたくなったり女体化やりたくなったりしつつ、待て次号。
No.23 - 2006/04/12(Wed) 00:55:54
というか、 / 石凪垣田
更新してなくてもどんどこ回るココのカウンターが、ちょっと怖かった…

みんな!ココそんなに見るものないよ!
ココそんなにエロもないよ!
No.24 - 2006/04/12(Wed) 00:58:11
傍観が渦巻く10のお題 / 石凪垣田
6.使い古した頭脳はもう動かない



 だんっ。
 靴を脱いで部屋に入った途端、タローに莫迦力で有無を言わさず壁へ押し付けられた。
「噛まないでよ」
「っぅ、む…!」
 文句を言うより早く、それこそ噛み付くように口で口を塞がれる。
 遠慮とかムードとかそんなもの初めから皆無で、捻じ込まれた舌が本当に好き勝手に口内を荒らして、ぐちゃぐちゃと頭の中で鳴る生々しい音。
「ぁは、えっろいねナカジ。実は待ってたとか?」
 俺のものか奴のものか、混ざって解らなくなった唾液で濡れた唇を舐めながら、タローは欲情して舌なめずりしてるみたいな、まるで獣の笑みを浮かべる。
 自分はただ意識なんか存在なんか関係なく搾取されてるみたいで、でも確かに背筋を寒気に似た何かが駆け上がって。
 ああ、これじゃあ欲情してるのは俺の方みたいだ。
「だ、れが!」
「嘘は駄目だよ。ほら、キスだけで感じてるじゃん」
「ひ、っ」
 無遠慮に脚を割り込ませられ、ぐい、と膝で押し上げられて、その感覚にまた情けなく喉が鳴る。
「ほらほら、硬くなってきちゃったよ」
「ぁ、ぁっ!たろ…ゃめ…!」
 やめろも何も、そんなのはいつも口先ばかりで、自由な手はタローを突き放すでもなくむしろ縋っている。
「ワイシャツのボタンってさ、ちっちゃいからこういう時じゃまでさー」
 そのボタンをぶちぶちと無遠慮に引き千切りながら言う台詞か。でも、本当は、そんな仕種にまで俺は煽られてる。
 はやく、もっと、もっと。
 乱暴でいいから突き落として。
「ココもこんなにしちゃって…もうそんなに感じちゃった?」
 ぴちゃり。
「ひゃぅっ」
 勝手に尖ってしまっていた胸の飾りの所を濡れた感触が這って、思考が途切れる。
 頭に響く水のおと。たのむから、やめろ。おかしくなりそうなんだ。だから、たのむから。
 たのむから、やめないで。
「足震えてる。でも、頑張ってもうちょっと立ってよっか」
 にこりと言われたって、そんなの、むり。
 無理なのに、タローは無遠慮にベルトを緩めてその中に手を差し込んでくる。
「ぅあ…!」
 とっくに熱を持ちはじめていた俺のソコは、難なくタローの指に捕まって、ゆるりと擦り上げられ、びくりと身体が跳ねて、口から溢れる情けない声。
「いい声ぇ…もっと聞かせてよ、我慢禁止ー」
「ひぐっ…ぃや、だっ…ぁ、あふぅ!」
 掌全部で包まれて、先端をそろりと爪でなぞられて、耳元でこういう事してる時だけ聞けるタローの低い声がして、舌で耳の裏を舐められて、形ばっかりの否定の言葉と一緒に嬌声を上げてから気がついた。
 現在の俺の住居となっているこのアパートは、古い。部屋も狭い。故に家賃も安い。
 故に、必然的に、当然の事実として、というか、つまり、壁が薄い。
「ぁ、う…たろ、だめ、っ…!」
 この壁の向うの住人は、今の時間普段部屋にいただろうか、それとも外出中だっただろうか。
 もし部屋にいるのなら、今までの声はきっとすべて筒抜けだ。そんなの、死んだ方がマシだ。
「知らないよ」
「はっ…あぁあぅっ」
 一瞬気が逸れてしまったせいで、迸る声を少しも押さえられなかった。どうしよう。どうしようもないだろう。
 駄目だ、考えろ、止めさせろ、聞こえてしまう。
「たろっ…!ゃめ、ろ…ふぁ…かべ、ぅすいから…!!」
「へぇ…で?」
 だから、何?
 ほとんど音を出さずに、俺の眼の前でタローの口がそう動いて。
 やばいやばいやばいまずいまずい絶対によくない事を考えている。
 ある種の恐怖。なのに。
 同時にぞくりと背筋を駆け上がる、圧倒的な快楽への期待。
「ぃ…いやだ!やめろっ!!」
 今逃げないと、俺はまた堕ちてしまう。
 がむしゃらに動かしていた手の爪が微かに奴の頬を引っ掻いて、俺は一瞬動きを止めてしまって、タローの瞳に捕まった。
 酷く、欲情した、こんな時にだけ見れる濁ったいろ。
 逃げられないから、俺はまた堕ちてしまう。
 逃げないから、俺はまた自ら堕ちていく。
「そんなの、ナカジが声出さなきゃ済む話じゃん。まぁ、俺は誰に聞こえたって構わないし、手加減もしないけどね?」
 残酷な言葉。
 同時に俺の中心から手が離れていって、些細な抵抗なんてものともせずに、その汚れた手で学ランの襟首を引っ掴まれて、俺は畳の床にうつ伏せで引き倒される。
「ぁぐ…っ」
「これなら、少しは声堪えやすいんじゃない?ほら、はやく腰上げろよ」
「ぅ…」
 後ろから肩を押さえつけられて、畳に押し付けられる頬が痛い。ちらりとずれた眼鏡越しに見えたタローの眼はやっぱり情欲で濁っていて、何故か逆らえなくて、俺は微かに腰を浮かせた。
「なぁんだ、やっぱりナカジだってヤりたいんじゃん」
 嘲るような声がして、ぐいとさらに高く上げられる腰。もっと抵抗しなきゃいけないと思っているのに、身体は続きを求めて浅ましく震えて、あっけなく下半身の衣服を剥ぎ取られてしまう。
「ゃめ…やだ、聞かれ…る…!」
 外気とタローの視線に晒されてひくついているのを自覚しながら、それでも往生際悪く口だけの拒絶を繰り返して。
「力抜いてね、指二本入れるから」
「ひゃぐ…っ!ぃっ…ぁぐ…っ」
 でも俺の言葉なんか全部無視して、ローションか何かで濡らされた奴の指がずぶずぶと入ってきて、眼の奥がちかりと光って、俺は痛いと思っているのに俺を犯す指に誤魔化しようもなく感じてしまって。最後の抵抗みたいに情けなく必死に唇を噛んだ。
「っふぐ、…ぅぁ、く…!」
 我慢しないと。こんな声聞かれたりしたら、これから先この部屋になんて居られない。
「もー、こんなにぎちぎち締め付けなくてもいいじゃん。そんなに痛いのが好き?」
 そんな事を言った覚えはない。心の中でそう罵っても、タローの指は俺の中を遠慮なくぐりぐりとかきまわして、ぐちぐちと鈍い水音をたてていく。
 止めてくれ、今にも理性が飛びそうだ。今考える事を止めるわけにはいかないんだ。
 でも、どうせいくら考えたってこの状況は変わらなくて、この状況にどうしようもなく感じている事も変わらなくて。
 ああもう駄目だ、はやく今すぐもっと引き摺り下ろしてよ。
「ぁーあ、前が涎だらけ」
「ぅあ、ぁ、あ…っ!」
 俺の肩から離れていった手はするりと前に回されて、張り詰めてじくじくと熱を湛えた俺の中心を抜いた。
 唇噛むのを忘れて、溢れる声。
「隣り、聞こえちゃうんじゃなかったの?」
「っぐ…ぅ、ぅ…」
 聞こえるとか、聞こえないとか、そんな事よりも、ただ単にタローの言葉に反応してとっさに声を飲み込んだ。
 じわりと広がった血の味。噛み切ってしまった事を意識する余裕もない。
「それとも、ナカジはもうそんな事も考えらんないくらい、ココにぶち込んで欲しくて仕方ないのかなぁ」
 ぐぷ、と本当に嫌らしい音がして、俺の中で広げられるタローの指。
 同時に少し皮膚の荒れた指の腹が俺の先端を擦っていって、身体は莫迦みたいにがくがくと跳ねる。
 もう、かんがえられない。
 思考も脳も一緒くたに、どろりと溶けていく音を聞いているような気分で、本当はそれは中をかき回されている音だとか、前を擦られている音だとか、思ったけれどそれもすぐどうでもよくなって。


 使い古した頭脳はもう動かない。


「っあ、も、おねがっ…ぃれて、ぇ!」
 恥やら外聞やらが全部すっ飛んでしまった俺がそう懇願した直後、引き抜かれた指の代わりにあついあついタローのものが、俺の中を奥まで埋めて。
 壁が薄い事や隣人の存在など、欠片も考えられやしなかった。
 ただひたすらに揺さ振られ、我慢も忘れた声を喉がかれるほどにあげて、自らの欲望を吐き出して奴の欲望を受け入れて、全て取り返しがつかなくなった後で。
 俺は激しい後悔と自己嫌悪に陥る事となる。





 追記。
 非常に幸いな事に、隣人は留守だった。
No.20 - 2006/02/23(Thu) 00:19:14
お待たせしました / 石凪垣田
ごく一部の待っていた方。主にtask。
先週のバレンタイン辺りから上げる上げると言いつつ丸一週間…ようやっと上がったよ…

えーっと、Sタロ×Mナカ。
前々から書きたい書きたいと言い続けてて、凄く好きでたまらんカプ。というか、設定というか。とあるサイト様に影響受けすぎなのは解ってます。ごめんなさい。
……ちゃんとSなタローとMなナカジになってるかしら。なってればいいな。

というか、やたら長くて済みませ。
書きはじめたらやたら長くなってきて、ホントはもっとがしがし削ってのせるつもりだったけど、これ以上上手く削れなかったよ…!
原文手元にあるけどほとんど変わってねぇ。意味ねぇ!!
No.21 - 2006/02/23(Thu) 00:27:21
傍観が渦巻く10のお題 / 石凪
5.気休めの慰め



「卒業したら、東京に行こうと思う」
 彼がそう言い出したのは本当に突然で、俺は当然心の準備なんてできてるわけもなくて。
 正直、ナカジが何を言っているのか解らなかった。
「な―――なんで?」
 ああ、馬鹿な事を聞いている。彼の夢や将来の希望やそう言う諸々を知っているくせに、今改めてその口から聞く気なのか。
「俺の音が認められるかどうか。―――いつか、お前が言っただろう。もっと大きなところで俺の唄が響けばいいって。
それができるかどうか、試してみたい」
 薮蛇。何て事だ、過去の自分の言葉が勝手に彼を煽っていた。
 なんて事を言ってくれたんだ、ナカジと知り合ってまだそんなにたっていない頃の俺。
 あの頃の俺は、まさかナカジにこんなふうに惹かれるなんて思ってなくて、ましてこんなふうにキスしたりCENSOREDしたりする関係になるなんて思ってなくて。
 ナカジを、独占してしまいたいと思うようになるなんて考えてもいなくて。
「それが、ホントにできたら…スゴイ、よな」
 曖昧な俺の言葉。
 彼が、ナカジが少しずつ変わってきているのを知っていた。
 前のナカジはもっと自分の世界で生きていて、他人に理解を求める事になんか興味がないって感じで、その音を世界に響かせることになんか無関心で。
「すんなりいくとは思ってない。だから―――何度でも挑戦してやるさ」
 それは、成功しても失敗しても、この街にも俺のところにも戻ってこないという話。
 ずきりずきりと理不尽に痛む胸の奥の方。
 今俺の横にいる彼は、今までのどんな場面よりも遠い。
「こんなふうに考えられるようになったのはお前のおかげだ。タロー、感謝してる」
 感謝?所詮それは、残酷な別れの言葉なんだろう?
「だから、俺は東京に行く」
 俺を置いて?
 そういって食い掛かりそうになるのを、俺は何とか我慢した。
 その目は、俺なんかとうに通り越して、もっと遥かに遠い未来の世界に向いている。
 ああ、俺は本当になんて事を。
「だっ…大丈夫!ナカジなら絶対成功する!」
 内心の後悔とは反対に、俺の口から勝手に紡がれる無責任な言葉たち。最低だ。
「俺が保証する!だって俺、初めてナカジの唄聞いた時ホントに感動したんだ。もう何て表現していいかわかんないくらい。こんな狭いとに閉じ込めてたら勿体無いって、本気で思った」
 それは、紛れもない真実。ただし今の感情とは相反する類の。
「今でも覚えてる。あんな音、聞いた事なかった」
 心も身体も魂も、きっとあの時全部持っていかれた。
「あんな音楽創れるのはナカジだけだよ、絶対大丈夫!」
 根拠のない無責任な励ましの数々。絶対って、一体なんだ。
「俺、いつまでかかったって待ってるからさ―――ナカジの音楽が、今よりもっとおっきなとこで、いっぱいいっぱい響くの」
 全員耳を塞げよ。
 俺以外に彼の唄を―――彼の声を聞く権利など。
「だから、忘れないでよ。どんなにナカジが有名人になったって、世界中にナカジの音楽が響いたって、俺がナカジのファン第一号だって事」
 何だかまるで、慰めのようだと思った。
 彼の一番にはなれなかった俺。
 俺の一番はいつの間にかサーフィンよりもナカジで、というかぶっちゃけ唯一で。ナカジの一番は相変わらずギターと音楽だったという事。
「ああ、忘れるわけがないだろう。―――ありがとう」

 そうして、俺はナカジの思い出になった。




 数年後、この狭い島国中に彼の音が溢れかえって、俺は彼がもう二度とここまで堕ちてこない事を知った。

 だからやっぱり、あの言葉達の全ては、結局は俺自身へ向けられた気休めの慰めだったのだ。
No.18 - 2006/02/05(Sun) 23:59:21
これの一体どこが裏なのか / 石凪
激しく自分自身に問いただしたい。

…あえて言うなら、多分ありえないだろうタロナカ未来像を書いているところかしら。
一応確かに表には置けない感じだけど、だからと言って裏描写は皆無という現実。
気にしないことにします。

目指せ切ない系。
ナカジだけが思春期の夢から覚めてしまった話(そうなの?)

…というか、これ上げた翌日くらいにtaskに読まれて色々突っ込まれた挙句爆笑されたらしいのですが、直す気がありません。
えーと一応弁解しておくなら、きっと田舎都市の公立高校に通ってるんだ。登校途中に川原の土手とかあったりするんだ(金八先生か)
No.19 - 2006/02/06(Mon) 00:11:51
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