アルス一行は聖風の谷なる風変わりな集落で、翼のある人類「リファ族」と関わる。
翼のないリファ族が集落を救う、という形で「人は、誰かになれる」というテーマをポジティブな形で表現した ここでのイベントだが、別の顔もある。
本来人類にはないパーツである「翼」の有無をどうこう言っているせいでマイルドになってはいるが、 はっきり言ってリファ族のやっていることは障がい者差別である。
まずはじめに、この聖風の谷は翼がない人の事をあまり考慮せず、崖っぷちにツバメの巣のように建てられた集落である。
次に、ただ一人翼のない住民フィリアがいじめられている。
さらに、フィリアはリファ族から生まれたのだが、彼女の家族は翼がないことを理由に「拾った子」だと嘘をついていた。
とどめに、フィリアを集落で一番心配し思いやっていた祖母ですら、ホントの子だよとは言ってあげなかった。
リファ族は姿が天使のようなだけでなく、神の分身たる精霊に仕えていたり、後々出てくる天界のような「始祖たちの村」に住んでいたりと、これでもかと天使に寄せている。 そんな天使のような人たちを使い、これだけ根の深い差別を描いたのは、 「堕落した天使」という、もう一つのこの作品のテーマを強調するためだったのだろう。
堕落した天使はもう一度、その始祖たちの村の長として登場する、ひどく無気力で家じゅうゴミだらけにしており、アルス一行はドラクエ7独特の「モノを持ち上げて投げる」システムを使って掃除を手伝うことになる。散々な描き方だ。
胸糞悪いだけではなく、フィリアが一連の出来事から「ホントの子だとわかってよかった」と前向きに考えたり、祖母が自分もみんなと同罪だったと詫びたりし、この話は希望を残して終わる。 |
No.132 - 2019/08/04(Sun) 11:40:28
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