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「というわけで、ここいらで皆で協調行動をとっていただきたいわけなんですが」 胃のあるあたりを抑えながら雅戌は言った。その表情は、今や青ざめすげて土気色になっており、端的に言えばすさまじい物があった。声が妙に響くのもそのすさまじさに拍車をかけている。その場に集まっていた如月、黒霧、影法師、睦月、越智は全員が息をのんで静聴していた。はっきり言って、下手な口答えした次の瞬間に雅戌が倒れてしまいそうで皆おそるおそるだったのである。 「よろしいですか? 次の指示で一斉に行動します。いいですね? わかりましたね? アンダースタン?」 「わ、わかりしました」 震える声で応じたのは越智だった。ちなみに、腰が引けている。これなら敵のど真ん中に突っこんだ方がましだと思った。 と、そこにまさしく天使の救いの声というべきかな、オペレータからの連絡が入った。詠唱行為開始、詠唱行為開始。 全員が一斉に頷いた。敵のいる方角を見る。戦場も雅戌の顔色くらいすさまじい物となっていた。それを視界に修めつつ、震える声を叱咤して、はっきりと詠唱を開始する。それはどこか歌うような、あるいは願うような、良く響く声の連鎖だった。 祈り混じりの声は響く。やかましい戦場を一つの旋律が駆け抜けていく。それは詠唱という名の歌唱だった。 ある物は目を瞑って歌った。祈りながら歌った。カンペを見る物もいたし、胃を抑える者もいた。それぞれに異なる声色が、問いかける。それは無駄なことか? それは無意味なことか? 確かにそうかもしれない。 だがそうではない。そんなことは無いだろうと、彼らは声を張りあげる。それはどこか悲しくすらある光景だったし、見る者次第では滑稽だと笑うこともあったかも知れない。 しかしそれも、この声を聞いてなお笑うことなど出来なかっただろう。否、誰が笑おうか。その声は、その心を目の当たりにして誰が無意味と嘲ろうか。 それは詠唱と言うよりも歌だった。祈りを込めた歌だった。 詠唱という名の歌が、ゆっくりと戦場に満ち始めていく……。 [No.1066] 2007/06/16(Sat) 15:00:46 |