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雛形SSです。修正があれば入れていきます ***** 「自由市場レポート」 玄霧藩国大神殿前駅と大神殿記念公園、そしてもう一つの目玉がある。 それは玄霧藩国大神殿前駅構内にある自由市場である。 大きな木で作られた駅の入り口を通り、地下へと降りていく。 今回の環状線開発によって大規模に開発され、有事の際は更に拡張などをしやすくしてあるのだがそれによって駅構内にかなりのスペースが出来た。 それによって発生したのが自由市場である。 駅の改札を通り、ホームとは別方向に地下を進んでいくと徐々に活気と熱気が強くなっていくのを感じる。 地下と言うこともあり、幾ら空調が効いていてもやはり大勢の人が熱気を出せばその熱も活気も、こもるのだろう。 それらの熱気は一つの歓迎の印である。熱気を振り払い、足を前に進めるとそれまで何人かが一緒に進める程度の地下道から一気に開けて大自由市場が開催されていた。 「どうぞー、ただいま自由市場会場記念としてこちらのおまんじゅうをプレゼントしていますー」 自由市場について最初に目に入ったのが胸に「スタッフ」のパスを付けてこの国の名物でもある「玄霧饅頭」を配っていた係員だ。 この饅頭は様々な中身、つまりくじ引きであることでも有名でもあるが、私に饅頭を手渡してきた係の人が楽しげに笑った。 「食べる前におまんじゅうをばっくりと割っちゃってください。中に良い物が入ってるかも知れませんよ?」 「ん、それじゃ早速……」 言われるまま饅頭をばっくりと割ってみると中から一枚の紙が覗いている。 それを手にとってなんとあるか見てみる。 『5にゃんにゃんお買い物券』 「……あぁ、なるほど。つまり本当にくじ引きな訳ですか」 「はい。お一人様一個までとなってしまいますけど、それは自由市場内のどの店舗でも使えますのでお楽しみください」 餡で少し汚れたお買い物券を懐にしまい、係の人に笑みを返して中を歩き始めた。 ***** さて、入り口付近で見たマップによれば、自由市場は大きく分けて二つのスペースに別れている。 一つは自由参加の個人スペースである。 店名などは書いて無く、主な商品の分類でスペースを分割されている。個人の出店なので店名が無いのは当たり前だろう。 参加は自由で、申請さえすれば場所を一定期間提供、そこで自作や転売の商品を売ることが可能らしい。 参加費用は藩国民が、それともそうでないかなどで少し違うようである。 藩国民の場合は無料で、国民でない場合は多少の出店費用を必要とするとのことである。 それでも参加費用が高いと言うほどでない。ただし、個人の場合は長期の契約は不可能であるらしい。 その事からも流通の回転の良さを狙った物であろう事が容易に伺えた。 そちらの方へ歩いていくと様々な国の民芸品などが売られていること、意外なことに店番に子供が多い事に気づく。 そこで思い出したのが先の難民騒ぎの際の移民した人達のことだ。 移民してきた人達の中には今現在でも定職にありつけず、生活に窮している人も居るそうだ。 ここはそういった人達へ商売のチャンスを与えると同時に、後述する企業スペースでは職業の案内も行う為の機能があるようだ。 その為、大人達は商品を作り、また同時に定職を探す作業をしながら子供達がそれを売るというスタイルが生まれたのだろう。 「これ、もらえるかな?」 「うん、良いよ。5にゃんにゃんです」 試しに通りがかった店で見つけた不思議な民芸品を買ってみようとした所、丁度先ほどもらったお買い物券と同額を求められた。 「これで大丈夫かな?」 「うん、大丈夫だよ。後でね、ちゃんと交換してもらえるから」 「それじゃ、これで」 少し餡で汚れてしまっているお買い物券を渡すと、その不思議な民芸品を手渡しで渡してもらえた。 領収書などは当然無い。ここは自由市場、一種のフリーマーケットである。個人参加ならば当然のことだろう。 「また来てくださいー」 子供に手を振って別れる。市場の中は様々な人でごった返しているので歩くのも中々に一苦労だ。 ***** 「こちらで簡単なお食事を振る舞わせてもらってます−! どうぞ、お気軽にご利用くださいー!」 喧噪の中、一際大きな声を聞きつけて言ってみるとそこは食料配給所の様な場所だった。 かなりの人が並んでおり、今か今かと食事を待ちわびているようだ。その中には見てからに移民である子供、大人などもかなり並んでいる。 先ほど饅頭を食べれたせいか腹はそれほど減ってない。ただ、興味が強く沸いた。 人混みを謝りながら通り抜け、受付までようやく進んでいく。 「あ、駄目ですよ−。ちゃんと並んでください。じゃないとあげませんっ」 「あ、いや、違うんですよ……私、癖毛爆男と言いまして……」 「え……あ、はいはい! 話は聞いてますよ! 少しだけ待っててくださいね?」 「え、あ……は、はい」 受付のお姉さんが楽しそうに私にそういうと作業に戻っていく。 あまりにスムーズに進むので訝しんでしまうのだが、しばらくしてその人が戻ってきた時に説明を受けた。 どうも先に雅戌さんから「もしかしたら私が取材に来るかも知れない」と言うことを連絡されていたらしい。 なるほど、抜け目が無いなぁ、と笑いながら思ったよりもスムーズに取材が出来ることに感謝をして話を聞いてみる。 ここで配給されているのはおにぎりや玄霧藩国の食料倉庫などでよく取れると言われる茸をメインとした汁物。またブドウなどの果物も多く採れることからフルーツジュースなどを振る舞っているようだ。 「一応、これで栄養はかなり取れるんですよ? ……ちょっと、食べ合わせが悪いですけど」 あはは、と気恥ずかしそうに笑う受付のお姉さんに笑いを零しながら、更に話を聞いていく。 「難民騒動の時、やっぱりみんな困ったのが食料だったんです。でも、それは今でも全部が解決してるわけじゃないです。だから、こうして皆さんが来る所で食料を振る舞えたら素晴らしいな、って」 「でも、そうすると結構な量が必要だったりするでしょう? 食料の備蓄とかは大丈夫なんですかね?」 「大丈夫! ……だと思いますよ? 私も詳しいこと判らないですけど……でも、みんあお腹いっぱいになって笑顔になれたら、嬉しいですよねっ」 「……そうですね」 あまりにまっすぐな意見に自分の捻くれた部分が露呈したような気恥ずかしさを覚えてしまい、私は受付のお姉さんに挨拶を済ますと早々にその場を後にしてしまった。 「今度は食べていってくださいねー」 私に声をかけてくるお姉さんは楽しげに言うと、作業に戻ったようだ。 ***** さて、個人商店についてはもはや百万の言葉を用いなければその様子を忠実に伝えることも出来ないだろう。 何しろ毎日同じ店が開いている保証もなく、商品も一定の基準さえ満たせば自由に販売できるのだ。毎日来ても中々に飽きることはないだろう。 さて、人混みをかき分け、一休憩。煙草を吸おうかと思ったのだが地下なので当然禁煙である。おのれ。 仕方なくまた足を動かしていけば今度は企業スペースに出てくる。 そちらは個人スペースに比べれば活気や熱気などは多少なりとも衰えるが、その分客層が違うことが見て判る。 環状線の完成によって国外の企業などもこのスペースに出店しているようだ。 企業スペースは個人に比べると通貨価値などの問題もあり、商品チェックなどが厳しいようだが、その分個人に比べて長期にわたる出店が可能らしい。 様々な国の人間がそこに並べられた商品を見ている。その目はプロの目であり、やはり先ほどの自由市場とはやや趣が違うことは否めない。 と思えば別の店では恐らく藩国の人間であろう、カップルが普通に商品を眺めていたりとやはり雑多な感は否めない。 通しで見てみる。素人目でしかないがやはり個人スペースに比べて大分品質は安定しているが値段も安定している印象が強い。 個人と企業はそう言った意味では基本的に違った思想・理念で動いているためであろう、対照的に見えるその光景はひどく面白く見えた。 企業スペースを歩いていると目に付くのが忙しそうに駆け回る人間である。 ある店から出てきたと思うと、別の店へと駆け込んでいく。様々なやりとりをした後、自分の店へと戻っていく。 そういったやりとりがいくつか見受けられる。 運良くある店の店主に話を聞くことが出来た。それによると彼は一種の職員採用試験の途中でもあるらしい。 先に少し話したとおり、移民した人達の中には未だ定職を持っていない人間も居る。 そういう人間達の就職活動の一つとして、この出店で様々な作業を手伝ったりしてもらいながら仕事を覚えてもらい、お互いに納得いくようであれば契約をして正社員などになってもらうという事らしい。 「人のいる場所はね、やっぱり楽しいというのもありますが色んな人が来て面白いですよ。雇う側としても普段より色々と見れますしね」 店主のおじさんは笑いながら使いの人が出ていくのを見ながらそんな事を言っていた。 「所でお兄さん。折角ですからどうですか? ほら、こちらのアクセサリ−。彼女さんが居れば贈り物にピッタリですよ」 と思いきや、すぐさま商品をちゃんと勧めてくる当たりはやはり商売人だろう。彼女なんて居ないので丁重に断らせてもらったが中々に素敵なアクセサリーなども取り扱っていたので、興味のある人は探してみたらどうだろうか? 店名はあえて書かない。広大な販売スペースの中から目的の物を見つけるのも自由市場の楽しみの一つだろう。 ***** しばらく自由市場を歩き続けたが、どうしても煙草が吸いたい。世の中、愛煙家には厳しくなったがやはり煙草は一つのたしなみである。 係の人に尋ねて、道を教えてもらい、迷い、また係の人を捕まえて今度は案内してもらった所でようや喫煙スペースに到着できた。 自由市場とは少し離れた部分であり、煙草を吸ってる人間も国の特徴なのかそれほど居ない。 「あ、駄目ですよ。ここは指定煙草以外禁止です」 「う……そうなのか」 胸ポケットにしまっておいた煙草を取り出そうとした所で先手を打たれてしまった。 仕方なく、喫煙所内に売っていた煙草を買って吸ってみる。それは私のよく知る煙草とは別だが、ハーブの香りがする緑豊かな味をもたらす物だった。 「木にね、悪いんです……愛煙家の人には申し訳ないんですけど」 「いやいや、問題無いでしょう。吸えるだけ楽園ですよ」 ここまで案内してくれたお兄さんに笑いながら答える。ゆっくりと煙草を吸っていると落ち着いたのか、お兄さんの動きがキビキビというか、妙にしっかりしている事に気づいた。 「……もしかして、私服警官の方?」 「……当たりです。でも、秘密ですよ?」 「えぇ、判ってます。ちょっとね、目に付いた物で」 「あはは。自分、まだこの仕事始めたばかりで……精進、ですね」 駅構内は無数の人がいるのにどうして治安を保っているのか不思議だったが、こうして疑問は解けた。 スタッフの中に私服警官が混ざっていて、治安を守っているのだろう。恐らく、スタッフ以外の人間、或いは出店している人間の中にも。 「それでは、自分は仕事に戻りますので。良い買い物を」 「えぇ、どうもありがとう」 お兄さんはにこりと笑うとまた自由市場へと戻っていく。それを何とはなしに眺めながら先ほど買った民芸品を見た。 それは何か人形のような、不思議な品である。見たことのない品物であり、どこか懐かしさと温かさを感じる。 「…………さて、と」 煙草の火を消すと、私はもう一度自由市場へ足を向けた。もっと面白い物があるかもしれない。そんな期待を胸に抱いて。 「癖毛爆男手記より抜粋」 [No.1922] 2008/07/27(Sun) 22:39:26 |