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『防御結界の発動』 某月某日。ある告知が政府より国民全員に行き渡った。 「三日後の夜、かねてより伝えておりました防御結界を起動します。つきましては国民の皆様は高いところや風景が良く見渡せる場所で発動の瞬間を見届けていただければと思います。 当日は政府公認の夜店なども見晴らしの良い場所に用意しますので、お時間のある方は是非どうぞ」 それと共に送られてきたのは 『防御結界発動記念 防御結界を張る瞬間を見よう』 というイベントの案内だった。 夜店などを政府公認で出している場所は葡萄畑傍の小高い山など、風景が良く見渡せるような場所が多く、またその場所も多岐にわたっていることから国民全員に参加を促すのは伊達ではないようだ。 実は私はこれについて事前に話を少し伺っている。 結界都市計画、とそれは呼ばれていた。結界都市計画というとまるで城塞都市の様な印象を受けるがその実は警報装置を国土に巡らせ、国全体の保安性を高める為の結界であると言うことくらいである。 詳しいことは恐らく藩王・摂政などの最高クラスの人間しか知らないだろう。 これもまた、保安性を高める為の秘匿であると納得はしているので良しとする。 さて、そんな告知がされた物だから国内は一種のお祭状態となった。というよりお祭状態を狙ったとしか思えないほどの一時的に様々な限定・制約が解除されたりした。 駅構内での売店から何度か取引をしたことがある信用できる出展者などは時期限定ではあるが路上販売などが認められ、にわかに活気づく。 こうして企画された防御結界発動記念イベントは熱を増していった。 当日、私が赴いたのは葡萄畑の近くの小山だった。 そこなら酒があるだろうとのもくろみ通り、葡萄畑で取れた葡萄を使ったワインや、出店を認められた商人達が店を並べている。 人手は思ったほど多くないが、それは観覧できるポイントが多数用意されている為であろう。 それでもすれ違う人の多さに少し辟易しながら用意された観覧スポットへとようやく辿り着いた。 そこでは気の早い親父連中などが既に酒宴を始めていたりと更に賑わいが凄い事になっている。 来る途中に買った小ワインとドライフルーツなどを胃に落とし込みながら私も防御結界が張られる瞬間を待つ。 余談となるが、この時藩国の政府に関係している人たちは実はかなり忙しかったらしい。 出店の手配や観客の整理など、多岐にわたる仕事を割り振られててんてこ舞いだったようだがそれは後日談である。 さて、そうして酒などを飲みつつ時間が経つのを待っていると周囲に人がどんどん多くなっていく。どうやらもうすぐ始まるらしい。 「そろそろ始まりますー。ご来場の皆さん、大きく動かず、隣の方に注意して街の方をごらんになってくださいー」 言われてみてみるとそこにあるのは玄霧藩国の首都であるこの国の都市部である。 緑との融和を図った上で作られたその都市は全員が来れなかったのだろう、灯が点り続けている。 その緑の街に灯火が点った光景でも一種のノスタルジーを感じる風景である。 全員が静まったことに満足したのか、先ほど大きな声を出したこの区域の担当者が頷くと、真剣な顔で頷く。 だが、それも一瞬でにこやかに微笑むと観客、つまり我々に向かって説明を始めた。 「さて、お集まり頂いた皆様。今晩は防御結界発動記念イベントに足を運んでいただいてありがとうございます。 以前より様々な方面からご連絡させていただいたので効果についての説明は今回省略させていただきますが、やはり国土全体に結界を張るということで、様々な問題点のご指摘や不安の声を皆様よりを頂いておりました。 それに対しても我々は説明させていただきましたが、国防の要となりうる機能の為お答えできないことも多かったのも事実でございます。 そこで、やはりここは見て貰うのが一番だろうと言うことで今回このような運びとなりました。 さて、堅苦しい説明などはこの程度にしておきましょう。それでは、時間も迫って参りました。60!」 カウントダウンが始まると会場に緊張と興奮が張り詰める。 その様子を楽しむように担当官は微笑みながら、更にカウントを進める。 「30!」 『20!!』 カウントが進むにつれ、場内の人間の声も大きくなり、大カウントとなる。 『10!!』 『9 !!』 『8 !!』 『7 !!』 その頃には既に、会場にいた誰もがそのカウントが0になった瞬間を想像し、興奮していた。 『6 !!』 『5 !!』 『4 !!』 露天を出していた人たちも、その時ばかりは商売を気にせず、声を上げ、共に山の上から街を見つめる。 『3 !!』 『2 !!』 『1 !!』 そして、それは。 『0!!!!』 その瞬間、起こった。 ふわ、とまず大神殿が光った。それに伴い、国の離れた場所数カ所が光の柱が上るように光った。 国を一つの都市として考えると、それこそが国全体の灯と言えなくもないほどの物だった。 だが、それはその実光の柱などではなく大樹を基点として結界基点だったと後に知ったのだが、それはまるで何かの道を開くかのような淡く白い光。 そこから淡い光が伸びていき、隣の基点、そのまた隣の基点へと繋がっていく。 誰しもが言葉を出すことすら忘れた。私に至っては息をすることさえ忘れた。 その基点から延びた光が全ての基点に届くと、それはゆっくりと、淡さだけを残して弱い光となる。 そして、空気が、変わった。 何がどう、と言われても判らない。ただ、変わった。何かが、変わった。 だがそれは決して不快ではない。それはこの国が霧に包まれていることが多いせいか、違和感は一瞬だけですぐに意識の中に溶け消える。 空を見ると、薄く、淡いドームのような物が見える。それがきっと結界の境界面だろう。 恐らく、結界の外からこの藩国を見ると淡いドームに包まれた藩国のように見えるのだろう。 だが、星の光に消されそうなほどの淡くて美しい結界は結界というよりは既に新しい観光風景と言っても問題ないかもしれない。 全てが終わるまでにかかった時間はどれほどか。その時間、みんなは言葉を失い、その光景に圧倒され、そして誰しもが……何からともなく、大神殿にまつられている白蛇へのご加護を祈った。 後に確認したことだが、結界自体が白蛇をモチーフとして作られていた為、それはある意味自然な流れだった。 「……以上です。さぁ、結界の発動は終了しました。今後はこの淡い光が夜景につきますがこれはこれで中々乙かと思います。是非とも今宵はこの風景を肴に語り、飲み、食べていただければ幸いですっ」 担当官の声に釣られて、人々が緊張を解く。その顔は安堵したような、何かが出来る瞬間を見た人間にしか出てこない、一種独特の高揚と安らぎに満ちているように見えた。 以上が私が『防御結界発動記念 防御結界を張る瞬間を見よう』というイベントで見た全てである。 これ以降は後日談となる。 後日、結界が張られた事によって何か変化があったかなどの意識調査を行っていたときのことである。 「そういえば、財布を落としたらすぐに人に拾ってもらえたのよね」 「ころんだら、うえきがあって大丈夫だったー」 「息子夫妻がですねぇ、お母さんたまには良い物食べようかと美味しい物を食べさせてもらいましたよぉ」 「おさいふが落ちてたから、落とした人にとどけたらアメダマもらったー」 と、上記のような些細な幸せが続いているらしい。藩王に確認を取ったが「そんな効果はしらんなぁ。ははは。いいじゃない。家庭は平和が一番」と言われてしまったがどういう事だろうか? これが結界の効果なのか、それともただ結界を見たことで人々が少しの安らぎを得て心にゆとりが与えられただろうか? まぁ、そこについては言及しないで置こう。一つ言えるのは今日の玄霧藩国は概ね平和なようだ。 (癖毛爆男の手記より抜粋 [No.2021] 2008/11/27(Thu) 21:37:59 |