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玄霧藩国はおおむね平和、と安易にいえない状況になりつつある。 光の国と最近は呼称される某国におけるテロは玄霧出身の者である嫌疑がかけられ、玄霧国に接近する敵を焼き払うためにこれまた光の国のレーザー砲(通称是空砲というらしい)が玄霧藩国に撃たれ、それを結界都市で防御しながら敵を追い払ってみたり。 考えてみてれば前者は国民にとっては寝耳に水で(或いは知っている人間もいたのだろうか?)あり、それほど実感のないことではあったと思うが後者はその光を直接見た国民も多い。 その為、結果的に国の平和は保たれたものの、国民感情としてもその威力・射程等々に恐怖・猜疑心など様々な感情が生まれるのは当然の摂理なのかもしれない。 最近になり、様々な疑惑・トラブルを集めているだけに少々玄霧藩国はピリピリしている。 それも致し方ない。何しろこれほどのトラブルが続けば政府関係者でなくともその感情は揺り動かされて然るべきだろう。 とはいえ、そんな空気を良しとしない人間が居た。 今回はそんな人たちが行った数日間の出来事の記録である。 『クリスマス』 1・準備は万端ですか? (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/122981634340.jpg) 「よいしょ、よいしょっ」 「あ、それはこっちに持ってきてくださいー」 「裁縫班の進行はどうですかね? 四割? まだまだだなー」 「ケーキ作りって意外と重労働だからねぇ……」 トラブルが続き、ようやく一段落したある日。私は政庁に向かう途中にそんな光景を見た。 人の中には藩国のアポロさんやイクさん、しじまさんに摂政である雅戌さんも居る。 これほどのメンバーが一堂に会して何をしているのか? それはきっと私以外でも並々ならぬ好奇心をそそられただろう。 「あ、癖毛さん。癖毛さんも暇なら手伝ってくださいーーーっ」 私の視線に気づいたのか、作業をしていた人が声をかけてきた。 「いや、手伝うも何も……そもそもこれって何をしてるんですか?」 「何ってほら、クリスマスですよ。くーりーすーまーす」 その人は両手にいっぱい持った人形やオーナメントなどを見せてから、にこりと笑う。 ……クリスマス? あぁ、クリスマス……クリスマスか。 去年も一昨年もその前の年もクリスマスも関係なしに仕事をしていた自分を思い出し、泣きそうになった。 出かけた涙を引っ込めて、とりあえず頭を切り換える。クリスマスの何かをするためにどうにも準備中ということだ。 「え〜〜〜と、おおよそ事情は把握しました。政庁で何かやる……にしてもちょっとすごいことになってますね」 「あぁ、これは子供たちに送るんですよ。ほら、最近幼稚園や寮とかの設備も充実してきましたし」 「あぁ、なるほど……では、これでも足りないかもしれないんですね」 資材をまとめてある場所をチラリと見てみれば、まだ数十人程度の物しかない。これでは足りないだろう。 「そうなんですよ。まぁ、ここにあるのも一部で、他にも色んな場所で作業を進めてるんですけど」 「まさに猫の手も借りたい、という状況ですか……なるほど、判りましたよ。お手伝いさせてもらいます」 「あは、ありがとうございます。それじゃ、早速中に入って他のみんなのお手伝いをお願いしますね」 案内されて作業場に連れて行かれる。しまった、安請け合いしてしまったがよく考えれば何をするのか聞いてない。 自分は特に手先が不器用なので手芸や料理などをお願いされないことを祈りながらついて行った。 2・プレゼントは大丈夫ですか? まずはクリスマスプレゼントの製作のお手伝い、ということで人形工房に連れて行かれたのだが……。 (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/12299618054010.jpg) 「そこ、ちがーーーう! こう、こうだぁぁぁぁっ!」 「おお、さすが藩王だぜ……ものすごい勢いだ」 「見てみろ、この人形を……一つとして同じ物がない。それなのに、形は整えられたままだ!」 「手作り感あふれる一品ばかりだ……さすが藩王、国の長だ!」 「藩王万歳! 藩王万歳! 藩王万歳!」 さっそく弱音を吐きたくなった。 人形工房では藩王が持ち前の手先の器用さを活かして人形を作り上げていく。 その作る様はまさにダンス。くるりと回ると生地が型抜きされ、ひらりと逆回転をするとつなげられていく。 さらに何度かのターンを繰り返すと完成……って、真似できるか! 「はっはっはっ、みんなも俺の手捌きに見とれてないで、自分の作業を進めたまえ」 藩王、気分が良いのかなんだか鷹揚に「はっはっはっ」と王者笑いをしながら作業を続けていく。 そんな藩王の美技に魅せられてしまった周囲の人たちもテンションがおかしい。 「やってやる! やってやるぞ!!」 「手先の器用さが出来の決定的な差でないことを教えてやる!」 「藩王だって踊って人形を作ったんだ! ふん、作ってしまえばこっちの物よっ!」 「素人め! 綿詰めが甘いわ!」 …………なに、このテンション? 藩王の言葉に作業を始めた全員がおかしすぎるテンションで作業を進めていく。 そして、藩王と同じように踊ったり、或いは「神技!」とか叫んで出来ていく出来ていく人形の数々。 (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/1229878038404.jpg) (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/12299537158.jpg) (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/1229878384406.jpg) (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/1229878180405.jpg) 「な、なんで普通の人形なんだ……っ!」 できあがっていく人形を受け取り、捌いていく。普通だ、普通すぎる。 あれだけテンションが高く、作業工程がめちゃくちゃなのに意味不明なくらい普通の人形……否、子供が喜びそうな人形ができあがっていく。 もはやこれは一種の怪現象である。この空間は藩王の言葉によって異界と化したか。 「む、癖毛じゃないか。何突っ立ってるんだ?」 「え……あ、ど、どーーーーも……」 「どーもじゃないでしょ! もう、アンタそんなボーッとしてたらクリスマス終わっちゃうわよっ!」 藩王……なぜお姉言葉に? 「え、そ、そうですね。それじゃ仕分けをしますので……あの、藩王? なぜ洋服をつかみますか?」 「ふふふふ……一個くらい作って行きなよ、なぁ?」 「え……ちょ、やめ、本当に、ごめ、ごめんなさいっ! 俺が悪かったからそれだけはゆるs……ぎゃーーー!」 逃れることが出来ないまま、工房の奥へと拉致られる自分。 結局、一個だけ作らされて「これを人形と言うにはあまりに不気味」と言われる代物を作ってしまった……。 受け取った子供がいたら、先祖代々伝わる秘技「DOGEZA」で謝ることにしよう……。 3・ごちそうはまだですか? 明けて翌日。先日の出来事を聞いたのか、本日は違う部署でお手伝いとなった。 「ケーキ♪ ケーキ☆」 そこはケーキ部署である。当日プレゼントと一緒に送るケーキが作られている。 あぁ、何と華やかな。女性が多く、みな思い思いに飾り付けたり、整形していく。 「クリスマスって言ったらショートケーキだよね」 「あ、でも生クリーム駄目だったら困るからチョコケーキも入れた方が良くない?」 「この前ね、スポンジがふんわりしたすっごくおいしいケーキがあったのっ」 「ケーキじゃないけど、チョコパイも作れそうだよね」 いろんな話をしながら出来ていく出来ていく。どんどんケーキが出来ていく。 (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/1229846152401.jpg) (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/1229847441402.jpg) (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/1229848016403.jpg) (http://ppp.atbbs.jp/photo/zomig/1229882831407.jpg) 若干作り始めるのが早い気もしないが当日作っても間に合わないためだろう。 できあがってケーキは包装され、そのまま出荷。きちんと保存するために別の場所へ移動させるらしい。 ところでどうでも良いことかもしれないのだが、実は先ほどから気になっていることがある。 それは彼女たちが作っているケーキ。その材料だ。 スポンジの元となるまだゲル状の生地や泡立てたスポンジ。切られたフルーツなどが彼女たちの手元にあるが、それを作る作業者が……見あたらない? 「お、来たな。おい、やろうども! 新入りが来たぞ!」 「え……?」 後ろから声をかけられた。見てみるとそこには……マッチョとエプロン姿がはてしなく合ってないおじさんが一人。 「あんたが今日の追加戦力か。体格はわるかーないが、筋肉はきちんとあんのか、ん?」 「いや、ちょっと待ってください……何の話だか」 「バカヤロウ!」 マッチョエプロン(仮名)は目をくわっ! と開くと一喝する。 「……バカヤロィ!」 なぜか二度言われた。 「良いか、スイーツ作りってのはな、思った以上に力がいるんだよ! お嬢様方にそんなことお任せするなんざ、おまえは《禁則事項です》無しか、あ゛あ゛?」 恐ろしい顔ですごまれた。というか、ちょっと待ってほしい。これってもしかして……。 「だから、力がいるところはお前らつかえねえ男がお嬢様方に代わってやるんだよっ! おら、判ったらとっととこっちに来やがれこの《禁則事項です》野郎がっ!」 あぁ、そういうことか納得したときには既にマッチョエプロン(海軍式)に洋服を掴まれ、ずりずりと奥の厨房に連れて行かれることとなった。 その日、次の朝日を拝むまで作業をする。腕と腰がぶっ壊れた。 4・もう飾っても良いんですか? 「……なんだか、目が死んでますけど大丈夫ですか?」 翌日、政庁近くのクリスマスイベントのHQに自分が赴いた時、なぜだか心配そうに言われた。 「はっ! 自分は大丈夫であります!」 「……あ、あははは……そ、そうですね。今日は……飾り付けの制作とかお願いしても良いですか?」 「サー! イエス、サー!」 「え、えーと……ほ、本当に? 本当に大丈夫……ですか?」 「はい、自分はこの上なく元気であります!」 「あ、あははは……それじゃ、そのぉ……よ、よろしくお願いします……」 「お任せください、サー!」 ……二時間ほどして、ようやく私は正気に戻った。 「オーナメントならまだ、作れますねぇ」 「人形作りよりは簡単ですよね」 その日、一緒に作業をすることになった男性と話しながらオーナメントを一つ一つ作っていく。 紙とはさみを動かし、型を取るとそれを糊付けしていく。形を整えて、終わりである。 「人形チームはもう、凄いことになってますよ。主力はダンス部隊ですね」 「ダンス部隊……って、人形作りに関係してる名前とは思えないんですが」 苦笑しながら、また一つ作る。ある程度たまったところで一纏めにして箱に入れて封をする。 「はは、私もそう思いますよ。でも、事実人形部隊はめざましですよ。一日で一人数個は作ると言うから……」 「人間業じゃないですねぇ、もう……と、すいません。そこのバランもらえますか?」 「あぁ、はいはい。これですね」 お弁当の仕切りなどでよく使われるバラン。それにハサミを入れて形を整えていく。 「まぁ、こっちもある意味似たようなことやってる人らも居ますけどね」 「あぁ……絵皿チームですか」 ここで作られているのはオーナメントとクリスマスツリー、そして当日のケーキなどを載せる絵皿である。 オーナメントチームは喋りながら作り上げていく人が多い。 クリスマスツリーでは木をツリーサイズに調整したり、大工仕事のようなことをやる。 そして絵皿チームはその恐ろしいまでの気合いで皿に絵を描き込んでいく。 「次! 次は何を書くんだ!?」 「えーと……バンバンジーです! 大きなバンバンジーを絵皿にお願いしますっ!」 「すいません、女の子用のかわいいぬいぐるみ柄追加で20です!」 「大丈夫だ、まだ慌てるような時間じゃない。落ち着いて一枚いこう」 絵皿チームはそんな他の作業者達とは一線を画す気合いと熱気にあふれている。 「……ま、うちの藩国は技族が多いですから」 「そうですねぇ。まぁ、私たちはのんびりとやりましょう、のんびりと」 「ですね。あぁ、そういえばこのあいだ久しぶりにわさび弁当を食べたのですが」 私たちはそんなとりとめもない雑談をしながら、作業を続けることにした。 5・お待たせさせちゃいますか? 「ほら、箱に詰めて! 早く早く!」 「慌てず急いで作業を行ってください! 形を崩したら別の物と交換してくださいねっ」 クリスマス準備最後の日は梱包作業だった。 右から左へ、流すようにして物を動かしてどんどんセットで梱包していく。 「ケーキは特に形がつぶれやすいですから、無理をしないで梱包してくださいっ!」 「人形は各施設ごとに人数分+2を目安に入れてください!」 「オーナメントはある程度無理に詰めても壊れませんから可能な限り一つの包装でお願いします!」 詰める物によって注意が違い、それを作業ラインごとの監督官が実際に見ながら声にして全体命令としている。 「すまんー! こっちケーキ形崩しちまった!」 「大丈夫です、予備がありますのでケーキの種類を個数を報告してください!」 「人形もまとめると結構重い……なっ」 「まとめた人形はこちらにお願いします。あ、どこ行きかちゃんと書いておいてくださいね」 「オーナメント、この箱じゃ入りきらないんだけどー」 「むー……これ以上押し込むと本当に壊れちゃいそうですね。判りました、別の箱に分けましょう」 「…………活気があるなぁ」 作業を見ながら、手帳に様子を書き込んでいく。手先が不器用と言うこともあり、今日は取材の日として許可をもらえたためだ。 だが、とてもではないが声をかけて取材、というほど暇そうな人はいない。 おそらく、この中で一番時間をもてあましているのは自分だろう。だからこそ、私は見たままを書き連ねていく。 「ほらほら、残り時間は多くないですよっ! 業者の方が取りに来る前に終わらせましょうねっ」 「子供達を待たせたら駄目ですからね、時間厳守ですよー」 子供達の一声に作業者達がまた気合いを入れ直し、疲れている体を動かして梱包作業を進めていく。 ある意味で、これも一つの戦いの様な気がした。殺し合いではないが、決して諦められることのない戦い。 それは見知らぬ子供のために戦うという、プライドのみをベッドした戦い。 そして子供達に笑顔を、というプライドゆえに負けることを許せない大人が集まった……大人げない人の戦い。 ここ数日の出来事は確実に全員の体を疲労させているにも関わらず、誰一人として手を止めない。 ……なんだかそんな事を思ってしまうとこうして端で記事をまとめているのが馬鹿らしく思う。 「お待たせさせるかもしれないくらいなら、意地でも動いてた方が楽、ってか」 なんだか子供のためにしているのに、やっている人間の方が子供みたいだ。 だが、それも悪くないと素直に思う。だから私はペンを置き、作業場の方へ歩み寄よることにした。 明日は筋肉痛で動けないかもしれないが……まぁ、今は明日のことを考えるのはやめにしておこう。 (癖毛爆弾の手記より抜粋 [No.2099] 2008/12/23(Tue) 04:43:09 |