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それは夜の出来事だった。薄暗い夜、街の灯によって完全な闇こそほとんどしない。 だが、それでも一本道を違えると途端に街の灯は届かなくなり、まるで奥へと誘い込むような薄い闇が現れている。 その闇の中、何かが生きていることしか感じられないような、そんな場所の中を数人の駆ける足音が響いた。 まず先頭にいるのが夜の闇と街の中に溶け込むような洋服を着ている男。 その後、数m遅れてこちらも夜色を基調としたコートを着た男が数人。 この男達は耳が長く、また色も白い。見る人が見れば森国人だとすぐに判るだろう。 更に続く後ろには闇の路地裏には少し場違いを覚えそうなファンタジーな制服に身を包んだ男達が続いている。 こちらも同じように耳が若干長い。人種に明るい人物が見ればすぐに森国人だと判るだろう。 先頭を行く男は街の毛細血管とも言うべき裏道を右へ、左へと走っていく。まるでその道がどこに繋がっているのか、全て判っているように。 ……否、実際判っているのだろう。でなければ全力に近いスピードで走りながら未だ息切れ一つ起こさないというのは不可解すぎる。 地理的には向こうの方が明るいというのは、大きなハンデだ。 後を追う数人の男達は息を切らしながら、この薄い闇の中をただひたすら相手を見失わないように追い続けるしかない。 その内、後を追うコートを着た男の一人が小型の無線機を取り出す。周波数は既に合わせてあったのか、ボタンを押すだけで回線が繋がった。 「こちらベータ隊。被疑者、B-13ルートを通って逃走中。こちらは追走していますが追いつけるか判りません」 「了解。ベータ隊、そのまま真っ直ぐ走れ。スピードは上げなくて良いが、進路をB-15ルートへ行くようにしろ」 「了解。武器・魔法の使用は?」 「許可する。建物を壊さないようにな」 「了解」 無線での簡単なやりとりをすませると、ハンドシグナルで周囲に合図を出す。 声に出さないのは相手に作戦を聞かれない為と、走る最中に呼吸を乱すのが致命的な事態を招くという想定の元だろう。 簡単なやりとりの後、男は懐からボウガンを取り出した。集団の前を走る男達がならうように同じくボウガンを取り出す。 ボウガンと言ってもそれは攻城や武装した相手の殺傷を目的としたヘビー・クロスボウではなく小さく、狭い場所でも取り回しやすようなライト・クロスボウだ。 見た目にも判るとおり、小さくてこの様な裏路地などでも使えるが、その分射程は若干短く、威力などは求めるべき物でないのは明らかである。 後ろにいたファンタジーな服装を着た男達は懐から杖を取り出した。 これが彼らの武器なのだろう。その扱いは自然で、気張った様子もましてや取り落とすような醜態も演じない。 「止まりなさい! 止まらない場合は共和国大統領認可、特務警護官の権利と義務に基づき、攻撃します」 呼吸が乱れる為に喋らなかった男が大きな声を上げて警告を開始する。 逃亡する男は後ろをちらりと見ると、相手の武装を見て取るやさらにスピードを上げようとする。 「警告に従わなかった為、攻撃します。射撃は任意。周囲への被害を最小限に抑えるよう各自努力してください」 今度は声だし、相手にも聞こえるように周囲に攻撃許可を下す。単なる宣言だけではなく、相手に重度のプレッシャーを与えることを目的としている為である。 走りながら男達が構えた。走りながらクロスボウを撃つというのは相当に無茶な芸当である。 だが、それはあくまでも的が人やそれなりのサイズであった場合に限る。彼らの目標は違う。 パン、とまず第一射。走っていた男の近くの壁にあたり、チュン、と鋭い摩擦音を奏でる。 それに続くように残りの男達が更に射撃。にわかに前を走る男の周囲が騒がしくなる。 「-------っ!」 流石にたまらなかったのか、逃げる男は脇道に進路を取り、追走している男達の視界から消えた。 さすがにすぐには反応できず、曲がった瞬間にスピードが一瞬ゆるまり、慌てて後を追うもそこはどこに続くかも判らない裏道の一本に過ぎなかった。 「……取り逃がしたか?」 周囲を警戒しながら、男はまるで自分に確認するように呟いた。 だが、その声に答えたのは後ろから着いてきていたファンタジックな制服を着た男だった。 「いえ、近くにいると思いますよ。恐らく隠れているのかと」 後ろからついてきていた別の制服を着ている男はそう喋ると、静かに杖を動かす。 闇の中、どこか場違いと言っても言いほどの動きで杖を動かしていき……その杖が通りのある一点を指し示した。 「あそこですね」 「チッ!」 舌打ちはその中から、ハッキリと聞こえるほどの近距離で聞こえた。 うずたかく積まれたゴミの中から男が飛び出ると、また射撃されたらかなわないとばかりに違う通りに入ろうとした、が。 「!?」 チュン、と男の目の前の壁にダーツが当った。コートを着た男の一人が放ったボウガンの矢なのだろう。 流石に目の前が射撃線上であることを悟り、男は慌てて真っ直ぐと駆け出す。 それはまるで獣のように一瞬で最高速へと達するとあっさりと元々開いていたくらいに追跡者達との距離を広げる。 「…………」 黒いコートを着た男の一人がハンドシグナルで合図をする。 周囲の男達はそれに頷くと、更に射撃を開始する。チュンチュン、と逃亡者の周囲で火花、火花、火花がなんども上がる。 数の利を活かし、全員が一度に打ち終えないよう相手の弾数までカウントして、リロード。 ほぼ同時に打てるのは全体の半数だが、これによって相手の周囲では延々と火花が出て、男は右にも左にも動けなくなっている。 「〜〜〜っ!!」 数十秒もしないうちにとうとう裏路地は終わりを告げ、表通りへと出た。 逃亡者は周囲を見て、どちらかに行こうか一瞬だけ迷った。万が一に走った先に追跡者と同じ組織……特務警護官とマジカルポリスの人間が居たら自分から捕われに行くような物だからだ。 そして、その一瞬によって……全て決着は付いていた。 「チェックメイトだ。無駄な抵抗はしないでくれよ」 後ろ頭にガチャ、とライト・クロスボウを突きつけられた。逃亡者は体を硬直させた。数メートルはあったはずの距離を一気に詰められたのか? だが、そんな事が可能ならば元から自分は追いかけっこの時点で負けていたはずなのだ。 そう、間違いなく自分は相手より早く走れた。それは間違いない。だが、これは何なのだ。 様々な事、起こりえる事象を考え出した時に、そんなことをしている場合ではないと気づく。 相手が一人なら、体勢を一気に変えることで狙いを逸らしてから逃亡すれば良いのだ。 この近距離が逆に徒となる。クロスボウは、一直線の点での動きでしかない。 つまり、射撃線上から自分が外れれば、クロスボウというのは基本的に当らないように出来ているのだ。 なら、まだ逃げられるチャンスは十分にある。一瞬だけ不意を突けば良い。方法は思いつかなかった。だが、そんなに難しい事じゃないだろうと腹を決める。 一秒ごとに状況が変わっている。動くのが遅れれば遅れるだけ逃亡者は自分にとって不利だと当然の事実をきちんと認識していた。 逃亡者は膝を軽く曲げると、斜線上から頭をどかして何とか逃げようとして……諦めた。 その表通りは確かに、出た時は周囲には人影は無かったはずなのに……いつの間にか自分が囲まれていたからだ。 「さすがはマジカルポリス。魔法を使わせたらお手の物ですなぁ」 「いやいや、特務警護官の方達もとてもキレのある動きでしたよ」 逃亡者の周囲、囲むようにして先ほどの追跡してきていた男達と同じコートを着ている男達が銃を構えて自分を狙っていた。 そこでようやく悟った。周囲を囲む特務警護官達はマジカルポリスの力を得て、この場に潜伏していたのだ。 自分という魚をこの網まで追い立てる為に追跡者達は自分の逃げ道を塞ぐことだけに集中していたのだ。 「さ、チェックメイトだな。これで逃げ出せたらもう手品師みたいな物だ」 「…………」 逃亡者は臨戦態勢をとくと、ゆっくりと両手を挙げた。急な動作をするとそれが攻撃の為の動作であると思われて攻撃されるかも知れないからだ。 「被疑者確保」 「被疑者確保!」 「被疑者確保!」 真後ろで頭に銃を突きつけていた男が低く呟くと、逃亡者を囲んでいた男達の内の二人が銃を構えたまま近づいて来た。 後は警察と変わらない。お手本通りの武装解除、そして拘束。地面に転がされて、両手を後ろ手に手錠でかけられた所で全て終了した。 「でも、意外にあっさりでしたね」 「そうですか? 俺のベストはできれば路地裏で追いつく、くらいの事はして欲しかったんですが」 マジカルポリスと話しながら、男はクロスボウからダーツを外した。そのっまダーツを手に持ち、逃亡者へ近づく。 「ほい、それじゃ罰ゲームな」 先ほど逃亡者の頭に銃を突きつけていた男が穏やかな声でそう言いながら逃亡者の腕にダーツを向けた。 「え、いやちょっと待ってください隊長だから無理だっていったじゃないったぁぁああ…………」 ぶす……と、無情にも逃亡者……もとい、逃亡役の特務警護官の腕にダーツを突き刺すと男は痛みを訴えようとして、そのまま意識を失った。 「へぇ……凄い効き目ですねぇ。さすがお医者さんの国です、麻酔薬とはいえこんなにあっさりと意識を失うんですね」 「まぁ、一応うちはそういう方面に強い国ですからねぇ。こういったところは職人芸の一つなんじゃないですかね」 快活に隊長が笑う。それにつられて隣に居たマジカルポリスの上司も笑っている。 「いや、でも良い実地訓練でしたね。実際に隊員達が知らない街を舞台に逃亡者を追いかけるというのは」 「ええ。実際、我々は大統領に認可されれば藩国の垣根を越えなければなりませんからね」 「何々。治安維持活動の一環ですから仕方無いですよ。それに、なんだかんだと言いながらも皆さんすぐに適応なされた。すばらしい事ですよ」 「ありがとうございます。ただ、そちらもかなりやられますね。一応ね、この『特務警護官』というのはうちの藩王の肝入りで作られた新設部隊みたいな物ですから人員は選りすぐりみたいな感じで集めたのですが、こうまで最初からきちんと連携を取れるとは……」 「何々。最初から計画を立てておいて、その通りに実行してくれたおかげですよ」 マジカルポリスは笑って言うと、かなわないな、と言わんばかりに特務警護官の隊長は肩をすくめた。 「さて、それでは反省会でもしましょうか。色々とまだまだ問題点も残っていますね」 「そうですね。更に連携の精度を上げればもっと面白い事が出来るかも知れません」 「ええ、楽しみですね……」 特務警護官とマジカルポリス、両代表は笑い会うと、隊員達を集めて麻酔薬で気絶している隊員に中和薬を投与して、起きてから反省会を始めた。 [No.2188] 2009/01/26(Mon) 14:45:27 |