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No.2643へ返信

all EV172関係枝 - 玄霧弦耶@藩王 - 2011/05/26(Thu) 02:22:12 [No.2632]
完成&提出しました - 階川雅成 - 2011/06/27(Mon) 22:03:46 [No.2647]
人種族文章 - 階川雅成 - 2011/06/26(Sun) 00:38:46 [No.2644]
修正部分 - 階川雅成 - 2011/06/27(Mon) 21:03:52 [No.2645]
修正部分その2 - 階川雅成 - 2011/06/27(Mon) 21:34:39 [No.2646]
猫士種族設定テキスト(仮) - 玄霧弦耶@藩王 - 2011/06/25(Sat) 10:59:17 [No.2643]
意見箱 - 玄霧弦耶@藩王 - 2011/05/26(Thu) 02:37:47 [No.2635]
作業締め切り一週間延期のお知らせ - 玄霧弦耶@藩王 - 2011/06/18(Sat) 01:20:10 [No.2641]
ぬこ作業しますノ - イク - 2011/06/09(Thu) 03:26:24 [No.2637]
クレールさんのまとめ - 玄霧弦耶@藩王 - 2011/05/26(Thu) 02:23:01 [No.2633]
うちに関係する所を抜粋+簡単なまとめ - 玄霧弦耶@藩王 - 2011/05/26(Thu) 02:37:10 [No.2634]


猫士種族設定テキスト(仮) (No.2632 への返信) - 玄霧弦耶@藩王

なんか、すごく長くなったし、最後の〆の文章がガンパレリプレイで見たような気がするけど、大体こんな感じに仕上がりました。
問題点や疑問点、その他長すぎるんで削れとかあったらレス下さい。
概ね、必要な部分はかけてる・・・はず。

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『ほんとうにいろんなものがかわりましたが、ひととねこのかんけいは、かわりませんでした。』



                       「ねこのきょうだい」より抜粋。


/*/


玄霧藩国のとある一軒家。

大きすぎるわけでもないが、小さくもない、平凡な構えの家。

窓際には大きな猫、ベッドには横になった子供、そして、本を読み聞かせる母親。

子供はまだまだ遊び足りないという様子だが、絵本の内容も気になるようで、ベットのなかでそわそわとしている。

そんな親子を横目で見ながら、絵本の物語を聞いていた猫が眼を細める。

その物語は、昔々の話。

猫と人間の話を書いた、絵本だった。


/*/



むかしむかしのおはなし。



どれほどむかしかわすれてしまうくらい、むかしのおはなし。

このくにでは、みんなかぞくでした。

そらをとぶとりも、はやくはしるうまも、みんなみんなかぞくでした。

そのなかでも、ねこは、とくになかよしでした。

なぜなら、ねこはみんなとおはなしができたのです。

とりやうまもおはなしはできましたが、おはなしできるのはおじいちゃんやおばあちゃんだけでした。

けれども、ねこはみんながおはなしができたのです。

だから、ねこは、とくになかよしでした。

かぞくのなかでも、ねこはきょうだいのようなものでした。



ながいあいだ、ひととねこは、いろんなおはなしをしたりして、すごしていました。

ときには、ひとがなやんでいることを、ねこがおもいついたことでかいけつすることもありました。

そんなあるひ、いそがしそうなひとをみて、ねこがいいました。

 「やあきょうだい、たいへんそうだね。なにかてつだおうか?」

それをきいて、ひとはほほえみながらかえしました。

 「ありがとうきょうだい。でも、えんりょしておくよ」

ねこは、すこしかなしくなりました。

きみたちはものをもてないし、たってあるくこともできないので、むりだよ。といわれたきがしたのです。

だからねこは、ものをもつことからはじめました。これは、もつだけなら、けっこうかんたんでした。

つぎに、あるくこと。ずっとはちょっとたいへんだけど、たってあるくのも、むりではありませんでした。

ねこは、ながいじかんをかけて、たってあるいたり、ものをもてるようになったのです。

そして、あいかわらずいそがしそうなひとをみて、ねこはいいました。

 「やあきょうだい、たいへんそうだね。これをはこべばいいのかい?」

ひとは、うしろあしだけでたち、にもつをもつねこにおどろきました。

でも、すぐににっこりとわらい、いいました。

 「ありがとうきょうだい。それじゃあ、いっしょについてきておくれ」

こうして、ひととねこは、いっしょにおしごとをするようになりました。

ひとはねこにてつだってもらい、そうして、いろんなものがかわっていきました。


それから、ほんとうにいろんなものがかわりましたが、ひととねこのかんけいは、かわりませんでした。

いまでは、みんなみんなかぞくということを、すっかりわすれてしまっているひともたくさんいます。

それでも、ひととねこのかんけいは、ずっとずっとかわりませんでした。

きっと、これからもこのかんけいは、ずっとずっとかわらないでしょう。

ひととねこは、きょうだいなのだから。



/*/


………

……




「めでたしめでたし、おしまい。……あら?」

母親が本を閉じながら、すやすやと寝息を立てる我が子に毛布をかける。
毛布の重みが気になるのか、もぞもぞと動く子を、優しい瞳で見つめる母。
暫くその様子を眺めていると、声がかかった。

「おっ、もう寝ちゃった?」

「ええ、もうぐっすり」

「いいなぁ。俺も絵本読んで寝かしつけたいなぁ」

「あなた、読んでる間に熱中しちゃうでしょ?」

父親が入り口から覗いていたようだ。
うらやましそうな父親と、それに答える母親。大よそ、何時もの会話だ。
暫くごねる子供をあやすような会話が続いていたが、不意に寝ている子供がモゾリと動いた。
……どうやら、寝返りをうっただけのようだ。あちらの夫婦も胸を撫で下ろしている。

「一瞬、起きたかと思ったわ」

「起きてたら次は俺が絵本読むよ」

「はいはい。じゃ、今のうちにお風呂入っちゃうわね」

「じゃ、こっちは晩酌でもしておこうかな」

と、父親のほうと目が合った。
どうやら、お誘いを受けているらしい。
これもまた、何時ものことなので、私はのそりと身を起こし、窓べりから床に降りた。
『はてさて、今日は何の話を肴にしようか』
等と考えながら、食卓へと四つの足で歩き出す。
立って歩くのは、それなりに疲れるのだ。これくらいでバチもあたるまい。


/*/


食卓に着くと、テーブルには既に幾つかの肴と徳利が用意されていた。
何時も私が座る位置に専用の座布団まで置いている。
どうやら、連れ合いが寝かしつけている間に用意したらしい。
相変わらず、そつがないやつだと感心する。

「今日は鰯が旨そうだったので鰯尽くしにしてみたよ」

嬉しそうに語るヤツを尻目に、所定の位置に座る。
こちらの猪口に注いでもらい、こちらも体を伸ばして返杯する。
そのまま、無言で一杯飲む。
ここまでが、何時ものパターンだ。

「さて……今日は何の話をしようか?」

ヤツが徳利でこちらに注ぎながら、話を振ってきた。
少々思案するフリをしつつ、答える。

「そうだな。じゃあ、先ほどの絵本の話でも」

「さっきの絵本かー。お婆ちゃんに聞いた話と大体同じだったなぁ」

「まあ、こちらで伝わっている話も大体一緒だがな、幾分か抜けている部分もある」

「思想の違いってやつかね?」

「いや、単に、絵本にするに当たって長くなる部分を省いただけだろう。それに…」

「それに?」

「絵本でまで都合の悪いことを隠すほど、我らの仲は悪くなかったと記憶している」

「違いない」

笑いながら答えるヤツの猪口に酒を注ぎながら、私はしばし、我々について語ることにした。


/*/


そもそも我々猫が人と意思疎通が出来るのは会話が可能というところが大きい。
他の種にも会話が出来るものはいるが、極々限られたものしかいない。
このあたりは絵本でも書かれていることだ。
問題はなぜ会話が出来るか、という部分だが、これについて調べた結果、一種の魔法であると結論付けられている。
古くからこの国にあった思想と、森国であることの効果が、共和国の象徴である猫に強く結びついた結果、だそうだ。
『猫の神様』と呼ばれるような猫だと、絶技メッセージとやらをつかえるようだが、これとも違うようだ。
我々が絶技の類をつかえると言うのは聞いたこともないしな。通訳の魔法、といった所か。
詳しくは学者先生にでも聞けば何時間でも語ってくれるだろう。
まあ、細かいところは知らないが、そういったこともあって、我々猫にも魔法の素養はあるわけだな。
もっとも、殆どの森国人たちにはあるものだし、我々は基本的に会話位にしかつかえないが。

ん?「『基本的には』というのはどういうことか」だと?
君も知っての通り、我が国には魔法医や精霊医がいて、寮がある。寮では、猫士の教育もしているな。
つまりはそういうことで、素養を持ったものがしっかりと過程を踏み、利便さ・危険さを学んだ上で魔法を使うわけだ。
勿論、好き勝手につかえるわけではない。あくまで仕事の際に適切に使う訳だな。
そうそう、『素養を持ったもの』については、手先の器用さなども含まれるな。
何せ、こちとら肉球付きだ。持ったりするのは問題ないが、細かな作業をするには余り向いてるとは言えない。
そんな中にも、器用なヤツはいるもんで、色んな道具を人並みに使いこなすやつも、いる。
口に咥えてつかえるものならそういう風に改良するやつもいるな。此処までくると趣味嗜好の問題とも言えるが。
わかりにくければ、『手先が器用だったり、魔法の素養が強いものが猫士になりやすい』とでも覚えておけばいい。

なに?「じゃあ二足歩行はどうなの?」ときたか。
そうだな、学者先生曰く。
「森の多いこの国で木の上に登ることも多く、立ち上がる姿勢になじみがある事」
これが土台になってるらしい。私もコツをつかめば直ぐに立てたさ。ま、疲れるので余りやらんが。
そういったこともあって、殆どの猫がやろうと思えばできるので、そんなに重要視されていることではないな。
確か、先ほどの手先の器用さにも、二足歩行を行うことで前足が空いたことが作用したとも言っていたな。
とは言っても、人より器用なヤツはそうそう居ないな。一般猫並みから人並みくらいだろう。
訓練をつんだ猫士ともなれば、もう少し器用だったりするんだろうがな。

「何だか適当だなぁ」だと?
……まあ、我らは猫だ。猫は猫らしく、適当でいいではないか。
いやいや、今言ったことは全て、ちゃんと研究も証明もされていることだがな?
こればっかりは性格だ。許せ。猫の中にも生真面目なやつもいれば、私のようなのだっている。
ついでに言うと、体格も結構まちまちだな。大きいやつでも立ち上がって1m20cmくらいだが。
手先の器用さも含め、この辺は全部、人だって同じだろう? 
長い長い時間を共に過ごしてきたんだ。人も猫も、環境に適応していった形がコレなんだろうさ。


/*/


……ひとしきり語り終え、私は猪口を置いた。
目の前の男は今回の話がことのほか気に入ったようで、次々と疑問を投げかけてくる。
こちらとて詳しいわけではなし、多少疲れたのもあり、適当にあしらっていたが、その中に、こんな質問があった。

「この国には昔々、全身緑の猫も居たって聞いたが、マジで?」

ずいぶんと懐かしい話だったので、ついつい真面目に答えてしまった。

「あぁ、確かに居たぞ。と言うか、今も居る所には居ると思うぞ」

漸くまともに帰ってきた言葉に関心を示したのか、続きを催促する目でこちらを見てくる。
やれやれと思いつつ、私はもう一席ぶつ事にした。

「数はだいぶ減ったと思うがな。まあ、この国の猫は長い間に混血も進んでるので、全体で一つの種類みたいなものだ」

「ふんふん」

「そういった血が混じっている以上、隔世遺伝やなんやらで、ひょっこり生まれることもあるだろうさ」

へぇー、と言いながら鰯の刺身を食べるヤツに、続けて言った。

「まあ、今のところは寒色系の猫が多いみたいだな。黒やら深青やらのな」

「確かに、そういうやつばかり見かける気はするなぁ」

「言うなれば、我々の種類の猫は、この国の名前を取って『玄霧猫』と言ったところか。語呂が良いのやら悪いのやら」

「…じゃあ、俺たちは『玄霧人』ってか。なるほど」


微妙に違う気もするが、まあ、面倒だし似たようなものだしで、それ以上は言わなかった。


/*/


その後も適当に会話しつつ晩酌を続けていたが、不意に「そういえばさぁ」と、前置きをして、ヤツが言った。

「今日はまだ、乾杯してなかったな」

……本当に、いまさらである。
既にヤツの連れ合いは風呂から上がってとっくの昔に寝ていると言うのに。
まあ、それを言うのも無粋なので、調子を合わせる事にした。

「そう言えばそうだな。では、何に乾杯する?」

「じゃあ……『人と猫の兄弟』に、だ」

大方、酔った上に先ほどの絵本に感化されたのだろうが、全く、何時もの事ながら臭い事を言う。
だがまあ、こういうところが嫌いでは無い辺り、こちらも似たようなものだろうか。
一点だけ気になる部分があるので、直しつつ、賛同する。

「長いな。『兄弟』で良いだろう」

こちらが乗っかってきたことが嬉しいのか、ヤツがニカリと笑いながら猪口を掲げた。
こちらも、それにあわせて掲げる。

「では、『兄弟に』」
「『兄弟に』」

二人そろえて、猪口を前に出しながら、次の言葉を言った。

「「乾杯!」」


そのまま、二人で一気に酒を煽った。


……まあ、酔った挙句に芝居がかった乾杯なんかしたおかげでテーブルにこぼしたりもしたが。些細なことだ。
改めて、人と猫とのこんな関係は、この国がある限り、早々変わらないと感じるには十分だった。

人と猫は、種族が違うが、似たところはある。そして、お互いを理解できれば、友人になれる。
気の会う友人と長い時間を過ごせば、血の繋がりは無くとも、兄弟のような関係になることもあるだろう。

我々猫は三日たてば恩を忘れると言われる種族だ。
それについては種族差別だ個体差だと否定したいところだが、忘れっぽいのが多いのは、確かだ。
だが、猫だって本当に大事なことは忘れない。人の血の繋がらない兄弟としての関係だけは、忘れない。

ああ、あの絵本は、本当に大事なところは、しっかり書いていたようだ。

『ほんとうにいろんなものがかわりましたが、ひととねこのかんけいは、かわりませんでした。』

これが、ずっと続けばどんなに良い事だろうか。


[No.2643] 2011/06/25(Sat) 10:59:17

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