冬木さんワールドがぎゅん! と詰まった、なんとも美味しい話でした。(^ー^) まるでおとぎ話のラジドールの話の様々ヴァージョンは、実に興味深いというか……幾重にもなったヒダのような感じがします。 エルドローイの不思議な魔法(?)も夢があって、でも、どこか恐ろしくて。夢中になりすぎちゃ危ないよーという不安な感じもします。 思えば、子供時代って子供っぽい不思議な感覚の中にいることもあって、常に不安定で恐ろしい世界にいたような気も? そう思えば懐かしさすら感じます。 夢見乙女の伝説は、何となく姿が里菜なんですが、イメージが全く違っていて、不思議なパラレル感を味わいました。まぁ、ローイやアルファードもそうなんですけれどもね。幻想的でありながら、どこかSFっぽい空間が広がっていて、壮大でした。 ラストは……ちょっと予言のようなエルドローイのセリフに思わずうるるんときました。 『世界のどこかに、君の居場所がきっとあるよ』 ネットで多くの『異世界迷い込み』が支持される要因のひとつかな? と思うのですが、なかなか自分の居場所を見つけられないことってありますよね。特に、子供や思春期の頃って。 家にいても「きっと橋の下から拾われてきた子に違いない」と思っていましたもの。それで、色々自分のあるべき姿を想像して遊んだり。でも、ある日自分が母親そっくりなのに気がついて、ショックを受けた。(笑) きっと、想像の世界のほうが現実に近く感じていたのかも知れません。 チェナが、旅芸人一座が色あせて感じる場面は『子鹿物語』のラストを思い出しました。それに、プラネタリウムを見て感動できなくなった自分やら。 確かにその通り、大人になると子供の頃にワクワクしたことが、突然つまらなくなることもありますよね。 これは迷い込みものではなくて、迷い込み一歩手前のお話ではありますけれど、やはり一種の異世界迷い込みで『行って帰ってきた』感じがします。 チェナがどんな人生を歩んでいくのか……平凡だけど、きっと幸せな一生を送りそうな気がします。 雰囲気は物悲しさも漂いますが、とても前向きなお話だと思いました。
[No.62] 2006/12/21(Thu) 23:29:06 |