Re: SR009SとSRM-253の組み合わせについて。 (No.17383 への返信) - 逸品館 代表 |
アキさん、こんにちは。
ダイナミック型にはその長所と短所があります。 コンデンサー型も同じです。
振動板を軽くするためには薄くする =強度が低くなる。
低音を出るようにするためには、振動板を大きくする =重くなる。
ヘッドホン含むは、この相反する問題のバランスを どのように解決するかがポイントになります。
振動板の厚みは、全体を駆動できるコンデンサー型の 方が振動板の強度が低くても良いのでダイナミック型 よりも薄くできます。
しかし、薄くすると強度が下がり、空気を一瞬で強く圧縮する ことが難しくなり、音のエッジが丸くなります。
音のエッジが丸くなると、解像度が下がり ダイナミックレンジも小さくなります。
SR-253は、この問題に対処するため、音の立ち上がりが 鋭くなるように作っています。
STAX純正のアンプは、音が細やかで滑らかなので バラードやシズカのボーカル、室内楽などには 向いていますが、パンチ力がやや弱いので ロックやポップスなどの曲では、 腰砕けのような感じになると感じています。
背中がかゆいとき、服の上からひっかいているような もどかしさを私は感じます。
ダイナミック型の高級機では、逆に高音がすこし強くなりすぎて 楽器のすぐ側で聞いているような感じがします。
演奏全体よりも、楽器そのものの「音」に注目して 聞くような感じであれば、メリハリの強いダイナミック型は 向いていると思いますが、私はもう少し離れた位置から 演奏全体が見えるように聞くのが好みです。
そのため、ダイナミック型では、それほど高級でないほうが バランス的に好みです。 ダイナミック型で愛用しているのは、Sennheiser HD-25です。
コンデンサー型では、ダイナミック型では味わえないリアルさを 求めたいので、音はうんと細かい方が、空気の動きまで感じられる ような再現性を求めますが、これを実現できるのはSTAXの高級モデル しかありません。
けれど、先に書いたようにSTAX純正のアンプでは、 音の角が丸くなりすぎます。
SRM-253とPAC-253の組合せ(電源は必ずPAC-253をお使い下さい)では このアタックと、低音の量感と力感が大きく改善されます。
私の感覚では、最も生演奏を聞いているのに近く 録音モニターに使ったときは、ヘッドホンの内側から 音が聞こえているのか、外側から音が聞こえているのか 判別できなくなります。
唯一残された問題は、前方定位しないという所です。 ヘッドホン用に発売されている、様々な前方定位アダプターを 試しましたが、夢は叶いませんでした。
録音現場では、外側の音をカットしないといけないので 密閉型のSennheiser HD-25を使っています。
普段は、音の良いスピーカーで音楽を聴ける環境になりますから ヘッドホンには、それほど音の良さを求めなくて済むので かなり古いですが、AKG K-500をYouTubeの編集用に使っています。
SRM-253/PAC-253は、STAXのイヤースピーカー (彼らはヘッドホンと呼びません)を私の理想とする スピーカーに最も近い感覚で音楽を聴けるヘッドホンシステム に近づけるために開発し、前方定位の問題を残して、 その目的はほぼ100%達したと感じています。
ご検討のほどよろしくお願い申しあげます。
[No.17384] 2021/08/07(Sat) 12:28:04 |