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「どらEMON、お前は間違っているよ。その点をこのゼクロスが説明してやろう。我々は何も世界を壊そうなどと考えていない。イカたこさんの考えを教えてやろうか? 今の腐った世界を、平和へと変えるのさ。平和の為には武力が必要だ。今まで、平和と呼ばれていた状況は武力を使い、ある程度の支配をされている状態だろう? 日本の江戸幕府を考えてみろ。徳川家康が武力で勝利したおかげで三百年近く平和が続いている。そして今の二十二世紀は決して平和では無い! 表面上では平和でも、まだまだセコイ手を使っている政治家などがいる! 我々が世界を手にしたら、そんな事は絶対に許さない法律を作るのだよ。今の状況ではそれは無茶だ。だから世界の政治の実験を握るのを目的に、その手段としてあのレリーフが必要なのだよ。未来を壊しているのは今の二十二世紀の住民共なのではないか?」 「理解できんな」 「黙れ。このゼクロスの考えも理解できないデストロンの隊員め。イカたこさん率いる我々は平和というエネルギーが枯渇している二十二世紀を救う為、別の手段で世界を助けようとしているサイバトロンなのだよ」 ゼクロスはそう言い終わると笑い出した。誰もがその行動を疑問に思った。その時だった。 ロボット、腕をどらEMONに向けて叩きつける。どらEMONは刀でそれを防ぎ、さらにそのまま右腕も斬ろうとした。だが、それすらもゼクロスの作戦の内だった。ロボットの左足から、弾丸が発射される。どらEMONは防ぐ手が全く無い。 終わった―― どらEMONはそう考えた。覚悟はしていた。自分が死んでもいいという覚悟は。だが、覚悟をしてもどうしようも無い状況だった。防ぐことなどできない。 のび太はその様子を見ていた。ドラえもんも、ジャイアンも、スネ夫も、静香も。ドラえもんの腕は何とか治りかけていた。道具を使ったからだ。だが、今走り出しても届かないだろう。 のび太の頭の中では、あの光景がまた流れていた。助けられなかった犬。車に轢かれて、抱きしめられなかった犬。いつしか、その犬がじおすに変わり、じおすが車に轢かれるという光景が頭の中で流れた。また、助けられないのか。そうやって、のび太のもう一つの心が問いかけているようだった。 人は、死ぬ直前に何を見るのか。それは、過去の記憶が走馬灯の様にめぐってくるとも言われる。そして、死ぬ直前に起こった出来事が異常にスローモーションで感じられる事もある。それだった。今、どらEMONはスローモーションでその光景を見ていた。だが、体は動かない。 どらEMONは昔、アニメとかでそういう光景を見ると「避けろよ」と笑っていた。だが、それの避けれないというのが本当に起こる出来事なんだと今、理解した。避けれないのだ。体が思うように動かない。 金縛りのトリックも同じようなものだった。金縛りというのは頭は起きているのに体は起きていないので動けないというのが理由だという。それと同じだ。全くもって同じなのだ。 だが、その弾丸は当たることは無かった。全て、弾かれたのだ。どらEMONに当たる直前で、全て弾かれたのだ。恐らく、たいした武器では無いだろう。軌道がズレたのだ。 「このゼクロスの作戦が、失敗した……?」 ゼクロスは呆然としていた。そして、その間だった。どらEMONは力がかからなくなった腕から脱出し、その腕を斬った。そして、そのまま空を歩くようにして、コクピットへと駆ける。 「しまった!」 ゼクロスは急いで操縦桿を握りなおし、ロボットをのけぞらせた。どらEMONは対応できず、転がり落ちる。そして、ロボットをもう一度体勢を立て直させた。だが、その頃にはどらEMONも元の状態に戻っている。 撃ったのは誰か? その答えは簡単だった。立ち上がろうとしていた者だ。助けられなかった人を、その手で助けようとした者だ。抱きしめようと、命を失わないよう、抱きしめようとしていた者だ。 ドラえもんは呟く。 「のび太……!」 そこには、『ショックガン』を握り締め、涙を拭くのび太の姿があった。しっかりと、地面を踏みしめ、ゼクロスの方をにらむ。その姿は、勇者を彷彿させる。 「助けるんだ。今まで助けられなかった分。何人でも!」 のび太はそう叫ぶと、『ショックガン』を構えた。『ショックガン』じゃ大したダメージは与えられない。それは理解している。だが、これは細い木ぐらいなら倒せるぐらいのパワーは持っている。だからこそ、のび太は最高のサポートになる所へと撃ち込んだ。 それは『メインカメラ』だ。ロボットだからこそ、カメラがなければ周りが見えない。もちろん、サイドのカメラはあるであろう。だが、メインカメラが最も重要なのは変わらない。だからこそ、のび太は撃つのだ。 どらEMONはそれを感じ取った。引き金を引くのは何秒後にやればいいか。それを静かにサインで伝えた。ゼクロスからは見えない死角。ゼクロスからは感じ取れない死角。 後五秒、四秒、三秒。どらEMONはゆらりと動き始めた。二秒。ゼクロスは、操縦桿を握った。銃弾を撃ちこみながら蹴りを入れる作戦だった。一秒。どらEMONは構え、走る体勢を作る。一秒。 のび太は、引き金を引いた。メインカメラが割れる音が場に響き、どらEMONは走り出した。コクピット近くだと感づかれる。狙うなら、『あそこ』だ。 「カメラを撃ったか!」 ゼクロスは少し慌てたものの、操縦桿を握り、サイドカメラを頼りにロボットをジャンプさせた。どらEMONがコクピットを狙っていたのなら、着地する時に踏み潰せるタイミングだった。だが、違うのだ。どらEMONがどうしようとしているのかの予想は、見事に外れた。 どらEMONは日本刀を握り締め、目的の場所へと突っ込み、穴を空けた。そして、ポケットの中のライターを握る。 そこは、燃料タンクだった。そして、ライターのスイッチを付け、そのライターを入れる。後ろへとジャンプし、ロボットから離れる。 「燃料タンク! だが、何を……」 ゼクロスがそう言った瞬間だった。ゼクロスのロボットが爆発し、一気にロボットは炎に包まれた。赤い、不完全燃焼の炎がロボットの周りを包む。機体が静かに溶け始める―― コクピットも、赤い炎に包まれた。少しずつ、ゼクロスの体を焼いていく。脱出はできなかった。ロボットがその場に倒れる振動が伝わってくる。 「このゼクロスが! 後の世に名を残す、ゼクロスがぁぁ!」 叫びながらも、むなしい感じが体を伝っていた。もうどうしようもない虚しさ。操縦桿をつかもうとした腕も、無様に空を切った。操縦桿は、すでに溶け尽きていた。 ゼクロスは思い出す。何故、イカたこの軟体防衛軍に入ったのかを。それは、名を残したかったからだった。西郷隆盛の様に、ナポレオンの様に、名を残したかったのだ。 何故、名を残したかったのであろうか――? ゼクロスの考えはそこまで及んだ。そうだ、あれだ。あのせいだ。ゼクロスは思い出した。自分の親友の名前だった。 その親友は、自分よりも才能があった。だが、ある日だった。警察が間違えて撃った銃弾にやられてしまった。天才も、死んでしまえばただ虚しいものだと悲しみの中、ゼクロスは学習した。 だが、そんなある日ゼクロスはある人物の伝記を読んだ。その人物も、親友を亡くしていた。そして、その親友のことを演説で話したのだ。そして、その親友の名もその偉人と共に残っている。 ゼクロスはそれを見て考えた。自分が有名になれば、有名になれば親友の名前も残るんだ。虚しくなんかないんだ―― 「ああ、そうか……」 ゼクロスは自分の命が消えていくのを感じながら親友の名前を思い出す。 ごめんな、名前を残せなくて。ごめんな、俺がこんなに駄目で。ごめんな、俺のロボット技術が中途半端で。 「ごめんな、マ……サ……ト」 ゼクロスはそう呟くと、炎に包まれながら絶命した。あの世で親友、久原マサトに会えることを祈りながら―― [No.227] 2007/12/25(Tue) 14:35:52 |
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