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目が覚めた時、じおすはその光景を信じることができなかった。何故か? 自分が寝ている場所がフカフカのベッドだったからである。触ってみてもなめらかで、二十世紀から使われているのとほとんど変わりがない。そこが不思議だったのだ。 じおすは冷静に考える。紀元前、この様なことになっているなどありえない。それがじおすの頭の中の常識だった。だが、違ったのだ。じおすが見る限り、このベッドは間違いなく、化学繊維でできているものなのだ。 さらにじおすは部屋の中を見渡した。自分以外はいない。窓はガラスで出来ている。そして、上を見ると電球の様なものが付いていた。黒いコードが電球へ繋がっていて、部屋のドアの向こうへと続いている。服を見ると、真っ白いシャツとズボンに替えられていた。 さすがに、二十一世紀とかのとは違う。形が違ったり、コードが太かったりなどだ。だが、その技術力は間違いなく、二十一世紀レベルだったのだ。じおすは、信じられなかった。鉄やガラスなど、様々な資源まで使われているのだから。 その時、ドアが開いた。じおすは少し身構えた。出てきたのは、白衣を着た茶髪の男だった。年齢は、じおすより少し上ぐらいであろうか。 「おお! 目覚めたのか。異国の住民よ」 「あなたは、誰ですか?」 じおすはまだ身構えていた。声や顔からして、良い人のような顔をしていると感じたが、ここで警戒は解けない。それがじおすの考えだった。言葉は『ほんやくコンニャク』で通じているようだった。 「私か。私の名前は名無し。変な名前だと思うかもしれないが、これが名前だ。科学者、とでもいうのかね。それが仕事だ。で、君の名前は?」 名無し。その名前をじおすは知っていた。あのレリーフを作ったとされている人物。名無し。紀元前の、科学者。 じおすの感情が昂ぶった。歴史上の人物。二十二世紀では偉人に会えるのではないか、と感じる人がいるであろう。だが、違うのだ。二十二世紀の法律で、過去に戻った時、その人物に干渉してはならない、となっている。なぜか、世界が壊れる可能性があるからだ。 のび太達はかなり昔の人と関わっている。だが、それに関しては許可されている。それはのび太達のその行動によって、現在があるという状況だからだ。そうでない場合、そういうのは無理だ。 だからじおすは興奮していたのだ。 「僕の名前はじ、じおすです」 「じおす、じおす君。早速だが君に聞きたいことがある」 名無しはそう言うと、手に持っていた服をじおすに突きつけた。それはだ、じおすが着ていた服、スーツであった。名無しは少し興奮しているように見えた。 「これは何かね?」 「それは僕の服です」 「そうだよ、その通りだ! だがね、気になるところがあるのだよ。この服は私が開発した新素材だ。それだけではない、この村で使われている技術は私が開発したものだ。それのおかげで、マー婆さんがこの前お礼としてパイを作ってくれた。あれは美味しかった。それでだ、重要なのは次だ、次。この服に関して!」 さっきからじおすが驚いていたあの技術。全て、この名無しが考えてできたものだったのだ。だが、今はそれが重要なのではない。名無しは、じおすの服を着て考えていたのだ。恐らく、ある程度の知識人だったら考えることだ。 「この服の素材は、私が作ったものの一段階上の素材だ! 君は何処の村のものかね? それだ、そこの村の科学者に会いたいのだよ!」 名無しの目はランランと輝いていた。名無しは、この時代の科学者で、この村で生まれた。村の名前はアドバン村。紀元前の普通の村だったが、名無しの開発によって変わったのだ。様々な技術が使われ、資源に関しては発掘すればいくらでもある。名無しは、若くして実質村の長となっていた。 何故、名無しが目を輝かせながらじおすに聞いたか。それは、名無しの探究心からだった。雷を見たり、静電気に触れたりしたことから、名無しは電気を作り出すことが出来た。じおすのスーツを作った技術を持っている人と協力すればさらなる技術が生み出せるかもしれない。それが、名無しの考えであった。 じおすは迷う。答えていいものか。だが、じおすは考えに考えた末、答えた。 「名無しさん、信じてもらえないかもしれませんが、僕は、未来人です」 じおすがハッキリと言うと、名無しの目の色が変わった。さっきまでよりも更に、輝き始めたのだ。未来、その言葉は名無しにとってとても重要だった。 「未来? 未来だと言ったのか。成る程、それはとても興味深い。ただね、証拠を見せてほしい。例えばだ、未来の様子だ。もしかしたら、さらに凄い科学者がいて、そいつの存在を隠蔽したいんじゃないかとも考えられるからな」 「……どういう風にやれば証明完了とみなされるんですか?」 じおすは焦った。あのゼクロスとかいう奴と同じようなタイプの変人じゃないか。それが、じおすの思ったことだ。だが、一つだけじおすが安心したことがある。名無しはじおすの敵ではない、という事だ。 「私の質問に答えてほしい。恐らくだ、時を移動する道具などがあるからどの時代を答えるか迷うかもしれない。君が生まれた時代を頼む」 「分かりました」 じおすは少し不安を感じたが、名無しは構わず進めた。 「まず、一つ目。君達の世界ではどういう暦で動いている?」 名無しの質問が始まった―― 「ハルル……いや、違ったな。ハウルスだ。ハウルス、少し来てくれ」 「何? ジャール。名無しさんなら病院ですよ」 ハウルスは、ジャールという男に言われてそう答えた。ハウルスは名無しの研究者仲間で、村の中で中より上の地位を持つ。名無しとはよく共に研究をし、さっきも名無しと『ある物』の研究をしてから帰る途中にじおすに出会ったのだ。ジャールは村の正式な長の家の生まれで、大男だ。正式な地位は一番上だが、名無しには実質負けている。 「ハウルス、お前に用があるんだ。来い」 「分かりましたよ……」 ジャールはそう言うと歩き出し、村から少し離れた。村から出て少し行くと、森の中へ入る。その森の中へ、ジャールとハウルスは入っていった。ジャールは辺りを見回し、こう言った。 「ハウルス。お前と名無しは最近、何処かにある何かを研究しているそうだな。それは何か言え」 「単刀直入すぎじゃあないか? そもそも、お前に何故教えなければならない」 「本題に入る前に一つ言いたいが、名無しの前では敬語を使うが、俺には使えないということか?」 「その通り。敬意を表す価値が無いからな、お前には」 ジャールは舌打ちした。ジャールは自信家だ。自分が何でも一番だと思っている。だが、村の住民は分かっていた。ジャールはただの自信家にすぎないことを。ジャールの周りには、ゴロツキがいる。ジャールはゴロツキのボスだ。だから、村の住民は本音を言えない。 だが、ハウルスはジャールの心の弱さを知っている。ジャールの心は、思いの他、脆いのだ。だからハウルスはこんな態度をとっているのだ。 「確かだ。名無しさんが電気を使った道具を作った時、お前は暴れたよな? そんな筈は無いと。ま、結局は名無しさんの研究所を破壊しようとして、電気ショックでやられてしまったがな」 ハウルスは笑う。 「それは関係無いだろうがッ!」 「関係ある。もしもだ、もしも、お前の弱い心であれを見てしまったのなら、お前は暴れまわるに違いない。そして、それを破壊しようとするに違いない。だから教えたくない。良いか?」 そうハウルスが言った途端、ジャールはきれた。俺をナメるな、ナメるんじゃねえ。俺は、俺は、一番だ。ジャールは心にそう言い聞かせた。そして、気づいた時にはハウルスは吹っ飛び、木に叩きつけられていた。 「だから見せたくねぇんだ。この程度で揺れてしまうんだからな」 ハウルスはそう言って立ち上がると、土をはらって歩き始めた。ジャールは後ろから殴りかかろうとしたが、体が動いていなかった。ただ、嫉妬の心だけがうずまいていた。 ただ、嫉妬するだけだった…… [No.238] 2008/01/08(Tue) 15:08:33 |
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