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「成る程、じおす君。君の言う事を信じよう」 名無しがこう言ったのは、じおすに質問し始めてから数時間後だった。その間、名無しは質問をし続け、じおすはそれに答えていたのである。そして、名無しは二十二世紀の事を完全に理解していた。じおすは疲れを感じていたが、開放されたことによってホッとしていた。 時代が変わっても、この光景は変わらないんだな―― 外はもう暗くなっていて、月が出ていた。その光景を見て、じおすはそう思ったのである。当たり前の事で理論とかも理解していたが、じおすはそれに感動を覚えていた。 「さて、じおす君。歩けるよな? 今日の夜飯はマー婆さんが作ってくれたものだ。マー婆さんの料理は絶品だぞ」 名無しの顔は笑っていて、じおすをリードするような歩き方でドアを開いた。名無しは大満足だったのであろう。じおすは今まで、飯はこの部屋に運ばれてくるのかと思っていた。だが、違った。ここは病院という認識は正しかった。だが、食事の時は、食堂へと移動したのだ。 それに驚いていた。じおすは起き上がり、歩き出した。ベッドの横に、台が横たわっているのが見えた。点滴の為の台だ。じおすは一日ぐらい前まで付けていた。現在の病院と同じように、これで栄養をとっていたのだと理解した。 食堂には、他の患者と看護師、名無しが言っていたマー婆さんがいた。全員が笑顔で、席に座ろうとしていた名無しもニコニコと笑っていた。マー婆さんは手に大きな鍋を持っていて、それを器に振り分けていた。 患者からマー婆さんから何から何まで、欧米人だ。じおすは日本人だから、少し変な目で見られたが、それが悪意の目では無いことはすぐに分かった。 「これが未来人のじおす君だ!」 「未来人? ああ、そうか。だから顔が違うと思ったぜ!」 「話を聞かせてくれよ」 じおすが席に座ると、患者達はすぐに話しかけてくる。じおすは笑いながらその質問に答えた。この時代に来て、じおすが初めて感じた感情がわきあがってきた。それは楽しさ、だった。一緒に誰かといるという事の楽しさだった。 「今日はシチューだよ。たんと食べな!」 じおす達の前にシチューが置かれる。湯気が出てきて、美味そうな香りが鼻にいく。スプーンを片手に持ち、患者達は一気に食べ始める。じおすは小声で「いただきます」と言った後、食べ始めた。 シチューはトマト味で、中には牛肉の胃袋が入っている。この料理は、トリッパというもので、じおすはこれを初めて食べた。じおすはモツ鍋とかでモツは食べたことがあるので、肉の食感がそれに似ているという事が分かった。肉は柔らかく、トマトの味がさらにそれを引き立てていた。 「美味しい! さすがマー婆さんだ!」 「そうかい? 嬉しいねぇ」 こんな会話が繰り返され、食べ終わる頃にはじおすも完全に打ち解けていた。人種は違っても、心が通じあうのだ。楽しい会話が続き、じおすはある質問をした。 「僕の治療は誰がやってくれたんですか?」 それを聞くと、名無しが自慢気に答える。 「私さ。この病院での手術とかの治療は私がやっている」 「まあ、そこまでの怪我の患者は滅多にやってきませんがね。だから名無しさんは研究者も続けられているんです」 看護師がそう言い終わった時だった。病院の玄関の方から、ドアが開く音がした。そして、声。息切れしている、ガラガラの声。 「誰かしら?」 看護師の中の女性が玄関の方へと行った。その間、会話はほとんど交わされない。そして、その女性の悲鳴が響いた。 「どうした!?」 名無しや看護師、じおすも駆け出した。そして、玄関を見る。 そこには、ハウルスの姿があった。傷だらけで、ボロボロのハウルス。服は破れ、顔からも、体中から血が出ていて、玄関に倒れていた。 「ハウルス君! どうしたんだ?」 名無しがハウルスを抱きかかえる。名無しとハウルスは師匠と弟子といってもいい関係だった。子供の頃から、二人で色々な事をやっていた。完全に、打ち解けていた仲だった。その声には、深い心配が混じっていた。 ハウルスは、ゆっくりと口を開き、ゼエゼエと途中途中ではさみながら喋り始めた。 「大変……だ。ジャールが俺の家の……あの……地図を……奪った……」 そう言い終わると、ハウルスはその場に倒れた。名無しはそのハウルスの姿、そしてその言葉に衝撃を受けた。 あの地図。それは、名無しとハウルスの秘密でもあった。二人が研究していた、とんでもないブツ。それだった。 「ハウルス! ハウルス! おい、ハウルス!」 その地図、そう、石版の在り処―― [No.240] 2008/01/09(Wed) 20:39:32 |
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