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WINGBEAT COFFEE ROASTERS

all 石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2007/12/08(Sat) 18:41:39 [No.212]
石版 第二幕「これがあの男に... - 文矢 - 2007/12/15(Sat) 07:12:24 [No.216]
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石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2008/02/09(Sat) 14:26:59 [No.256]
石版 第四幕「踊り狂うかの様... - 文矢 - 2008/02/11(Mon) 08:25:03 [No.258]
Re: 石版 第四幕「踊り狂うか... - 文矢 - 2008/02/20(Wed) 20:41:06 [No.261]
石版 第四幕「踊り狂うかの様... - 文矢 - 2008/02/24(Sun) 08:03:45 [No.263]
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石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/11/22(Sat) 19:57:33 [No.421]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/11/24(Mon) 07:07:31 [No.422]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/12/07(Sun) 06:27:52 [No.425]
Re: 石版 第六幕「彼は満足した... - ??? - 2008/06/03(Tue) 23:03:34 [No.318]


石版 第三幕「受け継がれるべき意思」 其の五 (No.248 への返信) - 文矢

「あそこだ!」
 ジャールの部下が走り出し、穴の中へと入る。夜の変哲も無い道を歩いていて、精神が限界になったのだろう。部下は走ったのだ。この行動が最も重要だった。走る。その行動をしなければ、彼は生き残っていたであろう。
 目の前にある穴へと部下は入る。ドリルの様な傷は、そこに何かが回りながら突っ込んだ、という事なのだろう。何かが。何かが突っ込んだ。突っ込んだのは何か。それは名無しも解明できていなかった。ただ、名無しは一つだけ予想していた。ただ、彼も確信は持っていなかった。名無しが考えたその説は、真っ暗な中、樹海を歩くようなものだった。本当にそうだという確信、自分が今歩いている道が本当に外へ通じる道だという確信など持てない。そんな状況だった。
 悲鳴―― 穴に入った瞬間、豚を絞め殺したかの様な音がジャール達の耳を貫いた。
「おい! キラシー! どうしたんだ?」
 ありえない、罠などあるわけない。名無し達が入っていたのだ。ジャールは驚き、頭の中で考えた。名無し達が罠など仕掛けるわけが無い、どうしたのか。ジャールはビビる仲間を押しのけ、ゆっくりと穴に近づいた。
 穴から漂う、鉄の臭い。ねっとりと、ねばっこく、体につきまとっていく。腹から何かがこみ上げて、口へとそれが逆流してくる。左手で口を押さえ、吐き気を飲み込む。そして、右手で穴の中を照らしていく。赤い液体、さっきまで体の中を流れていたであろう液体がドリルの跡のくぼみに溜まっている。震える手をゆっくりと前へと押し出す。まずは手。さっきまでランプで照らせば純白の光を返していた上着が赤色の光を返した。次に胴体、左胸からは血が流れ、服を静かに染めていく。そして、顔。ジャールの喉を何かが逆流し、体中に気が走る。苦しみにもだえ、舌を出し、目をカッと見開いたまま、もう物体になった『それ』は光を返した。古代からどうしようもない法則として刻み付けられた一言。『死』……
 キラシー、その名前だった物体の顔を見た時、ジャールは吐いた。吐きながらも、考えた。なんで、名無しとかは大丈夫だったのか。体重か? その時、まだ名無しは体重という概念を考えはしなかったが、それぞれの物の重さと言うのは当然ながら分かっていた。だからジャールは違うというのが分かった。キラシーと、名無し達の体格はほぼ同じだからだ。何でだ、何で。
「ジャールさん、中に入りましょうよ」
 ジャールの部下の一人がそう言った。仲間の死には衝撃は受けていたが、あまりダメージは食らっていなかったのだ。ジャールの精神が、特別に脆いせいかもしれなかった。ジャールの部下は歩いて、ランプを持ちながら中へと入った。
 ジャールが止めようとしたが、悲鳴は聞こえなかった。普通に入れたのだ。テクテクとすぐに、普通の家に入るように。
 あれ? ジャールの頭の中が、崩壊しそうだった。考えることによって、吐き気が段々、消えてきた。そして、考えるようになった。何故か。それはすぐに予想が付いた。
 答えは、これだった。歩くスピードだ。名無しとハウルスは歩いて入っていたのだ。明るい中、様々なことを言いながら歩いていたので、走るなんて無いだろう。だが、キラシーは走った。それによって、何かが反応した。これが穴の入り口の真実だった。
 ジャールは 残っていた部下も呼んで、中に入った。ランプで照らしていくと、目の前に何かがあった。巨大な、巨大すぎる何か。
 天井の穴からは月の光が降り注いでいた。その何かの前では、先に行った部下が膝をついていた。ひれ伏す。彼らがそんな事をしたのは生まれて初めてだった。そして、その何かをランプで照らす。
「あ……あ……」
 ジャールは、自然に膝を付いた。死後、復活したイエス・キリストを見た時、同じように人は膝をついたであろう。あまりにも素晴らしいものを見た時、人はそんな行動をとるのだろう。
 膝をついても、ドリルの様な傷からは痛さが無かった。ただ、それを見つめているだけだった。書いてある言葉なんて理解できない。意味が分からない。だが、体がそうさせるのだ。
 ジャールは心の底から今までの事を悔やんだ。一番になる? そんな事は無理に決まっている。名無しは一番じゃあない。もちろん、自分なんかではない。一番は、一番は、これを作った奴だ。これを作った奴に会え、言葉をもらえるなら何でも捧げよう。ジャールの心は、そう思っていた。
 目の前にあるのは、不思議な色をした物だった。『石版』だ。写真などで見たら。誰も素晴らしさは理解できないだろう。だが、その石版には――

 火の臭い。普通にガスとかで使っていたら感じないであろう臭いが、じおす達の鼻に入ってきた。今まで平和だった村。こんな事が起こる、いや起こりえるなんて事、誰も想像しなかっただろう。火は暴れ馬のように姿をかえ、人を襲う。空の上にはまるで魔法使いがいるかのようだった。
 空の上にいるのは魔法使いなどでは無い。じおすはそれを分かっていた。だが、ポケットを探っても『ショックガン』と『小型強力火炎放射機』の二つしか無い。二つとも、近距離でないと意味が無い。だから状況的には、何でもできる悪魔とただの小市民と同じだった。
 逃げ惑う村の民、そこを狙って爆弾を落としていくミサイル研究所。ミサイル研究所の高笑いは、まるで物語に出てくる悪魔の声だった。低いところから爆弾を落としていたので、じおすにもその声は聞こえた。
 じおすは思う。お前は何が楽しいのか、と。よく子供向け漫画とかアニメとかである、悪役を見てじおすはいつも思っていた。世界征服? そんな理由ばっかじゃん。それでどうするんだと。上で爆弾を落として笑っているミサイル研究所を見て、じおすはそうとしか思えなかった。
 じおすは思う。自分自身が此処に来たのを何とかする為なら、俺だけを狙え。村を狙うな。じおすの怒りは、段々高まっていった。
 じおすの耳を貫くような悲鳴が近くで響く―― それは、何の罪も無い一人の看護士だった。病院の中から気になって出てきたところを、爆弾が襲った。一瞬。その人が生きていた何十年間とは比べられもしない程の、一瞬。それだけで今さっきまで生きていた人は、『物』になるのだ……
「うわああああああ!」
 他に出ていた者達が一斉に走り出す。外の光景を見て、病院の中から逃げ出そうとする者もいた。患者も元気な人ばかりなので、どんどん出てくる。だが、それはすぐに止まった。最初に逃げ出そうとした者が、爆弾にやられたからだ。
 こんな死など、体験した者はいなかった。いや、我々の世界でもいないだろう。そんな恐怖。安楽死する方が楽だという、恐ろしい恐怖。そういう時、人はどうするか。絶望する。そして、どうせ死ぬんだからと何もしなくなる。今が、そんな状況だった。
「もう、死ぬんだな」
 一人の看護士がそう呟いた。起きて外に出たハウルスは、その空気に何も言えないでいた。じおすはそれを見ていた。そして、段々空気は暗くなり、やはりミサイル研究所の高笑いが響こうとしていたその時だった。じおすが、言った。
「諦めるな! 簡単に、死を受け入れるな!」
 その言葉で、死に集まっていた注目が、じおすへとうつされた。じおすは話を続ける。その言葉は、自分自身へも言っていたのかもしれない。
「いいか、死を受け入れて良い奴は、やる事をやるだけやり終わってそれを自分の運命だと思った奴だけだ! 皆、できることならもっと生きていたいだろう? 楽しみはたくさんあるじゃないか。マー婆さん、僕はあなたの料理をもっと食べたい。皆も、そうでしょう?」
 その言葉で、場の空気は変わった。少しでも、がんばってみようという気持ちが伝わった。じおすの目と、言葉で納得したのであろう。ところどころから、言葉が聞こえる。
 そして、ハウルスが口を開いた。
「分かった、逃げましょうよ。限界まで」
「いや、ただ逃げるだけなら駄目だと思います」
 ハウルスの言葉に、じおすが答える。
「それはどういう事です?」
 ハウルスは敬語を使う人を選んでいる。敬意を払うべき人には、敬語だ。
「ただ逃げるだけなら、『あれ』でボン! だと思います」
「じゃあどうすれば?」
 じおすは、覚悟を決めていた。必ず、この人たちを助けてみせる、と。じおすは二十一世紀での事を思い出した。あの後、ドラえもん君達はどうだったであろう。恐怖にさらされてしまっただろうか。あの子達の無邪気な笑顔を見たかった。こんな年齢でそう思うのもあれだが、僕は博物館に来てくれる子供が好きだ。いつも物凄い関心を抱いてくれて、感心してくれる。じおすは、そう思ったのだ。
 そして、じおすは自分の覚悟の結果を言った。
「僕が、囮になります」
「囮?」
 じおすは周りを見渡した。するとだ、あるところを発見した。物見やぐらだ。やぐらの一番上の高さは、丁度ミサイル研究所がいる所と同じ高さだ。
「僕が囮になるので、皆逃げてください」
 そう言い終わるか言い終わらないかぐらいの時、じおすは走り出した。やぐらへと。村の民達は、少しの間それを見ていた。だが、ハウルスが口を開いた。
「僕が先頭を行きます。皆、着いてきてください!」
 ハウルスは歩き出した。じおすの意思を、無駄にしてはいけない。逃げるんだ。逃げてやる。ハウルスははっきりとじおすの意思を受け取っていた。村の民達は、ゆっくりとハウルスの後ろを歩き始めた。
 じおすはすぐに、やぐらのドアを開け、階段を駆け上がった。やぐらは、家と同じ素材でできていて、真っ白だったが、あたりの炎によって真っ赤に染まっていた。壁の温度とかが高まっていたが、熱さは感じなかった。今さらだが、じおすはミサイル研究所の名前は知らない。だが、直感としてイカたこの手の者だろうという事は分かっていた。
 そして、屋上。
「聞こえるか? とりあえず一つ質問をしたい! お前はイカたこの手下なのか? とりあえずはそれだけだ」
 その時、ミサイル研究所は初めてじおすがいることに気づいた。そして、ミサイル研究所は言う。
「その通り! 俺はミサイル研究所。ところでじおす、お前をグチャグチャにする前に、一つ質問させてもらおう」
 炎の音が聞こえる中、二人の言葉は異常に響く。
「お前の手に持っているものは何だ? ……もしかして、レリーフか?」


[No.252] 2008/02/02(Sat) 07:03:52

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