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心臓。誰でも分かっているだろう。人間の体の中で、血液を体へと送り出すポンプの役割を果たしている。我々は心臓を大きい物と思っているが、実際にはそれぞれの握りこぶしぐらいの大きさだという。そんなぐらいの心臓に鋭いものが突き刺さったらどうなるのであろうか。少しでも傷がついたら、腕についた傷の何十倍ものダメージを体へ与えるだろう。それがあるのは胸だ。 そしてだ、メタルが投げた凍牙はどらEMONに刺さっていた。丁度、心臓の位置に。凍牙が刺さっているところからはじんわりと血がしみてきている。抜いたら、物凄い勢いで血は吹き出るだろう。どらEMONの眼鏡は地面へと落ち、体まで崩れ落ちた。 タイムパトロールの制服に付いている、『TP』というエンブレムがやけに輝いていた。だが、そのエンブレムもゆっくりと赤く染まっていき、どらEMONのまぶたも閉じる。人が殺されて死ぬ時、たいていは目を開けたまま死ぬ。ドラマとかでよく目のところに手をかざしているのは、目を閉じさせる為だ。メタルはそれを見て、少し疑問にも感じたが、よくよく考えると凍牙の長さから心臓を貫けるわけが無いと思い、ほうっておいた。 メタルは糸をたぐり寄せ、日本刀を背中のさやに入れた。そして、凍牙も抜き、腰にかけてあった容器から水で洗い、懐へと入れた。その間、ドラえもん達はその光景を見ているだけだった。そして、のび太が目覚めたかのように叫ぶ。 「EMONさああああああん!」 だが、返事が返ってくることは無かった。どらEMONはただ、地面に倒れていた。 「無駄よ。外すとでも思っているの? 漫画アニメの忍に憧れていたとはいっても、止めをあまり刺さないのは見習ってないわ。それにしても、素晴らしかったわ。どらEMON。敬意を表すわ」 のび太の顔は、白くなっていた。驚きと、絶望の入り交じった顔だった。そのメタルの顔には、確かな説得力があった。人と話している時、嘘をついてるなと分かる時があるであろう。それは、顔が笑っていたり、目を見たりすれば分かる。そして、メタルの顔にはそれが無い。嘘をついているサインが無い。騙されやすいのび太だからこそ、さらに衝撃が倍増したのであろう。当然、ドラえもん達も動けなかった。 「この勝負、私の勝ちね」 イカたこが作った仮想空間。人工太陽が照らす中で、メタルの声は冷たく響いた―― そんな中、場の空気を壊す機械音が聞こえた。気づいたのは、スネ夫だけだった。スネ夫は胸を押さえた。スネ夫の心臓は、とてつもない程のスピードで動いていたからだ。そして、後ろを振り返った。そこにいたのは、スネ夫の予想通りだった。 ロボット。裏山で襲ってきたのと同じ。ロボット。ゴツい体。緑色で、三メートルぐらいの大きさ。顔は半円型で、人間でいう目の部分には黒いラインの中の二つの赤い光が輝いている。 スネ夫の体は震え、そして、口を開いた。 「ロボットだああああ!」 その瞬間、メタルから一気に後ろへと視線は動いた。五体。ロボットは、五体いた。どれも、ドラえもん達の後ろに。ドラえもんはポケットに手を入れ、『空気封』を全員の手に入るようにバラまいた。 「ドラえもん君達。あなた達には罪は無いのかもしれない。でも、死んでもらわなくてはならない。フフ。ケネディ暗殺の真犯人も、知った者は殺されるでしょ?」 メタルのそんな声が響き、ロボットが機械音を出して動き出す。何をやろうとしているのかは分からなかった。が、ジャイアンは突撃した。野球やけんかで鍛えたジャイアンの足腰。さっきのメタルの糸によるダメージはすでに回復していた。 ロボットの動きには限界がある。死角にさえ周りこめば撃つことはできないのだ。戦いの本能というか、何というか、ジャイアンはそこに入り込んでいた。それに気づいたスネ夫は震えながらも声を出してジャイアンを応援する。そして、ジャイアンは叫ぶ。 「ドカン!」 ジャイアンの空気弾。一発目は肩。肩のマシンガンに直撃した。その部分から煙が出て、軽く爆発する。中にあった弾のせいであろう。その瞬間、歓声が上がった。 そんな中でも、のび太は震えていた。ゼクロスの断末魔。それがまだ耳にこびりついていた。どらEMONがやられた時は、激しい怒りを覚えた。だが、本当にそれでいいのだろうか。自分たちが、殺しをやっていいのだろうか。だから、のび太は震えていた。自分は戦場の戦士にはなれないだろう、とのび太は思った。 ジャイアンはまだ動く。次は足に打ち込んでいた。さっき撃ったのとは別のロボットだった。ジャイアンは笑っていた。戦いが、楽しいとも感じていた。別に、人を殺すのが楽しいわけでは無い。だが、自分の思い通りに体が動くのが楽しかったのだ。 だが、次の瞬間だった。ロボットの体から、一気にマシンガンが発射された。ドラえもんは『ヒラリマント』を使い皆を守るが、限界があった。さっき切れた腕も、完全には治っていなかった。そして、辺りは煙に包まれる。 誰にも弾は当っていない。ただ、ロボットのパイロットは考えていたのだ。五人がまとまっていたら、色々とやっかいだという事を。奴らの装備などたかが知れている。だから、分断させることが必要だというのを考えていた。パイロットは、レーダーでドラえもん達を判断し、それぞれ別の方向へと行った。 「終わり、かしら。いや、でも何かがあるかもしれないわね。私も参加するか」 と、メタルが言いかけた時だった。後ろに気配を感じていた。位置は、タイムパトロールという看板がある建物の玄関。この建物の中は、イカたこ達の基地にもなっていた。――今、イカたこ達はいないが――どらEMON達を騙すが為に、空間を作るにはコストが大きすぎるからだ。 そして、メタルは後ろを振り向く。そこには、さっき殺した筈の男がいた。メタルは驚いた。確かに、凍牙は刺さったのに。心臓部分に、何故か、意味が分からなかった。 「どらEMON……」 「え? 逃げることは無いだろう?」 そうどらEMONが言った時、ドラEMONの体から何かが落ちた。それは、二本の日本刀だった。何かが刺さった後もある。そして、その日本刀は今、どらEMONが持っているのと同じ。水裂だった。 何故、どらEMONが生きていたのか。その理由は簡単だった。凍牙で操っていたムラマサが来る瞬間。その時の空白の間に、『フエルミラー』で水裂を増やし、心臓を守るように体の中へ入れたのだ。そして、どらEMONは服の下に常備している血のりも使っていた。 「この際、どうでもいいわ。少しこっ恥ずかしいけどね」 その時、メタルは不思議なステップを踏み始めた。当然、どらEMONはそれを見る。メタルは、いつの間にか扇子まで持っていた。そして、少し経った時に気づいた。メタルが踊っているというところに。その動きは美しかった。 ――いかれているのか? どらEMONはそう思い、日本刀で切ろうとも思った。だが、体が動かない。さらにもう一つ。メタルの踊りをもっと見たいとまで思っていた。どらEMONの体は、動かなかった。 「馬鹿らしいと思う? だけどあなたの動きが止まっているのは事実」 メタルの声は響く。どらEMONはそれでも動けない。 「例えば、アニメを見ている時。邪悪な敵にむかついたりするでしょう? それと同じ。芸術というのは、人の心も操れるのよ。『モナリザ』の前で暴れ回る奴などいないでしょう? それが私の技。『魅惑の舞い』」 そして、メタルは静かにムラマサを抜く。その動きまでも美しかった…… [No.263] 2008/02/24(Sun) 08:03:45 |
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