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アルタは、走っていた。今、アルタがいるのはイカたこが作った空間。ドラえもん達が戦った空間であった。軟体防衛軍の基地から、やって来たのであった。そして今、彼はドラえもん達を探していた。 アルタがいるのは人工空間の中での建物の中。『タイムパトロール』という偽の看板が外に出ている建物だった。アルタはさっきからこの建物から人の気配を感じていた。重要な書類とかはメタル達が持ち帰っていたが、まだいくつか物が残っている。アルタはドラえもん達はそれをいじっているのではと予想した。 いいか、この『分身ハンマー』を使うのさ―― アルタは、『もう一人の自分』の言葉を思い出していた。 「いいか? 『俺』」 アルタの口が動く。鏡には、『どす黒い』笑顔のアルタが映っていた。アルタがいくらその顔をやめようとしても、顔は変わらなかった。まるで、仮面でも被っていてその仮面の顔を変えようとしている愚か者の様に。 「いいか、この『分身ハンマー』を使うのさ」 アルタはいつの間にか『分身ハンマー』を手にしていた。『分身ハンマー』は名前通り、誰かをそれで殴ると分身できる道具だ。これであまりやりたくない仕事をやらされる分身の方は色が薄くなる。 「『俺』と『俺』は、二重人格だ。これを使えば、上手い具合に分かれるだろう。『俺』と、『俺』でな。両方がやりたい事だろうから、薄くなる事も無い」 『どす黒い』顔のアルタは、楽しそうに語った。ゴールデンウィークの計画を立てている小学生の様に。 「それで、何をやるんだ?」 その言葉を言ったのは『どす黒くない』アルタだった。 「イカたこ達を殺す」 鏡の中の自分は、あまりにも『黒かった』自分の体が落ちていくかの様に感じられた。真っ黒な世界へと、落ちていく。底なんて無い。ただ、自分の体が蝕まれていく事を感じるだけ。ヒューと音をたてながら落ちていく。アルタは、そんな風な事を思った。 『どす黒い』顔のアルタが立てた計画は次のものだった。『どす黒い』アルタは、イカたこ達の部屋の横のモニター室に隠れ、イカたこ達が出て来たところを殺る。だが、もしかしたら『どす黒い』アルタは死んでしまうかもしれない。その時の為に、『どす黒くない』アルタは別空間からドラえもん達を呼んでくる。その為に空間転送装置をいじったりするのはモニター室のアルタがやる。計画はそんなものだった。 分身をした時、『爪』を持っていた為、『爪』も二つに増えていた。そして、『どす黒い』アルタが言った通り、体は薄くなっていなかった。 「それじゃあ、ちゃんとやれよ『俺』」 『どす黒い』アルタは、やはりその笑いをしながら部屋を出て行った。 「ん」 空間を走っているアルタに、不思議な感じが襲った。アルタは、それを『どす黒い』自分がやられたからだ、と理解した。 特別な感情は何もわいてこなかった。それ自体がくだらない事にもアルタは思った。どうせ、自分も死んでしまうんだ。アルタはそう思いながらドラえもん達を探していた。 「ふざけるんじゃあねえ!」 その時、アルタの耳にそんな声が入った。男、しかも子供の声だった。近くで聞いたらさぞ大きい声だったのであろうが、アルタの位置からではあまり大きくは感じなかった。 建物の廊下を声が聞こえた方向へとアルタは走り出した。足音は廊下に響く。廊下の壁の色は白く、ドアの色まで白かった。それぞれのドアには番号が付いていたが、アルタは確認しない。 そして、声が聞こえた場所に着いた時、アルタはドラえもん達を確認した。一つの部屋から、隣の部屋へと移動していた。さっき叫んでいたのはジャイアンで、隣の部屋にいたドラえもん達がどうしたんだ、と見ようとしていたのだ。 アルタは部屋の中をこそこそしながら覗いた。部屋の中の様子を見て、アルタはさっきの声の時、部屋にはジャイアンしかいなかったんだろうな、と予想した。彼らの顔は完全に覚えていた。 「誰だ!」 アルタが覗いている時、その声が聞こえた。部屋の中にいた者達は全員、あルタの方を向いた。叫んだのはどらEMONで、どらEMONは水裂を抜く。 「敵じゃない、説明する時間をくれ!」 アルタは一歩後ろに下がって言うと、どらEMON達の行動は止まった。 ここら辺は危険なんだって、昔の戦いの地雷があるかもしれないんだよ―― イカたこは子供の頃を思い出していた。血が出ている手首を見ながら。 イカたこは日本人だが、子供の頃はイタリアに住んでいた。そして、その時の会話を思い出していた。イカたこが、好意を抱いていた幼なじみとの思いでであった。 幼なじみの台詞を聞いて、元の場所に戻ろうとした瞬間、それは襲った。爆発。幼なじみが地雷を踏んだからであった。悲鳴をあげる時間もなく、イカたこの目の前で幼なじみは散っていった。その日から、イカたこは戦争を起こさないようにしようと感じた。そして、最初は純粋だったその思いも、武力を使って戦いを無くす、という考えに変わっていったのだ。 その時に、イカたこは手首に痛みを感じたことを思い出した。そして、その位置は丁度、土からあの村を出した時に引き寄せられた位置であった。 「あの爆発で、入ったのか……?」 アルタの騒動が収まった時、イカたこはそう言いながら外を見ていた。それは、彼がもうすぐその手で変える事ができると信じている外の景色だった。 「成る程」 アルタの話を一通り聞いて、どらEMONはそう言った。アルタは思う。駄目なんだろうな、と。何かを頼んだりする時、アルタは常にそう思っていた。マイナス思考というか、何というか彼にも分からなかった。 「EMONさん、どうするんですか?」 ひそひそ声で静香がどらEMONに聞いた。その時にはジャイアンの叫び声など、彼らの中では忘れ去られてしまっていた。そして、静香の質問からしばらく経った時、どらEMONは言った。 「その空間転送装置というのに連れて行って下さい。ここで迷っていても仕方がありません。アルタさん、あなたを……信じます!」 ドラEMONがアルタと一緒に歩き出すと、他の五人も少し走って二人を追いかけ始めた。 彼らは今から、イカたこ達のところへ向かうのだ。未来を、守る為に―― 過去から続く因縁は今、一つのところでまとまろうとしている。それぞれがそれぞれの意思を継ぎ、それぞれがそれぞれの目的を持つ。 じおすの事。名無しの事。石版の事。イカたこの幼なじみ。その他にも様々な事がある。それらは因縁に例えられる。 関係無いと思っていても、生きている限り、その人につながっていくもの。 そう、それは過去からの因縁なのである。紀元前、古代からの因縁なのである…… 石版 第五幕「古代からの因縁」 一時閉幕 [No.305] 2008/05/03(Sat) 15:27:39 |
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