[ リストに戻る ]
No.344へ返信


WINGBEAT COFFEE ROASTERS

all 石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2007/12/08(Sat) 18:41:39 [No.212]
石版 第二幕「これがあの男に... - 文矢 - 2007/12/15(Sat) 07:12:24 [No.216]
石版 第二幕「これがあの男に渡... - 文矢 - 2007/12/21(Fri) 07:50:50 [No.223]
石版 第二幕「これがあの男に渡... - 文矢 - 2007/12/22(Sat) 10:24:56 [No.224]
石版 第二幕「これがあの男に渡... - 文矢 - 2007/12/24(Mon) 07:58:53 [No.226]
石版 第二幕「これがあの男に渡... - 文矢 - 2007/12/25(Tue) 14:35:52 [No.227]
石版 第二幕「これがあの男に渡... - 文矢 - 2007/12/26(Wed) 07:51:31 [No.228]
石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2007/12/28(Fri) 10:50:43 [No.231]
石版 第三幕「受け継がれるべき... - 文矢 - 2008/01/02(Wed) 17:56:58 [No.234]
石版 第三幕「受け継がれるべき... - 文矢 - 2008/01/08(Tue) 15:08:33 [No.238]
石版 第三幕「受け継がれるべき... - 文矢 - 2008/01/09(Wed) 20:39:32 [No.240]
石版 第三幕「受け継がれるべき... - 文矢 - 2008/01/27(Sun) 15:38:16 [No.248]
石版 第三幕「受け継がれるべき... - 文矢 - 2008/02/02(Sat) 07:03:52 [No.252]
石版 第三幕「受け継がれるべき... - 文矢 - 2008/02/04(Mon) 07:55:48 [No.253]
石版 第三幕「受け継がれるべき... - 文矢 - 2008/02/04(Mon) 07:56:24 [No.254]
石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2008/02/09(Sat) 14:26:59 [No.256]
石版 第四幕「踊り狂うかの様... - 文矢 - 2008/02/11(Mon) 08:25:03 [No.258]
Re: 石版 第四幕「踊り狂うか... - 文矢 - 2008/02/20(Wed) 20:41:06 [No.261]
石版 第四幕「踊り狂うかの様... - 文矢 - 2008/02/24(Sun) 08:03:45 [No.263]
石版 第四幕「踊り狂うかの様に... - 文矢 - 2008/03/02(Sun) 07:50:03 [No.266]
石版 第四幕「踊り狂うかの様に... - 文矢 - 2008/03/11(Tue) 08:01:28 [No.268]
石版 第四幕「踊り狂うかの様に... - 文矢 - 2008/03/22(Sat) 18:12:15 [No.269]
石版 第四幕「踊り狂うかの様に... - 文矢 - 2008/03/23(Sun) 18:05:39 [No.270]
石版 第四幕「踊り狂うかの様... - 文矢 - 2008/03/31(Mon) 07:32:07 [No.276]
石版 第四幕「踊り狂うかの様に... - 文矢 - 2008/04/06(Sun) 19:17:43 [No.289]
石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2008/04/07(Mon) 06:17:52 [No.290]
石版 第五幕「古代からの因縁」... - 文矢 - 2008/04/12(Sat) 06:31:58 [No.301]
石版 第五幕「古代からの因縁」... - 文矢 - 2008/04/13(Sun) 07:39:30 [No.302]
石版 第五幕「古代からの因縁」... - 文矢 - 2008/04/19(Sat) 17:52:26 [No.303]
石版 第五幕「古代からの因縁」... - 文矢 - 2008/04/26(Sat) 04:30:07 [No.304]
石版 第五幕「古代からの因縁」... - 文矢 - 2008/05/03(Sat) 15:27:39 [No.305]
石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2008/05/03(Sat) 15:40:10 [No.306]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/05/17(Sat) 21:04:12 [No.307]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/05/26(Mon) 18:26:19 [No.316]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/06/03(Tue) 18:17:18 [No.317]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/07/24(Thu) 06:59:36 [No.343]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/07/28(Mon) 10:42:40 [No.344]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/08/04(Mon) 06:57:01 [No.346]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/08/05(Tue) 18:55:42 [No.347]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/08/11(Mon) 17:33:32 [No.355]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/09/21(Sun) 19:45:49 [No.378]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/10/25(Sat) 18:57:53 [No.403]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/11/08(Sat) 06:36:38 [No.414]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/11/22(Sat) 19:57:33 [No.421]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/11/24(Mon) 07:07:31 [No.422]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/12/07(Sun) 06:27:52 [No.425]
Re: 石版 第六幕「彼は満足した... - ??? - 2008/06/03(Tue) 23:03:34 [No.318]


石版 第六幕「彼は満足したのだろうか」 其の四 (No.343 への返信) - 文矢

 そこには、イカたこの後姿があった。
 台に乗ったイカたこの前に、大量の軟体防衛軍の者――その中にはすずらん達も含まれている――がいて、イカたこは今の今まで演説をしていたようだった。台の上に乗ったイカたこは、振り返りあの冷たい目で二人を見た。そして、ため息をつく。
「メタルがやられた、というのはありえないな。出し抜いたわけか。まあいいだろ、ここには死ぬ為に来たのだろう? え?」
 イカたこはそう言うと、冷静にポケットに手を入れた。四次元ポケットとなっているそのポケットから静かに道具を取り出す。じおすを、別空間へと送り去った道具。人を、別空間へと移動させる道具だった。
 手を握り締めれば誰も分からないぐらいの秘密道具。イカたこはそれを取り出す以外は体を動かさなかった。その後は、ただ冷静に二人を見つめるだけであった。あの、冷たい目で。
 ドアが閉まる音がする。軟体防衛軍の者達は驚く程静かで、何も行動をしなかった。冷や汗をかいているのび太が異常に見える程だった。誰も、喋ってさえいないのに。
 のび太は手元にある改造ショックガンを握り締め、引き金に指を入れた。のび太の体が震える。恐怖ではない、のび太の頭の中には怒りしかなかった。
 頭の中で再生される…… 助けられなかった犬。あの時、ギュッと抱きしめていれば。犬を、自分の体温で温めるただそれだけの事をしていれば。あの時、イカたこが敵だという考えにたどり着いた瞬間、殴っていれば。様々な後悔が頭を過ぎる。
 そして、後悔だけでは無い。頭の中で様々な光景を思い出すと共にのび太の中に新たな感情が生まれる。じおすの姿を思い出す度に、静香の怯えている姿を思い出す度に、自分達を守る為傷つくどらEMONの姿を見る度に、その感情は高まっている。それは――
 憎しみだ。
「オオォオオオオォ!」
 のび太は雄たけびと共に狙いを定め、引き金を引く。その狙いは正確だった。銃口から発射されるエネルギーは、一直線にイカたこの元へと辿りつく。
 ただのショックガンでも、細い木ぐらいなら簡単に砕けるし、喰らえば痕が残るぐらいのダメージがきて気絶する。アルタの改造ショックガンは簡単に人を殺せるぐらいの威力はある。
 どんな感情も、怒りや憎しみには敵わない。戦いにおいては、邪魔になっていたのび太の優しい気持ちも、その瞬間には無かった。のび太のその気持ちはそれ程熱かった。だが、その気持ちは次の瞬間には冷める。熱い焼き石を、冷たい北極海に投げ入れたかのように……
「時間の、無駄だな」
 エネルギーは、のび太に当たらなかった。イカたこの秘密道具で、別空間へと一瞬の後に消え去った。イカたこは呆れた目でのび太を見下す。
 のび太の熱い気持ちは一瞬で冷め、静かな絶望へと変わる。
「他にする事は無いか? ここまで来たら時間を守る道理も無いからな。私にとって急ぐべき用事は無い」
 イカたこはそう言うと、『どす黒い』笑顔を浮かべて二人を見た。見下す目。まるで、アメリカ人が黒人を見下すかのように、大富豪がホームレスを見下すかのような、その目で『どす黒い』笑顔を浮かべていた。
「……言いたい事を言ってもいいのか?」
 アルタがボソリと言う。のび太は一歩退いて、アルタの顔を見た。最初は、のび太が知っているアルタの顔だった。だが、途中で気づく。アルタの顔が、どんどん歪んでいることに。のび太は、喋っているアルタの顔を見て震えた。
「もちろんだ。言いたまえ」
 イカたこはあくまで冷静な口調で言う。
「バァァァァァァァァカ」
 アルタは舌を出し、大声を出した。
 その笑顔は、『どす黒かった』その笑顔は、アルタ自身の笑顔だった。そう、アルタがもう一人の自分の顔だと思っていた笑顔。
 本当の二重人格だったら、『分身ハンマー』で片方が死んだらその人格は消える。だが、違う。二重人格などでは無かったのだ。
 アルタの過去には、トラウマなんて無い。二重人格というのは、大体が少年時代のトラウマ等によって人格が割れて生まれる。だが、アルタにはそんなきっかけは無かった。二重人格になる理由なんて無い。今までのアルタのは、全て『演技』だったのだ。例えるなら、中学生が漫画とかで影響されて、突然変な事を喋りだすのと同じ。自分に勇気を持たせる為、一人で喋る。二重人格なんかでは、無かった。
「そもそもだ、武力なんかで平和になるとでも思ってるの? ハ! 笑っちまうね。徳川時代は武力でつくられたが、その時代の間も平和じゃなかったろうが。そもそも平和なんかつくらやしねえんだよ。人類が絶望しない限りはな。何度でも言ってやるぜ、ヘニョヘニョ野郎。バァァァァァカ」
 アルタの口は驚く程、早く動いた。アルタが心底思っていることを言ったからであろう。そして、まだ彼は『どす黒い』笑顔をしていた。
 何で、こんな奴に恐怖を感じていたんだろう―― のび太は、アルタの言葉に対してそう思った。そうだ、武力でなんちゃらなんて馬鹿だ。勉強とか論理面では頭が良いけど、間違ったことを言っているやつが強いわけない!
 めちゃくちゃな論理かもしれないが、のび太はそう言い聞かすことでさっきの絶望を吹き飛ばした。そして、走り出した。
 のび太はジャンプした。上からの方が、頭を狙いやすいと考えたからだ。だが、結果的にはそれは裏目に出る。神様が作り出した、世界の掟によって。

『空中では、人は移動できない』

 地面は土だ。誰もいないところに不自然な砂埃がたち、足跡も残る。イカたこは横目でそれを見て、不自然に思うが、それを無視して動き出す。空中で動けない、のび太の懐へと。一歩一歩、進めていく。そして――

 少年は、光に包まれた。
 光には常にあるイメージがある。それは、『希望』だ。『希望』が語られる時は常に光と共に語られる。
闇と共に語られる『希望』など、存在しない。だが、少年を包んだ光は『希望』ではなかった。もっと、どす黒い、何か。
それが偶然光を発しただけだった。
 一人の男。名前は、イカたこ。彼が持っている機械。手で握れば周りからは逆立ちしたって見えないような大きさの機械。
そして、その機械は光に包まれた少年に当っていた。
 少年は当てられるその瞬間までジャンプをしていたのだろうか。イカたこに飛びかかったのだろうか。
空中に浮かんだまま、光に包まれていた。そして、段々と消えていく体。
  少年の体は足の先から消え去っていった。その間、少年はただ自分の体を見ているだけであった。
まるで、局部麻酔をされて、その部分にメスが入っていくのをただボーッと見ている患者のように。
いや、少年は今の例え通り麻酔をかけられたかの様に痛みを感じていなかった。
 イカたこの顔に笑みが浮かぶ。常に冷静だったイカたことは違う、狂ったかの様な笑み。
そう、『どす黒い』笑いだった。だが、その笑いは会心の笑みとは言えなかった。少なくとも、「やったぜ!」という笑みでは無かった。
 そして、少年の体は消え去る。いや、例えるなら空間に溶けたというべきであろう。少年の名は、野比のび太といった――


[No.344] 2008/07/28(Mon) 10:42:40

この記事への返信は締め切られています。
返信は投稿後 365 日間のみ可能に設定されています。



- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS