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WINGBEAT COFFEE ROASTERS

all 石版 幕間「つまらない講釈」 - 文矢 - 2007/12/08(Sat) 18:41:39 [No.212]
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Re: 石版 第四幕「踊り狂うか... - 文矢 - 2008/02/20(Wed) 20:41:06 [No.261]
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石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/11/22(Sat) 19:57:33 [No.421]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/11/24(Mon) 07:07:31 [No.422]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/12/07(Sun) 06:27:52 [No.425]
Re: 石版 第六幕「彼は満足した... - ??? - 2008/06/03(Tue) 23:03:34 [No.318]


石版 第六幕「彼は満足したのだろうか」 其の六 (No.346 への返信) - 文矢

 自分は、何がしたいんだろうか―― アルタは考える。自分は、軟体防衛軍を裏切った。わざわざ、二重人格という逃げ道を作り出して。演技なのに、それによって心は楽になったのだ。この逃げ道を作らなければ、自分は裏切れなかったとアルタは思う。その後、色々な策を考えのび太と共にここまでやってきた。のび太と剛田が消えた今、アルタは考えるのだ。自分は、何をやりたいのだろうか、と。
 アルタは思う。自分は地球を守るとか、平和とか、なったらいいなとは思うが、そこまでではない。じゃあ、何で裏切ったのかイカたこのやり方が気に入らないというそれだけの感情だ。裏切って、何がやりたいのかは特に考えてなかった。いや、違う。アルタは思う。考えていないわけでは無い。何か自分でもよく分からないものを無意識か何かの内で考えていたから、行動ができたのだ。何故なのか。アルタは考える。そして、アルタは思う。分かったぞ。
 気に入らない奴、イカたこをぶっ殺す――
「さあ行くぜェェェ! お前をぶっ殺して、うじ虫をたからしてやるよ!」
 ネガティブ、後ろ向きなアルタは無かった。イカたこを殺すという目的で動く、『どす黒い』笑顔のアルタしかいない。

 血。血。血。辺りには鉄の臭いが漂い、腐りかけた肉の臭いと混ざって異常な臭いをかもしだしている。

「私を殺す? それは驕りというものだ。この場合は、撤退を選ぶのが正しい行動だと思わないか?」
 イカたこはそう言うと、体勢を低くした。今までは、遠距離攻撃の武器を持っている者か、無抵抗の者だけだった。だが、『爪』を使うアルタに対しては、素早く動かないとやられてしまう。だから、素早く動ける低い体勢にしたのだ。
 アルタの動きは速かった。縮まる距離。振られる『爪』。素早く右へ避けるイカたこ。だが、そこにはもう片方の『爪』飛び散る血……

 そして、その『肉塊』から出された『生物』だった頃の排出物の臭いがさらに部屋をにおわせていた。部屋の中に何も知らぬ人が入って来たのなら、揺れる満員バスの中よりも、グルグルと回転する部屋で壁を眺めるよりも、もっと凄い吐き気を覚えたであろう。

 イカたこの左腕の肉はえぐりとられ、イカたこはバランスを崩す。それを待っていたとばかりに、アルタは最初に避けられた方の『爪』を心臓へ向ける。その時のアルタの眼は獣が獲物をとらえる時に似ていた。いや、似ているでは無い。その通りだった。
 だが、イカたこは『どす黒い』笑いをしていた。その笑いは、諦めとかやった事に満足だからとか、滑稽だからとかいう理由ではない。そんな理由では無いのだ。
 アルタの『爪』の威力は凄まじい。鉄よりも硬い、二十二世紀の化学物質を使っている。それは、やろうと思えば鉄をみじん切りにできるし、台所で使ったら下にある物まで切ってしまうぐらいの物質だ。人間の体など、楽に貫通できる。
 アルタは、臭ってくる血の臭いを楽しみながら、手を動かした。

 『肉塊』は四つ、転がっていた。どれもが、『生物』であり、権力を持っていた『人間』であった。
だが、もう喋ることは無い。その『肉塊』の周りにはウジャウジャとウジ虫がわいており、段々と死体は分解されて――

 アルタの体が、光に包まれた。アルタの脳内で再生された何時かの夢は、途中でプツンと途切れる。そして、足の先から消えていく。イカたこは、『どす黒い』笑顔のまま、喋り始めた。
「打撃攻撃や、ナイフとかでの攻撃には弱点がある。近距離でしか駄目なのと、攻撃の瞬間、体を固定しなければいけないことだ。お前の攻撃も、もちろん固定しなければ強力な一撃はできない。分かるか? 私は一瞬でもこの道具を当てればいいのだからな」
 イカたこはそう言うと、アルタを見下しながら右手に握られている秘密道具を指差した。アルタは、もう『どす黒い』顔では無く、ただ虚ろな目でイカたこを見つめていた。すでに下半身は全て消え去っている。
 終わりか―― イカたこも、誰も殺せぬまま終わり。自分がやれた事といったら、ドラえもん達を連れてきただけ。ああ、何の為に裏切ったのだろうか。アルタは思う。自分は、何なのであろうか。
 さっき確認した。自分がやりたい事はイカたこを殺すことだと。だが、だが、それが出来なかった。さっきまでの、強気なアルタはそこにはいなかった。ただ、悲観的なアルタがいるだけであった。
「涙か……」
 イカたこの言葉で、アルタはハッとした。自分が、涙を流していることに気づいたのだ。すでに、胸まで別空間まで行っていた。
 何だよ、情けない。情けない。情けない。情けない。アルタは思う。情けない。情けない。情けない。情けない。


「何を今さら泣いているんだよ、『俺』?」
 アルタは、そう呟いた。涙が止まる。
 『もう一人の俺』をアルタは作り出した。演技をし始める。だが、最後に目にものを見せてやろう。そう思えるようになった。イカたこに、何かをしてやろうじゃないか。首のあたりまで、消えかかっていた。
 そして――
「バァァァァァァカ」
 『どす黒い』笑顔が、輝きの光を染め、光と共にその黒さは消え去った……


[No.347] 2008/08/05(Tue) 18:55:42

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