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WINGBEAT COFFEE ROASTERS

all モデルを立ててドラえもんの道具... - 抹茶 - 2008/09/19(Fri) 20:38:57 [No.374]
ジョジョ6部<ヘヴィーウェザー... - 抹茶 - 2008/09/19(Fri) 20:41:35 [No.375]


ジョジョ6部<ヘヴィーウェザー> (No.374 への返信) - 抹茶

 春といえば全てが始まりへと帰還する季節。小川の流れは冬の寒気で留まっていた所を、春の陽気が流れを取り戻させる。桜は枯れ木であった冬の頃とは違い、雪に彩られた純白から高揚とした精気を見せる乳白色へと輝いている。
 そして、春独特の淡い匂いを嗅ぎながら、ゆったりと窓辺を眺めて、思いにふけていると、徐々に耳鳴りがひどくなり始めた。
「……の……び……の…………………のォオオビィィイイイイイ!!」
 先生の怒声だ。あわてて、僕は土手に蔓延る土筆のように背筋を張上げて席を立つ。
「な、なんでしょうかぁ!」
 鬼のような形相を僕に向けながら、白いチョークで僕を含む、何人かの名前が書かれた黒板を叩いた。この場合、「叩いた」というより「叩きつけた」という表現が正しいのだろう。
「学級委員長の候補者にお前が推薦された。投票は1週間後だ!」
「ど、どういうことですか?」
 あまりの衝撃発言に一瞬背筋が凍りついた。だが、そんな冷機もすぐに春の熱気で解けてしまう。自分の席から後ろ横に、ニタニタと笑うトンガリ頭がいるからだ。おのれ、スネオめ……。
「説明しただろうが! ……もいいい、廊下に立っとれ!」先生の顔とは裏腹に、クラス中から大爆笑が起こった。
 渋々、いつものポジションへとリノリウムの床をコツコツと音を立たせながら歩む僕に、万年オレンジのトレーナーを着ている巨漢の男ジャイアンが声を掛けてくる。
「始業式早々難儀だな!」うるさいよ。いいお世話だ、馬鹿野郎。

ヘヴィーウェザー

 階段へと足を進めた瞬間に、足は駆け足、声は張り詰めたように唸り出す。もちろん、お目目からはドボドボと体液が。
「ドラえもォ〜〜ん」4畳半の小部屋で、どら焼きを口に挟む狸型ロボット改め猫型ロボットが此方に顔を向ける。
「どうしたんだい? のびた君?」
「ぼ、僕を学級委員長にしてくれ!」
 唖然としている狸顔に、手っ取り早くことを進めるために説明をすることに。
「今日ね、僕がボーとしている間にスネオが勝手に僕を学級委員長に立候補したんだよ。べつに、そのときはやる気とかはなくて、ただ、勝手に落選すれば言いと思ったんだ」
 そう、そう思ったんだが……
「帰りにスネオがさ、僕には絶対むりだといったんだ。それに付け加えてジャイアンも『のびたが学級委員長になったら町内を逆立ちで一周してやるよ』って。さらに一番悔しかったのは…悔しかったのは……静香ちゃんの台詞なんだ………」
「それで?」相槌を入れたというより呆れた顔をしてやがる。なんだよ、そのいつものアレっつー顔は。でも、そんなことは気にしない。いつものアレだから。マンネリしてますね、どーも。
「『のびたさんには絶ッッ対無理ッ!』って……あんまりだよォオオオオ」いつもの帰宅途中の交差点で分かれる瞬間に吐かれた言葉をリフレインし、更に思い出し泣きをしてしまった。リフレイン(繰り返す)、リフレイン(慎め)。
「うーん、それは悔しかったろうに」
「うわぁあああああん」ここが泣き落としポイント。ここが大事ですよ? 奥様。

 さて、まん丸お手々が四次元ポケットに挿入されて、そこから出たのは……
「<ヘヴィーウェザー>!!」コンピューターという奴だろうか、ノートのように半分に閉じたり開いたりすることが出来るタイプのだ。ノート型パソコンというんだっけ、後数十年したら出来る技術だそうな。
 そして、そのパソコンにつながった長方形の物体・スパゲッティーのように細長い管がたくさんくっついている球体、側面に丸いカメラがちょこんとついている。いったいこれらは何なんだろう? 見たことのない機器たちだ。
「サプリミナル効果って知ってるかい?」
 知らないと答えたらさもあり何という態度をとられた。分かってるんなら早く説明しろよ、狸。
「映画って言うのは絵を重なり合わせて光を放って放映するものだろ? その重なりの間にコカコーラとポップコーンの写真を投入するんだ。もちろん、ばれないように微かに流すんだけどね」
 相槌を打つ。
「するとどうだろう、売店でのコーラの売り上げが18.1%、ポップコーンの売り上げは57.7%も増加したんだ」
 うーん、一体どういうことかよく理解が出来ない。
「さすがに、のびた君には難しすぎる話だったかな? それじゃあ、実際にやって見せよう」
 そういうと、ドラえもんはコンピューターの方へと体を向けた。そして、しきりにタイプをし始める。
「この<ヘヴィーウェザー>は指向性があって、サブリミナル効果を掛けたい人を特定できるようになっているんだ。それでのびたくん、宿題ある?」
「あるよ」ランドセルから算数ドリルを取り出す。たしか、4ページとか。初日からきついよ。
「わかった、それじゃあ君にやる気を出させてみよう。まず、この算数ドリルをスキャナーで取り込む」四角い機械は重箱のように二つに分かれ、算数ドリルをその間に挟む。そして、ウィーンと音が光とともに零れ出した。
「これで良し、あとは訴えかける文章を書くとして……音声はいらないか」
 カチ……カチ………
「これで良し。後はロードを待つだけだよ」
 キィイイイイイイイン…………『ロード完了しました』とモニターから文字が。
「うわっ!」いきなり球体につながっていた管が外れ、青空高く飛行していく。
「今日は青空でよかった」とドラえもん。
 数十秒後、なんだか無性に算数ドリルをやらなければならない気がしてきた。なんだろう、この切迫感……
「う…………う?」突然、脳内から先生が飛び出てくる。それもまた、赤鬼みたいに怒り狂った先生だ。
「ノォオオオオオオオビィイイイイイイイイイイイ!! 宿題はドォオオオオシタァアアアアアア」
「う、うわァァアアアアアアア」しゅ、宿題をやらないと殺される。な、なんなんだ、先生の手に竹箒が、市内が、バットが、スコップが!!
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」僕はスキャナーに挟まれた算数ドリルを取り出し、徐に机に向かった。
 うなり声を上げながらも30分、数学ドリルをとき終わる。
「あ……」何なんだろうこの開放感は。
「どう、効いたでしょ」
「あ、あれはいったい……」零れる吐息を落ち着かせながら、ドラえもんに再度質問をする。
「これがサブリミナル効果だよ。今回は、『宿題をやらないと殺される』ってやってみたんだけど……やりすぎだね」
「や、やりすぎだよ」あまりの徒労感で腰の力が失われ、いすから転げ落ちてしまった。

 そんなこんなで、早速サブリミナル効果を実践に移すことに。
「こんなんでどうかな?」ドラえもんが差し出したのは選挙ポスターだ。それも僕の顔が載った奴。パソコンで切り貼りして作ってくれたものだ。技術が進むってすごいことなんだな。
 だが、顔に沿って誹謗中傷が書かれているのはなぜだろう?
「これはね、のびた君の顔を印象付けるためのおまじないなんだ。まあ、気にしないで」
 気にするに決まってるじゃないか。まあ、悪い頭を幾ら使っても答えが出るとは思えないので、そのうち考えるのをやめた。
 そうこうしているうちに、ドラえもんは手際よく事をこなす。そして、クラス全員の顔をパソコンに打ち込み、球体を発射した。
「頼むぞ!」結果は決まっているのに両手を合わせて祈る。
 結果通りになった。

 今日は楽しいものを見ることができた。ジャイアンの逆立ち町内一周だ。昨日のうちにサブリミナル効果として打ち込んでおいて成功だったよ。いやぁ〜傑作。
 やらなかったら『ママにしこたま怒られる』っていうのが効いたね、うん。
「それは良かったね〜」
「うん、静香ちゃんも僕のことを見直してくれたし、みんなもあんぐりしてたよ」
「でもさ、学級委員長になれたけど、仕事は出来るの」
 考えていなかった……
「それじゃあ、<ヘヴィーウェザー>でそういう体型に作り上げようか?」
「うん、いいね。そりゃ〜楽だ」いや〜サブリミナルって本当に便利だな〜。

 数日後、授業中に倒れこんでしまった。
「大丈夫、のびたさん?」保健室まで運んでくれたのは、どうやら静香ちゃんとその他らしい。その他って酷い言い方だって? 馬鹿野郎、静香ちゃんにはびこる悪い虫はすべてゴミだ!
「うん、だいじょうぶだよ」実際、大丈夫じゃなかったり。あまりの疲労で、家に帰ったらもっぱら昼寝タイムなのだから。だが……
「のびたさん、無理し過ぎよ。人が変わったように仕事をして……あれじゃ、倒れるわ!」
「でも、これは僕の仕事だし」これは僕の宿命。しなければ、『ドラえもんに八つ裂き』にされてしまう。
「い、いかないと……」
「ど、どこに?」
「先生に出席表を渡さないと」ベットから降りようとしたところを、静香ちゃんの両手が遮る。
「だめよ! 安静にしてないといけないわ!」
 だが、僕はその言葉を無碍にする。
「行かないとだめなんだ!」
 薬剤の香りが漂う二人きりの世界で、僕は大声を張り上げた。
「行かないと……これが学級委員長たる僕の仕事なんだ!」突然僕の頬に、静香ちゃんの手のひらが飛んできた。
「バカッ! そんなののびたさんらしくないわ!」静香ちゃんは僕に背を向けて走り出した。
「静香ちゃん!」
 ガタンッ……
「し、しずかちゃん……」
 僕らしくないか、確かにそうだ。僕はいつも怠けていて、宿題は忘れるし、居眠りはするし。でもね、どうしても変わりたかったんだ。本当は、やっぱりやりたくなかった。でもね、やるにつれてみんなの黄色い声色に気持ちよくなっていくんだ。「のびた、おまえすげーな」とか「のびたくん、すごーい」とか。言われたことなかったからさ……

 コンコン……

 運動場側から音がする。
「なんだろ?」夕日を背景に、タケコプターをつけた青い置物がやってきた。
「大丈夫かい? のびたくん?」
「ド、ドラえもん!?」突然の訪問に、僕の顎が外れた。一旦、間を置き、窓を開ける。
「さっき静香ちゃんから電話があったからすぐにやってきたんだよ」
「静香ちゃんが?」
「のびた君が倒れたって、すんごい心配してたよ」
「う、うん」僕は息詰まった。
「やっぱり、君には会わないことだったんだ……」
 違う! 
「僕は! 変わりたいんだ! 今までの僕は僕じゃない、これが僕なんだ!」
「……でも、人には人の」
「説教なんか聴きたくないよ!」
 沈黙のムードがこの場を流れる。
 数分後、ドラえもんが喋り始めた。
「のびたくん、『君を叙任する』」
 
………………
…………
………
……


 アレから、僕は先生にやめることを告げた。
 何だったのだろう、あの切迫感は。今では肩の荷が下りて、とっても生活しやすいようになった。
 寝坊もするし、居眠りもするし。
 これが結局僕にあった行動なのだろう。

 結局僕は。


<了>
 

 

最後に苦虫を噛んだ様な感覚を残してみました。
結局のびた君って……
なんだか、虚しいですが、現実ってこうなんですよね。
……自分で書いてて虚しさが過ぎる。
文書は肉付け作業が終わってない段階で投稿。誤爆あったらすいません。つたなくってごめんなさい。


[No.375] 2008/09/19(Fri) 20:41:35

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