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ゲームスタート60分後 53人全員が教室から出て行った。 「……」 その大柄な男(本名は坂口昆発と言う)は、バトルドライアルの管理室のゆったりとした大きなソファーに座りながら名簿を眺めていた。 「…………ねぇ、……そう、君、………前回の優勝者ってだれだったけ」 「たしか、タラオだったと思いますよ、火炎放射器で20人ほど焼死させました」 「じゃあ今回の優勝者は、出木杉あたりかな」 そういいながら、インスタントコーヒーに手を伸ばした その時だった。 どこか遠くでぱらららと、マシンガンの銃声が聞こえた。 実際には、島にある監視カメラからの音声だったのだが、まぁそんなことはどおでもいい。 そして、1人の男が言った。 「登録ナンバー14番、ムス子が死にました」 「いったいどうなってるんだよ!ちきしょう!」 はる夫【登録番号12番】は、ある南の森林で支給された武器……トイレットペーパーを握り締めて歩いていた。 特に持っていたからといってなんのメリットもないのだが、なにかを握ってるとそれだけで安心できる気がする。 …多分 はる夫には2つ疑問があった。 まず、ここはどこなのか、そしてこの状況だ。 ついでにこのトイレットペーパー。 「帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい」 と早口で呪文のように早口で唱えて、とにかく歩いていた。 とにかく、誰かに会いたい。 はる夫の場合は、恐怖より孤独に取り付かれているのである。 「安雄……」 皆で脱出するんだ。 皆で、 気づけば海が見えた。 ……ここから泳いで帰れたらどんなにいいか……。 ふらふらと、海にむかって歩いた。 岩がごつごつとして歩きにくかったが、なんとなく海が見たい。 海の目の前まで来て、波が靴に当たって冷たい。 ここらで1回深呼吸。 その瞬間ぱらららと、古びたタイプライターのような音がした。 当然はる夫はタイプライターなんて知らないが。 勢いよく体が吹き飛んだ。 まるで車に轢かれたときのように、2、3メートル。 地面に倒れるころにははる夫はもう死んでいた。 7発体に弾丸が埋め込まれたからだ。 はる夫が死んだのはムス子が死んだ20分後だった。 はる夫が正常だったらムス子を貫いたイングラムM10の銃声が聞こえて、少しでも遠くまで逃げれたはずだった。 出木杉【登録番号6番】は、もうすでに死んでいるはる夫死体が握り締めているデイバックには目もくれず新たなる目標を探しに行った。 なんだったんだ、今の音は……。 イチ【登録番号50番】は、まさに出木杉がたった今2人の人間を殺めた海に来ていた。 懐中電灯で水平線を照らした。 「きれいだなぁ」 自分にしか聞こえないくらいの小さい声でつぶやいた。 新しい星を見つけて平和に暮らしていたのに……。 イチの目には涙が浮かんでいた。 すぐに涙を拭いまた歩き出した。 波に沿って。 こんなにのどかな島なのにな〜、皆どうしてるんだろう。 タグやブルタロー、チーコは……いかん、また泣けてくる。 早く朝にならないか、暗いと何も見えない。 すると森林の方からガサガサと、あきらかに人間が草木を掻き分ける音が聞こえた。 ビクりと、イチはその音が聞こえるほうを向いた。 ふっ、俺を殺したいのか、殺したいなら全力でかかってきな、俺は手加減しねぇぞ。 イチはCZE CZ75 を握り締め、構えた。 安全装置解除、弾も全弾装填済み、来いよ、俺を殺しに来いよ……。 その瞬間、ピカリとイチの目の前が真っ白になった。 「イチ、イチだよな?」 その声は毎日のように聞いている声、ブルタロー【登録番号53番】だった。 [No.413] 2008/11/06(Thu) 23:02:36 |
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