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第二話「崩れゆく日常」 ドラえもん「この次元を・・・消しに来ただと!?」 ドラえもんは、のび太のママを後ろにかばいつつ、謎の男をにらみつけて言った。 ドラえもん「いったいどういうことだ!おまえは・・・元々は『次元の守人』の1人だったじゃないか!」 ドラえもんがそう言ったとたん、男の顔から不敵な笑みが消えた 彼はかすれた声で言った。 ?「知って・・・いたんですか」 ドラえもん「当たり前だ!1年前のことをそう簡単に忘れるか!」 ?「・・・そうですよね。そう簡単には忘れませんよね」 するとまた男は笑んだ。今まで通りに、そして馬鹿にするように。 ドラえもんはさっきよりも強い口調で言った。 ドラえもん「さっきの質問に答えてもらうぞ!なぜおまえはこの次元を消そうとする!」 ?「・・・昔とは、事情が変わったんですよ・・・」 ドラえもん「なんだと・・・?」 ?「ある人に、おもしろいモノを見せてもらえるような気がしましてね・・・。そっちの味方をすることにしたんです。 そのためにはこの次元・・・『トキワタリの次元』とのび太君がどうしても邪魔になるんですよ・・・」 ドラえもん「それだけ・・・、たったのそれだけの理由で次元一つ消し去ろうっていうのか!?」 ?「だったらなんだと言うんです?」 ドラえもん「今ここで、おまえを止めてみせる!」 ドラえもんがそう言った次の瞬間、ドラえもんはポケットから何かを取り出し空中に放り投げた その瞬時に男は何もない空間を歪ませ、そこから黒いオーラを纏った双剣を取り出し、ドラえもんのいる方向に思い切り斬りつけた 家具や床が壊れそのかけらが砂塵のように舞い上がった。しかしそれが消えるとそこには 何かバリヤーのような物に守られたのび太のママがいるだけで、そこにドラえもんは居なかった ?「さっき使ったのは『バリヤーポイント』・・・そこで倒れてる女に危害が及ばないようにするため・・・ そして本人は2階に行ったか・・・」 そう言うと男はすうっと霧のようになって消えた。そしてその次の瞬間彼はすでにドラえもんの背後にいた。 ------------------------------------------------------------------------------- 2階 ?「まさか逃げるとは思いませんでしたよ・・・。今更怖じ気づいたんですか?」 2階ではドラえもんと謎の男が再び対峙していた。 ドラえもん「怖じ気づくだと?僕はおまえから逃げた覚えはないぞ!2階に来たのはママに危害が及ばないようにするためだ! それに・・・これでちゃんと戦えるって訳だ!」 ?「成る程ね・・・」 ドラえもん「さあ、今の内にこの次元から出て行くんだ!」 そのときだった。1階で声がした。 のび太「たっだいまー☆(上機嫌)」 そう、のび太が帰ってきたのだ。これはまさに最悪のタイミングだった・・・ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 のび太は既に異変に気づいたらしかった。おかしいと思って周りを見渡してみるとそこには倒れているのび太のママが居た。 のび太「ママ!?どうしたの!?いったい何が・・・!?」 のび太はママの無事を確認しようとしたが、近づいたその刹那 のび太「わっっっ!」 なんだか解らない力に弾かれてしまった のび太「な・・・なんだ今の?」 そしてのび太は今度はゆっくり慎重に近づいてみた。すると今度は弾かれはしなかったものの、やはりある程度よりは近づけなかった。 のび太(何だろう・・・壁みたいなのがある・・・これは一体・・・?) するとのび太はママの側に小さな機械が落ちているのに気づいた。のび太はそれがなんだか知っていた。前にも使ったことがあったからだ。それは・・・ のび太(バリヤーポイント!!!何でこんな物が・・・いったい僕のいない間に何が?!) 状況に困惑するのび太。そしてその次の瞬間2階から爆音が響いた。 のび太「な、なんだ今の音!?」 のび太はすぐに2階へ行った。そこではドラえもんと謎の男が戦闘中だった のび太「ド、ドラえもん!い、いったい何が起こってるの!?」 ドラえもん「の、のび太くん!来ちゃだめ・・・」 それは本当に一瞬だった。ドラえもんはその言葉を言い終わらないうちにドサリとその場にうつぶせに倒れてしまった。 のび太「ドラえもんッ!?」 のび太はすぐにドラえもんの元に駆け寄った。だがそこには信じられない光景が広がっていた。 うつぶせに倒れているドラえもんの背中には、あまりに大きい傷があった。まるでえぐり取られたようなその傷からは、 いくつもの精密機械が覗いており、黒い液体があふれ出して部屋の畳に染みを作っていた。たぶんこれがオイルとか言うやつだ。 その傷から青い電光が走っていた。そしてそんなドラえもんの背後には、あの男がオーラをまとった双剣を両手に持ちそして 笑っていた。その双剣の片方からは明らかにドラえもんのオイルとしか思えない黒い液体がしたたっていた。 のび太は自分の足が竦んでしまっていることに気づいた ?「やっと・・・見つけましたよ・・・のび太君・・・」 そう言うと男はのび太に近づいてきた。 そのときの彼は今までと明らかに違っていた。いつになく恐ろしげな笑みを浮かべていた。 ドラえもん「の・・・のび太くん・・・。に・・・逃げろ・・・逃げるんだ・・・。奴の狙いは・・・君だ・・・」 のび太「!?」 ?「ち・・・。余計なことを・・・」 そんなことをいうと男はドラえもんの背中を思い切り踏みつけた。しかも、丁度傷口の部分を。 ドラえもん「ぐああぁぁぁ!」 のび太「ドラえもんッッ!!」 ?「君は・・・、随分邪魔をしてくれましたね・・・。お陰で・・・予定してたよりもこの次元を消すのが遅れてしまいましたよ・・・」 のび太「や・・・、やめろ・・・」 ドラえもん「何やってるんだ・・・!早く逃げろのび太くん・・・!こ・・・殺されるぞ・・・!!」 ?「君は・・・、今ここで消しておいた方が良さそうですね」 そういうと男は両手に持っていた双剣を2つともドラえもんに振り下ろそうとした! だがその瞬間、どこからか何かが飛んできて男の両手の甲に当たったその衝撃で男は剣を取り落とし、その剣は幸いドラえもんには刺さらなかった。 男の手に当たった物はパチンコ玉だった。 のび太「パ・・・、パチンコ玉?ってことはもしかして・・・」 のび太は部屋の入り口の方に顔を向けた。そこにいたのは虎太カ、ジャイアン、スネ夫、静香、蜜柑、そして出木杉の6人だった。 その最前列では虎太カがゴムパチンコ砲を構えた状態で立っていた。 のび太「み、みんなっ!」 虎太カ「野比・・・なんかよう解らんけどとにかく大変なことに巻き込まれとるらしいな!」 のび太「みんなっ!来ちゃだめだ!こっちは危険だ!」 ジャイアン「馬鹿野郎!友達があからさまにピンチに陥ってるってのにほっとけるかってんだ!な!スネ夫!」 スネ夫「え?!う、うん・・・」 のび太「みんな・・・」 そしてのび太はゆっくりと立ち上がり謎の男に向き直った。 のび太「さあ、早くここから消えろ!どこの誰だか知らないけど今すぐここから消えるんだ!」 ?「何?」 なぜかその時、男は不思議そうにしていた。今までの笑みは完全に消え去っていた ?「どこの誰だか知らない?覚えていないというんですか・・・?いったいなぜ・・・」 すると男は何かに気がついたようにはっとした。そして素早くドラえもんに視線を移した ドラえもんはそんな男の方を見るとにやりと笑った ?「な・・・なぜだ・・・。どうやったんだ・・・。いったい何のために・・・」 ドラえもんはその問いには答えずただただ笑っていた これらのやりとりは当事者である2人にしか理解できなかった すると男の顔からしばらく消えていた笑みがまた現れた ?「フフフ・・・本当に・・・何から何まで邪魔をしてくれた訳なんですね・・・。フフフ・・・・・・・・・ 小賢しい!」 すると男の周りにどす黒いオーラが集まり始めた。その衝撃で家が揺れ始めた ?「丁度うるさいのもわらわら集まってきたことだし・・・ここで・・・全員まとめて消してあげますよ!」 そういって片方の手を高く掲げあげると、そこに彼のまとっているオーラが集まりだし、紫色の球体が作られた のび太「うわっ!な、なんだよあれ!」 出木杉「よく解らないけど・・・でもあんなのを食らったらひとたまりもないことは確かだ・・・」 蜜柑「あ、あれが・・・そんなに凄い物なんですの?!」 静香「じゃあここは危険だわ!速く逃げないと!」 のび太「まって!ドラえもんは・・・ドラえもんはどうなるの?」 ?「逃げても無駄ですよ・・・。『これ』は星一つ破壊するほどの威力を持っている・・・最早あなた達に残された道は一つ、『死』です」 のび太「そんな・・・」 そこにいたのび太たちはみんなが絶望に包まれていた ?「これですべてが終わる・・・」 のび太「や・・・めろ・・・」 そして男は不敵な笑みを浮かべた。すると男の掌の上にあった紫色の球体が強く光り大きくなり始めた ?「消えろ」 のび太「やめろーーーー!!!」 のび太がそう叫んだときだった。信じられないことが起こった。のび太の胸の前あたりに白い光が集まり始めたのだ それはそこにいた誰に予測できた出来事だろう。いや、本人にさえ解らなかった筈だ。こんなことが起こるなんてことは・・・ のび太の前に突如現れたその光は集まりながら何かの形になりつつあった・・・ ?「あれは・・・まさか覚醒?こんなにも早く・・・?」 のび太「これは・・・一体・・・?」 のび太はまだ事態が飲み込めずにいた ?「い、今の内に・・・今の内に消しておかねば!」 そういうと男は掌の上の紫色の球体をのび太に向けて勢いよく飛ばした。 するとのび太の前にあった白い光が勝手に紫の球に向かっていき思いっきりぶつかった! 凄まじい轟音が響き渡り白い光と紫の球がぶつかり合いそれぞれがはじけ合い混じり合い その境目から衝撃波ともの凄い風圧が終わり無く押し寄せてきた そしてやがて2つの大きな力は両方とも次第に衰え始め最後には2つ同時にゆっくり消えていった あとにあったのは静寂だけだった。そして次の瞬間のび太はその場に倒れ込んでしまった ?「そんな・・・そ、相殺・・・?」 男はその言葉を言うとその場にガクリと膝をついた それを見てみんながほっとしかけたそのときだった。野比家が大きく揺れ始めた! 出木杉「まずい・・・家が崩れるぞ!みんな早く脱出するんだ!」 出木杉のそのことばでみんなは家からのび太を連れて脱出した ちょうど全員が脱出しきったときに家は崩れてしまった のび太「う・・・うう」 虎太カ「野比ッ!気がついたんか!?」 のび太「こ・・・虎太カ・・・。ド・・・ドラえもんは・・・?ドラえもんは・・・どこ?」 虎太カはみんなの方を振り返った。だがみんなはその事を耳にすると悲しそうにうつむいた のび太「もしかして・・・、ドラえもんは・・・に・・・逃げられなかったの・・・?」 虎太カ「・・・」 その時だった。 蜜柑「!!」 静香「?!ど、どうしたの?」 蜜柑「あ・・・あれ・・・」 蜜柑がゆっくりと指さした方向にいたのは気絶しているドラえもんの赤い首輪をドラえもんごと片手に持ち宙に浮いているあの男だった 男はだいぶ体力を消耗しているようで先ほどまでと比べるとひどく弱っているのが解った スネ夫「う、嘘だろ!?」 スネ夫がそう叫び終わった頃に男はゆっくりと口を開いた ?「みなさんは・・・随分となめたマネをしてくれましたね・・・。ですがこっちの体力がもう限界なのでね・・・ ここはいったん引かせていただくことにしますよ・・・。でも忘れることの無いように。 この次元が邪魔なのに変わりはないですから・・・また次の機会に消して差し上げますよ」 そういうと男はすうっと霧のように薄くなり始めた。片手に持っているドラえもんも一緒に のび太「ま、待てッ!ドラえもんを放せ!」 男はまるで聞こえていなかったのようにしていた。そして霧のようになって今にも消えそうになった ?「それでは、ごきげんよう」 その瞬間のび太は走り出した。ドラえもんに向かって全速力で のび太「ド、ドラえもんッッッッッッッ!!!!!」 叫びながらのび太は男が片手に持っているドラえもんに向かって大ジャンプした。あと少しでドラえもんを救い出せるほどの高さまでにも だがのび太がドラえもんの手にふれる寸前にドラえもんは霧のようになって消えてしまった。あの男とともに のび太「ド・・・ドラえ・・・もん・・・」 のび太は頭の中が空っぽになるのを感じた。そして次の瞬間たくさんの感情が押し寄せてきた。 ドラえもんがいなくなってしまったことによる悲しさ。自分の無力さに感じる怒りと悔しさ。これから起こることに対する不安や恐怖。 様々な思いがのび太の中でぶつかり合ってどんどん複雑で苦しい感情が生まれるのに消えることは一行になかった のび太「ドラえもん・・・。ドラえもん・・・!ドラえもん!」 のび太は何度もドラえもんの名を呼んだ。 途中、静香がのび太のもとへ駆け寄りそうになったが出木杉に制止された。静香が振り返ると出木杉は悲しそうな顔で首を横に振った。 それを見て静香はそのままその場で深くうなだれてしまった それ以降は悔しさで地面を何度も殴りつけ、泣きながらドラえもんの名を叫ぶのび太のことを誰も 止めようとも慰めようとも宥めようともしなかった きっとそんなことをしても無駄だということがみんなにも解っていたんだろう もうすぐ沈む夕日がその日一番の最後の輝きを放っていた まるで1日のすべてを包み込むかのように・・・ ------------------------------------------------------------------------------- 同時刻 異次元 あからさまにベタすぎる感じの廃墟が広がる場所 そこにまたもベタな現れ方をしたのはローブを着てなぜかランタンを持った1人の少年だった 少年「ここも・・・消える寸前なんだな」 そんなことを言って少年はその辺に腰を下ろした すると不意に女性の声がした 女性「おいっ!聞こえるか!?聞こえたんならさっさと応答しろ!」 その声はなぜかランタンから出ていた。どうやらあのランタンは通信機械のような物らしい 少年はそのランタンを顔の高さまで持ち上げてからそれに向かって喋った 少年「その声はヒスイか?何のようだ」 ヒスイと呼ばれた女性はさっきよりも強い口調で答えた ヒスイ「何が『何のようだ』だ!そっちの次元は消える寸前なんだぞ!?早く帰ってこないとおまえまで消え・・・」 少年「はいはい、解ってる解ってる。要はそっち帰ればいいんだろ?でもそう簡単にはいかねーんだよ」 ヒスイ「何か解ったのか?」 少年「ああ。最初から妙だとは思ってたけどこの次元はいつもみたいに法則の干渉によって消えかけてるんじゃなかったんだ」 ヒスイ「法則の干渉が原因じゃないのか・・・?だとしたらいったい何だというんだ・・・」 少年はしばらく答えなかったが少ししてようやく口を開いた 少年「・・・おそらく、いや間違いなくそうだと思う。この次元は・・・『食われた』んだ。次元獣に」 ヒスイ「何だと・・・?そんなことが・・・あ、あり得るのか?!」 少年「ハッキリいって俺も信じられない。だがこの状況は・・・9割方次元獣の仕業と見て間違いないだろうな」 ヒスイ「なぜそんなことが起こったんだ・・・」 少年「・・・次元獣が勝手に次元を食うなんてあり得ないはずなんだ。これは俺の推測に過ぎないが・・・もしかしたら何者かが裏で関わっているのかもしれない」 ヒスイ「馬鹿な!だとしたらそいつらは何のために次元獣を!?」 少年「さあな。そこまでは想像もつかねぇよ。でももしかしたら・・・『千年戦争』でも再び始める気なのかもな」 ヒスイ「それは・・・あり得ないだろ。絶対に。もういいから早く帰ってこい!そっちは危険だ!」 少年「解った解った」 少年がそういうとプチンと音がした通信が切れた音だった 少年「・・・全部解っているのに本当のことを言わないってのは随分気を遣う物だな」 少年はそんな独り言を言うとゆっくりと立ち上がった 少年「アシュレイ・・・貴様のやろうとしていることは解ってるぞ・・・。いずれ必ずあの世界から引きずり出してやる・・・!」 ―『千年戦争』を再びはじめさせてたまるか・・・! つづく 第一話、題名入れるの忘れました。第一話「大冒険は突然に」という題です。 [No.419] 2008/11/15(Sat) 12:29:48 |
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