![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
「…吸血鬼達は、その、あの、恐ろしいですな、出木杉総長」 「まあ、確かに恐ろしいですがこれほど頼りになる味方もいないでしょう?」 「そうですが、あまりにも危険も伴う味方なのではないのですか…。 あの化け物を瞬殺するような奴等です、もしもの時に我々がピンチになる可能性だって…」 吸血鬼達のあまりに圧倒的な力を見せつけられ沈黙してしまっている参謀本部。 目の前のモニター兼コンソールには今その時間にも兵士視点の映像が映し出されていく。 生き残り部隊がほぼ集合地点へ行き着いた様子、壁を蹴り疾走する吸血鬼達の様子、飛行船内部の様子。 そして、壁を蹴る吸血鬼達の行く手を阻もうと飛び出し、 無惨にもただの肉の塊へと変わってゆく量産型のタイラント。 出木杉は少し気を落としたような声で言った。 「みなさんはこう思っていらっしゃいませんか? 『たった十人でこの戦果…、我々の勝利は確定したも同然だ だから、全てが終わった後吸血鬼達をどうしようか』 と」 「まさにその通り!いまは我々はただ全てが終わった後のことを考えるのみ」 「物騒な奴等は用が済めばすぐに処断を考えねば」 参謀の六割方がそう言った意見を出した。 これを聞いて、出木杉は少しあきれた顔をし、 「これで勝利を確信できると?馬鹿馬鹿しいにも程がありますよ。 よく考えてください、映像に出て来た化け物であの吸血鬼達が殺したのはまだ一種類だけです。 あの鉄の巨人や頭に恐らくは戦闘用コンピュータを装着したもの、醜悪な顔をした化け物、 三部隊を一瞬で消し去った謎の化け物、まだ繰り出されていない化け物、こいつらが残っています。 それと戦ってすらいない段階で勝利を確信するのはおごかましいと思いませんか? いくら彼等が吸血鬼といえども無敵の生物ではありません、そのところを考慮して頂かねば」 続けて、ガリベンが言った。 「私も総長の言うことに賛成だ。こんな段階で喜ぶのはまだまだ早すぎる。 我々はまだ、やっとまともな攻撃をかろうじて出来たと言うことを忘れてはならない」 苦し紛れに、まだ風貌は子供っぽい参謀が言った。 「しかし、あの実力…、残りも簡単に片づけることは可能でしょう」 やはり、吸血鬼万能と信じる者達は皆この意見に首を振った。 だが、これを司会の男が破壊した。 「まだ、一つしか見ていない時点で全てを判断するのは作戦の失敗、 すなわち、我々の消滅につながることになるのを忘れていられるのか? なのに何故、そのような甘い見通しをされるのです。我々は何としても勝利を手に入れればならないと言うのに」 この一言が、漫画連合の全てであった。 戦争なら仮に一度敗戦したとしても、力を蓄えてゆけばまた起こし、今度は勝利の夢に手が届くことがある。 だが、彼等は違う。その一度の敗戦で何もかもを失い、御破算となってしまう。 いわば一世一代の大勝負である。そこに甘い見通しを立てて挑めばどうなるのかは歴史も語っている。 負ければ、みんな消えてゆくのである。 「しかも忘れたわけではないでしょう、陸上突入部隊が壊滅したこと。 飛行船でしか兵員を送れない上に、いつその飛行船という手段さえ破壊されるかわからない。 超常的兵器を全て機能停止に追い込む柳田理科雄の存在。 そして、会社自体がほぼ一つの国と言えるアンブレラ社軍部とBOWに自衛隊の超精鋭、東京要塞の堅牢さ。 未確認情報ではあるものの、政府が極秘に建造している兵器。 これほどのこちらに不利な状況にある中でそのような楽観的な判断を下すのはあまりもお粗末すぎますよ」 ガリベンがこの言葉をすらりと言いきった。 出木杉はその言葉にただひたすら頷いていた。 (さすがはいつも僕を脅かし、時には恐怖そのものとなった男だ。 これならば、楽観的な考えも一掃してくれるだろう) 楽観的な考えを持っていた者達は皆一気に目が覚めた顔になった。 自分たちが目の前の圧倒的な勝利に目を眩まされ、いかにも全体でも勝利しているという幻想から戻ってきたのだ。 「我々は何と愚かだったんだ。目の前のただ一部だけの勝利に浮かれ、 無謀な作戦を強行しようとしていた…」 出木杉がニヤリと笑い、 「わかってくれましたね。それでは、陸上部隊侵入の活路を開くための長距離射撃戦法の検討をこれより行う」 「了解!」 「はあ、こんなことになるんならあのウォルターとか言うおじいさんと ストーム1とか言っていたおじいさんにいろいろ教えてもらえばよかったなあ…」 「のび太、何落胆してるんだ?」 あまり心配をしていなさそうに、と言うかめんどくさそうに文矢が聞いた。 やることが何一つ無いので奮起できないからだ。 「だって、あのまま基地に残っていれば、あのパーフェクトなワイヤー使いのウォルターさんや 伝説の老兵であるストーム1さんにいろいろ教えてもらえたかも知れないからだよ…。 あああ、勿体ないことをした」 言葉からもわかるようにのび太はかなり落ち込んでいる。 それは、ワイヤーでビルを両断したりした男や、たった一人で怪獣や巨大昆虫、 挙げ句の果てには巨大なUFOまでも一人で破壊した男がいたのである、無理もない。 「でものび太、残ってたらあの鬼軍曹の鉄拳制裁や地獄の罵詈雑言を喰らってたぜ」 それを聞くとのび太は青ざめた。 その鬼軍曹とは、あまりの恐ろしい言葉で新兵を恐怖のどん底に陥れ、情け容赦の無い人間として恐れられている男である。 彼の名言(迷言)を挙げると、 「クソとたれる前にサーをつけろ」、「死ぬのか、俺のせいで死ぬつもりか?さっさと死ね!」、 「俺は平等主義者だから人種差別は絶対に許さん!なぜなら、イタ豚、ユダ豚、黒豚どれも平等に価値がないからだ」等である。 「ああ、確かに残らない方がよかったな…。うん」 のび太は直接には指導されていないが、こけて手榴弾をばらまいた兵士が見るも恐ろしい事をされているのを見ていたのだ。 その兵士は最後は発狂して鬼軍曹をライフルで超近距離から撃ったのだが、 鬼軍曹はもんどり打って倒れた後に平然と起きあがりまた説教を始めたりしていた。 「あの親父にしごかれたら人生も終わりだよな」 こういったのび太の横で文矢は何故か硬直していた。 「どうしたんだ文矢、そんなこの世の終わりを見ているかのような顔をして」 文矢はのび太の真後ろにいる人物をみて完全に硬直している。 のび太も不思議に思い後ろを見てみると、 「ぎゃああああああああああああっ!!」 そう、鬼軍曹ことハートマン軍曹が立っていた。 「貴様ら、<自主規制>で<自主規制>になるまで徹底的に訓練してやる。覚悟をしておけ」 目には爛々と怒りが燃え続けている。 どうやら、会話を都合の悪いところから全部聞いてしまったらしい。 「に、逃げるが勝ち!」 そう言って、文矢とのび太は逃げようとしたが、既に首の辺りをむんずと掴まれていた。 「貴様ら、俺から逃げられると思うなよ」 このときの二人はもはや、「おまえはもう死んでいる」というような顔だったらしい。 『ぎゃあああああああああああああああああああっっ!!!!!』 To Be Continued お久しぶりです。作者です。 前半に結構真面目なムードだったのに、後半でマイナスになってしまいましたね。 やはり、ハートマン軍曹は軍隊には一人は欲しい方なので…。 とまあさておき、次回はDIOが出場予定です。 では。 [No.420] 2008/11/16(Sun) 01:13:19 |
この記事への返信は締め切られています。
返信は投稿後 365 日間のみ可能に設定されています。