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WINGBEAT COFFEE ROASTERS

all 石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/12/12(Fri) 19:24:35 [No.426]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/12/13(Sat) 07:49:30 [No.427]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/12/25(Thu) 11:27:10 [No.429]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2008/12/30(Tue) 19:20:34 [No.432]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2009/01/21(Wed) 18:31:40 [No.435]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2009/01/27(Tue) 07:49:37 [No.437]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2009/01/31(Sat) 14:30:24 [No.442]
石版 第六幕「彼は満足したのだ... - 文矢 - 2009/02/09(Mon) 18:19:31 [No.448]
石版 「カーテンコールの後に幕... - 文矢 - 2009/02/09(Mon) 18:20:19 [No.449]
感想 - 文矢 - 2009/02/09(Mon) 18:29:13 [No.450]


石版 第六幕「彼は満足したのだろうか」 其の十七 (No.429 への返信) - 文矢

 巨大なドリルで彫ったかと思うぐらいの奇妙な跡がある洞窟の中。アドバン村が壊滅したあの日から、誰も立ち寄らなかった穴。そこに、イカたこはいた。何故か? 彼の目的を果たす為に。彼の理想を実現させる為に。
「ああ、これが……」
 イカたこは、跪いていた。それの目の前に現れた瞬間、敬意を表さなければいけない、という考えがイカたこの頭に現れたのだ。そして、自然に体が動き今の姿勢となる。その敬意の対象、それは石版だった。
 謎の文字が綴られた、巨大な石版。洞窟のようになっている筈なのに、イカたこはその石版が輝いているようにも見えた。いや、輝いているのだ、この石版は、輝いているに違いないと思っていた。
 石版。それは、巨大な長方形のプレートだった。そのプレートが穴の奥に埋め込まれているのだ。石版はなんともいえない不思議な色をしており、傷一つついていない。何千年も、そこに存在していたのにだ。紀元前、名無し達が生きていたその前からそこにあったのに、傷はついてない。不気味なぐらいだった。
 イカたこは、自分のポケットを探る。手は震えていた。それが感動の為なのか、それとももっと別の理由なのかどうかは分からない。だが、ポケットの中を探っていた。探り始めてから十秒ぐらいかかってやっとイカたこはポケットから物を取り出した。二枚のレリーフだ。片方のレリーフには石版の場所、もう片方は『Do not pass this to that man. (これをあの男に渡すな)』と彫られている。
 イカたこは、場所が書かれているレリーフを地面に置いた。『Do not pass this to that man. (これをあの男に渡すな)』と書かれていた方のレリーフをじっくりと見る。片方のレリーフには石版の場所。もう片方のレリーフには何故英語が書かれているのか? イカたこは考え始める。
 ここに来るまでにイカたこが出した結論は、こっちのレリーフには文字の解読方法が書かれていなければならないということだった。レリーフの文字は石版の文字とは明らかに違う。という事は、この石版を作った名無しとかいう学者はレリーフの文字を日常的に使っていたということになる。その文字を使う村に住んでいたのだ。それが、昼間に地面から出現したあの村だろう。ミサイル研究所とすずらんに滅ぼさせたあの村だろう。その村の住人だった名無しは事実を誰かに知らせたかった。その石版に書かれている事を。そう考えると、もう片方のレリーフには文字の解読方法が書かれているのが妥当な筈だ。
 イカたこは考える。じゃあ、何で今自分の持っているレリーフに英語が書かれているのか。この英語を書いたのはじおすだ。それについては間違いない。このじおすの文字を除去して考えてみる。初め、このレリーフは何も書かれていなかったということになる。では、このレリーフにはまだ何かが彫られる前だったのだろうか。
「いや、違う」
 イカたこは呟いた。違う。それは無い。イカたこは奇妙な確信を持っていた。
 指紋―― イカたこの頭にその文字が走る。ミサイル研究所が持ってきた時に発見したその指紋だ。nと彫られたところの右下についてある指紋。それは、じおすの指紋だとイカたこは思っている。何で、その指紋がついたのだろうか。イカたこは考える。こんなくっきりと指紋がつくなんてほとんど無い筈だ。これについている指紋の部分はへこんでいる感じだ。何で、何でだ。
 その時、イカたこの頭に閃きが走る。ああ、そうか。このレリーフは暖められて軽く溶けたんだ。その時に、指紋がついた。そして、イカたこは結論を出す。文字が書かれているレリーフの上にはカバーみたいな板があったのだ。場所が書かれている方のレリーフのカバーは何処かで取れた。そして、そのカバーとレリーフは溶接されている。熱によってだ。全てが繋がった、とイカたこは思った。
 その溶接をしたのはじおすだ。じおすが、レリーフを隠そうとしたのだ! イカたこは興奮した。心臓の鼓動が早まるのを感じる。つまり、つまり。イカたこは自分の考えの結論を出す。
 イカたこは空間へ飛ばす秘密道具を取り出す。様々な邪魔な人間を葬ってきたその道具を。ダイヤルを回し、調整する。上にあるカバーだけを別空間へと飛ばす為にだ。そして、秘密道具を押し当てるとレリーフのカバーが飛ぶ。あの忌々しい『Do not pass this to that man. (これをあの男に渡すな)』の文字はもう見えない。その下に隠されていた、古代文字の書かれたレリーフが顔を出した。
「素晴らしい……」


[No.432] 2008/12/30(Tue) 19:20:34

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