「びっくり館の殺人」では、殺人現場にあった人形が、実は生身の少年だったというトリックがあります。実はこの真相は、本を開いた最初のページに堂々と示されていたんですね。私はハードカバー版で読みましたが、表紙の少女の人形の絵の顔と、最初のページにある少年の顔が、同一人物であることを示しています。もし、注意深い人だったら、この2つの絵を見た瞬間に「少年=人形」のトリックを見破っていたのでしょう。まさか、あんなに目の前に大胆にヒントが示されていたなんて思いもしなかったです。この絵のカラクリは、綾辻さんのアイデアだったのか、装丁担当者のアイデアだったのか分かりませんが、意外な盲点でした。大人は人形の絵なんか熱心に眺めたりしませんが、子供は意外に挿絵を注意深く見ているので、気がついた子がいたかも知れません。 「びっくり館の殺人」は、シリーズ中でも異質の存在だと思います。少年の頃、江戸川乱歩に夢中になった気持ちを思い出しました。
[No.247] 2012/04/13(Fri) 14:50:21 |