これは、様々な場面がくっきりと心に残る好篇でありました。 赤く塗られた、二つ目三つ目、目を見開く地蔵、水没する町‥ どれもが忘れがたい印象を残します。 最後の「水がどうどう」の部分なんて、読み返してびっくり、 ほんの1ページほどの分量だったんですね。もっと長く書かれていたのかと 思ったのに。
初出は2009年。単行本になったのが3.11の直後で、再読したら最後の場面が津波と かぶって、「幻想的で大好きな場面です」なんて無邪気に云えない、どよんとした 気持ちになったこともよく覚えています。 今ではそんなでもないけれど(人間って薄情なものですね)。
[No.312] 2014/10/19(Sun) 15:32:38 |