[ リストに戻る ]
No.999へ返信

all 奇跡の治療SHQ用 - 黒兎 - 2007/08/05(Sun) 23:20:27 [No.998]
Bヤガミ復活とか広島とか103とかフェザーとか - ミサ - 2007/08/10(Fri) 01:13:04 [No.1006]
岩田復活とか、枠とか色々 - ミサ - 2007/08/06(Mon) 02:02:28 [No.1002]
Re: 奇跡の治療SHQ用(岩田) - つづみ - 2007/08/05(Sun) 23:44:14 [No.1000]
奇跡の治療SHQ用SS:完成 - 黒兎 - 2007/08/05(Sun) 23:20:54 [No.999]


奇跡の治療SHQ用SS:完成 (No.998 への返信) - 黒兎

 その幼女はとても絵本が好きで、中でも鍋の御伽噺の絵本が大好きだった。
 何度も何度も繰り返し読んだ絵本は、涙に濡れ、波打っている。
 その本は買いなおされることなく、初めて涙に濡れたその日から、ずっと同じ本棚に仕舞ってある。

 その絵本は、「きせきのちりょう」という絵本だ。

 何度も父母にせがんで読んでもらった。自分で読めるようになってからは、1日に何度も繰り返し読むようになった。
 彼女は絵本の中のことが、とても「お話」には思えなかった。
 彼女は固い信念の元に、医者になることを誓った。涙で波打った絵本を抱えて。
 誰も彼もを助けて見せると。


 その絵本はとても有名で、鍋の国民は全員一度は読んだことのあるものであった。
 子供達は大きくなるにつれその御伽噺をフィクションと認識して、または戦時中の美化だと認識して、片付けていった。
 そんな奇跡は目にしたことがなく、また戦争も、遠い昔の話になり始めていた頃だ。

 暫くの後、戦争は突如として再開された。

 彼女は幼女から少女へ、そして少女から立派な女性となっていた。ただの女性ではない。政庁で働く優秀な医者となっていた。
 国民は嘆きながらも、戦いの手を止めるわけには行かなかった。まさに、絵本のように。
 戦火は広がっていく。鍋の国だけじゃない。猫と犬の垣根を越えて、巨大な敵と戦わなければならなくなった。
 そんな中、伝説にもなった岩田氏の死亡報告を聞いた。
 彼女はそのとき、正に怪我人の治療をしている最中で、不意に、涙が流れた。涙したのは彼女だけでなく、多くの国民も、さめざめと泣いた。
 なんでたくさんの人が傷つく戦争ばかりしなければならないの…。
 歴史的大敗を喫したその只中で、彼女は再び誓った。
 あの絵本の奇跡を、起こして見せると。


 ほら、あの青い光が見える……………


[No.999] 2007/08/05(Sun) 23:20:54

Name
E-Mail
URL
Subject
Color
Cookie / Pass

- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS