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No.151に関するツリー


WINGBEAT COFFEE ROASTERS

   見本SS - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2007/11/07(Wed) 23:03:24 [No.151]
アウトウェイ滅亡録 - 癖毛爆男 - 2008/07/05(Sat) 23:05:00 [No.303]
難民SS - 癖毛爆男 - 2008/06/20(Fri) 22:34:03 [No.295]
秘宝館 379 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/06/09(Mon) 13:44:09 [No.293]
NO379 本文 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/06/12(Thu) 21:59:50 [No.294]
アウトウェイ昔話 - 癖毛爆男 - 2008/06/06(Fri) 22:54:47 [No.286]
秘宝館 374 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/06/06(Fri) 02:40:24 [No.282]
本文 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/06/06(Fri) 02:40:38 [No.283]
Re: 本文 - 和子@リワマヒ国 - 2008/06/06(Fri) 08:59:44 [No.284]
秘宝館 No.334 - 癖毛爆男 - 2008/05/06(Tue) 20:40:21 [No.247]
本文 - 癖毛爆男 - 2008/05/06(Tue) 23:01:25 [No.248]
まさかこんな物を作る事になるとは・・・(汗 - 癖毛爆男 - 2008/04/19(Sat) 23:45:49 [No.226]
Wiki用の構文にしてみました。 - ちょっとおてつだい - 2008/05/03(Sat) 22:43:42 [No.244]
自分の国に関する下着のうんちく - 癖毛爆男 - 2008/04/19(Sat) 17:02:23 [No.225]
秘宝館 275 - 癖毛爆男 - 2008/03/27(Thu) 02:45:49 [No.221]
Re: 秘宝館 275 - 癖毛爆男 - 2008/03/29(Sat) 14:37:48 [No.222]
受注 No.217 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/02/16(Sat) 13:38:25 [No.210]
Re: 受注 No.217 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/02/16(Sat) 13:38:45 [No.211]
今日子ちゃんの外見について - みぽりん@神聖巫連盟 - 2008/02/08(Fri) 16:00:09 [No.207]
投稿用 - アウトウェイ文族 - 2008/01/16(Wed) 21:21:28 [No.184]
闘えゼンギョマン!(文春用) - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/01/31(Thu) 20:33:14 [No.202]
犬・男・出会い - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/01/30(Wed) 23:12:25 [No.201]
回想録用 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/01/30(Wed) 22:02:41 [No.200]
アイドレス攻略文章 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/01/16(Wed) 21:21:55 [No.185]
依頼情報 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2007/12/28(Fri) 00:03:40 [No.168]
納品完了 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2007/12/29(Sat) 21:14:20 [No.174]
完成品 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2007/12/29(Sat) 21:10:50 [No.173]
依頼受注・代理投下 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2007/11/30(Fri) 23:48:16 [No.158]
希望場所とログ場所 - 空 - 2007/11/28(Wed) 20:38:55 [No.157]
発注・依頼NO.193 納品 - 癖毛爆男@アウトウェイ - 2008/02/03(Sun) 01:16:11 [No.206]



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見本SS (親記事) - 癖毛爆男@アウトウェイ

アイドレス世界はそれなりに平穏であり、長い夏休みという事もあって気が抜け切っていた。

多くの国の人材はその間に今まで遅れてた作業や、やりかけの仕事をしたりとそれなりに忙しいものの、大規模な戦争はなく、時間はゆったりと、オフシーズンが終わるのを待つかのように・・・思われていた。

だが、しかし。

2007 10月31日 ハロウィン

この世界的にも有名になったイベント日によもや、あの様な事件が起こるなんて、誰も想像してなかったのである・・・

ここはアイドレス世界の片隅。アウトウェイという、中小国の一つ・・・

そこは今や、地獄であった。

えぶえぶ茸はご存知だろうか?

えぶえぶ茸とはアウトウェイの特産品で食べると爆発する、形は不定形という、なんともふざけた茸である。

そのえぶえぶ茸が突如、大成長。ただの大成長かと思いきや、その実は進化だったらしく知能まで持ってしまい、更に人化して、まるで怪人の様になってしまう。

同日、進化したえぶえぶ茸人間によってアウトウェイは占領されてしまったのだっ!

古い映画で例えるなら「猿の惑星」に状況はとても良く似ている。

人間は突如の変異に対応出来ず、えぶえぶ茸人間の猛攻に敗れ去り、人間は茸の下の生物とされ、圧制の下に奴隷の様な生活を強いられていた・・・

だが・・・

人類はまだ諦めていなかった。

*****

『スネ毛戦士 ゼンギョマン!!』

******

「ほひ、ふひひひ、ほーれ人間共、働け働けー」

バフン、バフン、とその頭から胞子を飛ばし、えぶえぶ茸人間が人間たちを急きたてる。

人間たちは胞子に感染しては大変といわんばかりにあくせく、急かされるまま、動いている。

そんな群衆の中に一人、反逆の炎を持ち続ける人間が一人居た・・・

「くっそ・・・まさかこうも簡単にうちの藩国が落とされるとわな・・・」

元々はこの藩国のジャーナリストであった癖毛が悔しげに言う。

格好は薄汚れた安っぽい服。愛用のジャーナリスト七つ道具(詳細不明)も取り上げられ、現在は木を運ぶという肉体労働に従事していた。

だが、しかし!

いつの日か仲間と再会し、この国を自分たちの物に取り返すのだ、という熱い気概を持ち続ける、ナウでヤングな癖毛である。

そう、いつの日か・・・未来の話でも、俺は希望を捨てないっ!

ぶりぶり・・・

「・・・なんか、臭いし足元があったかいんだが・・・」

異音に気づき、足元には藩国の象徴として名高い犬兵衛が居て、平和時と変わらずぷりぷりしていた。

見るとこちらに気づいたのか、ぷりぷりしながら見上げつつ。

「わうっ!」

と元気にほえやがった。

「にゃ、にゃろう・・・」

流石の癖毛も頬を引きつらせる。

思わず少し蹴ったろかい、と思うが、それを実行する前に。

「こら、人間! 犬兵衛様に手出ししたら承知せんぞっ!」

えぶえぶ茸人間に怒鳴れらた・・・

実は犬兵衛、政権がえぶえぶ気の人間に移ってもその憎めない? 性格で堂々とシンボルの位置をキープしている。

ある意味、この藩国で一番侮れない存在である。

「・・・チ、こういう時・・・テレビとかならお約束で正義の味方が来てくれるんだが・・・」

癖毛がクソ、と呟く。あぁ、どうして世界はこうなってしまったのだろうか?

神がいるならとりあえず、唾をはきつけてぶん殴ってやらぁ、という気分だ。

「・・・」

国民の一人が死んだような顔で荷物を運んでいる。立ち止まってた癖毛にぶつかるが、気にせず歩みを続けていく。

「お・・・と、とと・・・」

肩に担いだ木が重くて、思わず転びそうになる。

「おっと、大丈夫ですか?」

その崩れた身体を支えたくれた人物が居た。

癖毛はとっさに相手を見ようとしたが・・・姿は・・・見えない。何せ転びかけて下を向いているから。
顔は見えないが・・・その・・・

いや、敢えていうのもアレですが、貴方、いい年して半ズボンですか?
ていうか、スネ毛ボウボウで半ズボンですか?

思わず顔を上げて顔を確認しようとするが、その前に。

「失礼。ちょっと野暮用がありまして」

す、と身体を押しのけられた。そのまま、振り向くまもなく、すれ違う。

「貴様・・・何者だっ!」

えぶえぶ茸人間が叫ぶ。

癖毛が顔を上げれば男、刈上げの男が威風堂々と立っていた。

「・・・天が呼ぶ、地が呼ぶ、私を呼びます」

「何者だと聞いているんだっ!!」

「ふ・・・私はある時は学級委員長、ある時は高機動善行”ただたか”夢の20代端数切捨て(ナース服着用)、ある時は愛した女性から逃げ回る道化、しかしてその実態は!」

ばさぁ、と光ったような気がした。それまでただの男、というはずの男に・・・

「スネ毛戦士、ゼンギョマン!」
(ttp://hidebbs.net/bbs/outoway?sw=vi&no=41260154&s=t
↑参考絵

・・・・・・

いや、いやいや!

顔を隠せよゼンギョマン! 何で赤い手袋とか、細かい装飾だけ変わって顔は隠してないのっ!?

「スネ毛戦士ゼンギョマン! く・・・とうとう来たかっ! 我等えぶえぶ茸人間には向かう愚かな奴めっ!」

いや、いやいやいやいや!!

何でノリノリなんですか、えぶえぶ茸人類さん? ていうか知り合いなのか!?

あまりのアホ展開に目を丸くしてしまう癖毛。

「いいだろう! 貴様を倒し、我等えぶえぶ茸人間が世界を征服する足がかりとしてやるっ!」

「・・・」

少しだけ、善行が笑った・・・様な気がした。

善行はえぶえぶ茸人類のその言葉に答えず、一気に間合いをつめる。

腕を振り上げる。振り下ろす、当然、当たる。ぶっちゃければ遠慮なくぶん殴った。

「げはぁっ!」

あまりの衝撃にえぶえぶ茸人間が吹っ飛ぶが、それを更に追撃するらしく、息一つ切らさずにゼンギョマンが駆けて行く!

「反応が遅いですよ、何を訓練してたんですか?」

ふっとぶえぶえぶ茸人間に追いつくと、殴る蹴る、踏みつける。あぁ、もうやめてっ! えぶえぶ茸人類のHPはとっくに0よっ! と言いたくなるほどである。

「・・・」

えぶえぶ茸人間は完全に・・・沈黙。

「ふ・・・悪は滅びるのです・・・ふ、ふふ、ふははは、ぶゎーひゃっはっはっはっ!」

散々ボッコにしてから、笑いまくる。

いやいや、笑いすぎですから、ちょっと待ってよ、それはひどいよね? と思わず奴隷の様な生活をさせられてた癖毛が思ってしまうくらい馬鹿笑いである、てーか、ムカツク笑い声だな、おい!!

「あーっはっはっはっ、ひーっひっひっ、くひーっ、ひー!!」

数分間・・・善行の笑いは止まらず、そして、しばらくたってようやく止まった。

涙目になって、ようやく息を落ち着かせると、数秒で普段の善行に戻る。

冷静な表情で、眼鏡のブリッジを上げる。考えているようだ・・・

・・・そして、一分もしないうちに。

「さて、思ったよりもあっけなかったですね・・・このまま、私がこの国を支配してしまいましょうか?」

『ちょ、ちょっとまてー!!』

*****

ピピピピピピピ!!

「・・・夢?」

ガチャ、と目覚まし時計を止める。

「・・・・・・・夢?」

周囲を見るが、変わった様子は無い・・・いや。

ベッドの下には昨日取り寄せたえぶえぶ茸とやたら短い・・・どこかで見たような毛が数本・・・落ちていた。

劇終!!


[No.151] 2007/11/07(Wed) 23:03:24
希望場所とログ場所 (No.151への返信 / 1階層) - 空

1.芝村 :航はなにかにつけて三つ実に尋ねてるね。バターとマーガリンの違いとか。 (10/18-01:02:12)  例えば、三つ実さんのシーンはこれね

2.さちひこ@OW :「そんなこんなで スーパーに到着したのであった べんべん」(ナレーション さちひこ@OW :(カメラ目線(何


3.ミツキ > あと、今日子ちゃんが試食台をひっくり返してしまう所とか意味深でSSでみたいかも?と思います

4.さちひこ@OW > 壁ω・)最後あたりに 三つ実さんが小島とほほえましく 夫婦っぷりを発揮しているシーン(何


5.ミツキ > 1時間目は今日子ちゃんが一等賞とったあたりとか、青舞が失格のところとかいいかな?


4には三つ実さんの、2には俺の、5にはジヌスさんのイラストがつく予定です。
クセ毛さんは、2か5を作業予定。

ゲームログ:(h抜き)
ttp://backyardoffice.haru.gs/sakura/non_named_world/dchat_101/log262.html


[No.157] 2007/11/28(Wed) 20:38:55
依頼受注・代理投下 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

雅戌さんより依頼を受けました。

以下、仕事の簡略

・でっちあげOK
・どこをやってもOK
・好きにしていい、との事

ログ
ttp://blogiri.at.webry.info/200711/article_25.html

作成案
1・戦車運用概略(小太刀式
2・あった事を忠実になぞるだけ
3・子供の作文
4・先生からみたお話

雅戌産的には3番がいい感じらしいので、それと後は分量調節で。


[No.158] 2007/11/30(Fri) 23:48:16
依頼情報 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

玄霧藩国 アポロさんよりの依頼

(ttp://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=291;id=gaibu_ita


[No.168] 2007/12/28(Fri) 00:03:40
完成品 (No.168への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ



もし、人を喜ばせたり、驚かせる事に生きがいを見出すのなら。

貴方の事はきっとピエロ、道化師とされるだろう。

だが、貴方はそれを甘んじて受け入れなければならない。

何故ならピエロで道化師な貴方こそが、誰にも笑いをもたらせる、最高の人物となるのかもしれないのだから。

これはふとそんな事を思ったりもする、ある中年男性の見聞録である。

****

本日快晴。海の天気、ヨーソーロ。

海は青くて広くて綺麗で、今日も大漁万々歳でありそうだ。

この物語の主人公である、海の近くの雑貨屋のオジサンはその天気に満足して、身体を伸ばそうとした。

バシャーン!

「……あ?」

遠くで海に誰か飛び込んだ。いや、違う違う。飛び込まされた。

「お、お……おお!」


その視線の先には金髪の美女。
そして海の中でもがいてる……えーと、太った殿方。

まぁ、そんな二人が仲睦まじく? ハシャいでいるのが見えた。

その周囲にはかなりの男女。結構な団体さんだ。

そういえば今日は玄霧藩国の人達が慰安旅行に来るとかいう噂を確かに聞いていた。

慌てて海の落ちたえーと……少々スリムではない殿方を助ける為に周囲の人間がおおわらわ。
ちなみに蹴落とした金髪の女性。澄ましたお顔である。おぉ、アレが噂のツンデレ?

いやはや、世の中広いがなんともはや……

助けられた……やや特徴的な体格の殿方。周囲の人間に何かを告げると金髪の女性に小声で何かを言ってるかのように見える。

すると……なんたることか!

そのままですら十分美しい金髪の女性が更にキラキラ輝いて直視も出来ないほどに眩しい笑顔を振りまいている。

天使だ……天使様が居る。

オジサンは若い日の青春を思い出した。高木さん、貴方の笑顔は最高だったねぇ……とか何とかと胸を熱くしたが閑話休題である。

紫色の髪の男性……女性? 多分、男性がその二人と握手して微笑んだ。

その時……

「……む?」

視界の端を何かが横切る。

いや、視界の端なんてものじゃない。その『何か』は自分の視界の中にいたはずなのだ。
なのに突然現れたように見えた。ニンジャ?

とか何とか思ってるうちに。

バシャーン

落ちた。潔く、抵抗すらせず、ていうか自分から? とにかく、それ以外に表現の仕様も無いほど綺麗に落ちた。

「……!」
「…………」
「……………」

遠くで聞こえないが、その玄霧藩国の人たちも慌ててるようだ。

もっとも、本日二度目の落下者という事もあるのか、やや落ち着いた様子でもある。

「……おお!」

それは自分の声だったのか、或いは向こうの団体さんの中の一人だったのか。

ただ、事実なのは……

「聞こえる……白鳥の湖が確かに、聞こえる!?」

海に容赦なく落ちた男はシンクロを始める。

その姿は正に舞うように、踊るように。

有り得ないほどの……というか、ぶっちゃけ有り得ない水上ジャンプまで繰り出しての大活劇!

「……すご……ごい!」

遠くからも声が聞こえる。拍手喝采、千客万来。

確かにそのシンクロは豪華絢爛。まるで自分は元から水中生物なのよ? といわんばかりの見事な物……

「……あ」

そのシンクロ男(仮名)の後ろに三角の黒い何か。

きっと「ジョーズ」とか「シャーク」とか「フカヒレ」とか、色んな渾名がついちゃう海のギャング……って、なんでこんな浅瀬にそんな物が!?

「マ、マズイんじゃないのか!?」

慌てて飛び出そうとするオジサンよりもその黒いアレはシンクロ男(他称)に襲い掛かろうとする!!

が、シンクロ男(渾名)は速い速い! ていうか、なんで黒のアレから逃げ回るほど早く泳げるんだ、人間か、本当は何か違う生物なんじゃないか!?

だが、そんな逃走劇も長く続くわけが無い。

何故なら人間は陸上生物であり、黒いアレは海のギャング。

いくら豪華絢爛なその人でも……

「あ、ああ……あーーーー!!」
『ああーーーーー!!』

遠くからも悲鳴が聞こえた。

シンクロ男(もはや海の中)が食われて沈んでいく……な、何たることかっ!

バシャーン

ついでのようで悪いが、ここでまた……目つきの悪い殿方が海に落ちた。

金髪の女性がなにやら本気で怒ってる。女泣かせは罪だぞ、お兄さんや。

だが、そんな事よりも今は早くあのシンクロ男(次期オリンピック候補)を助けないと……

バシャーン!

「……は?」

シンクロ男が……海から飛び出す。

……鮫と一緒に。

しかも、踊ってる? 鮫と? 鮫ってダンスを踊るの? へー、チークダンスが得意なんだ、ふーん。

「て、ンなわけあるかーい!!」

「失敬、如何しましたか」

「……お?」

声をかけられた? ダレに? 目の前の人間に決まってる。

この……アロハシャツを着て、黒い丸サングラスをかけた判り易いくらいに浮き足立ってる男に。

「申し訳ありませんね、少し買い物をしたいのですが」

「ん、ああ……あぁ、すまないね。どうぞ、何を買うんだい?」

どうやらお客らしい。すっかりあの集団に魅せられていたそのオジサンは気づかなかった物の、いつの間にやら店に来ていたその男は手にビールを持ってる。

これをお願いします、と男がそのビールを差し出す。

「はいよ。お兄さんはこれからパーティーか何かかい?」

「その様なものです」

男は苦笑する。

その姿は見た目の浮かれ具合とは全くそぐわぬ物でオジサンはそれ以上何かを言うのはやめた。

「なら、あの集団には近づかない方がいいかもね。ちょっとお騒がせすぎるから」

遠くで騒いでる集団を笑って指差す。

「ははぁ、そうですか……それは困りましたね」

青年は少し苦笑い。

「私もその集団の一人なので」

そして、あっさり言い切る。

「……そうかい、まぁなんだ」

ビールの値段のやり取りをしながら、オジサンは集団を見て。

「海を舐めないようにな。海ってのは懐も深いし、その分かなり恐い場所だからよ」

「判りました、気をつけましょう」

青年は鬱陶しがるわけでもなく、悠然と微笑むように答えた。

何故だろう、どう見てもこの男はこんな格好は似合ってない。

もっと堅苦しい、そんな格好が似合ってるようにも思えた。

「ま、若いうちにはしゃぐのはいいけどさ。怪我だけはしないようにな」

「ご忠告感謝しますよ……さて」

サングラスにアロハの男性はその集団を改めて見た。

「……いやはや、どうしたことでしょうね。錯覚でしょうか……岩田君が居るように見えますが?」

オジサンには当然のように理解不能なことをその男性は呟き、歩いていった。

****

実はここでこの物語は終わりである。

何故ならオジサンが大声を出したりしているのを奥さんが聞きとがめ、怒られる事になったからである。

この後、オジサンが彼等を見ることは無い。でも、思い出すのだ。

アレほど思いっきりふざけられる人間というのは、もしかしたら物凄い何かを秘めてるんじゃないかと。

というのは、中年の妄想としても、だ。

また、海に遊びに来てあのシンクロを見せてもらえないかな、と。

少しの期待を胸にオジサンはその日の事を今も思い出す。


[No.173] 2007/12/29(Sat) 21:10:50
納品完了 (No.168への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

下記アドレスにおいて納品をしました。

(ttp://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=600;id=UP_ita


[No.174] 2007/12/29(Sat) 21:14:20
投稿用 (No.151への返信 / 1階層) - アウトウェイ文族

文族の春用

[No.184] 2008/01/16(Wed) 21:21:28
アイドレス攻略文章 (No.184への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

『アイドレス攻略法・初心者入門編』

アイドレスの楽しみ方は何か?

これはアイドレスプレイヤーの間で時折交わされる会話の一つです。

アイドレスというのは非常に大勢の人間が集まり、ゲームが行われております。
当然、その中には初心者の方、また今から始めようかな? と思ってる方も居るでしょう。

本攻略はその様な初心者を対象としたアイドレス攻略記事となります。

また、初心者以外でもアイドレスの楽しみ方について疑問がある方にもある程度の指針を作るのを目的としています。

暇つぶし程度に一読していただけると幸いです。

それでは、アイドレス攻略法・初心者入門編、始まり始まり。


・ 攻略要綱0条 画面の向こうに礼を

まず、当然の事から始めましょう。
これは基本ですが、ある意味一番大事なことですので、御注意を。

アイドレスというのは多数の人間が関わっているゲームです。

その中では、他者との交流なども当然の様に行われております。
この際、画面の向こうには人が居るんだ、という事を忘れないようにしてください。

当然の様に、貴方がされて不快な事を他人にすれば、その人も不快になるでしょう。

アイドレスはソロプレイをする場所ではありません。他人と協力して、目的を遂行していくネットゲームです。

個人プレイをするのは個人の勝手といっても、一人で全部が出来る事は無いのです。

貴方が困った時には、貴方が助けた人や、親切にした人が助けてくれるかもしれません。

情けは人の為ならずの精神で、周囲の人と協力していきましょう。


・ 攻略要綱1条 目標を作ろう

何もアイドレスには限りませんが、まずは目標を作りましょう。
目標はおおまかではなく、具体的であるほうが良いです。

例えば

・ アイドレスで楽しむ

という目標を作った時にでは、どうすれば楽しめるのか、という疑問が出てくるかと思います。

特に初心者の方は何をすればいいのか、というかアイドレスって何? という状態の肩も居ると思います。

その場合は、まず自分が何をしたいのかをゆっくり考えましょう。

あなたは何をしに、アイドレスに入ったのか?

「そうだ、俺は小笠原で舞ちゃんに会いたいんだっ!」

と、このように目標・やりたいことがあるならば

・ 小笠原で舞と遊ぼう

と、このように具体的な目標ができるでしょう。

もし、目標が作れない時はゆっくりと、周囲を見て見ましょう。

周囲ではアイドレスでのイベントに関係した動きをしてる人、全く関係ない動きをしている人、色々居ると思います。

その中で、自分もしてみたいなと思うことがあれば目標を同じにしてみるのもいいでしょう。

重要なのは、面白そうか? それで自分は頑張れるか? という点です。

アイドレスは楽しさもありますが、辛さも内包しています。
その中で、自分が頑張れる物をゆっくり、探してみるといいでしょう。

さて、こうして目標が出来れば次に行きましょう。


・ 攻略要綱2条 やれることを探そう

第2条は自分の出来ることを探す事です。

この場合、個人目標という物も入れて考えてみましょう。

例えば上記の「小笠原で遊ぼう」であるならば、まずマイルを稼ぐ必要があります。

そうなれば、次に考えるのはどのようにしてマイルを稼ぐか、という話です。

この場合、マイルを稼ぐ方法としては。

・ 秘宝館勤務
・ 秘書勤務
・ テンダイスのイベントで稼ぐ etc…

と、取り合えずこれくらいはあります。

このように、自分の目標に沿って、やれることを探してみましょう。

目標がより単純に「色んな文章を書く」ならば文族で仕事を待てば大丈夫ですし、職種によっては今回のイベントの様に仕事を自分から見つけることが出来るでしょう。

仕事が見つかれば、アイドレスでやることが無いー、という状況にはまずなりません。

また、それが自分の目的や目標に適う物であれば続ける事もそれほど苦では無いと思います。


・ 攻略要綱3条 君は一人じゃない

さて、上記の中でも方法が見つからない。或いはなりかた、やり方が判らないという事もあるかと思います。

その際は思いきって他の人に頼ってみましょう。

アイドレスは全てを一人で把握するのは実質不可能です。

誰にでも、判らない事があります。そういう時は他の人に聞くのが一番です。

言ってしまえばこれを書いている自分などもアイドレスというゲームは実はよく知りません。

それでも何とかやっていけるのは周囲の人と助け合いながら進む事が可能だからです。

藩国の頼れる先輩、個人で親しくしている別藩国の方、気になるあの人やその人、とりあえず、聞いてみましょう

逆にあなたが人に頼られるかもしれません。

そういう時は「情けは人の為ならず」精神で対応しましょう。


・ 攻略要綱4条 重要なのは ほうれんそう

さて、こうしてすることが出来れば、今度は業務上の様々な問題が発生します。

このとき、何よりも徹底させるくらい必要なのが「ほうれんそう」です。

ほうれんそうとは

ほう・報告
れん・連絡
そう・相談

の略であり、実際の社会に出ても使われる言葉でもあります。

何か問題が起こればこのほうれんそうを必ず行いましょう。

アイドレスは常に流動するネットゲームなので、どうでもいい様な事が後々、致命的なミスに繋がる可能性もありえます。

その様な事を未然に防ぐ為にも判らない事があれば曖昧にせず、ほうれんそうを行い、ミスを出来る限り減らしましょう。

また、そうする事で自分の知識などの確認にもなります。

ほうれんそうは徹底して行うと、有効です。


・ 攻略要綱第5条 まずはコーヒーを一杯

さて、ここまで出来ればあなたも立派なアイドレス住人です。

頑張ればあなたのファンの方も居たり、あなたなしでは進められないことも出来るかもしれません。

ですが、ここで慌ててはいけません。
むしろ、コーヒー一杯を飲むゆとりを持ちましょう。

アイドレスというゲームは非常に実社会の構造と似ています。
なので、深く入れば入るほどストレスや仕事が多くなってくる事も多いです。

ですが、これはあくまでゲームであることを忘れてはいけません。

コーヒーを一杯飲むくらいのゆとりを持ってアイドレスを楽しみましょう。

ちなみにこのコーヒー一杯の時間が惜しくなると周囲が見えなくなっていたり、自分勝手な行動を取ってしまっていることもあります。

後ほど気づいて謝る事ができればいいのですが、ずっと根をつめているとそれすらも不可能なることが多いです。

ですので、常に自分自身にゆとりを持てるように頑張りましょう。

あくまでもゲームであることを忘れずに、楽しみましょう。


・ 攻略要綱最終章 アイドレス世界

ネットゲームは社会の縮図。

このような言葉を聞いたことはあるでしょうか?

これは実に的を得た話で、冒頭部分でも書いた通りあなたがやっているアイドレスというゲームはプレイヤー一人では決して成立できません。

そう、あなたが接している人は確かに存在しているし、あなたが任された仕事は確かに誰かがしなければいけないことだったりするのです。

アイドレスは元々の大絢爛舞踏祭から連なる一つの大きなイベントです。

また、ネタ元になっているのが俗に言われる「無名世界観」という芝村裕吏氏の一つの大きな世界観です。

その歴史は長く、プレイヤー間でも知識の多寡や熱意などがバラバラです。

ですが、それが当然なのです。

言ってしまえば、学生時代の文化祭と同じです。一つの大きな祭があり、そこにあるルールをみんなで遵守して、楽しみまくろうというのがアイドレスです。

文化祭でも様々な催しがあるように、アイドレスでも様々な催しがあります。
文化祭でも様々なルールがあるように、アイドレスでも様々なルールがあります。

一人の勝手は確かに通りませんが、一人の頑張りが周囲を沸きあがらせることもあります。

自分勝手はまかり通りませんが、ルールの中で試行錯誤するのは賞賛に値するでしょう。

アイドレスは苦労も多く、辛い事もあります。

ですが、それに勝る楽しみを見出せれば、あなたはこのアイドレスというゲームを楽しめるでしょう。



参加する人に全てが、楽しめるように。

アイドレスは貴方のプレイを今日も待っているでしょう。



・ 最後に大前提

アイドレスはネットゲームです。

ゲームにリアルを侵食されるのはゲーマーとして問題です。

節度を持って。アイドレスは楽しいですが、無理しすぎないように。


[No.185] 2008/01/16(Wed) 21:21:55
回想録用 (No.184への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

・前書き

アイドレスについて回想録を書くとき、何を焦点とするべきか?

当然、不特定多数の方を相手にするならばアイドレスという舞台そのものについての回想録が相応しいだろう。

だがしかし、私は残念な事にアイドレスを楽しんではいるが、本筋に興味は無かった。

だから、その様なアイドレスゲーム内の回想録を書こうとしてもその場の興奮も、臨場感もわからない。

なので、そういった捻くれた奴の視点から見たアイドレスというゲームについて思い出していこうと思う。

これはアイドレスというゲームを楽しみつつも、規定外の楽しみをする捻くれた人間のお話である。

記憶がおぼろげな部分もあるので、そこについては当時と違う脚色めいた物になるかと思われるが、御了承いただきたい。

それでは振り返ってみよう。それはおおよそ一年前。ある人間の思い付きから始まる物語である。



・第一章 勧誘のお誘い

「壁ω・) 国を作ろうと思うんだが」

突然の申し出にクセ毛はうろたえた。というか、いきなり何の話ですか、真面目な話。

当時、クセ毛ボンバーという男はただのAマホ好きであった。それ以上でもそれ以下でもなく、またAマホというゲームを通して、色んなものを再現しようとしていた時期でもある。

もうすぐ春の訪れ、というか春も近くなってきましたなぁ。いやはや、というような時期である。

そんな中でクセ毛はAマホを通じて知り合ったさちひこという男に冒頭の様な言葉を唐突に投げかけられた。

「壁ω・) 国を作ろうと思うんだが」

「ははぁ、そりゃまた何のお話ですか?」

「壁ω・) アイドレスだよ、知らない?」

「ん、んー? あぁ、なんかやってますねぇ」

当時のクセ毛のアイドレスに対する認知度はこの程度の物である。
もっとも、現在でもそれほど変わってるわけではない。別段ルール等を知らなくても楽しもうと思えば楽しめるがアイドレスのいいところだ。

「壁ω・) それで、国を作る際にだな、ボンちゃんもやらないか?」

「? え、えーと……あっはっはっはっ、何を言ってるんですか、もうっ。さちさんたら御冗談がお上手なんですからー」

本人としては京都弁あたりを意識した言葉遣いだったと思うが、チャットは文字のやり取りのみだったのでイントネーションは伝わらない。ちょっと残念。

「というか、ぶっちゃけアイドレスって何? 美味しいの? って状態ですから」

「壁ω・) 俺もよくわからんっ」

おい、まてコラ、と心の中で思ったのは秘密である。

「とりあえず、やる気はないっすねー。Aマホのほうが楽しいんで今は」

「壁ω・) 残念なり」

とまぁ、とりあえずはその会話で終了した。

そう、したと思われていた。

ここでクセ毛ボンバーという人間について少し話そう。

クセ毛ボンバー。Aマホプレイヤーの一人であり、自称ゲーマー。
リアルにおいてもゲームとファンタジー(ぶっちゃけ有り得ない)をこよなく愛する……まぁ、オタクという人物だろう。

また、物を書くのを趣味としていたが、趣味以上のことはしたことが無い。

つまり、何らかの利益が発生するような形で文章をどうこう、という事は皆無であった。

ゲームとファンタジーを愛し、文章をちょこちょこ趣味で書いているだけの、まぁ言ってしまえば割と社会不適合者なダメ人間である。

さて、そんな人間が何故建国に誘われたのかといえばさちひことはAマホにおいては非常に回数を重ねていた事が原因であると思われる。

当時はロールセッションと言ういわば小笠原やうふふきゃっきゃっ、なセッションを行っており、それのテストプレイをさちひこに頼んでいたりした事もあった。

また、大絢爛舞踏祭においては見学者であり、外から眺めては面白そうだなぁ、というだけのプレイヤーでもあった。

公式ゲームへの参加回数は 0回。
Aマホ以外のTRPG及びその他のネットゲームへの参加回数 0回。

つまり、クセ毛ボンバーなる男はまるっきりのド素人もいいとこの、ただの凡人である。

当時としては建国にあたり、人員が必要であった事、多少なりとも文章戦力としてカウントできる事。これ以上の働きはおおよそ期待されていなかったとされる。

さて、そんな人物であるクセ毛ボンバーはキッパリさっぱりスッキリと勧誘を断ったつもりであった。

何しろアイドレスというのは最初期の頃だけは見ていたがにゃんにゃんの大統領云々あたりから、完全に理解が出来なくなっていた。
また、ルール面も覚えきれるほど賢い人物でもなかったし、ゲームプレイヤーとしても特に目立つようなプレイもない凡庸なものであった。

つまり、凡人は凡人なりに外から見るを良しとしていたのだ。

元からACEと呼ばれる人間の生死にもそれほど興味がなく、むしろ膨大な情報を処理しきれなくてその情報がたどり着いた頃にはイベント自体は終了している事も多かった。

そんな人間がどうしてアイドレスを楽しめるというのか?

誰よりも自分自身がそれを痛感していたとも言える。

初心者に優しく無いゲーム。
一見さんお断りのような雰囲気。
パっと見で判る戦力のアンバランスさ。
技術評価を行う事でゲームプレイヤーとしての資質では無いものを問われるシステム。

これら全てが当時のクセ毛ボンバーから見ればただの悪質なネットゲームの様に見せる要因ともなった。

だが……

「壁ω・) なぁ、やらんか?」
「壁ω・) ボンちゃんならきっとステキな文章が書けるっ」
「壁ω・) 他に人が入ったらそんなに忙しくないはずだっ」

まさかの連続勧誘。というか、何ゆえそれほど俺ですか!? と思わず叫びたくなるほどの勧誘の雨嵐である。

その勧誘は実に二週間もの長さで続き、流石のクセ毛ボンバーも思ったのである。

「……やるか、うん」

なんというか、非常に微妙な考え方である。

当時クセ毛ボンバーは自分の文章という物に対して疑念を抱き続けていた。

物書きを目指したい、物を書く職業になりたい、という個人的な夢があった。
それは正に夢である。夢物語、胡蝶の夢と何ら変わらない物である。

何故なら、本人が努力をしていなかったのだ。それは夢物語になるはずである。

実はここでさちひことクセ毛ボンバーの利害は一致した。

さちひこは建国にあたり、文族や技族など、大勢の国民が欲しかった。

クセ毛ボンバーは文章を大勢の人に見てもらい、評価してもらえるチャンスだと考えを改めた。

「うぃす、んじゃやります。だけど俺、ルール面とか判らないし、多分見ません。それでもいいですか?」

クセ毛ボンバーが勧誘を受けて答えたのはこのような言葉だった。

正直、どうかしてる。何をする為にやってるのだと言われてもおかしくない、最低な言い分である。

それでもさちひこは鷹揚に。

「壁ω・)b おk。君もうちの藩国の一員だ」

と、迎え入れた。

こうしてさちひこが立国を決意し、クセ毛はそれに追従するような形で建国に協力する事になる。

だが、今だから言おう。

正直、俺は後から少し後悔していた。



・第二章 建国日記

さて、アイドレスプレイヤーの多くの人に共感をいただきたい一言がある。

建国って滅茶苦茶タイヘンじゃね?

最初期の建国から後期の建国まで含め、建国作業に携わった人間なら共感していただきたいところである。

さてはて、そんな言葉を冒頭に置いておくには当然、意味がある。

そのまんまの意味で建国作業が凄くタイヘンだったのだ。

ここで最初期の頃の話をしよう。

国民三名。
実働二名。

藩王・さちひこ
計算関連・さちひこ
HP管理・さちひこ
技族代表・さちひこ
文族代表・クセ毛ボンバー

割り振りはこのような感じだ。どう考えても頭がおかしい。

事実、国としての動きは極めて遅かった。

何しろまず、ルールをある程度理解していたのが当時『玄霧藩国に所属する』空を見る人(以降は長いので、空さんと表記)だけ、という明らかに間違ってるにも程がある状況である。

ちなみに空さん、通称空さんはさちひこの個人的な知り合いらしい。
少なくともクセ毛はそう聞いていた。顔の広い男である。

それはともかく、このような異常状況であるならば、建国など夢のまた夢、それこそファンタジーそのものであった。

「空さーん、ここどうするの?」
「空さーん、ルール的にはこれってオッケーなの?」
「空さーん……」
「空さーん……」

建国作業中にアウトウェイの国民チャットで一番発されたかもしれない言葉である。

断言しよう。建国に対してもっとも功績がある人物。

それは間違いなく『玄霧藩所属の空さん』であった。

……判ってる、皆まで言わないでほしい。
明らかに間違ってる事はわかっているのだ。

だが、こうして他国の人でも助けてくれるのもアイドレスのいい所ではないだろうか?

困った時に助けてくれる人が居るというのは非常にありがたいことである。
これを痛感したのも久しぶりであった。
閑話休題。

さてはて、こうして建国が進んでいく。

設定回りなどは確認を取りながらクセ毛ボンバーが書いていき、それに対して絵や図を書き込んでいくのがさちひこ。
ルール的に大丈夫か、チェックを入れるのが空さん、という役目だった。

だが、作成は二人しか動いていないというのが実情である。

当然、作業自体は遅れる。仕事や学校もあるのだから、当然その間は作業が出来ない。

この時点から、アイドレスは確実にPLのリアルを侵食し始める。

さちひこは藩国の運営や文章のチェックでAマホをやる時間がなくなり始め、寝落ちが多くなった。
クセ毛は必要な設定全てを書くために、寝る時間を削り始めた。

実働二人で建国というのが、どれだけ常軌を逸していたのか。
今考えても恐ろしいものがある。

とうとう、頭を抱えてひねり出された一言が。

「……人が必要だ。もっと国民が居ないと……話にならない」

である。

当然、当時から方々には手を打って回っている……つもりであった。

ここで状況を整理しよう。

アウトウェイという国は後発国であった。

アプローの涙から継続でやっている国ではなく、また、アイドレス開始時期に追加された国でもない。

この状況から導き出されるのは。

活動的な人ほど、既に別の藩国に入っている、という現実である。

アイドレスが現実を侵食し、現実が我々を苦しめる。これは中々に笑えるではないか。

何度かの討論が行われた。建国自体を諦める、という話すら出るほどだった。

だが、ここで諦められないのが負けず嫌いの藩王、さちひこである。
また、その様な人間と付き合いを持つクセ毛ボンバーも何を言うか、である。

建国は諦めない。だが、人は必要。それも、動いてくれる人が。

状況は既に人が居ない。また、居てもやる気が元から無い人、状況的に忙しくて出来ない人。

そんな人ばかりである。どうするべきか?

二重藩国をお願いしてみる?
建国した暁に取るACEを約束してみる?

様々な奇策、駄策、正攻法などが考えられ、実行に移された。

結論から言おう。このような持って回った策など、必要なかった。

我々は一番の正攻法を取ればよかったのである。
「一緒にやろう」と言ってくれる仲間が来るのを。



・第三章 女神の光臨

ここで少し未来の話をしよう。

アウトウェイが建国され、藩国として様々な物と戦っていた時。

アウトウェイは藩国であって、藩国ではなかった。

今では既に脱藩されて、他国にて活躍中のある一人のPLのファンクラブだったといっても過言では無い。

今でも俺は覚えてる。それは一つの奇跡だったのではないか、と思うほどの衝撃と衝動を。

ここで時間は戻る。

さてはて、人が居ないというこの状況に対して、誰も彼もが手を打っていた。

まず、クセ毛ボンバーはよく知るAマホプレイヤーに声を掛けまくった。

時期が悪く、参加は微妙という答えが多いのが当然である。
それでも、数人はクセ毛の声を聞き、駆けつけてくれたり、ある程度の暇を見つけたら、と約束してくれた。

さちひこはアイドレス、Aマホとは関係の無い方向で攻める事になった。

Mixiである。

ロボット絵をこよなく愛するコミュニティや、そちらの方面から攻める事にしたのだ。

別にAマホ、アイドレス、無名世界観など知らなくてもアイドレスを楽しめそうな人間を探し回る事となる。

だが、当然のように感触は両者とも良くない。

当時既にクセ毛がよく行ってた森村氏の運営するサイトにいるAマホプレイヤーは当然の様に藩国に所属するものが多かった。

また、さちひこの方も当然、そんな事を急に言われて乗り気になる人間など滅多には居ないわけで、難航していた。

結果、荒ポンというクセ毛とさちひこにとって良く知るAマホPL一人が二重登録という形で登録するだけとなる。

実にこの間おおよそ一週間。

性急過ぎるが、それでも我々としては時間が無い、という強迫観念の様な物があった。

それにも理由がある。当時アウトウェイには技族が存在しなかったのだ。

文族の確保は比較的楽である。何故なら日本語さえ書ければいいのと、趣味で小説を書いている人間など、それほど五万と居るだろう。

特に無名世界観系ゲームのファンならば、一度は好きなゲームを舞台とした二次小説を作った事はあるのでは無いだろうか?

だが、技族はそうもいかなかった。

何しろ無名世界観好きで有名どころの技族の多くは既に藩王となったり、藩国に所属していた。

付け加え、技族というのは文族に対して絶対的に数が少なかった。
また、作業時間と作業量も違う。つまり、圧倒的に技族の負担が大きかったのだ。

これ自体はアイドレスの問題として何度か取沙汰される事ではあるので、そちらはそういう方にお任せるする。

まぁ、ともあれ。つまりは絶対的な技族不足であった。

こうして頭を悩ませている時に、まるでタイミングを見計らったかのようにやってきたのがアウトウェイを1ファンクラブにまでした三つ実という人である。

この三つ実さん。誰も見かけたことがなかったと思われる。たまたま見かけて、たまたまアウトウェイにやってきたという、偶然に偶然が重なって来たプレイヤーである。

当時、本格的に国民不足で、とにかく国民獲得に躍起になっていた我々が拒絶するわけもなく、三つ実は我等が藩国の一員となる。

技族という事は聞いていた。当時、誰もが注目していたのはそのクオリティ。

入国して二日後。今考えれば異常な早さで三つ実が絵を上げてきた。

それはクセ毛ボンバーが書いた商店街設定に関する絵であった。

「…………すっげ」

これが俺の呟けた一言である。

クオリティの高さが想像を軽く超えていた。
楽観的に考えていたクオリティの高さのその上まで飛んでいかれた。

この瞬間、確かにその人は我が藩国のシンボルとなった。

さひちこも、クセ毛も、そして空さんも、みんなが三つ実の絵に惚れ込んだ。

今思えば、アウトウェイの本当の幕開けは、ここからだったのかもしれない。



・第四章 アウトウェイ立国

さてはて、こうして人間が大分増えてきた。

まず、これに次いで現在でも藩国で活躍中の人を上げていこう。

まずは現在はアウトウェイ藩国摂政まで上りつめた空さんだろう。
この人はまず、二重登録としてアウトウェイにやってくる。
その後、技族でありながら、出席率の高さや事務手続きなどを率先して行ってくれる事から摂政まで任されるようになる。

次に西田蜂朗である。この西田、後ほど紹介する相葉はAマホ繋がりとして、藩国に招待されて、そのまま拉致された。
こちらはもう一人の山口一同様、根源力、及び財政計算・Wiki管理などを担当している。

現在は多忙らしく、活動できていないが相葉という文族もいる。

これらの現在でも重用されている主要人材はおおよそ三つ実が入国してから二週間の間で揃う事になる。

三つ実の入国がアウトウェイの幕開けというのはこのような意味もある。

さてはて、それはそれとして立国作業である。

技族がきっちり動き始める事により、文族の先行作業が生きてくる事になる。

もとより国設定は文族任せという部分が強く、当時のメイン文族であるところのクセ毛・荒ポンによって藩国の設定は大半が決定されている。

そこに藩王を筆頭とした他族の意見も取り入れ、調整されていく。

さてはて、こうしてアウトウェイは着々と建国に向けて驀進することになる。

動き出せば止まらない、止まれないのもアウトウェイの特徴の一つかもしれない。
もっとも、これは良し悪しで着いてこれる人、これない人もいるので要注意である。

それはともかく、アウトウェイが怒涛の勢いで建国を進め、ついに来る。

その時、私がアウトウェイに入国して、おおよそ三ヶ月もの時が流れようとしていた。

来るべき6月2日

アウトウェイ …ALLOK 全通過。よくがんばりました。

この一言を持って、建国は終了となる。

その中では誰もが精一杯のことをしていた。

技族、文族、吏族、そんな物も関係無しにアウトウェイの藩国民は大喜びし、建国を祝う、が……。

アイドレス全体としては既にかなりの劣勢であり、全体的に苦しい状況下であったのも、忘れてはならないだろう。

そうして、アウトウェイの次の戦いが始まった。



・第五章 お気楽文族ボーっとする

さて、前章の締めくくりを全く無視するようだが、この当時から既にクセ毛はアイドレスの本筋には一切の興味がなくなっていた。

理由は単純明快である。

「無理ス。訳判らんス」

この一言に尽きた。

アイドレスと言うゲームは取り扱う情報が多く、またイベントも同時多発的に様々な場所で起こっている。

その中には本筋のイベント、藩国主催のイベントなど様々であり、この時点でクセ毛はボーっとしていた。

各国や藩王であるさちひこなどは忙しそうに動き回り、慌しい空気も感じながら、クセ毛はまるでスルー。まるで幽霊国民の様な自由さであった。

これは結局の所、クセ毛の傲慢でもある。

些少の文才を誉められ、いい気になっていた時期でもあり、また大仕事を終えた後独特のだらけた雰囲気に呑まれた、としか言いようがないだろう。

他の文族・技族が率先して動く中、クセ毛はまるで居ないかのごとく、自発的に動く事はなかった。

これに関しては実はリアルがガチであわあわし始めたとか、そういう理由もあったのだがそこら辺は割愛させていただく。

祭は準備が楽しい。

少なくても端から見ればそれを地で行っているだけにしか見えなかった。

それでも、頼まれれば文章は書いた。

文族としての誇りやそういったものではなく、ただただ自分の為、という名目で頼まれればクセ毛は文章を書いていた。

この時期はアウトウェイ国内も充実しており、文族・技族もそれなりの人数が居た。

別にクセ毛でなくても文章は書ける、という安心感から往時の速さはなくなり、ただまごまごと文章を書く日々。

正直に言おう。当時はアイドレスよりもやることがあったのだ。


それでも、時間が経てば状況も変わってくる。


リアルのごたごたに一段落が着いて、ようやくやる気を取り戻したお気楽文族・クセ毛はようやっと往時の勢いで文章を書き始める。

遅すぎた再スタート、とも言えるかもしれないがこの時点でようやく、アイドレスの楽しみを少しずつ理解してきた、とも言える

この頃の癖毛の主な仕事は新アイドレス取得時の文章、及びRPなどである。

やる気を取り戻した、とはいえ元がAマホから始まっていたので平然とAマホもやっていた。

プレイ中に藩王に呼び出され、RPをしながらAマホというのも何度も行った。
このとき、内申で誤爆しないかとヒヤヒヤしていたのもいい思い出である。

また、戦闘用SSなども着手し始めた。

古い話になるが、ノワールの戦いというのを覚えているだろうか?

アウトウェイはこの戦いに参戦し、結果。
惨敗した。それはもう、ゲームとしてではない、ゲーマーとしての惨敗だ。

まず、初めての戦闘という事があった。
だが、これは言い訳に過ぎない。いや、言い訳にすらなってない。

提出した戦闘用ページがハッキリ言おう、提出形式に則っていない、ごちゃごちゃしただけのページであった。

これがゲーマーとしての敗北でなくてなんのか?

敵が強いから、こちらが弱いから、そんな次元の話にすら到達していない。
辛辣だが、これは藩国全員のミスだ。舐めすぎていたのだ、全てを。

これによる死亡者は奇跡的に居なかったが、それは単に蘇生措置が行われただけである。
Aマホでいうなら、死亡は死亡。事実は覆らない。そう、参加者たちは死んだのだ。

少なくても一度は。

さて、これによってまず、色々な対策が練られた。

まず、戦闘時に提出ページの形式を調べる事。
これを怠った時点で戦闘は勝てるわけが無かったのだ。

有名な言葉である「敵を知り、己を知れば百選危うからず」という物がある。

これには続きがある。

片方だけしか知らないなら、勝率半分。
どっちも知らないなら、必然的に負ける。

この後者に当たってしまったアウトウェイである。ならば、少なくても己を知ることが急務だった。

もっとも、当時は己を知るといっても、所有アイドレスがそれほど多かったわけでは無い。

そこで提案され、藩国方針として認めさせた「準備RP・SS・イラスト」である。

戦闘告知があってから準備をしても、間に合わないと言う事実。自分たちのスピード不足をまず認めた。

いや、正確に言えば絶対に不可能とは言わない。だが、それは明らかに文族・技族に多大なる労働を押し付ける形となる。

これは当時のアイドレスの欠点である、常時時間がある程度空いている人間でないと、リアルを削って参加するしかないという物に対する対抗策であった。

この対抗策の欠点としては、限定状況(特定アイドレスのみ)に弱いというのと、汎用性は高いが、状況対応力が弱い、という事だった。

ここで提案されたのが「基礎SS・RP」という概念である。

つまり、わざと周辺状況などを空白・未定のようにして一定分量の戦闘用SSを用意し、状況に応じて加筆修正する、というごくごく平凡な凡作である。

だが、この策は頓挫した。理由は不明である。

ともあれ、このような形で事前にSS・RP・イラストを用意する事で局所的な過労を防ごうとしたのは、あながち間違いでもなかった。

四半日で戦闘用SSを16個用意したのも、今となってはいい思い出である。

さてはて、そんな事前策に一番反応したのは誰だったか?

そう、答えは限られている。藩王のさちひこである。



・第六章 目指せ四桁! 事前に用意すれば恐くないっ!

「壁ω・) RPを用意しよう」

事前策が始まり数日。藩王から飛び出したのはこのような言葉であた。

当時は事前策が普通に作業として組み込まれており、これにおおっぴらに反対するものは居なかった。
そう、居なかったのがある意味、全ての元凶である。

うだうだと説明する前に、以下のサイトを見て欲しい。
(http://www33.atwiki.jp/outway/pages/81.html

さて、この内容全てをここで表せば、ある意味これ一つで壮絶な回想録になると思うが、順を追って説明しよう。

「壁ω・) とりあえず、俺は悟った」

突然の藩王の申し出にみんないぶかる。ははぁ、何を悟ったんですか?

「壁ω・) 相手との戦力差がひどすぎる。カバーするには半端じゃないクオリティのSSやイラスト、或いは数を持ったRPが必要だって」

そら、まぁ……みんなそう思ってるでしょうね。

でも、それはそれとして、それからどうするんです?

「壁ω・) だから、RPを滅茶苦茶やろう」

……また、単純無欠に簡単解決っぽい事を言ってますが……(汗

「壁ω・) だいじょーぶだいじょーぶ。1000もあれば足りるって」

ははは、コヤツめ。

…………周囲の反応も理解していただきたい。

RPとはいえ、その数1000を目標とする、というのがどれだけ異常な事か。

これまた断言しよう。ぶっちゃけ有り得ない。

だが、そのぶっちゃけ有り得ないを可能な限りやろうとするのがさちひこである。
それはAマホを通して関わっていたので、よく判る。判りすぎるくらいに判ってた。
そして、国のトップが無茶を通そうと言うのだ。しかも、率先して。

この時点でなくても、もうお気づきだろう。

アウトウェイはバカな国である。無駄に熱く、無駄に体育会系。

そう、この言葉は別に冗談でもなんでもなく、事実として執り行われる事になる。

「壁ω・) さ、とりあえず一人一日5RPを目標に頑張ろうっ」

こうして数を少なくして言われると、実現可能と思うから人間というのは単純だ。

事実、wikiコメントを利用したRPはドンドン数を溜めていく。

ただし、白兵が三個、射撃と防御が二個ずつで、移動が加わり全部で8箇所。
これに散り散りに書いていくので当然数は一つあたりのRPは貯まらない。

なんというか、焼け石に水とまで言わないが、いい感じで徒労感は貯まる。
数日もすれば、誰しもRPをやれる気力はなくなってくる。

まず、先に準備する物なので、状況が想定できないというのもある。
次にそれに伴い、言葉が被る事がどんどん多くなってくる。
そして、やはり面倒になってくる。

この図式は当たり前の事である。何も特別な事ではなかったと今でも思う。

だが、さちひこはここで必殺技を使う。

御存知の方は御存知通り、そう、悪あがきだ。

まず、率先して藩国民に声をかける。
そして、自らRPをドンドン書き込んでいく。

さて、普通はここでウザがられる。
というか、実際にウザイと思ってる人も多かっただろう。
これは事実として言うが、決してこれは上策とは言えない。何故なら所詮はゲーム、という中で強制や義務と言うのも得てして、その趣を大いに殺ぐからだ。

だが、さちひこはこの行為をやめなかった。

まず、Wikiに直接書き込むという行為をやめた。

これは手間がかかり、更にいえば、より良い方法を見つけたからである。

それは応援チャットに書き込み、切り取り、Wikiのコメント部分に直接書き込むという、ある意味正攻法である。

これによって、まず変わった点を挙げよう。

一つ目は名前をいちいち書かなくてすむようになった。
二つ目は他の人とやるようになった。

この二点以外にも小さい部分では様々な変更があったと思われるが、この二つが特に大きかった。

まず、一つ目・名前を書かなくてすむようになった点。

これに関しては単純な作業量の軽減である。
クッキーで名前を登録していても、頭文字くらいは入れないと候補が出てこない。
また、自分などはAマホをやっているため候補が尋常では無い数なのだ。

これでは手打ちと変わらない、という点が大きく改善された。これは単純に労力という点で見るならば、やはり大きな軽減となった。

そして二つ目・ある意味これが重要だ。

他人と同時にロールをするというのは、アイドレスにおいて応援ロールをしていた人なら判ると思うが、ある種独特な空気が生まれる。

また、他人のロールを受け継ぐ、会話型ロールというロールの基礎も当然の様に応用できる。

この会話型ロールというのは確かにWikiコメントでも出来る。

だが、その場にその人が居るというWikiとは違う、そこに存在している人との会話、というのとではやはり効率が違う。

いわばチャットとメールor掲示板というくらいのレスポンスの違い、物量の違いが生まれた。

これによって、冒頭出したURLに記載されている大量のコメントは生まれていく。

藩王さちひこは暇を見てはチャットに居る人間に声をかけて、応援ロールの空き会場を使い、コメントを増やしていく。

一日に一度は最低限。多い時は一日に二度三度、と際限なく。

時間帯によってチャットにいる人間は当然の様に変わる。昼型の人間、夜型の人間、学生、社会人。

こういった立場の違いで、入室のタイミングが当然変わってくるのだが、これに対しては
「○日○時よりやります」
という形式をとらず、その場その場で声をかけ、移動して、やるという泥臭い方法を取った。

これは大正解である。

何故なら始めてしまえば一種の楽しさもあるが、やはり義務でロールをやるというのは苦痛でしかない。

始めるまでの一歩というのは、誰もが思うとおり、面倒くさいとか、用事があるとか、そういうありきたりな理由で重くなる。

だから、自主的に参加するのを待つのではなく、積極的に誘う。

これについての良し悪しは語らない。

何故なら、そのどちらもあり、どちらかに傾くだけの決定的な物が無いからだ。

これは藩王さちひこの為に注釈しておくが、決して彼は無理強いはしなかった。

やや強引とも言える誘いをかけることはあっても、やらなければ怒り出す人物ではなかった事を記述する。

さて、こうしてあつまったコメント総数……

訳・800

泥臭い努力の果てに見えたのは、こういう数字。そして、この数字をたたき出す為に我々は努力したのだが……

実は今、初めて調べたのだが、1000に到達していないとはいえ、ここまであるとは思っていなかった。

いやはやしかし、ここだけ見ると異常もここに極まり泥臭い努力というのも、続けると形になる証明だと思う、が。

オチをいおう。

このページ、使われてないのである。(涙)

まぁ、タイミングの問題などもあったが、勿体無いなぁ、と思い、こうしてたまに見返す。

そう、確かに自分たちが努力した、という形は残ってるのだ、それだけで……満足しよう。

少なくても、今は。



・最終章 長いお休みの過ごし方

その後も色んなイベントがあった。
ハッキリ言うが、全然覚えてない。

もはや途中から、完全に知ることを拒否するわけでは無いが、意欲的に知ろうという態度をとらなくなった癖毛である。

記憶に残っている印象的なイベントと言えば、お見合いイベントである。

黒のオーマとのお見合いに際し、様々な噂が立ち並ぶ中。

「男が行ったら笑えない?」

と、この程度の理由だけで立候補。
立候補当初は唯一の男だったのが、最後の方を見れば男結構居るじゃん、ネタ被ってるじゃん、ダメじゃん、全然ダメじゃん orz という現実である。

このイベントで癖毛が個人的に手に入れたものといえば、お見合いアピール用に描いてもらえた絵くらいの物で、自分の寒さに一人涙を流していたのは秘密である。

藩国として見れば、大きなインパクトを残した三つ実のW当選である。

当時三つ実はアウトウェイと神聖巫連盟で二重登録をしていて、そのどちらでも当選していたのだ。

これは結果、片方を辞退するという形で話は落ち着く。

そんな細々としたイベントがありながらも、そのどれもがそれほどの印象も残らず、過ぎ去り、気がつけばアイドレスという世界そのものが長いなつやすみに突入していた。

これを期に癖毛はおおよそ三ヶ月ほど、アイドレスから離れた。

完全に、では無い。ただ藩国チャットに顔を出すことは極めて稀になり、またアイドレスのプレイスタイルも変わった。

プレイスタイルはアウトウェイ専属の外注である。

必要に応じて物を書く。その際に必要なデータなどをもらうと言う、秘宝館に近い形式である。
違うのはアウトウェイ専属である事くらいか。

さて、外注プレイに切り替えてからはリアルのごたごたや、Aマホ。更にAマホ以外のTRPGでも遊んでいた。
また、アイドレスへの関心のなさが半端じゃなくなった。

まず、小笠原という物の説明を聞いて、個人的に「微妙……」と呟いた。

これについては個人的な感想なので、色々な突っ込みは勘弁して欲しいがそう思ったという事実だけは変えられない。
それについての論議もここではしない。それは回想録では無いので。

ここで重要なのは、アイドレスという物が魅力的に見えなくなってきたことだった。

あのみんなで何かをした! という達成感も、裏方としての楽しさも全て、本当に遠い昔の事の様に思い出すだけになる。

また、藩王さちひこの勧めにより、小笠原秘宝館に勤めるが、特に積極的に動く事はなく、個人的に依頼されたものや、アウトウェイが藩国で行ったログを細々とやるに過ぎなかった。

たまに依頼される仕事をして、それで終わり。その程度である。

だが、癖毛もこの後、すぐに思い知る。
マイルという物の魅力を。そして、その価値を。

それはマイルを初めて入手してすぐの思い付きだった。

「……これ、景品にしてイベントできないかな?」

事前の取り決めでは入手したマイルは全て国庫に収めるはずだった。

だが、金を見ると人間というのは欲が出る。
それはマイルも同じで癖毛もマイルを手にした途端、意見を翻したのだ。

さて、だが初めてもらったのはたかが4マイル。とてもイベント開催など出来る量では無い。

これに対して、藩王さちひこと摂政空さんに相談して、マイルを景品としたイベントの提案を行ってみた。

これが知る人もいるかと思うが、アウトウェイ杯の開始の経緯である。

それに関してはまた、細々としたものから大きな物まであったのだがそれは割愛する。
(アウトウェイ杯の裏事情なんて語っても、それほど大仰でもなんでもないものだから)

このアウトウェイ杯もつい先日終わり、今はまた外注体勢である。

今回の文族の春も他人から教えてもらったという体たらくぶりである。ダメPLと言えば、そうであろう。

だが、私はこれでもきちんとアイドレスを楽しんでいる。
それだけは断言できる。

全部を知る気はなく、積極的にイベントに参加しなくても楽しめるのは本当にアイドレスの良いところだ。

また、状況は常に変動するので判らないが、アウトウェイ杯というように多人数を相手にしたイベントを開催できた事も楽しさを拍車をかけている。

私が見るアイドレスと言うのは、冒頭にも書いたとおり捻くれ者が見ているせいか、他の人とは大分見方が違うが、それでも楽しんでいる。

また、あの熱狂の日々が送れるかは判らない。

だが、例えそうだったとしても、アイドレスは続けて行くだろう。

そこにはリアルとの折り合いで参加率が悪くなったりとかもあるが、それでもきっと。

私はアイドレスの片隅。小さな国の、その片隅で明日も明後日も文を書いている。

それこそが、私のアイドレスの楽しみ方だから。

その言葉を末尾に、この回想録を終える。

何、いいだろう? 間違ってても、終わったわけじゃないんだから。

まだ、ゲームは続くのだから。

(癖毛爆男の手記より抜粋)


[No.200] 2008/01/30(Wed) 22:02:41
犬・男・出会い (No.184への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

「あぁ……腹減った……」

その男は野垂れ死ぬ直前だった。
現在で言う所のアウトウェイ外周を囲う古威森という天然森の中、その男は死にそうになっていた。

思えば、早計だったか……? いや、でもなぁ……思いついたら吉日生活の俺としてみれば、むしろ遅いくらいで……。

そんな事を思う。思うだけならタダだ。そう、思うだけなら何も変えられない。
彼は変えたかった。悲しみを消す為に、己の思うことをする為に。その運命を。

だから、国を飛び出た……のだが。

アウトウェイ藩国外周である古威森を舐めてはいけない。何しろ地元民ですら必要が無ければ踏み入れない。
そして、ここに入るのはいわゆる、山伏という人種だけである。

それだけでこの森がどれほど険しいのか。押して知るべし。

ただ、この男はそんなことも知らずに森に突入して早一週間、いい加減食料も尽き、その命のともし火は消えかけていた、が。

「……いてぇ、めちゃくちゃいてえええ!?」

ガブリ、と足に噛み付く何かがいた。

これほど広大な森だ。もしかしたら熊か!? それともライオンか!?
錯乱した頭はいい感じで混乱した回答をよこしてくれる。

「だああああっ! マジ、マジでやめろ、洒落に、ぎゃーーーーーっ!!」

とうとうアキレス腱を噛み切ろうとするその動きに足を振り回して振り払う。

「きゃいんっ!」

……きゃいん?

ここでようやくその男は足元に噛み付いてきていた謎の生物を直視した。
茶色くて、もこもこ。一抱えあるかないか。ところどころ白い。そして、何よりもヤクザっぽい。

最後のは意味不明だが、それが素直な感想だった。ていうか、マジで何者ですか、この『犬』は!?

そう、犬。犬だ。彼を食おうとしたのか、襲い掛かってきたのはまごうことなき野犬。
見てからに雑種で気品もクソもないが、その犬にかみつかれてその男は逆に意識が覚醒した。

「てめぇ……いい度胸だ! 俺を食おうたぁ、百年早い! ていうか、逆に犬鍋にして食ってやる!!」

ちなみに赤犬は食える。現在でも食べてる所があるとか無いとか。閑話休題。

その男はやおら気力を取り戻し、オリジナル拳法である鶴の構えを取る。
犬は対抗して、なんか訳の判らないポーズを取る。

偶然であろうが、これはその男のオリジナル拳法である亀の構えだったと後ほど語る。本当にどうでもいい。

「それは……亀の構え! 貴様、それをどこで……!?」
「がるるる……」

一人と一匹は対峙して、にらみ合う。おおよそ三分後。

バタン!X2

腹をすかせた二人はぶっ倒れた。
その後、二人は原住民……現在のアウトウェイの国民に助けられ、食料を振舞われた。

腹を満たせば、対立する理由もない。その男は自分を食おうとした忌々しくも自分と似たような境遇の犬を見て、笑って。

「これも何かの縁だ。俺と一緒にデカいことやるか?」

と、犬の対して話しかけた。すると犬の方は。

「わぅ〜〜〜〜〜ん……っ」

「……てめぇ、人の家の中で糞をするな!!」

大便で代弁したとか、って、誰が上手い事を言えといった。

「……まぁ、いい。王犬の当ても無かったしな。建国できたらお前を王犬にしてやろう」

「わう? わう、わうわうっ」

王という言葉に反応したのか、犬は楽しそうにほえて、男の周りを走り回り。

「わぅ〜〜〜〜ん……っ」

「だから、俺の横で糞をするんじゃねえよ!!」

*****

「これが俺と犬兵衛の出会いだな」

「嘘だ! 無茶言うな、お前!」

「いや、本当なんだってこれが。ビックリすることにさ」

「ビックリしたのはこっちだ! ていうか、ようやく話したと思ったら大法螺か、このやろう!!」

「わぅ〜〜〜〜〜ん……っ」

「だーーーー!! だから、何処でも糞をするな、お前もっ! 肛門が緩みすぎだっ!」

「わん? わんわんっ」

こうして、私は結局王犬の粗相を片付ける事になる。なんで私が……!!

*****

アウトウェイ藩国の藩王さちひこが語った王犬・犬兵衛と藩王・さちひこの出会いはこのような物であったらしい。
頼むから、真面目に答えてくれと頼む私に、藩王は困ったように笑うだけであった。

(癖毛爆男の手記より抜粋)


[No.201] 2008/01/30(Wed) 23:12:25
闘えゼンギョマン!(文春用) (No.184への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

アイドレス世界が長い夏休み中のある日。

ここはアイドレス世界の片隅。アウトウェイという、中小国の一つ……そこは今や、地獄であった。

特産物のえぶえぶ茸が突如、大成長。ただの大成長かと思いきや、その実は進化だったらしく知能まで持ってしまい、更に人化して、まるで怪人の様になってしまい、アウトウェイは占領されてしまったのだっ!

古い映画で例えるなら「猿の惑星」に状況はとても良く似ている。

人間は突如の変異に対応出来ず、えぶえぶ茸人間の猛攻に敗れ去り、人間は茸の下の生物とされ、圧制の下に奴隷の様な生活を強いられていた……

だが……人類はまだ諦めていなかった。

*****

『スネ毛戦士 ゼンギョマン!!』

******

「ほひ、ふひひひ、ほーれ人間共、働け働けー」

バフン、とその頭から胞子を飛ばし、えぶえぶ茸人間が人間たちを急きたてる。

人間たちは胞子に感染しては大変といわんばかり、急かされるまま動いている。

そんな群衆の中に一人、反逆の炎を持ち続ける人間が一人居た。

「くっそ……まさかこうも簡単にうちの藩国が落とされるとわな」

格好は薄汚れた安っぽい服。現在は木を運ぶという肉体労働に従事していた。

いつの日か仲間と再会し、この国を自分たちの物に取り返すのだ、という熱い気概を持ち続ける、ナウなヤングである。

そう、いつの日か……未来の話でも、俺は希望を捨てないっ!

ぶりぶり……

「……なんか、臭いし足元があったかいんだが」

足元には藩国の象徴として名高い犬兵衛が居て、平時と変わらずぷりぷりしていた。

見るとこちらに気づいたのか、ぷりぷりしながら見上げつつ。

「わうっ!」

「にゃ、にゃろう……」

思わず少し蹴ったろかい、と思うが、それを実行する前に。

「こら、人間! 犬兵衛様に手出ししたら承知せんぞっ!」

えぶえぶ茸人間に怒鳴れる。

実は犬兵衛、政権がえぶえぶ気の人間に移ってもその憎めない? 性格で堂々とシンボルの位置をキープしている。

「チ、こういう時………テレビとかならお約束で正義の味方が来てくれるんだが」

クソ、と呟く。あぁ、どうして世界はこうなってしまったのだろうか?

神がいるならとりあえず、唾をはきつけてぶん殴ってやらぁ、という気分だ。

「お……と、とと……」

肩に担いだ木が重くて、思わず転びそうになる。

「おっと、大丈夫ですか?」

その崩れた身体を支えたくれた人物が居た。

とっさに相手を見ようとしたが……姿は……見えない。何せ転びかけて下を向いているから。
顔は見えないが……その……

いや、敢えていうのもアレですが、貴方、いい年して半ズボンですか?
ていうか、スネ毛ボウボウで半ズボンですか?

「失礼。ちょっと野暮用がありまして」

す、と身体を押しのけられた。そのまま、振り向くまもなく、すれ違う。

「貴様……何者だっ!」

えぶえぶ茸人間が叫ぶ。その刈上げの男が威風堂々と立っていた。

「……天が呼ぶ、地が呼ぶ、私を呼びます」

「何者だと聞いているんだっ!!」

「ふ……私はある時は学級委員長、ある時は高機動善行”ただたか”夢の20代端数切捨て(ナース服着用)、ある時は愛した女性から逃げ回る道化、しかしてその実態は!」

ばさぁ、と光ったような気がした。それまでただの男、というはずの男に……

「スネ毛戦士、ゼンギョマン!」
(ttp://hidebbs.net/bbs/outoway?sw=vi&no=41260154&s=t
↑参考絵

………………

いや、いやいや!

顔を隠せよゼンギョマン! 何で赤い手袋とか、細かい装飾だけ変わって顔は隠してないのっ!?

「スネ毛戦士ゼンギョマン! く………とうとう来たかっ! 我等えぶえぶ茸人間には向かう愚かな奴めっ!」

何でノリノリなんですか、えぶえぶ茸人類さん? ていうか知り合いなのか!?

あまりのアホ展開に目を丸くしてしまう群集。

「いいだろう! 貴様を倒し、我等えぶえぶ茸人間が世界を征服する足がかりとしてやるっ!」

「………」

善行はえぶえぶ茸人類のその言葉に答えず、一気に間合いをつめる。そのまま遠慮なくぶん殴った。

「げはぁっ!」

あまりの衝撃にえぶえぶ茸人間が吹っ飛ぶが、それを更に追撃するらしく、息一つ切らさずにゼンギョマンが駆けて行く!

「反応が遅いですよ、何を訓練してたんですか?」

ぶえぶえぶ茸人間に追いつくと、殴る蹴る、踏みつける。あぁ、もうやめてっ! えぶえぶ茸人類のHPはとっくに0よっ! と言いたくなるほどである。

「……」

えぶえぶ茸人間は完全に……沈黙。

「ふ……悪は滅びるのです……ふ、ふふ、ふははは、ぶゎーひゃっはっはっはっ!」

いやいや、笑いすぎですから、ちょっと待ってよ、それはひどいよね? と思わず奴隷の様な生活をさせられてた男が思ってしまうくらい馬鹿笑いである、てーか、ムカツク笑い声だな、おい!!

「あーっはっはっはっ、ひーっひっひっ、くひーっ、ひー!!」

数分間……善行の笑いは止まらず、そして、しばらくたってようやく止まった。

冷静な表情で、眼鏡のブリッジを上げる。考えているようだ……

「さて、思ったよりもあっけなかったですね………このまま、私がこの国を支配してしまいましょうか?」

『ちょ、ちょっとまてー!!』

*****

ピピピピピピピ!!

ガチャ、と目覚まし時計を止める。

「………夢?」

周囲を見るが、変わった様子は無い……いや。

ベッドの下には昨日取り寄せたえぶえぶ茸とやたら短いどこかで見たような毛が数本………落ちていた。

劇終!!


[No.202] 2008/01/31(Thu) 20:33:14
発注・依頼NO.193 納品 (No.157への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

*本SSは一時間目・体育祭をカバーしたものとなります。
 二時間目以降には一切触れていませんので、ご注意ください。
 また、全ての出来事は通りすがりの男から見た観点で語られます。
 実際の事実などとは多少食い違う事もありますが、ご了承ください。



「……なんで秋の空って無駄に晴れる事が多いんだろうか?」

ぼけーっと、空を眺めながら歩いていたその男は呟く。

秋の空とオンナゴコロは判らない。山の天気のようだと詩人が言う。

だが、山の天気は確かにコロコロ変わるが、こうして
俺の頬に掌を打ちつけたりしないだろう。

その男性……いや、この際その名前なぞどうでもいい。

重要なのは彼が彼女の機嫌を損ねてしまい、一人ぶらぶら散歩している時に。

偶然見かけたその事なのだから。

******

その日の小笠原において、体育祭なる物が行われていた。

その男がそこを通りかかって、その上気づいたのは偶然に他ならない。

遠目から見ると、10人……? いや、もっと居るのか? よく判らないが、結構な人数が居るようだ。

特にする事も無く、遠目からそれを眺める。

どうせやる事も無いのだ。暇つぶし、話の種くらいにはなるだろう。

それが、男の思っていた事だったのだが……

……何モンだ、あいつら?

遠目からなので、顔までは見えないが半分近くの人間が赤い髪。

中には青い髪までいるわ、普通の髪の毛という、黒や茶の人物が少ない。

更にその一行の中には時代錯誤な格好をした人間まで居るわ、もう訳が判らない。

おいおい、こいつぁ……面白い事に、あ、ああー! あぁ……

視界の中で青い髪の少年が、ポニーテールの少女に抱きつこうとして、殴られてる。

何だか……一時間前の自分を見ているようで、気落ちする。

だが、その少年は驚くべき事にすぐに復活すると、また少女に近づいていく。

何たるパワー&ガッツ!

男は感動した。もしかしたら俺も叩かれて呆然とせずにああして
再度のアタックを即座に試みれば成功してたかもしれん。

何か心震えるものを確かに感じ取りながらも
でも、あそこまで積極的なのはウザがられねえか? とかとも思ったり。

その近くでは……男? 女?

多分、男だと思う。遠めなのでよく判らないが、胸が無いし。

オカッパ頭の少年がそれを微笑ましく見ている。

羨ましいのか……? 判る、判るぞぉ、少年。

どうでもいいことだが、何だかその少年に強い共感を覚えながらも
その傍に居た体操服に剣という、訳の判らない格好をした少女を見やる。

…………

なんていうか。

少女を見ると少年を見ながら「うはwwww ktkrwww」という感じである。

微妙に、ヒく。

やたらハイテンションなのが遠目からでも判る。

いや、まぁ……

その周りで体操服にサングラス。

その格好でも微妙なのに、何故かチョコマカと動き回って写真を撮りまくってる
謎の赤毛の男に比べれば、ある意味ではむしろ正常な格好なのかもしれない。

ちなみにこの男が先ほどから微妙に気になってるのは
オカッパの少年をチラチラ見てるこれまた赤毛の少女。

好きなのか……LOVEかっ!?

なんだか初々しいなぁー、と和まされた。

二人の前途に幸あれっ!

とか、思いながらもオカッパ少年の方には

この鈍感野郎〜〜〜! と、とりあえず呪詛の念を定型行動の如く送っておいたが。

……?

オカッパの少年が子供に話しかけられてる。遠目から見ても緊張しているのがよく判る。

……なんで?

子供が苦手なのか、元々人間と付き合うのが苦手なのか。

微妙に心に引っかかりながらも、まぁ、いいか。他人事だし。何より男だし、とあっさり斬って捨てる。

ここらへん、これほど関心を持ちながらあっさりする辺り、この男、いい性格をしている。

つまりは、まぁ。

一杯居た女の子の方に大体視線が向いているのだ。

******

さて、どういう事か。

どうもこれから競技らしい。

遠めで見ながら、どうも二人三脚をやるらしいなぁ、とボケーと思いながら見ている。

先ほどの青い髪の少年とポニーテールの女の子がまるでそうするのが当然の様に足を結んでいる。

……いや、まぁ。

その前に、青い髪の少年がやたらとくっついたりしようとするのを
ポニーテールの少女がぽかぽか真っ赤な顔で叩いてたりしたが。

結果的に見れば、二人は当然の様に足を結んでいる。

ちなみに。

実は先ほどから視界に入ってはいるものの、あまりにキツそうな性格(憶測)で
わざと視線に入れないドレスを着た女も、しっかりと観戦している。

ちなみにそれほど視界に入れてない理由は単純だ。

今日、自分の頬ベタをパチンした彼女に、そのキツそうな性格(推測)が似ているからだ。

……格式のあるツンデレか。

自分勝手な結論を出して、それでスルー。

男は自分の理解を超える、或いは自分の手に余す物はとりあえず、気にしないと言ういい性格だった。

******

最初、何が起こったのか判らなかった。

二人三脚が始まり、五秒もしないうちに青い髪の少年と少女がぽかぽか始めて、失格になった。

青髪の少年はひたすら平謝り。ポニーテールの少女は顔を真っ赤にしている。

周囲は一瞬、何が起こったのか判らなかったかもしれない。

だが、男はすぐに何があったのか、推察くらいは出来た。

あの青髪の少年、抱きつきに行きやがったか……

もう、師匠と呼ぼうか、勝手に。

その推論に、男の胸が熱く震えた。

******

舞「バカモノ! どうして貴様はそういうことをっ」

青「イタ、ご、ごめんっ! つい我慢できなくて、イタ、イタタっ」

舞「バカモノ! 人前であのような事を行いおってっ」

青「イタッ、本当に痛いよ、舞」

******

あぁ、何か妙な幻想が見えた、それもまた一時の事。

とりあえず、何だか凄く微笑ましい気分になり、幸せになる。

ちなみに……

先ほどから何度か注目してるオカッパ頭の少年。

現在は二人の少女。剣と赤毛の少女にジュースを手渡されそうになってる。

……滅びろ。

何だか、微妙にそんな事を思ってしまった。自重自重。

どうもあのオカッパの少年の周囲は騒がしい。なんていうか、大昔のらぶこめでぃ、という
そんな誰もが夢見る空想・幻想を具現化したような空気に遠い目に思わずなるのを誰が止められるだろうか?

と、そこへ。

女性が一人、剣の少女に近づいた。

2〜3のやり取りの後、少女が急に跪く。

? なんだ、あれ?

傍目に見てもテンションが高かったその少女がいきなり跪き、その女性に忠誠を誓う騎士のようにしている。

……まぁ、それも。

20秒と持たず、顔を上げた時には遠くからでも「おら、wktkしてきたぞぉwwwww」という
異常なまでのハイテンションオーラを感じ取れるので、色々心配する事は無いようだ。

……心配といっても、全く実も知らない少女なのだが。

ちなみにその隙に赤毛の少女がオカッパ頭の少年にジュースを渡して、話をしている。

どういう流れかは全く判らないが、どうやら勝負あったようだ。

少しのやり取りの後。

オカッパの少女と少年が、足を組んでいる。

何だか二人とも照れてるような、なんていうか。

あぁ、青春ってあんな感じだったよなぁ、とか。
俺、いつからほろ苦さと甘酸っぱさを忘れたんだろう、とか。
ていうか、オカッパ頭の。ちゃんと答えてやらないと潰す、とか。

訳の判らない情動が身体を駆け巡った。

微笑ましいけど、何か悔しい。

これが、正解なのだろう。いや、まぁ通りすがりの俺には関係の無い人なんだがな、全員。

そして、準備がされ、全員がスタートラインに立つ。

審判が何かしてるが「位置について、よーい」って奴だろう。

そして、ドン! の次の瞬間には。


芝村 :今日子はゴールまで先回りしてテープを切った。一人ゴール。


男は盛大にこけた。

「な、なんじゃそりゃーーーーーーーーっ!!」

遠くで聞こえたそのツッコミを聞いた者は……居ない。


[No.206] 2008/02/03(Sun) 01:16:11
今日子ちゃんの外見について (No.151への返信 / 1階層) - みぽりん@神聖巫連盟

ジヌスさん他、OWのみなさま、回答が遅くなり申し訳ございませんでした。


芝村さんに質問したところ、てきとーでいいそうです。

上級BBS
ttp://cwtg.jp/bbs2/wforum.cgi?no=15352&reno=15002&oya=15002&mode=msgview


以下ログ(NWC)
//*//*//
+ みぽりん@巫 > いえ、ありがとうございます!!>芝村さん  秘宝館にイラストを依頼したいのですが、今日子ちゃんのパージ前と後の外見をくわしく教えていただけたらと思いまして。 (2/8-15:38:39)
+ 芝村 > てきとーでよし>みぽりんさん (2/8-15:40:21)
+ みぽりん@巫 > Σてきとう 「これは今日子ちゃん」と言い張ればいいですか?>芝村さん (2/8-15:41:13)
+ 芝村 > うむ。バンバンジーや妖精号みたいに当面商品化されたりしないのでてきとーでよい。>みぽりんさん 俺が許可すりゃオフィシャルで (2/8-15:42:15)
+ みぽりん@巫 > はいw ではイラスト製作者さまにそのようにお伝えしますw ありがとうございました!!>芝村さん (2/8-15:43:10)
+ 芝村 > いえいえ。>みぽりんさん (2/8-15:43:44)
+ みぽりん@巫 > (今の質疑、上級BBSに転載させていただきますです)>今日子ちゃん外見について (2/8-15:44:03)
+ 芝村 > はい>みぽりんさん (2/8-15:44:31)

//*//*//
ここまでですw


[No.207] 2008/02/08(Fri) 16:00:09
受注 No.217 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

影法師さんより受注。
完成原稿はこのスレにアップ後リンクで提出。


[No.210] 2008/02/16(Sat) 13:38:25
Re: 受注 No.217 (No.210への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

時間はゲーム中。比嘉と影法師が殴りあいを初めて、逃げ出した時。
場所は逃げてすぐの場所で。

****

アララは笑っていた。それはもう、爆笑に近い物であった。
スイトピーはそれを迂遠な目で見ている。というか、何故いきなり呼び出されたのか、今一事情も良く判らない。

アララの爆笑の様子を怪訝に思いながらも、スイトピーは口を開いた。

「それで……銃で脅されてたって本当?」

唯一彼女の言葉の中で気になった一言。本当にそうだとしたら絶対に許せるものでは無い。

「ん、冗談に決まってるでしょ? 貴方が呼び出しにおうじなくて、彼が面白い事を言ったから呼んだだけ」

「…………」

流れる沈黙。スイトピーは少し思案する。

……実際、あまり面白くなかったが……。

「ほら、ホッペにヒマワリの種を一杯にして、とっとこ比嘉太郎とかみたくない?」

「全然見たくありません」

そんな下らない思いつきの為に呼び出されたのかと思うと、思わず溜息が出る。
しかもきちんとした格好ではなく、寝巻きだ。いきなりパジャマ姿で登場……良く考えなくてもおかしい格好で。

「…………」

「あら、スイトピー? 顔が怖いわよ、どうしたの?」

「……貴方にも、彼等にもあきれているだけです」

はぁ、と溜息を漏らす。アララとスイトピーはその基本的な精神構造が全く違うせいか、どうにも不機嫌な時は相手を見ているとそれだけで相手にマイナス感情が生まれてしまう。

「でも、良かったでしょ? 実際、彼のこか」

「それ以上言うと怒るわよ?」

何でこう、この人は、あぁ、もう……。

「……そういえば、寝巻き姿というのはいいかもしれないわね」

さっきは二人をからかう事が楽しくてあまり見ていなかったがアララは改めてスイトピーを見てみる。
流石は元貴族の出か、きちんとした寝巻きというのは普段と違う魅力(みりき)が溢れている。

「そうよ、スイトピー。今度彼に呼び出されたらその格好で行ってみなさいよ」

「……何を言ってるのかしら、貴女は?」

「ダメかな? 彼、ドキドキして真っ赤になって訳が判らなくなって面白い事してくれそうじゃない」

スイトピーは溜息をついた。どうにもこう、他人の迷惑を完全に省みずに下らない冗談を飛ばされても、この状況だと全然笑えないのだ。

「それとも、もうちょっと露出を多くして……ほら、ぺったんこだから、もっと別のあいたっ」

ゴツン、と大きな音。

「それでは、私は帰りますから」

スイトピーがなれない拳骨を落とした。手が痛いのか、ちょっと震えてる。

「今度からは、三人で楽しんでください。呼ばれていかないという事は、そういうことなんですから」

「うぅ……スイトピー、いたいー。貧乳はステータあいた」

ごつん、と追加の拳骨。

「余計なお世話よ」

あきれた様子で帰っていくスイトピー。その場にうずくまるアララ。

「ちょ、大丈夫ですか!? 冷やすものーっ(ぐるぐる」

ちょうどスイトピーが居なくなった時、影法師がやってくる。

所詮はスイトピーにごつん、されたくらいだから実はそれほど痛くないのだが……。

「タオルと水、タオルと水(ぐるぐる)」

彼は滑稽なほどに慌てていて。

「どこか横になれる場所ーっ!?(ぐるぐる」

「落ち付け……医務室がある……(ふらふらと歩いてくる)」

対照的な二人が余りにおかしくて、もう少し見ていたいなー、とか思う。

「あのー、アララさんー!? 大丈夫ですか? 動けますか? おぶりますか? このままがいいですか?(ぐるぐる」

こういわれると、もう少し困らせたくなるのがアララの本質か。

「お姫様抱っこ……(ボソ)」

とか言ってみるのだが。

二人は自分が無事だと判ると、また自分の事になってしまった、残念。
折角なら少しはお姫様抱っこネタでからかいたかったのに。

若いわねー、どっちも。うん。

アララは三人について、少し考えてみる。あまりにおかしい。

周囲が見えなくなると暴走する比嘉。
おろおろしながらも、周囲を大事にする影法師。
そして、あの堅物ちゃん。スイトピー。なんであそこまで不機嫌なのか。

色々気になるといえば気になる。だが、それ以上に面白いのだ。

後はもうちょっと大人になってくれればなー、とか思いながらも。

影法師 の発言 :
「ええっと……。固いとかの前にやっぱりタイミングが悪かったんじゃ…」

比嘉劉輝 の発言 :
「そういえば、スイトピーはどこに?」

比嘉劉輝 の発言 :
「あの格好で帰ったんだろうか……大丈夫かな……」

……む、なんだか面白くない、というかこら、影法師。あなたまでスイトピーを気にするの?

ちゃんと私を見なさい。私を特別視しなさいよ。さっきも言ったでしょ?

だからちょっとわがまま言ってみたら。

比嘉劉輝 の発言 :
「そうも行きません、僕は追いかけますよ。(ふらふら)」

比嘉劉輝 の発言 :
「これ以上、あの子に迷惑はかけられない」

影法師 の発言 :
「駄目です。けじめはつけましょう。最後まで」

むー、なんだかなぁ。この子達も真面目すぎ。

あんな冗談、それこそ笑って流せるくらいじゃないとダメじゃないのかな?

あと、影法師。ちゃんと私を呼んだなら、私を最優先にしなさいよ。ぶーぶー。

仕方ないので正直な感想を言ったら、比嘉に怒鳴られた。おのれー。

****

結局、勉強会という名目で呼ばれて勉強など何一つしてないのは参加者の胸のうちに秘められる事になる。


[No.211] 2008/02/16(Sat) 13:38:45
秘宝館 275 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男

アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国さんより依頼がありました

イベント:  香川優斗 善行忠孝 岩田裕 鷺宮透子 芝村英吏 ACE是空さん
12月14日
イベントログ: 
1時間目 ttp://blogiri.at.webry.info/200712/article_27.html
2時間目 ttp://blogiri.at.webry.info/200712/article_28.html
3時間目 ttp://blogiri.at.webry.info/200712/article_29.html

注文制作物:イラスト3、SS3
指名製作者: 

イラスト3枠はおすすめ枠で

SS指名
影法師@ながみ藩国さま
癖毛爆男@アウトウェイさま
玄霧弦耶@玄霧藩国

要点:
イラスト、SS共にこちらの要点でお願いいたします。
参加している国民の容姿等はこちらにまとめてあります。
ttp://suzume28.web.fc2.com/ge/syoukai2.html

藩国旅行のログの為、人数が多く大変ですが、書きやすい程度に書いていただいてかまいません。
念のため3時間内の3箇所を指定させていただきましたが、
指定の箇所でなくとも書き手さんの書きたい箇所を書いて下さって結構です。


1時間目 鷺宮透子さん(伯爵)が登場したところ(周りにPC多数)
2時間目 怪我をした英吏さんの話を聞くPC達     
3時間目 ゲートに飛び込む雅戌と猫野和錆

連絡先
(ttp://kisaragi-atsushi.hp.infoseek.co.jp/genmuon.html


[No.221] 2008/03/27(Thu) 02:45:49
Re: 秘宝館 275 (No.221への返信 / 2階層) - 癖毛爆男

その時、芝村英吏の気分を表現するとなると非常に難しい。

まず、整理してみよう。今日は朝から調子が悪かったように思う。
もしかしたら全てが夢かもしれない。そんな錯覚を覚えるほど、英吏の今日はおかしかった。

まず最初は死んだはずの大家令が居た。
この時点で今日の出来事は全て夢か、或いは今までの出来事が夢か、やや判断に戸惑う所がある。

しかもその大家令。あろうことか道化の言動を取っていた。この時点で色々と訳が判らなくなる。
というか、あの不思議なダンスはなんだ? 一体奴は何がやりたかったのか?

大家令といえる存在である。その行動に無駄はなく、また意味のない行動など無いはずである。

だが、いかに芝村英吏であろうとあのダンスの意味を即座に特定できるほど、大家令のことは理解できなかった。

その時点で英吏の気分は大分落ち込んだ。明らかに意味のない行動に意味があると考えるのは穿ちすぎなのか?
それとも、そう思わせ何も考えさせない事こそが本当の策なのか?

疑心暗鬼もいいところである。この時点で気分は相当最悪だった。

次いで学校に着てみれば謎の戦闘が起こる。それに巻き込まれた。
テロかどうかはすぐに判った。何故ならば戦闘が起こったからだ。
それが正常なテロかどうかまでは判らないが、ただの愉快犯でそこまでする愚か者は居ないだろう。

英吏はその戦闘に参加したとは言い難いだろう。何しろ何が起こっていたのかも理解できてないのでは戦いに参加したとは言えない。

戦闘が起こった場所に向えば相手は年少の少年だった。そう、どう見ても、少年である。

芝村は確かに外見などでその全てを判断するわけでは無い。だが、突如として現れた10になったかならないか程度の大人しそうな少年が四本腕を使って暴れだすのは幾らなんでも常識外だ。

その上その少年と相打ちしたのはこれまた少女である。

その間、芝村が出来た効果的なことは何も無かった。そう、何も無い。

目の前で行われた少年と少女の戦いに影響すら与えられず、気がつけばて傷を負わされ、戦いは終わっていた。

これで欠片も自尊心が傷つかない人間など居るだろうか? しかも、彼は世界の征服者たる芝村の一族である。

全ての手段を行使してでも全てを守ると決めた傲慢たる一族の一員である。
その自分が何も出来ず、何が起こったかも理解できず、そして、いつの間にか手傷を負わされている。

「……ふ、ふふ」

英吏は笑いがこみ上げてくるのを止められない。それはどこかおかしな、壊れたとまでは言わずともやや崩壊した自嘲である。

目の前にことに理解は及ばずとも、目の前で起こったことを否定する気にはならない。

これが夢かどうかなど関係ない。ただ、事実のみを認めるしかない。

それは自身の肩についた傷が、痛みが、その存在を主張をすればそれだけで事足りる。

いいだろう、と芝村は笑う。いいだろう、と芝村は微笑を浮かべざるを得ない。

かの有名な電子の巫女王には及ばずとも自身とて芝村の一員である。目の前で起きた事を否定することはしない。
いつか、絶対。アレを使いこなしてみせる。

それは芝村としての意地だったのか、或いは英吏としての意地なのか。
それが判らずとも芝村英吏は微笑を浮かべる。

「英吏さん、大丈夫ですか!?」

その時、声が響いた。どうやらどれほどの時間か判らないが立っている間に相当な時間が流れたようだ。

声が響いた方を軽くみてみれば、先ほど別行動を取った玄霧藩の人間が数名、やってきている。
先頭で駆け寄ってくるのはアポロである。

「まぁ、死ぬほどではないな」

事実のみを端的に伝える。そう、死ぬような傷では無い。

駆け寄ってきたアポロが傷の具合を確かめている。止めるつもりもなく、そのままさせておく。

全員が色々と何かを言っている。全てを聞き取るのが面倒なのでアポロの言葉に耳を傾ける。

その中に出てきた月子という単語。月子、あぁ、月子……。

「彼女はウーンズライオンを得るだろう。うらやましい限りだ」

ウーンズライオン。傷ついた獅子勲章。
名誉の戦死を遂げた人間に送られる、最後の栄光。

本当に、羨ましいと思った。冷静に考えてみれば判る。自分が今回の戦いで死んだとしても決して貰うことのできない……否、出されれば侮辱としか思えないその勲章を彼女は貰うに値する行動を取っていたのだ。

皮肉でもなんでもない。いや、皮肉を交えたのは事実だがそれ以上にあの戦いに参加できた羨望が勝る。

それからも何度か何かを聞かれる。それに対して情報を分解せずに、何も考えずに喋る。

……というか、なんだというのだ。

様々な事が起こり、それらを自身でも整理出来ないうちに無遠慮に聞かれる。これは軍法会議か?

その質問の一つ一つを答えるごとに何も出来なかった事実を再確認されているでもある。

「事情聴取をするなら、法にのっとってくれんか」

朝から不可思議な事が立て続けに起こり、英吏のストレスも多少はあったのだろう。つい棘棘しい言葉が出る。

その言葉にその場に居た全員。特に手当てをしてくれていたアポロの顔が歪むのを見て大人気なかったか、と思いなおす。

他人に当り散らすなど、正常な芝村、正常な英吏ならば行わないだろうがそれでも、その事を素直に言わずただ質問に答えるという行動で英吏なりの誠意を表す。

肩の痛みと手当ての感触以外はそれほど意識せずに行う。ゆっくりと自分の中でも起きた事を整理しながら、答えていく。

そのうちに一人の男がやってきた。

「変な人おおいなあ」

この状況で気楽に歩いてくる貴様には敵うまいよ。

少しぼやけた頭で英吏はそんな事を、思った。


[No.222] 2008/03/29(Sat) 14:37:48
自分の国に関する下着のうんちく (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男

「アウトウェイにおける下着の考察」

「下着とは文化の象徴である」   -----アウトウェイの歴史研究者
「下着とは浪漫の薫り」      -----アウトウェイの酔っぱらい
「ていうか、エロい下着は萌える」 -----アウトウェイの藩王Sさん

・前置き

下着の考察にはその国の文化、歴史、風土などが意外と重要である。
そのため、今回、アウトウェイにおける下着の考察を行う前にこの国の風土や歴史などを簡単に紹介しよう。

アウトウェイという国はもともと、ただの森や山などから成る大自然豊かな国である。
そこに前「アプローの涙」事変により逃亡してきた都市船が不時着、現地の人間「はてない県人」と共存共栄するような形で復興・発展してきたのがこの国の特徴だ。

現地のはてない県人達は文化・風習などは18世紀〜19世紀の日本や、そういった少しばかり技術レベルの低い生活を行っていた。
周囲を「古威森」に囲われ、北に「希望山」を望み、そこを源流とした幻想川はよど湾まで水を流す。

つまり、この国は自然環境的には非常に恵まれた環境であり、また古代においては天然の要塞でもあった。

森では茸や自然薯を代表とした植物類、ウサギや猪、鹿などを中心とした野生動物、川や海にも魚介が存在しており非常に食糧事情的にも恵まれていた。
そのため、急激な文化・技術の向上を必要としなかったという点も大きいだろう。
また、地理的には中央に都市船、森の中には様々な部族・氏族による村々が点在する。
気温は高温湿潤。熱帯ほどではないが亜熱帯程度の物がある。

さて、これらを踏まえた上で我が国の下着についてご説明しよう。

・はてない県人の下着

まず「はてない県人」を主流とした森の村々の人間達についてである。

多くが森の中を駆け回り、川に入って魚を捕る、あるいは農耕をするなど、これらのことからも肉体労働が多い事が判るかと思う。
また、森の中に点在する事から村々の繋がりはあっても大きな村などはほとんど存在していない。

文化・技術レベルもある物は使い、無いものは他の物を代用したりして無理に引き上げようとしない。
また、ここで注目すべきは彼らが「はてない県人」の血を多く引くことである。

先に断っておくが、これは人種差別ではない。ただ、民族の習慣・風習というのはそのような区切りによって必ず存在するだけである。

さて、はてない県人といえば「火の色の髪」など、様々な特徴があれどその中でも特筆すべきは「エプロン」と「少し馬鹿っぽい(失礼)」という物がある。

これらを無視して下着考察を行うことは不可能である。その理由を一つずつあげていこう。

まず、フォーマルな下着、特に運動や仕事をする際に付けられる物は局部を隠したり、ファッションなどを考慮して作られた物ではない。

元々あった男性用に下着においては長い布を巻き付け、激しい運動の際にも男性器がこすれたりする事が無いよう、機能性を追求している。
下着に対して長い布を使用する理由については諸説あるが、森の中などで怪我などをした場合に途中から千切り、怪我をした場所に巻いたりすることが可能だからという説がある。

ただし、都市船の不時着以降、ブリーフタイプの下着を好んで着用している男性も増えてきたことが判っている。

女性に置いては胸部にサラシのように巻き付け、胸を固定する。
この際、きつく縛りすぎないように母親が娘に教えるというのは一種の恒例行事であるらしい。
これは成長を妨げるだけでなく、健康面からも常に極度の圧迫を胸部に対して与える事が不健康ということを長い歴史の上できちんと把握しているためである。
腰部に関しての下着は男性のそれよりは簡素である。これは男性器と違い、激しい運動をしても揺れたり擦れたりする物が存在しないからとも言われている。

ただし、これらの女性下着は後述する都市船部の下着の広がりによって消えつつある事を書いておく。

この下着は生地は主に麻などの植物繊維を中心とした物が伝統的である。
綿も存在しない訳ではないが、風土的に綿よりも麻の方が入手・加工が容易であるためである。

色はほとんどが生地の色そのまま。一部には古威森の植物等を使って昔ながらの染め上げを行ったりもするが、基本的に上記した下着においては生地の色そのままであることが多い。

また、麻は通気性が良いことも忘れてはいけない。何しろ周囲に大森林を作り上げるほどの温暖湿潤気候であるため、雨期などは酷い湿度に悩まされるのだ。

さて、ここまでは実用的な下着についての説明である。いわばこれらは仕事着と言い換えても良い。
その為、遊びが無く、機能性などを追求した物になっている。

これらが基本的な物であることは間違いないが、はてない県人として忘れてはいけない物がある。

そう、エプロンであり、それに伴う下着である。

主にこれは女性用の下着であり、機能性よりも装飾性が高い。
はてない県人にとって「エプロン」というのは様々な意味合いを持つらしく、新婚初夜に必ず女性が付けるという風習が存在する村すらもあるらしい。

この時に主に使用される下着はそれこそそのままショーツ、という形でありこれも麻を使っている物が多い。
また、形についても様々な形が考案されているらしいが、その多くは秘密となっている。
都市船が来るまではその様な風習が存在する村に置いては家々ごとに決まった形、或いは新婦がどのような物であれば「せくしい(はてない県人特有の言葉らしい。意味は不明)」であるか、様々な試行錯誤の後に作り上げていくらしい。

もっとも、昨今は後述する首都部に置ける下着事情を受けて手作りする家や新婦も激減したらしい。
これに対して「伝統行事の一つだから現代でも行うべき」という勢力と「それなら男だってちゃんとそれらしいのを穿きなさいよっ!」という勢力が論争を熱くかわしているようである。

・首都部の下着

さて、対して首都部に置ける下着事情である。

こちらはそれまで都市船の機能に頼っていたりなんだりとした人間もかなり多い。また、その作業の多くに肉体労働以外の物が含まれている。
つまり、それほど汗をかかない、或いはかいてもそれほど酷く無いのが実情である。

その分、こちらでは機能性などよりも装飾性などが優先されている。また、生地類なども森に住んでいる人たちとは一線を画す。

都市船とはそれだけで一個の国家として機能としていた。その多くの部分は不時着の際に地中に埋もれ、壊れてしまっている為に全ての機能が生きている訳ではないが、それでも多少なりともその機能は残っている。

そのため、古威森などから集めた素材を使い合成繊維を生成することも可能なのである。
これにより、麻、綿に加えて絹の様な物から様々な物が作成できる。

それらにこれまた集めた塗料用素材を使い、色づけを行っていく。

こうすることで、様々な形や色などの下着類がで出来上がる。
それら全てに対してコメントするのはほぼ不可能であり、それほどの種類がある。

形も男性用ならブリーフ・トランクス・ボクサーパンツタイプなど様々であり、女性用に至ってはすでに男の自分の範疇を超えた種類が存在する。

これらの事から上記した伝統行事的な個々の下着の作成が無くなっていくのも確かである。
特に装飾用の女性用下着に関しては男性のそれよりも広く伝わっている。

スポーツブラというのは何となく誰でも知ってる物だとは思うが、はてない県人の人たちの中にも既存の布ではなくこの様な下着を好んで着ける人間が多くなっている。

・纏め

この様な形でアウトウェイの国というのは首都部と森林部に住む人間によって下着の付け方、その意味合いが変わるのである。

特に統一された民族・人種一つでやっている国ではないことからもそれは容易に想像できるだろう。

ただし、重要なのはそのお互いの下着を否定することなく、受け入れていることである。

都市船部に住む男性には森林部に住む人間の下着愛好者は確かに存在するし、紹介文章内でも書いたが森林部の女性は都市船の装飾性豊かな下着を難なく受け入れて好んで着用している人もいる。

共存共栄も下着一つで語ることができるのかもしれない。ふと、そんなことを思った。

(癖毛爆男の手記より


[No.225] 2008/04/19(Sat) 17:02:23
まさかこんな物を作る事になるとは・・・(汗 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男

藩国・アイドレス設定などの作成の際の手引き

目的・どんな人でも出来る作業の進め方ラインです

必要人員
文族一名・文章作業を担当します
技族一名・絵作業を担当します
管理一名・管理を担当します。

パワーバランス
管理者>文族=技族

これに関しては絶対に守ってください。上下関係がぐだぐだになると、システムそのものがぐだぐだになります。

各部署の注意点
・全体的に
相手の仕事をけなす・おとしめることはやめましょう。注意・意見と悪口は違うということをきちんと自覚することから始めてください。(特に管理者は作品に対する発言の前に、一呼吸置くくらいの心構えを持ちましょう)

・文族
要点をきちんと押さえる事。必要最低限はこれだけです。

・技族
要点をきちんと押さえる事。必要最低限はこれだけです。

・管理者
実作業には絶対に手を出さない。また、常に中立の立場を心がけてください。片方に肩入れすると、もう片方は普通に気づきます。

・便利ツール
ウィキペディアなどは全く同じ物はなくても、資料として有効な物があったりしますので、そちらの方なども参考資料として使うのも良いでしょう。

作業の流れ

1・管理者が資料の用意(最初期)
新アイドレスの要点の纏め、今までのアイドレスのページアドレスなど、アイドレス部分に関して必要なことを用意しましょう

2・作業発注(締め切り一週間前程度)
国内の文族・技族に管理者が発注を行います。この際、締め切りをきちんと設けましょう。
また、アイドレスはゲームなので、相手の都合も考える事が重要です。

3・作業間のやりとり(発注即日か翌日くらい)
絵や文章部分での詰めを行います。事前に用意しておいた資料などを元に話し合い、不明な点をなくすようにしましょう。これにより、文章と絵のマッチングが非常に高まります。
また、管理者はこの時は司会進行くらいに留まり、話がそれた時の軌道修正、資料が必要な際の資料の用意などの裏方に徹することが重要です。

4・実作業(締め切りまで)
文族・技族共に作業に入ります。この際、締め切り三日前くらいまでは管理者もあまり口出ししないようにしましょう。三日目に入っても作業の進みが見られない場合はそれとなく「作業どうですか?」「判らないところがあったら気軽に聞いてください」などの一言を言ってあげると作業の進みが良くなる傾向にあると思います。

5・完成!
完成した物を管理者が見ます。要点などをきちんと押さえているか、きちんと見てください。
技術レベルに関わらず、最低限を押させているようでしたらまずは相手を誉めましょう。(重要です)
その後に要求する事があれば、やんわりと伝えましょう。このとき、口調など命令になってないか注意しましょう。
実作業をするのは自分ではない、という事からも管理者とは管理だけをする人間です。

6・提出
最後の調整が終わったらとうとう提出です。
管理者は実作業者をねぎらい、次の作業の時も気持ちよく作業してもらえるようにしましょう。



*最後に
このシステムで一定の技術を要求されるのは管理者のみです。この場合の技術とはソーシャルスキル、社交性です。相手を思いやる、相手をねぎらうという当たり前のことを行うか行わないかで作業の進みや、ひいては藩国内の雰囲気も変わってきます。
特にこのように自分の上司、というほどではありませんが上位にいる人にきちんと認められる、というのは人間としてもうれしいことだと思います。(ただし、管理者にはそれなりの人望なども必要かとは思いますが)


[No.226] 2008/04/19(Sat) 23:45:49
Wiki用の構文にしてみました。 (No.226への返信 / 2階層) - ちょっとおてつだい

目的・どんな人でも出来る作業の進め方ラインです

#contents()


>必要人員
>文族一名・文章作業を担当します
>技族一名・絵作業を担当します
>管理一名・管理を担当します。
>
>パワーバランス
>管理者>文族=技族
>
>これに関しては絶対に守ってください。上下関係がぐだぐだになると、システムそのものがぐだぐだになります。


*各部署の注意点
**全体的に
相手の仕事をけなす・おとしめることはやめましょう。注意・意見と悪口は違うということをきちんと自覚することから始めてください。(特に管理者は作品に対する発言の前に、一呼吸置くくらいの心構えを持ちましょう)

**文族
要点をきちんと押さえる事。必要最低限はこれだけです。

**技族
要点をきちんと押さえる事。必要最低限はこれだけです。

**管理者
実作業には絶対に手を出さない。また、常に中立の立場を心がけてください。片方に肩入れすると、もう片方は普通に気づきます。

**便利ツール
ウィキペディアなどは全く同じ物はなくても、資料として有効な物があったりしますので、そちらの方なども参考資料として使うのも良いでしょう。

*作業の流れ

**1・管理者が資料の用意(最初期)
新アイドレスの要点の纏め、今までのアイドレスのページアドレスなど、アイドレス部分に関して必要なことを用意しましょう

**2・作業発注(締め切り一週間前程度)
国内の文族・技族に管理者が発注を行います。この際、締め切りをきちんと設けましょう。
また、アイドレスはゲームなので、相手の都合も考える事が重要です。

**3・作業間のやりとり(発注即日か翌日くらい)
絵や文章部分での詰めを行います。事前に用意しておいた資料などを元に話し合い、不明な点をなくすようにしましょう。これにより、文章と絵のマッチングが非常に高まります。
また、管理者はこの時は司会進行くらいに留まり、話がそれた時の軌道修正、資料が必要な際の資料の用意などの裏方に徹することが重要です。

**4・実作業(締め切りまで)
文族・技族共に作業に入ります。この際、締め切り三日前くらいまでは管理者もあまり口出ししないようにしましょう。三日目に入っても作業の進みが見られない場合はそれとなく「作業どうですか?」「判らないところがあったら気軽に聞いてください」などの一言を言ってあげると作業の進みが良くなる傾向にあると思います。

**5・完成!
完成した物を管理者が見ます。要点などをきちんと押さえているか、きちんと見てください。
技術レベルに関わらず、最低限を押させているようでしたらまずは相手を誉めましょう。(重要です)
その後に要求する事があれば、やんわりと伝えましょう。このとき、口調など命令になってないか注意しましょう。
実作業をするのは自分ではない、という事からも管理者とは管理だけをする人間です。

**6・提出
最後の調整が終わったらとうとう提出です。
管理者は実作業者をねぎらい、次の作業の時も気持ちよく作業してもらえるようにしましょう。



*最後に
このシステムで一定の技術を要求されるのは管理者のみです。この場合の技術とはソーシャルスキル、社交性です。相手を思いやる、相手をねぎらうという当たり前のことを行うか行わないかで作業の進みや、ひいては藩国内の雰囲気も変わってきます。
特にこのように自分の上司、というほどではありませんが上位にいる人にきちんと認められる、というのは人間としてもうれしいことだと思います。(ただし、管理者にはそれなりの人望なども必要かとは思いますが)

/*/
上の方に見出しがつくのが納得いかないとかいろいろありますが
目次とかつけるといいと思う。


[No.244] 2008/05/03(Sat) 22:43:42
秘宝館 No.334 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男

イク様より依頼を受けましたのでこちらに要点まとめ

ttp://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=576&type=518&space=15&no=0


[No.247] 2008/05/06(Tue) 20:40:21
本文 (No.247への返信 / 2階層) - 癖毛爆男

泪雨、という物がある。涙雨とはまた違う、叙情的な言葉の一つだ。
誰かの涙に呼応するかの様に降ると言われているその雨は、伝承か、はたまた幻想か。


それとも、真実なのか。


何はともあれ……その日の小笠原は黒い雲が立ちこめ、今にも雨が降りそうな、そんな日だった。

*****

知恵者は静かに海を見渡している。海は静かに、穏やかな様でもあるがその色は暗い。
空を見れば大きな雲がこの島に覆っており、そのために海が暗くしたのであろうと察することが出来る。

静かに、呼吸する。息を吸って、吐く。ただそれだけの動作を行い、彼は海に出た。
その身一つで海に飛び出すとまるでジョークか何かのように海を滑り出す。

その姿は風を受け、まるで冗談のような、悪夢のような光景であるにもかかわらず、どこか威風堂々とした物を感じさせる。

風を受け、海を走る。海の上では塩の香りと、そして遠くまで続く曇り空。ただそれだけの世界であり、だがその下にはさらなる闇と生命が息づく世界でもある。

世界はこうして、一面だけではない。目に見える物だけが世界ではない。

それは世界からさらにマクロなサイズの事象にも言えることである。往々にして人はそれを忘れ、目にした物だけに頼ることがある。

それが間違いだとは言わない。だが、それは悲劇ではないのだろうか?

目の前を見れば、灰色の海と黒い空。雨が降り、それが続けば荒れそうである。

これほどの悲しい目の前の世界風景に対して、足元の下の世界はその世界の住人なりに満足いく環境なのだろう。

そのように世界とは往々にして常に表裏一体、目に見えている事が事実ではないのである。
つくづくその世界を面白いと思いつつ、まだ見ぬ何かを求め知恵者は海を滑り……。

「こーんにーちわーーー!!さむくないですかーーーー!」

呼ばれた。なので行ってみることにした。

*****
ttp://blogiri.at.webry.info/200708/article_3.html
*****

話が終わり、静かにまた海を行く知恵者。土産としてもらった酒を軽くあおり、静かに思いを巡らせる。

海の上を滑りながらまるで寛ぐように酒をあおっているその姿は誰かが見れば新手の怪談になるかもしれない程不気味でユーモラスで、何よりもシュールである。

ゆっくりと寛ぎながら、知恵者はどこか遠くを見つめるようにして酒を飲んでいる。

知恵者というのはその本質が見えづらい。大言を用いる事もあるせいか、言葉の一つ一つに重みは感じられても、思いを感じることは難しい。
人間という尺度を使うと、本音を話すときまで大言を用いるという人物はそういないためであろう。

その為、静かに酒を飲むその様こそが知恵者の本質の一つ、と言えなくもない。
言葉ではなく、行動で己が本質を周囲に知らしめる、とも言えなくもない。

その知恵者の性分は非常に複雑である。

父親のような甘やかすだけではない、親の優しさを持ちながらもほとんどの状況において傍観者という立場を貫き続けるため、言動が乖離しているようにも見えるだろう。

知恵者はイクに対して話したことを喋りすぎた、とは思っていない。
ましてそれで悲しみが一つ消えるならば、何を言わんかや、である。

時間犯罪を考えた、とイクは言った。話をするうちに、イクは号泣した。

そこまで思っていたのか、そこまでの情があったのか、知恵者には判らない。
だから、優しい嘘をついた。その優しさがイクを苦しめようとも知恵者は優しい嘘をつくしかなかった。

それは大人が子供を落ち着ける時に言う為の方便。
自分には何も出来ないからこそ、気持ちだけは救おうとするための方便。

そう思うと、知恵者の胸には苦い物が込み上がってくる。
自身の腕が二本しかない。自身の娘を救うことだけで知恵者には他に関われる余裕がない。

それを恨めしく思うか、或いは仕方ないこと、として割り切れたかどうかは知恵者にしか判らない。

だが、どうしてだろう。


これほどいい酒をもらったのに、知恵者には、それが非常に苦い物としか思えなかったのだ。


吐息を漏らし空を見れば、真っ黒な雲がこの島全体を覆っている。
それは雨の兆しか、それとも次に来る晴天の兆しなのか。

知恵者は静かに、もう一度もらった酒を口に含むと、空を見続けた。

その日の小笠原は、曇り。大雨が来てもおかしくないほどの曇り、である。

涙雨は降るのか、降らないのか。それが、問題だ。


[No.248] 2008/05/06(Tue) 23:01:25
秘宝館 374 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

リワマヒ国 和子様より依頼を受けました

ttp://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=730&type=673&space=15&no=


[No.282] 2008/06/06(Fri) 02:40:24
本文 (No.282への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

クリサリス・ミルヒ。無骨な男。無口な男。実直な男。アポロニアの精霊戦士。青にして水色。清廉の絢爛舞踏。やるべき事をやる男。

様々なイメージがあるだろう。クリサリス・ミルヒという人物に対して誰しもが抱くイメージもある、が。

******

その場所でクリサリスはゆっくりと空を見上げる。呼吸をする、吐く。それだけだ。意味も何もない。
いや、本当に無い訳じゃない。ただ、そうしたかった。この空気を、感じていたかった。ただそれだけだ。

「こんにちは!」

明るい声。にっこりとした笑顔。その声の主にクリサリスは頷く。頷くだけしかしない。

「今日は一緒にピクニックにいきませんか?お、おべんとうつくってきました!」

その言葉を聞き、返事をするよりも早くクリサリスは歩き出す。否定ではない、むしろ肯定だ。

彼が例え否定しても、彼の悪癖の一つに相手に返事をせず、行動で示すという物がある。
それは戦場や戦友の間柄では非常に頼もしく、また信じるに足る生き方の一つではある、が。

断言しよう。恋愛には少し……いや、かなり向いていない、難儀な性格とも言える。

それでも声をかけた彼女は嬉しそうにその後を付いてくる。ある意味、クリサリスに適うのはこのような強い女性だけなのかもしれない。

にこにことしながら歩く彼女と、無骨なまでに堅実に、何よりも無駄の無い歩きをするクリサリスは傍目にも対照的だ。

「荒れているな」

ゆっくりと口を開く。特に意味はない。いや、あったのかもしれない。それは彼にしか判らない。

それはこの場所のことかもしれない、情勢のことかもしれない、心のことかもしれない。

ただ、彼は感じるままにその言葉を言った。

「荒れているのは 何処ですか?ええと・・私ですか・・?」

「お前は何にでも理屈をつける」

クリサリスは彼女の言葉をそれだけで切って捨てた……ように見える。

確かに傍目にも、そして当人達にもその様に感じただろう。だが、事実は違うかもしれない。

クリサリスの生き方は理屈ではない。ご大層なお題目やましてある種の一般的な正義ともまた違う。
彼の生き方は感覚的だ。助けるのも感覚ならば、話すのも感覚。別に頭が悪いわけではない。ただ、感覚が重要なのだ。

それは恐らく、何度も死線を潜り、生き残ってきた中で得た教訓。
指揮官で在り続けなければならない善行が全てを統制するのと対照的に、1兵隊である彼は感覚によって生き延びてきたからかもしれない。

「そうなのかもしれません・・」

「傷つかないでいい」

クリサリスは微笑んだ。微笑みは親愛の証。彼は彼女に対して悪感情を抱いていない証拠。

「手、つなぎたいです……脈絡なくてごめんなさい・・ええと駄目なら我慢します」

求められるまま手を繋ぐ。クリサリスは確かに優秀な兵隊だ。決断力、行動力、そして実力。
どれを取っても最高の兵隊かもしれない。だが、忘れてはならない。彼だって生き物だ。苦手な物がある。

それが恋愛だとしたらどうだろう? 中々、可愛らしくはないか?

クリサリスは求められるまま手を繋ぎ、歩き続きける。決して自分から手を離すことはしない。

「喋らないでも笑ったりとかで、気持ち伝わると思うんです。手を繋り肩をたたいたり、私はそっちのほうがすきです」

「なぜそうしない?」

心の中でそれを全面的に肯定しながらも、クリサリスの口調はどうしても少しとげとげしく感じる。

「けどあんまりなれなれしいのもよくないみたいで・・うーその分喋って補おうとするのですが上手くいかないようです。手を繋ぐのは嬉しいことです」

「そういうことだ。笑顔をつかうといい」

それを聞いて、彼女はにっこりと笑う。クリサリスも微笑んだ。それで十分ではないか?
お互いの好意を伝え合うのに言葉が必要なこともある。だが、笑顔で十分な時も……確かにあるのだ。

しばらく山を登る。山というのは様々な表情がある。いつ登っても飽きない。それが良い。

そうすればベンチが沢山おいてある休憩所に着く。きっと登山客はここで休憩し、お弁当を食べたりするのだろう。

「ベンチでご飯にしましょうか?」

照れた様子の彼女に頷きながら、クリサリスもベンチに座り空をみる。
恐ろしいほどの快晴。或いは何かの前触れをも思わせるようなすこぶる快晴である。

「お弁当つくってきましたーじゃーん」

言われて視線をそちらに戻す。タッパーを開き、お弁当が堂々と姿を現している。お弁当は豪勢である。

クリサリスがそれを少し食べてみる。美味い。素直に思う。だから、更に食べる。美味ければどんどん食べる。それが当たり前の反応だから。

「わー嬉しいです」

「うまかった」

彼女が赤くなったのを見て、クリサリスも言葉を返す。端的な感想だが、彼は事実しか言わない。なので語尾に「ありがとう」を付けるとクリサリスの言葉の意味が大分現代語になる。

「アイスティー入れてきました。冷えてますよー」

クリサリス、紅茶好きである。それは芝村の影響やらなんやらと理由はさておき、紅茶好きな事実は変らない。

彼は微笑む。その心遣いが嬉しかった。だから、感謝を笑顔で表した。

「先日リワマヒ国にきた鳥さんと猫さんは何を伝えにリワマヒ国へ来たのでしょうか?」

「突然だな」

突然の言葉にやや面食らいながらも少しだけ考える。だが、結局言うべき事は変らない。クリサリスの生き方はそういう物だ。

「まあ、お前はどちらにつくのか、だな」

「どちら、とは?」

「いずれわかる」

「ふむ、わかりました。時を待ちます」

彼女の言葉に紅茶を一口飲む。その間、彼女は空を見上げていた。空は恐ろしいほどの快晴。

「雨も降りそうにない晴天ですね。 さっき空を見いらっしゃいましたが、誰か通りすぎたのですか?」

「お前は何にでも理屈をつけようとする……何の理由もなく、空は見ないのか?」

「いいえ、理由なしに見ることはあります」

クルスはそこで笑った。微笑みを少し強めただけのような笑いだが、それでも笑ったのだ。

「じゃあそういうことだ」

***********

クリサリス・ミルヒ。無骨な男。無口な男。実直な男。アポロニアの精霊戦士。青にして水色。清廉の絢爛舞踏。やるべき事をやる男。

様々なイメージがあるだろう。クリサリス・ミルヒという人物に対して誰しもが抱くイメージもある、が。

もしも彼が、女性とのデートで空が晴れていることを喜び、相手にそれを伝えるようとして笑顔という手段しか持たない……そんなシャイな男性だとしたら?

中々イメージは湧かない。湧かないが……それはそれで、とても素晴らしいことだと思う。


[No.283] 2008/06/06(Fri) 02:40:38
Re: 本文 (No.283への返信 / 3階層) - 和子@リワマヒ国

癖毛爆男様はじめまして、今回はご依頼をうけてくださってありがとうございます。
依頼したばかりなのにすぐ書いてくださってありがとうございますー!嬉しいです。

本文確認しました。
シャイなACE・・ときてきゅんきゅんしました。
いらいしてよかったです(照れ死


[No.284] 2008/06/06(Fri) 08:59:44
アウトウェイ昔話 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男

アウトウェイにも黒歴史という物がある。それは本来秘匿すべき情報ではない物だが、秘匿されている。

何故なら、あまりに壮絶で……そして、生き物の生に対する情念の固まりだったからだ。

*****

『記録を再生します。よろしいですか? ……再生します』

*****

「くそっ! くそ、くそ、くそっ!!」
「嫌だ! 嫌だ、嫌だ!! 死にたくない、死にたくない!!」
「俺は逃げる……逃げる、逃げるぞぉぉぉ!!」

「静まれ、静まりたまえ! 愚か者がっ!」

バン……と、乾いた音。続いてどさりと何かが倒れる音と、びちゃ、と『何か』が撒き散る音。

画面は砂嵐。それは映像記録ではなく音声記録のみのようだ。

一時の静寂……鳴り響く警告音。そして更なる大きな怒号、悲鳴、混乱、混乱、混乱……。

もう一度響くバン、という乾いた音。更に立て続けに三回。

「諸君……混乱せずに聞いてもらいたい……この都市船は……まもなく落ちる」

ビービーと騒音が響く中、静かな男の声が聞こえている。恐ろしいほど喧しい警告音と男の声。

「もはや墜落は免れることは不可能だ……もう一度言おう。この船は……落ちる」

その言葉を受け、静かだった場はまたもや混乱を発生させる。

「何でこんな事に……アンタが、アンタがしっかりしないから!」
「嫌だ……死にたくない、死にたくない……!」
「何で、何でこんな事に……!」
「ど、どうせ死ぬなら……どうせ死ぬなら、好きなことをやってから死にたい! くそ、嫌だ……このまま死ぬなんて、あんまりじゃないか!!」

バン、ともう一度銃声。そして、何かが魔散らされる音と倒れる音。

「……悪いが、もはや事態は一刻の猶予も許さない……諸君らには悪いが……この場で自身を制御出来ない物は殺させてもらう」

更なる警告音と小爆発の音。その中で男の声だけが響く。

「殺したいか? 憎いか? 好きにするが良い。殺すならば殺せ……だが、我々にしかできないことがある……それは、せめて本当の意味での全滅を免れることだ」

男の言葉にまたもや沈黙。そして、警告音が鳴り響く。

「その為になら……邪魔な存在は消させてもらう。もはや我々がどうにかしなければ、この船は本当の意味で全滅を迎えるのだ!」

まるで出来損ないの終末物のドラマのような台詞を吐く男。だが、その声が震えている。

「悪いが……もはや我々に未来はない。我々は死ぬ……死ぬしかない。だが、全員を道連れにするのは……貴様らの望むことか!」

「い、やだ……嫌だ……」

その震えは死への恐怖か、道連れへの恐怖か。ある男が呟く。

「お母さん……お父さん……っ」

女性の泣き声も聞こえる。それは全てを諦めたような口調。

始まりは小さな物だったが、嗚咽と悲鳴……それに鳴き声が延々と続く。

「……諸君、我らには恐怖を感じている暇すらない。立ち上がれ、立ち上がれ、立ち上がれ!」

その声に伴い、泣き声は全部が止まった訳じゃない。それでも、確かに小さくなった。

「……良いだろう、運命。これが貴様の……運命の仕業だというなら、私はその全てを否定してやろう」

男の声。何もかも捨て、ただ一つのことだけに集中した声。

「こんな……こんなのが世界だというなら、私はその全てを否定してやろう」

「衝突までの軌道・時間、計算終了しました」
「衝突予測完了……駄目です、このままじゃ……船体が崩壊して、全部……」

「諦めるな! まだだ……まだ終わらせるわけにはいかない……」

考える。考えろ……少しでも良い、少しでも衝突の衝撃を減らすことを考える。

「館内で暴動が発生……くそ、なんて有様だ……このままじゃ衝突の前に虐殺でみんな死んじまう!」
「被害状況は……ひ……こ、これが……これが人間の……知類のすること!?」

「……館内の警備レベルを緊急事態モードまで上げろ……やむをえん。不穏な行動を取った者は……殺せ」

「で、ですがそれでは……逃げ遅れた一般市民や……それに、火星原住民たちまで……」

「……構わん。それに彼らは元より居る地域がある程度限定されている。リスクは覚悟の上だ……やれ」

「は、はい……っ」

その瞬間、悲鳴が、怒号が、断末魔が。モニター越しの悲鳴が聞こえる。

「うぶ……うぶ、うぇ、え……え、えげ……っ」

「目を背けるな……これが私の選んだことだ。小を活かすために小すら殺す。だが、それでも……一人の男と女が生き残れば我々の勝ちだ」

しばらくして悲鳴と怒号、そして断末魔が途絶える。残ったのは嗚咽と……嘔吐の音、そして……何かを握りしめる音。

「着艦用の扉を開け。空気抵抗で軌道を変える」

「そ、そんな無茶な……その前に船体がバラバラに……」

「リスクは承知の上だと言っただろう! それにそれくらいで壊れるようでは海の中で耐え続けることなど不可能だったはずだ」

無茶苦茶な理屈を唱え、男が強行する。男は判っている。今バラバラになろうと、それは破滅が数分早まるだけだということを。

「良いから、やれ。少しでも軌道を変える事ができて、衝撃を和らげられるなら躊躇するな」

「は、はい……っ」

更に揺れる音。警告音が激しくなる。もはや警告音の中で、悲鳴と怒号のような叫びしか聞こえない。

「まだだ……まだ、まだだ……っ」

男の焦る声。もはや、他の人間が混乱に陥る中、その男だけが静かに、冷徹に、計算を続ける。

「……こうなれば……仕方ない」

「な、何を……え、さ、更に加速!? 何を考えてるんですか!!」
「まさか……このままあの星に突っ込んで……」

「違う……違う!」

船体が更に震える。だが、何かがおかしい。

「え……あ、ま、まさか……む、無茶ですよ! そんな、そんな事したら摩擦で!」
「か、角度が微妙に変わってます……こ、これって……ここが一番最初に……」

「そうだ、その分……居住区への衝撃は最終的に緩和されるはずだ!」

もはや生き残ることを考えていない発想。本当に小を活かすために、自分たちすら殺す発想。

それはある意味、存在の最後の切り札。捨て身である。

「そ、そこまで……そこまでして、本当に生き残れるんですか!?」

「知らん! だが、何もしないよりは良い……何もしないよりは良いはずだ!」

たとえそれが可能性上3%しか違わなくても、抗わずには居られない。運命などと言うくそったれに人生をめちゃくちゃにされた男の、最後の報復。

「これが愚考か、それとも最善の策だったのか、全ては後世の判断に任せれば良い。我々がするのは……その後世を残すことだろうが!」

「う、くぅ……くそ、あんな……あんな事がなければ……っ」

「嘆くな! 振り返っても今更意味はない……我々に未来はない。その悔しさも、教訓も、想いも……全て後世に託せ! そして、その後世を……未来を残すのだ!」

警告音が更に強くなる。衝撃音、船のきしむ音。もはや人の声は聞き取れないほどの破滅の音のみが鳴り響く。

その中で、最後のレコーダーが残した音がただ一つ……。

「さらばだ……生き残れよ、息子……っ」

男の……あまりにも平然とした声の次の瞬間、耳をつんざく衝撃音。何もかもをぐしゃぐしゃに混ぜて、こね合わせるような音。

そして。

*****

『再生を終了しました……再生を終了しました……再生を終了しました……』

*****

アウトウェイには伝えられる伝説がある。その日、空から巨大な『何か』が落ちた。
当時の先住民達にそれは理解不可能な物であり、それが大地を揺るがしたそれは神の怒りだと思われた。

それから数日、先住民達は戦々恐々とした日々を送るが……神の怒りが落ちた場所を覗きにいった物達が居た。

そこは凄惨としていた。この世の地獄だった。

「……おい、こっち……中に入れるみたいだぞ?」
「おい、止めておけって! ヤバイよ、これ……」
「おいおい、玉無しかよ……ほら、入ってみようぜ」

男数人が中に入っていく。中は更なる地獄、地獄、地獄。

「……ヤバイ、ヤバイって……これ、マジでヤバイよ……」
「……静かにしろ……何か聞こえないか……?」

先住民達はその土地柄、身体能力が非常に高かった。恐らく、その能力がなければ……彼らは見つけられなかっただろう。

「……人の声だ……おい、こっち、こっちだ!」
「ま、待てよ……くそ、おい、近くの村に助けを」

慌てる声と走る音。足音が壊れた世界で鳴り響き、そして……。

「だ、大丈夫……っ!?」

そこにいたのは女……ただ、衝突の衝撃で折れ曲がった何かに腹を貫通されている女。

「……こ……の……を……」

女は男を確認すると、その腕の中の大事な物を……その女にとっての宝物を。

「お願い……名前は…………」

「判った……確かに預かった……ゆっくり休め、母親よ」

言葉は通じ合ったのか判らない。だが、思いは通じ合った。男はその手に子供を抱き、女はようやく……安らかな顔で死を迎える。

「……お前の名前は後から決める……今は、他の人間の救助が先だ。我慢しろ」

赤ちゃんは泣きもしなかった。笑いもせず……ただ、母親を見ていた。

これが先住民達に伝えられたアウトウェイの始まりである。

二つの物語は一つの意味を持ち、そして、結果として一つの国家として成り立った。

様々な悲劇があった。様々な喜劇があった。それら一つ一つがドラマであり、生き方であり、そして、運命への抵抗だった。

……だというのに。

*****

「うわっ!? ちょ、ちょっとホラーは勘弁してくんないかなぁ……」

『歴史資料館にアンタは何を見に来たんだ!!』

藩王の一言に全員が突っ込んだ。

「い、いやだってさぁ、今更こんなの見せられても……ほら、現実もかなり厳しいし」

「……どうします、この情緒台無し男」
「ていうか、藩王としての自覚が……」
「わうーん(ぷりぷり)」
「とりあえず……ヤッチマイナー(キル・ビル風に)」

全てを台無しにした藩王へ襲いかかる幕僚。摂政空を筆頭に藩王のフルぼっこタイムが始まる……!!

(癖毛爆男の手記より


[No.286] 2008/06/06(Fri) 22:54:47
秘宝館 379 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

ミーア@愛鳴藩国様より依頼

依頼要点

ttp://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=753&type=673&space=15&no=0


[No.293] 2008/06/09(Mon) 13:44:09
NO379 本文 (No.293への返信 / 2階層) - 癖毛爆男@アウトウェイ

閉鎖的な環境にいると、その環境内での常識しか知らない、というのはままあることだ。

実際、日本人における常識と諸外国の方のそれとが大きく違うように、同じ「人間」という種族の中でもその地域、国家などによって常識というのは大きく変化していく。

そして、カルチャーショックという物は、時に大きな悩みを生み出す材料になる。

******

……暑い、だがこれを脱ぐわけにはいかない。私は戦士、戦士なのだから戦士なので戦士だからして……。

長身の美青年であるバルクは汗をだらだらとかいていた。いや、もうどうしようもないくらいかいていた。

バルクは誘われるまま、小笠原に来ていた、のだが。

暑い……どうにも暑い。おかしい……ふらふらするのはどういう事だろうか?

空を見上げる。さんさんと照りつける太陽。その日の小笠原はその時点で37度を観測し、黒いローブをぴっちりと着込んだバルクにとっては灼熱地獄というか、すでに彼の装備自体が歩くサウナスーツと化していた。

「バルク様、その黒いのぬぎませんか? このままじゃ倒れそうですよ」

「ああ、いえ………一応制服ですし」

とはいえ、既に肌にくっついている部分はぐっしょり、目の前は何か明るくなったり暗くなったり。

それでも、わざわざ誘ってくれたカイエの言葉に何とか受け答えをしようとは思うのだが、どうにも頭が動かない。

とりあえず、倒れられたら困るという事を言われ、それもそうかと納得。というか、暑い。

よいしょ、と何とか黒ローブを脱ぐ。大分快適になったが、まだどうにもふらふらする。

「バルク様、鎧も脱いで!」

「ああ、いえ、ですが戦闘に備えないといけませんし」

そうか、鎧……鎧を着てるから暑いのか……うん、当たり前だ。でも、戦闘に備えなければならない。これは脱げない。

「いいから脱ぎなさい」

「いえ、ですが……あ、そんなご無体な」

バルク、ふらふらの頂点ゆえか黒のオーマなのにほとんど無抵抗で鎧まで脱がされてしまう。

大分楽になった。そもそも鎧を脱いだおかげで体は軽くなった。とはいえ、びしょびしょの鎧下の感触はどうにも好きじゃない。

カイエが自分を見て口をあんぐりと開けた。かなり驚いたようだ。そして、すぐに口を開く。

「着てるもの下着以外全部脱いで!! 今ここ37度もあるんですよ! しかも目の前は海です!」

「はあ」

目の前をみる。確かに海だ。あぁ、あそこに入れば冷たくて気持ちいいだろう……。

早く脱ぎなさい、とせっついてくるカイエに渋々ではあるが、従う。

森林国人だろうがはてない県人だろうが第七世界人だろうが黒のオーマだろうが、怒った女性に逆らおうとする男はそういないだろう。バルクもそういう意味では完全に男である。

鎧下を豪快に脱いでみる。そうすると先程までの倦怠感などがかなり和らぎ、今度は照りつける太陽が肌を焦がす。

改めて周囲を見てみる。笑えるくらい晴れた空と目の前は海だ。ここはリゾート、余暇を楽しむところらしい。
ならば、海で水泳をするのも良いだろう。脱水症状寸前のバルクにとって、それはまるで天国に行くような心地よさを想像させた。

体を伸ばして、カイエの方をみる……カイエは顔を赤くして、手のひらで自分の顔を覆っている?

「きゃー! 下着はつけてください!(チラ見しつつ」

「いえ、水泳や入浴の時には何もつけないほうが」

その方が動きやすいのだ。当たり前だが布などを身につけて水につかれば水を吸った分、動きにくくなる。

それを嫌がり、自分などはこのようにするのだが、どうにも違うのだろうか?

とりあえず、カイエが何かを言っているが、それを半ば無視するような形で海に入っていく。冷たい……体中の熱が奪われていく。

ひんやりとした感触が心地よく、バルクは海の中で体を伸ばした。んー、と空を見上げてみると……なるほど、リゾートも悪くないと思う。

「生き返ります……」

「本当ですよ・・・」

「いや、申し訳ない。同じ東京ときいておりましたので」

「いえ、こんなに暑いなんて私も予想を超えてました」

ここで少し強めの波が体を引っ張る。だが、長身のバルクからしてみればこの程度、どうという程でもない。

だが、カイエは心配したようだ。そのバルクの姿を見て、声をかけてくる。

「危ないですよ〜」

「はい」

「気持ちいいですか、バルク様」

「ええ」

「海はいいですね」

「ええ」

ここでようやく……本当に頭がいつも通り動き出した。そもそも、自分は何で呼ばれたのだろうか?

「お待たせしました。今日、呼ばれた理由はなんですか?」

体を起こして、相手をまっすぐと見る。布で体を隠したカイエをまっすぐに見つめながら、一体どんな用件だったのか聞こうと思った。

*******

それから話したことはたわいと言えばそうだし、そうじゃないと言えば、その通りの話だ。

先日のお見合いについての話と、バルクの付けていたサークレットの話を少々。

うっかりと外し忘れたサークレットをカイエが不思議そうに見ているのがこっちも不思議で、見せたら褒めてもらえた。それが嬉しく、また大事な物なのでバルクは一度海岸に上がり、鎧下の中にそれをしまった。

「バルク様」

「はい」

「もう少し、泳ぎましょう」

「ええ、喜んで……それにしてもなにかお顔が赤い気もしますが?」

バルクを正面から見ているカイエの顔を見て、少し不思議に思う。とにかく、不思議だらけだ。

まず、あの布。あんな物を付けたら水中ではより動きにくくなるのではないか? バルクからしてみれば、かなり不思議である。

「バルク様、お慕いしております」

不意のその言葉に少し、ドキリとした。それでも、バルクは律儀に頭を下げて、礼を言う。

「でも、今度から水着を着けてください」

笑いながらカイエに言われる。みずぎ……みずぎ?

「水着とはなんでしょう」

「これです」

そう言ってカイエが指さしたのは当然、自信の水着である。胸と腰の部分を隠したそれを見て、なるほど、アレは下着ではなく水着という別の物なのか、と頷く。

噂では確かに女性という物は己の体を隠す物を身につけている、というのは聞き及んでいたがバルクの想像の中ではそれはライトアーマーであったり、プレートアーマーであったり、武具の想像であったので驚きよりも興味が先立つ。

「まあ女性はたしかに。しかし、自分はこういう髪型ですが、実は男でして」

長い髪を見せると、カイエは笑う。そんなことはまるで判っていると言わんばかりに。

「男性もつけたほうがよいと思いますよ、下だけでも」

「普通なら胸も隠すのですか?」

「女性は隠すと思います」

ふむ、なんの防御性も無い装備……に見える。だが、それを付けなくてはならない。
装備を増やせば機動性は当然その分損なわれていく。頭の中で色々と考えた結果。

「なんというか、不便そうですね」

バルクの感覚としては、余計な装備を増やすのは不思議でしょうがない。だが、それを聞いてカイエは微笑を浮かべる。

「まあ、不便ともいえなくもないですがつけてないとそれはそれで問題が発生します」

「なるほど。蚊とかでしょうか?」

確かにこの季節なので蚊に刺されるのは嫌なことだ。かゆくて仕方ない。だが、それにしては布面積が少ないようにも思う。

バルクは妙な試行錯誤に陥っていたのだが、どうにも違ったらしい。その言葉を聞いてカイエは堪えきれなくなったのか、声に出して少し笑い。

「えーと、たとえば、わたしが何も着ていなかったら、どうでしょう?」

言われて、想像してみる。体のラインはそれこそ隠す布が少ないからすぐに想像できる。

頭の中でイメージしたカイエの体から、布をはぎ取ろうとした瞬間、何かとても後ろめたいという……何というか、恥ずかしいというか、とにかくそのような気がして想像をすぐにやめた。

*******

それからまた話、笑い、そして、様々な事実を知り、カイエと秘密の約束をした。

そして、髪の一房を銀に変えたバルクは……当惑していた。

カイエが自分の名前を平然と自分に言ってきたことにもかなり驚いた、がそれはこの銀の髪が保たれている限り、自分以外には知られていないだろう。

……自分以外、誰も……知らない。そう思うと、ドキリとした。心臓が跳ね上がる。こんな経験は初めてだ。

自分は女性という物を理解しているつもりだった。自分は30人ほどの女児を養っている。

だから、普通以上には女性に対して免疫と、何より知識があると思っていた。思っていたのだが。

「……………………」

バルク、頭を振った。今度は事故というか偶然というか、何というか、とにもかくにも、見てしまった二つの双丘が微妙に頭から離れない。それがまた心臓を高鳴らせる。

水着は大切だ、大切……本当に大切な物だったのだ。

ある種世間知らずというか、それこそ常識の違いなのだろう。女性とにも二次性徴があることは知っていたし、性犯罪がそれによって引き起こされる、という事も判っていた。

知識としては知っていたのだ。だが、そんなことが本当に起こりえるのか? よほど野蛮人の集まりなのか、と想像していたそれが一気に瓦解した。

自分の中で何度も繰り返させる光景、そして落ちるのを抱き留めた時の腕の感触、彼女の体温。

全てが気恥ずかしく、どこかそわそわさせる。これはどういう事だろう? こんな事、自分は知らない。

バルクは煩悶する。どうにも抑えられない謎の衝動が体を走り続ける。一体これは何だろう? 何なのだろう?

それはもしかしたら病気かもしれない。人類の英知がどれほどの時間をかけても解くことの出来なかった難病。

草津の湯でも治らないその病に、彼はかかったのかもしれない。だが、本人はほとんど気づいていないだろう。

今日は様々なことを教えて貰い、そして、様々なことを経験した。

知識でしか知らないことも体感した彼は、新たな問題に直面している。

目の前に垂れ下がる銀の一房の髪を見て、思いを馳せる。その想いがそれがどう転ぶかは……また、別の話である


[No.294] 2008/06/12(Thu) 21:59:50
難民SS (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男

「おいっすー、頑張ってるー?」

女装した三人組として難民の人たちに微妙な印象を与えてしまったその男達はそれから数日もしない内にとてとてー、と首都最上部にある学園の体技室に来ていた。

「あ、どうもー。いやー、なんすか、アレ? 写真で大きく出てましたけどw」

中にいた数人の学生達の数人が気づき、挨拶を返してくる。

ちなみに「アレ」というのは冒頭にもあるとおりやる気MAXでやった女装についてである。どうやら写真撮影をされてたようだ。

「ほっとけw」

「あははw あ、今日も差し入れっすか? 悪いっすねー」

藩王の言葉に笑いながら男が藩王から袋に入った○○パイ(OW「味のれん」名物。中身は何だかその時次第)を受け取りながら、体技室の生徒を集めて始めた。

生徒と言っても年齢は割とバラバラだ。ここは学業を学ぶ学校とはちょっと趣旨の違う学園のためそれこそ下は十代前半から上は三十手前くらいまで居る。

その一人一人に○○パイが行き渡っていくのを藩王さちひこが見ている。

見れば隅っこの方では癖毛は手帳とペンをひたすらに動かし、何かを記録している。
またもう片隅では摂政空がある女生徒と打ち合わせをしている。

さちひこはそれを見て鷹揚に笑う。準備は万端に近い。

「さて、それじゃ早速だけど明日、第一回目の作戦を開始する。全員スケジュール通りに行動をしてくれよ」

『うぃーっす』

何ともだらけた様な、ふざけた返事だがさちひこはこれに対して不敵に笑うだけだった。

見回してみるとこの場にいる全員の共通点がある。

それはまるで「悪戯をする直前のような子供の笑顔」であった。

*******開始三時間前

『第一回 アウトウェイ雑伎団開催!』

未だ行き先の決まり切らない難民の人達の所にそのチラシが撒かれたのは朝だった。

早朝という程でもないが、昼という遅くもない時間帯に突如きぐるみを着た人物がチラシを配り始めたのだ。

「さーさー、皆さん。暗い顔になるのはごもっとも。しかして人生楽しまなければ損でございます! さてさて、本日はアウトウェイの学生達による催し物がございます。お暇な方は是非ともご覧ください。当然お代は結構です、アウトウェイはバカ騒ぎが大好きですので、はい」

チラシを配りながら軽快に喋り続けるその着ぐるみは難民キャンプの人達へ宣伝を行いながらキャンプの中を練り歩く。

最初はそんな状況じゃないと難民の人達も思っていただろうが、最初に爆発したのは子供だった。

子供達は既に限界に近かった。ただでさえ生まれ故郷から離れ、大人でも厳しいストレスの元どうにかこうにか来ても生活・風土の違いなどからストレスが溜まっていた。

子供は正直である。着ぐるみにまとわりつき、ケリを入れ「わわ、ちょ、ちょっとーーー!?」と着ぐるみが逃げ惑うと今度は鬼ごっこだー、とはしゃぎ回る。

色物担当も嫌いじゃないし、子供の相手も嫌いじゃないがこの人数相手は辛いなぁ、と着ぐるみを着たその人物が逃げ回り続けることになった。

*******開始二時間前

「別にそんなに豪勢じゃなくて良いんだよ。ほら、ふかし芋とかそういう手軽なおやつ感覚で大丈夫だから」

摂政空はその頃、会場になる予定の場所近くで炊き出しを行っていた。これに関しては本格的な料理ではなく、あくまでも映画におけるポップコーンのような、そういう物を作ろうとしているに過ぎない。

「ん、足りない? むー、参ったな……そうだ、えぶえぶ茸料理も混ぜよう」

えぶえぶ茸とはOW特産の茸であり、様々な用途にも使用されている。
(ttp://outway.at.webry.info/200706/article_3.html

これらはお菓子としても流通しているため、子供にはこの不可思議なお菓子を振る舞おうというわけだ。

「とりあえず、なんとしても数は用意して。いろんな所に頭下げてもらえると嬉しい。後からウチも行くから」

その独特の一人称で連絡を取りながら、空の戦いは続いていく。

*******開始一時間前

「えーと、それそっちじゃないんだ。こっちね」

日曜大工から始まり技術士を目指す丞清率いる部隊が会場を一気に設営し始めた。

とはいえ、それは本当に簡単な準備な為建設というよりは設営というのがやはり正しい表現だ。

周囲に演目を明示するための垂れ幕、座っても平気なように大きなレジャーシートを何枚も広げ、安全のために舞台と観客席の距離を調整していく。

「んー、しかし最近俺のこと、忘れられてるよなぁ」

丞清、働くときは働くが働かないときは働かないから忘れられるのである。

「良し! ここで俺の存在をアピールするか!!」

丞清はぐ、と気合いを入れるとちょっと重めの資材を持とうとして、倒れた。

丞清、実は貧弱なのである。合掌。

*******開始二十分前

「良し、野郎共! 盛大に魔術の無駄遣いをしてくれ!」

「うぁー、藩王めちゃくちゃだぁ……」
「まぁ、いつもの事だし。今更だよねー」
「うーん、取り仕切るのが藩王じゃなければねぇ」

「お前ら、泣くぞ……」

さちひこの言葉に学生達が不満を言った瞬間、さちひこがちょっと恨みがましい眼で見る。

ここ数日の間に扱いに慣れたのか、学生達は「冗談ですよぉ、もう、機嫌直してください、ね?」と女学生達によってちやほやする。

「うはwww みなぎってきたwwww」

ある意味単純というか、学生にまでギャグキャラ扱いをされている藩王。それでも女学生達に囲まれて満更でもないご様子。

「それじゃ、いっきまーす。宣伝舞台第一陣、魔力充填開始」

第一陣班長のその女学生が声をかけると後ろに控える理力使い達が魔力を溜め始めた。
ゆっくり、丁寧に。場に力が満ちていくのをさちひこは見ながら笑う。

「それじゃ、上空に向かって、発射ー」

理力が、解き放たれた。

その瞬間、難民キャンプの上空が色とりどりの理力によって埋められていく。

それは開始の合図。サーカスの開始の合図。

「さぁ、パーティーの始まりだ。みんな気合いを入れろよっ!」

『はいっ!』

さちひこの後ろに控える学生達が元気よく返事した。
人が集まるのを見ながら、さちひこは成功を確信した。

*********「アウトウェイレポート」

先日難民キャンプで行われた「アウトウェイ雑伎団」の開催はそれなりの好評を得たようだ。

アウトウェイにある学園は職業軍人訓練校であり、その中には理力使いを始め剣士、拳士、パイロットなどが大勢いる。
彼らは自身達の能力を戦いではなく、娯楽として提供することに最初渋りを見せていたが藩王さちひこによる「娯楽の提供はストレスの低下に繋がる。ひいては生活環境の改善に繋がる」という割とまともな意見と今までとは違い、楽しく純粋に実力を見せつける機会だという提案によって受け入れられた。

ハッキリ言って内容は普通の雑伎団などに比べれば幼稚で稚拙ではあったが、理力による演出、鍛え抜かれた肉体と感覚を駆使した曲芸などは極限状況にあった難民の人達におけるストレス解消に多少なりとも繋がったらしい。

藩王さちひこは状況が落ち着くまではこの様な形で今後も娯楽を提供していくという腹つもりらしいが、それについては詳細な日時や内容が判り次第伝えて行こうと思う。

それにしても子供は容赦がない。無邪気な小悪魔であることを痛感した。

(癖毛爆男の手記と癖毛爆男のレポートより抜粋


[No.295] 2008/06/20(Fri) 22:34:03
アウトウェイ滅亡録 (No.151への返信 / 1階層) - 癖毛爆男

「おい、これなんだ?」

男が手に持っているのは、手のひら大の何か黒い物。所々焦げて、全部は判らないがどうにも手帳のようだ。

男はそれを相方の男に見せるが、相方の男は目もくれない。

「さぁ……ゴミじゃねえの? 捨てちまえよ」

「そうか……そうだよな。そうするか」

男は拾ったその手帳を少し眺めた後、ぽい、と投げた。あれほどズタボロの紙資源など使い道もない。

アウトウェイと呼ばれた国。そこが大四散して数日。まるでハイエナや火事場泥棒のように様々な人達が金になる物などを探している。

それはまるで江戸時代、大火事の後に鉄釘などを漁るかのような、そんな騒動の中。

男が拾った一冊の手記に記された、最後の記録より抜粋しよう。



『癖毛爆男の手記』

「本当に良いのですか?」

「あぁ、構わない……疲れたよ」

「……そっか」

癖毛は笑う。それは癖毛爆男の笑みではなかった。

「さっちょん、頑張ってたしねぇ……まぁ、いいんじゃない?」

「そうかのぉ」

もはやPCという衣は必要無かった。互いに飾らぬ言葉と飾らない表情で笑い合う。

「すまんのぉ、ボンちゃん。こんなつまらないゲームに誘って」

さちひこが申し訳なさそうに笑う。それはある時期から繰り返されたさちひこの口癖のような物である。

クセ毛はその言葉を聞いて笑った。別に皮肉でも何でもなく、さちひこがそう思ってるのも事実なら、クセ毛が感じているのも違う感想だった。

「ん、まぁ……いいんじゃないかな? 俺はほら、結構楽しめてたし、そういう意味でも感謝してますよ」

実際、クセ毛は他の人が言うほどこのゲームに不快を感じては居なかった。

理由はいくつかある。

クセ毛はやりたいことしかしてなかった。文章を書いたら他の人に感謝してもらえた。お情けだろうがなんだろうが一度は評価された。好き勝手なイベントもやれた。

色々とある。色々とあった。それら全てが詰まらない物だったと切り捨てるには、クセ毛はちと楽しみすぎていた。

だから皮肉でも何でもなく、クセ毛は笑った。

「俺は俺なりに楽しめましたよ、えぇ。やめるかやめないかも悩み中ですけどね」

「ボンちゃんなら引っ張りだこじゃね?」

「まさか。所詮は一発屋でわがままなだけの文族ですからね。どこからも誘われなかったら辞めるつもりですよ」

クセ毛が笑った。実際、それほどまでに他人から評価されている実感も無かった。

「まぁ、雅戌さんあたりが誘ってくれるのを地道に待ちますよ。自分から言うのはほら、恥ずかしいじゃないですか」

「クセデレかー」

「いや意味判らんですよ」

それは完全な普段通りの会話だった。気を張り詰めた物も、何もない。

そもクセ毛が唯一評価された「アウトウェイ回顧録」にも書いたとおり、クセ毛はアイドレス自体には思い入れはなかった。
ただ、そこにある人との繋がりのみを楽しんでいた奇妙なPLである。

対してさちひこもアイドレスに不満があるものの、それでも続けてきては居たがそれはアイドレスのためではなく、やはり他の人の為から始まった物語であった。

誰もがそうだったのかも知れない。誰もがそうであったのかも知れない。

この二人の共通点はただ一つ。NPCを絶対存在としてなかったことくらいである。

変わり者の変人。道を外れた所に理由を持ってゲームをしていた二人は、笑い会う。

「とはいえ、この滅亡の余波があるかもしれませんけどね」

「うちにはエースは居ないし、まぁ大丈夫じゃねえか?」

「ん、だと良いんですけどね……まぁ、でも……つまらないのに無理して続ける事も無いでしょうし」

所詮ゲームですしね、とクセ毛が笑う。

”The I=Dress is real. NO. The I=Dress is a game”

小笠原やそれ以前にアイドレスという物に対して肯定的でない人間が集まり、様々な話が行われて出てきた一つの結論。

詰まらないなら無理してやる必要はない。そこに責任を感じる言われもない。


結局、ゲームなのだから。


藩国を滅亡させるというのは、ゲームをドロップアウトすることでしかない。
少なくてもさちひこにとってはそれ以上の意味を持たない。それが悪いことでもない。

「んじゃ、ま。次のゲームでお会いしましょう、さちさん」

「そうだな……良いゲームを、ボンちゃん」

さちひこは笑い、クセ毛も笑った。

この国で結末を見れないことが唯一の心残りだったが、それでもこの国の結末は見れたことに満足して、クセ毛は取材手帳を置いて、消えた。

「……良いゲーム、か」

さちひこが呟く。きっと、色々と考えること、思う所があったのだろう。

「全く、良いゲームがしてえよな、ホント」

それでも、さちひこも最後は笑った。

次の瞬間、アウトウェイはアイドレス上から事実上消滅した。

こうして外道を関した「アウトウェイ」が滅亡した。どうでも良いんだが、外道ならアウトサイダーとかの方がらしいんじゃねえ? とかいう詰まらないツッコミをクセ毛は最後まで入れる事が出来なかったのであった。

某月某日チャットにて

「よー、ボンちゃん ノ」

「よー、さっちょん ノ どしました?」

それから数日後、チャット上でクセ毛とさちひこが話していた。

別段アウトウェイが滅亡したからと言って元よりAマホ時代から顔をつきあわせていたというのもあり、連絡しなくなるなども無く、普通の雑談が続いていた。

「あ、そういえばボンちゃん」

「ん、どしました?」

「なんかな、うちの藩国準藩国になってるっぽい」

「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」

さちひこの突然の言葉にクセ毛が素っ頓狂な言葉をあげた。

「え、え……えー? それはなんちゅうか……えー?」

「まぁ、やらんと思うが」

なんだかなぁ、こんなgdgdな最後で良いのかなぁ、と頭をポリポリとかいたクセ毛であった。


[No.303] 2008/07/05(Sat) 23:05:00

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