荒海の賢者 文章 - 鈴藤 瑞樹 - 2014/02/10(Mon) 22:33:01 [No.7848] |
└ 最後の部分については - 鈴藤 瑞樹 - 2014/02/11(Tue) 00:32:52 [No.7853] |
└ 【賢者と詩と歌の王】 - 鈴藤 瑞樹 - 2014/02/11(Tue) 00:30:45 [No.7852] |
└ 【賢者と仲間たち】 - 鈴藤 瑞樹 - 2014/02/11(Tue) 00:29:59 [No.7851] |
└ 【賢者と詩人】 - 鈴藤 瑞樹 - 2014/02/10(Mon) 22:34:08 [No.7850] |
└ 【賢者と花の娘】 - 鈴藤 瑞樹 - 2014/02/10(Mon) 22:33:23 [No.7849] |
【賢者と詩人】 出会いは突然とはよく言われるが、突然ではない出会いは出会いとは呼ばないのかもしれない。 彼が賢者のもとを訪ねたのは、賢者からすればまったくの突然だった。 もっとも、突然の訪問であるからといって、賢者の対応が変わるわけではないのだが。 「こんにちは、荒海の賢者様」 白い肌に白い髪、旅の中で使い込まれたと思われるローブを纏った典型的北国人の青年。 片耳に金のピアスをつけたその顔には、張り付けたほうな笑みが浮かんでいた。 「はて、どちら様かな」 いつもの海岸、いつもの岩の上で胡座をかきながら、釣り糸を垂らしたまま賢者は言った。 そんな賢者のそっけない態度にも、青年は表情ひとつ変えなかった。 「詩歌藩国に仕える吟遊詩人のレイフョルドと申します、我々詩人は歌を創ることを生業とする者、もしよければお話をうかがえればと思い参上した次第です」 うやうやしく頭を垂れるレイフョルド。 礼を尽くす彼に対して、賢者はなぜかそっけない。 「さて、詩人の歌になるような逸話にはとんと縁がなくてのぉ」 「左様でございますか では、なにか思い出された時には私の名をお呼びください、すぐに駆けつけますゆえ」 言い終わるがはやいか、レイフョルドの姿は忽然と消えていた。 気にする様子もなく、何事もなかったように釣り糸を引き戻す賢者。 釣り針の先からは餌だけが消えていた。 「まんまと食われたか」 /*/ 足輪に丸めた手紙をつけ、伝書鳩を放つ。 これで三羽、どれがひとつでもたどり着けばそれで詩人たちの情報網に乗るだろう。 (荒海の賢者、何者かは不明だが王が気にかけるだけの人物である以上、よほどの大物のはず) 張り付けたような笑みはそのままに、レイフョルドは思案を続ける。 詩歌藩国の吟遊詩人たちはすべからく詩歌藩王の目である。 ニューワールドにおきたあらゆる異変は彼らの目に捉えられ、すぐさま詩歌王へと報告される。 王が懸念する事案のうちのひとつに、荒海の賢者のことも通知がされていた。 1、荒海の賢者なる人物を発見した者は即座に報告のこと 2、荒海の賢者に対してあらゆる庇護、協力を惜しまないこと 3、荒海の賢者の行動のすべてを阻害しないこと 王が通知している内容を見る限りでは、おそらくニューワールドにとって味方たる人物なのだろうと、レイフョルドは考える、しかし。 (何事にも絶対はない・・・監視は続けるべきだろう) レイフョルドは荒海の賢者を見定めることを決めた。 [No.7850] 2014/02/10(Mon) 22:34:08 |
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