夕暮れの窓辺 - 佐藤健彦  |
ある夏の日の夕暮れ 二人は窓のそばにベッドを置き 裸になって寝ころがる レースのカーテンは 窓から入るそよ風にあおられ 柔らかな午後の光の調べを奏でる 草の香りを含んだ風は 二人の、かすかに酸っぱい 肌の匂いと混ざりあう
二人は微笑みあい しだいに赤く染まっていく部屋で 互いの、汗でしめった胸に顔をうずめる 抱き合い、くすぐりあい、見つめあう 暮れなずむ時の中で こうして、二人が二人であることを 二人が一つであることを確かめる まどろみの中で見たものは 夢ではなく真実なのだと信じながら
[No.147] 2014/11/12(Wed) 08:30:52 |