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all ほしおとこ - へぐも - 2006/09/29(Fri) 20:59:37 [No.16]
Re: ほしおとこ - 詩保(管理人) - 2006/09/30(Sat) 07:46:57 [No.17]


ほしおとこ - へぐも

こんばんわ、詩じゃないですけど投稿させて下さい。
詩保の星のトークから作りました


「星を食べたいものだ…」
男は常に夜空を見上げていた。そう、常に。
「星を食べると強くなれる気がする」
男は籠いっぱいに星を集めていたが、彼女の星はまだ見つけられていない。
今日もまた星探しの為に、國で一番高いタワーの螺旋階段をのぼる。
エレベーターがあればもっと早く頂上へ行けるのだが、
男はひとりでのぼるこの時間は嫌いではなかった。
どんどん上ってゆくと林檎の樹や城も小さく見えだした。
そうしてあとひと回りで頂上へ着く場に、何かに躓いた。
男は白い小箱が置かれていることに気がついた。
誰がみている訳でもないが知らない顔をして跨ぐのも気が引けたから、
男はそれをポケットにいれ進んだ。

オリーブの実のついたトライアングルを、夜空にむかって鳴らすと星が落ちてくる。
男はさっとそれを網ですくう。落ちたての星は熱いので気を付けなくてはいけない。
「この星も違うか…」
男は乱暴に籠へ星を放り込んだ。
「彼女の星は何処にあるのだ。私は彼女の星を口にしたいのに」
男のひとりごとも虚しく空に呑み込まれた。
男はため息もついたがまた黙々と星探しを再開した。
しばらくたって、右ポケットが熱く光り出していることに気付いた。
「おや。星で焦げたのか…」
ポケットをあさると光るそれは星ではなくあの白い小箱だった。
「いったい何がはいっているのか…」

「やあ。こんばんは」
男が蓋に手をかけると、一匹の蛇が飛び出した。
「おお。なんなんだ」
「貴方は彼女の星を探していますね。そうでしょう」
「ああそうだ。私は探している」
「なんと…単純なことを
 夜空に手を差し伸べて御覧なさい」
男は蛇に言われるままに手を伸ばした。
すると、赤い光が飛んできて手に熱さを感じ男はとっさに目を瞑った。
瞼と拳を広げるとそこにはひとつの星があった。
星は男が見てきた今までのなかで一番美しく、魅惑的に輝き放っていた。
「嗚呼…彼女だよ。彼女がここにいるよ」
男は慎重に星を手に取り夜空に透かした後、おもむろに飲み込んだ。 
男は身震いしたかと思うと、見る間に夜空にとける紺色の一羽の鳥となったのだ。
「星は熱く美味だ。蛇よ感謝する」
翼を羽ばたかせ風ができた。

鳥は蛇を嘴に咥えたかと思うと、全力で力いっぱい飛び立った。
タワーには籠いっぱいの溢れる星とあの箱が残るだけ。

さあ夜空を見上げなさい。なにがみえる。


[No.16] 2006/09/29(Fri) 20:59:37

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