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all SS置場 - 城 華一郎 - 2010/02/17(Wed) 20:23:41 [No.6247]
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にゃふにゃふSS - 浅葱空 - 2011/06/05(Sun) 03:04:06 [No.7397]
猫士SS - むつき - 2011/06/04(Sat) 16:15:19 [No.7392]
(No Subject) - 蝶子 - 2011/06/01(Wed) 19:00:01 [No.7379]
フエネシャダイ発売予定記念SS - フエ猫 - 2011/05/01(Sun) 09:45:06 [No.7316]
Re: フエネシャダイ発売予定記念(蝶子さん、お許し下さい!... - フエ猫 - 2011/05/01(Sun) 10:31:06 [No.7317]
Re: フエネシャダイ発売予定記念(城さん、お許し下さい!)... - フエ猫 - 2011/05/01(Sun) 14:51:06 [No.7318]
夜明けのBlue Wheel - 城 華一郎 - 2011/02/12(Sat) 19:48:12 [No.7291]
5970-12895 - 城 華一郎 - 2010/12/07(Tue) 06:15:49 [No.7177]
スーパーオペレーター(書き溜め分+α) - 城 華一郎 - 2010/11/28(Sun) 05:57:11 [No.7133]
ただの古い/そしていつか新しい/モノローグ - 城 華一郎 - 2010/11/28(Sun) 05:09:54 [No.7132]
赤夢 - 城 華一郎 - 2010/11/28(Sun) 04:50:45 [No.7131]
ニューワールドの子供たち−Episode2:Dear My Prince... - 城 華一郎 - 2010/11/24(Wed) 02:45:26 [No.7118]
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秘宝館SS:日向美弥様オーダー - 城 華一郎 - 2010/10/12(Tue) 20:01:26 [No.7028]
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秘宝館SS:蒼のあおひと様オーダー - 城 華一郎 - 2010/09/04(Sat) 16:52:00 [No.6965]
『遺言』 - 城 華一郎 - 2010/06/22(Tue) 11:20:17 [No.6690]
『遺言』(20900102改訂版) - 城 華一郎 - 2010/09/02(Thu) 01:43:12 [No.6958]
秘宝館SS:砂浜ミサゴ様オーダー - 城 華一郎 - 2010/06/17(Thu) 05:10:26 [No.6642]
後書き - 城 華一郎 - 2010/06/17(Thu) 05:28:18 [No.6643]
無限爆愛レンレンジャー:幕間 - 城 華一郎 - 2010/06/04(Fri) 22:44:15 [No.6606]
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『宛先のない恋文』 - 城 華一郎 - 2010/05/10(Mon) 17:55:51 [No.6486]
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やまなし、おちなし、いみなしな突発もの。 - 遊佐呉 - 2010/05/02(Sun) 02:41:32 [No.6440]
ニューワールドの子供たち−Episode1:World Out Side... - 城 華一郎 - 2010/04/06(Tue) 22:47:27 [No.6342]
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ニューワールドの子供たち−Episode3:Digital Person... - 城 華一郎 - 2010/04/06(Tue) 22:14:10 [No.6341]
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ミニインタビュー:アイドルに聞く! - 城 華一郎 - 2010/04/06(Tue) 03:20:33 [No.6335]
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鳥物語(4) - 城 華一郎 - 2010/03/04(Thu) 00:31:48 [No.6277]
鳥物語(3) - 城 華一郎 - 2010/03/03(Wed) 14:11:09 [No.6275]
鳥物語(2) - 城 華一郎 - 2010/02/27(Sat) 18:20:14 [No.6271]
無限爆愛レンレンジャー:第二話(2) - 城 華一郎 - 2010/02/18(Thu) 00:22:14 [No.6249]
無限爆愛レンレンジャー・楽屋編その1 - 城 華一郎 - 2010/02/17(Wed) 20:25:03 [No.6248]


ニューワールドの子供たち−Episode1:World Out Side 〜大空の子供たち〜 (No.6247 への返信) - 城 華一郎

 青空に渡り鳥が飛んでいた。

 越冬をしに来たカモメの類だろうか、海原の上を、楔のように並んで風を切って、時折まばらに羽ばたいて、ああ、ちょうど先端を務めていた一羽が力尽きて落ちかけていく。

 見ていた少女の脚に力が篭もる。

 すると、渡り鳥の編隊はローテーションを変え、少し高度を下げただけで、また、何事もなかったかのように先頭を変えて飛び続けていた。もう、どれが先ほどまで弱りかけていた一羽なのかを、挙動から見分けることは出来なかった。

 頭上を飛び越していった渡り鳥を見送ると、その様を、堤防に腰掛けながら見守っていた少女は、つい緊張して立ててしまった片膝にあごを乗せ、安心したかのように自らの膝を両腕で抱いて口元を緩める。それを微笑みと形容しないのは、遠くを見つめるまなざしが、あんまりに穏やかで、まぶしい表情ばかりを浮かべるのが似合った明るい顔立ちに似合わず、今一つ、意志の強さを輝かせていなかったからだ。

 辺りは国と国との玄関口らしい、立派な港で、波止場に桟橋をかけた客船や、波止場とつながっている出入国管理局の、公共建築物らしい顔色のないビルがあり、それらを取り巻くようにコンテナ置き場や、大型の倉庫が立ち並んでいる。

 少女が腰掛けている堤防のような、浜を固めたコンクリートブロックの稜線も、視線をずっと向こうにたどらせていけば、途中からは、みっしりと植わる潅木に変わる。内陸側に、背丈もまばらな高木が幾種類ずつか、規則性を感じさせる配列で、一風珍しい海岸線を築き上げており、内側を走る幹線道路から吐き出される黒い煙や、煙に混じって薄らと広がる黄色い粒子状のものが海側に流出しないよう、潅木と一緒に堰き止めていた。

 今、少女は桟橋の方を見つめている。

 人々が、印象のない顔をしたビルに入っては、出てきた桟橋の上で、いつの間にか装いどころか、髪や肌、目の色、骨格まで違っていて、誰が誰なのかは、手荷物から推量するしかないという按配である。

 もちろん、そうでないものたちもいる。旅行客らしい、少しだけ手荷物の小さい面々。特に目立つのは、旅慣れた格好に、人慣れた人相をした、つまりは貿易商の類だ。

 桟橋に着けられていた船は、排水量2万tほどの中型客船で、最大2000人程度が、チケットの等級によってはひしめきあいながら乗るようなグレードの低い船舶だったが、見ている限りでは、活況を呈しているとは言いがたい乗客率のようである。

 桟橋の上で、船体と湾岸の間をたゆとう波の色合いが珍しいのだろう、身を乗り出してのぞきこもうとした子供の手を、母親らしき女性が引いて注意を促した。母親は子供の体をしっかりと足に寄り添わせ、握り合わせた手も、腰の前の方まで引いて、足を早める。当然大人の歩幅なので、子供は少し窮屈そうだったが、だだをこねるそぶりもない。堤防の上から遠目にそんなやりとりを見守っていた少女は、この母子が問題なく船の中へと姿を消したのを確認すると、今度は、もういくばくか頬をやわらかくして、口元を綻ばす。

 秋空のような、まぶしくも晴れやかな透明を湛える、青い瞳が、微笑んだ。


[No.6342] 2010/04/06(Tue) 22:47:27

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