SS置き場 - 城 華一郎 - 2012/11/17(Sat) 13:11:54 [No.7808] |
└ サイボーグ花屋さんss完成 - むつき - 2014/01/30(Thu) 14:56:46 [No.7887] |
└ 1/8更新完成-結婚衣装SS(とあるオッサンの見た風景) - むつき - 2012/12/06(Thu) 17:16:38 [No.7817] |
└ 訓練風景 - 城 華一郎 - 2012/12/02(Sun) 00:21:23 [No.7816] |
立場がある体面があるだから堂々と策も勝算もなしに切り込もう――。 当人としては余裕を顔に張り付かせたつもりで、強張った初動、そのままの気負いを硬くした口角から覗かせたまま、城乃華一郎は前に一歩を踏み出した。 砂上のことである。 硬質な石畳や板敷きの道場よりかは、ずっと恐怖心が薄い状態でいられたのも、迷いをコンマの単位で削ぎ落とした要因の一つではあったろう。 島根ディウスの長い手が伸びてくる。手先は気負いなしに開かれている。さながら掌一つで正面を制圧せんとでも言うかの如き、雄弁で不遜な態度。万年筆の方がずっと似合うような作りをした五指と怜悧な目付きから、それらの情報を受け取り、微かな怯えが神経を伝う。大丈夫、慣れ親しんだ感覚だ。どんな体で、どんな敵と対峙する時も、恐怖を失くしたことなど、一度もない。 掴まれる? それも、一瞬で制圧する、合気か関節系の組み技か、成る程実戦的でスマートだ、と、眼前に舞う砂粒が1ミリほど海風で揺すられる合間にも理解は進む。面白い。 ならば制圧力勝負で行こうか、それとも一撃で切って落とす刹那にしようか。自分の踏み出した足が地面に着くまで、あと八分の三ほども行程に余裕はあろうかというタイミングで、華一郎は自ら提示した二択に対して回答した。 打ち倒そう。 道端を気兼ねなく歩く足取りで両手は構えず体の左右に垂らしていた。足の裏が砂を噛み締めるのと同時に、どちらでもいい、どちらかの掌を、ディウスの胴体のどこかに打ち込もう。そのつもりで、力の流れを100分の1秒もかけずに準備する。否。していた。 元より自然体で歩く際、いかようにも力を流せるよう、四肢はパターンを無数に分岐させ続けているのだ。 格闘技だからと、特別複雑な思考をしているわけではない。市街の人ごみをすりぬけるのと同じ要領でやっている。違いは精密さと、普段ない挙動であるというだけで、その、非日常の動作を、向かいから来た人を避けるのと同時に背後から迫り来る自転車にも配慮する、といった程度には日常的に無意識でやってのけられるように、こうして反復練習をしてきた。 思考は無数、選び得る可能性も無数、だが結末は常にたった一つ。 華一郎のつま先が、砂中に浅く沈む頃、打撃の溜めを見ぬいたディウスの掌が肘のあたりを鷲掴みにし、それだけで関節を極めて、体ごとまとめてねじふせた。余計な動きのできぬよう、突いた片膝のふくらはぎに膝を落とし、背中に残る片手を添えながら、だ。 「それまで!」 残心まで完璧だな――。 判定の手を振り下ろすと共に、熊本リンドウは心中深く驚嘆する。 一見してディウスの完勝だ。実際にもディウスの完勝で、百勝すれば百回完勝する、そういうスタイルを、この同僚は既に完成させている。触れて、極めて、投げ飛ばすか、叩き伏せて次にすぐ移行する。そういうスタイルだ。 対して、鎧袖一触を旨とするディウスを向こうに回しての、摂政の思い切りの良さも目についた。裏返せば考えなしだが、仮にも上の立場ではある人間が、負けることにためらいを持たないというのは、たとえ訓練の場であれ、できないかと思っていたからだ。 少し常識的に捉えすぎていたかな、と、頭の中でイメージ像を修正しつつ、あっけらかんと相手の手を借り立ち上がっている華一郎に、リンドウは軽い会釈でもって、訓練の終了をそれとなく伝えた。 「城乃さんでも駄目でしたか」 「うん。10分から20分ばかしイメージしてみたけど、持久戦になるばかりで糸口が掴めなかったから勝負に出てみた。思ってたより、かなり強いな、ディウス」 /*/ つづくかつづかないかは不明。猫妖精2は白兵戦行為が出来るので、職業組み合わせである以上、IOP47にもやってもらおうかなと思い立って訓練風景を切り取ってみた。 ほんとは拳と拳で対話をするところまでディウスとやりあってみたかったけど、スタイルが噛み合わなくて無理でした。スマートすぎ。 カタリナさんとバーかどっかでゆっくり飲み明かそうかとも思ったんだけども、ディウスとの二択でディウスを選んだ。久々だったから遅々として進まなかった上にディウスしゃべってねーし眠いからここで一旦終わりということで落ちもついてねーし。 どんまい! [No.7816] 2012/12/02(Sun) 00:21:23 |