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治療行為によるAR回復とは、自分の活力を相手に分け合える事だと、彼は思っている。 その真実は確かに摂理を捻じ曲げたものだったかもしれないが、それでも彼は、 治療を行った相手に、自分に出来ないことを代わりに担当してもらう者としての、願いのようなものを託していた。 私のARを貴方に託します。どうか突破口を開いてください。と。 島津の顔が一瞬だけ悲しみに歪むのを、影法師は見逃さなかった。 自国の民が、ACEが、藩王が、迷宮に悪意に操られ、意志を捻じ曲げられて襲ってくる。 そんな現実を見せ付けられた時に、自分なら一体どれだけの苦しみを味わうかは、彼にだってわかっているつもりだった。 「大丈夫ですか」 そっけない風に尋ねたのは、心配を気取られて逆に気遣われるのがイヤだったからだ。 影法師は自分の好意を相手に気取られるのをとても嫌がる。 「室賀王も東さんも民達も、無事生きていてくれました。生きていてくれたんだから助かる方法もあるはずです。 だから、大丈夫ですよ。ありがとう」 そう返した時の島津はもう、先ほどと違っていつもの穏やかな顔に戻っていたから、 影法師は島津のことを大人なのだと理解した。 救える命も救われない命も、この世には存在する。中には、自ら手放される命だってあるだろう。 アイドレスは時に無慈悲で、どうにもならない現実というのは間違いなくあるから、諦めを覚えることも多い。 しかし、少なくとも今回は助けることができる。 この場で最も辛い思いをしているだろう島津が最善を尽くす姿勢を見せているのだから、 どうして自分がここで、弱気になどなれるだろうか。 前線で愛鳴之の戦士達が戦っている。自分達を守るように戦線を作っている。 PPGは、リワマヒの人々を倒しながらも一人も殺していない。 徳河舞蔵が、リワマヒの人々を救うために罠を解除するという。 ならば自分は。自分達は。 願いと共に、ARを彼らに届けよう。治療という手段を使って。 走り出した影法師に、島津は優しく頷いた。 [No.2251] 2009/02/13(Fri) 21:32:51 |