![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
この瞬間が、一番緊張した。まだ引き金を引くということをしたことのない者もいた。これを失敗したら死ぬかな、とも思った。実際そう呟いた者もいる。 「あほう、なら失敗しなけりゃいいだけだ。失敗したら逃げりゃあいい」 実に気楽な声で、無線のつっこみが入った。ああこりゃあ藩王のだ。いつもヒトデにべっちゃりされていたら巨大蝶々から飛び降りて一人降下作戦したり川の主に飲み込まれていたりするあの藩王だ。 肩の力が抜ける。苦笑しつつ、小さく呟いた。 「そりゃあ失敗はしたくないですけどね。大丈夫なんですか?」 「知らん」 「だぁっ! そこで無責任になるこたないでしょう!」 「俺は保証できることしか言わん主義だ。お前も気をつけろ。特に商人にはだ」 「なんでですか」 素朴な疑問に答えたのは、どこか彼方に向けたような藩王の声だった。 「嘘言って言質を取られるとトラブルになる」 「……さいですか」 経験あるらしい。 「さて、無駄話は終わりだ。そろそろやるぞ。ゆるーく準備しろ。始まったらあと内幕りゃあそれでいい」 「了解、です」 まあ、確かに、無駄な肩の力は抜けたし。 これはこれでいいと思いつつ、小さく深呼吸する。こういうときに幻影使いが適当にいい物見せてくれれいいのにぃ、とか無茶苦茶な八つ当たりを呟いてみる。 「ああ、それ頼んだんだがな」藩王はぼそぼそと応じる。「よりにもよって幻影とってるのお堅い吏族だろう? 頼んだ方が高くつきそうな気がしてな。前如月のやつに殴られたし」 「……さいですか」 これ以上話すと気が抜けそうだ。笑いをこらえて、しかし心臓がどうしようもなく早鐘を打っていることを意識する。だめだ、やっぱり緊張している。 「ある程度緊張していた方がそれらしいさ。さて、じゃあ撃て!」 「まじっすか!」 応じながら、砲撃を開始した。鼓膜を突き破るような轟音が続く。撃て撃て撃て、という叫び声が、砲撃音にかき消された。 [No.773] 2007/04/06(Fri) 19:27:20 |