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SS書きました。 もしかして課題に使えんかな〜…ということで、ストックして下さいまし。 なお。絢爛具材鍋は、一話完結の連作です。 別に他の方がAを書いてもいいという…アバウトなタイトル(笑) 藩王にお気に入りいただいた『鍋(パン)パレード・マーチ』は、冒険レビュー・戦闘系のSSのタイトルにまわそうかなぁ、とか思ってます。 『連作・“絢爛具材鍋”、あるいは鍋の国風土記』 @ 「蓋の中身は」 〜登場する絢爛具材〜 ダイコン : “勇気”の絢爛具材。おおむね、輪切り派と乱切り派に分かれるという。煮えるまで結構かかる。 キムチ : “忍耐”の絢爛具材。良い物は値が張るので注意が必要。 ゴボウ : “慎重”の絢爛具材。ささがきにするのがベスト。きちんとあくを抜くこと。 はんぺん : “熱意”の絢爛具材。バラエティ番組でもおなじみ、熱さの王者。 ボタン肉 : “堅固”の絢爛具材。イノシシの肉のこと。臭みがあるが、しっかりした歯ごたえ。 カニ : “不屈”の絢爛具材。食べるのが大変だが、ダシもでる。一般に高価。 鱈 : “闘志”の絢爛具材。カット冷凍されたものが売ってて便利。身は白くて美味。 エビ : “情熱”の絢爛具材。殻は面倒だが、剥くと天国。万人に愛される食材。 <以下、本編> 鍋の国・蓋下工業地帯。 煮えたダイコンのように大きなまんまるい夕日が、キムチのように大地を真っ赤に染めるころ。 就業のチャイムが響き渡り、そこらじゅうにある工場から、人々と猫々があらわれる。 きょうもおつかれー、である。 皆々、一日の労働を振り返りながら、ああ、今日も一生懸命働いたなぁ、と、どこか誇らしげに歩いてゆく。 三々五々、二匹で連れ立って、あるいは大勢で。一人、あったかい鍋と家族の待つ家へと。 ゴボウのように勤勉な(やや意味不明)鍋国民労働者たちは、藩王以下、鍋の国全ての誇りである。 彼らの作る機械部品、レンズ、鍋蓋が、明日のアメショー、あさってのメガネ、そして今宵の鍋となる。 のんびりごろごろな南国の気候もなんのその。 お昼の鍋とお昼寝(シエスタ)があれば、蓋がカタカタいうほどに働くのが、鍋魂というものである。のだ。 王猫様もそういっていた。たぶん。 さて、そんな彼ら労働者達の間で、一頃から静かに広まっている占い、というか運試しがある。 蓋下から鍋底の歓楽街へと続く道の途上にある、鍋の国を二つに割る大河。 国民は日常的に、そこに架けられた大橋を往来している。 当然、工場の皆々もそこを通って生活している。大橋は、鍋の国の『蓋』と『底』を繋ぐ、重要なインフラである。 運試しは給料日、まさにその橋を舞台にして行われる。 繰り返すが、給料日である。 彼らの多くははんぺんよりもアツアツになった懐に上機嫌になり、歓楽街へと繰り出す。そのとき。 並んで橋の真ん中に立って、川面に鼻を突き出し、くんくんすること十回。 川風に乗って流れてきた最初の鍋の匂いで内容を想像し、ひとつに答えを絞る。 そして、仲間と“おつかれ”をして帰宅したそのときに、家に待っていた鍋の内容がピッタリだったら、その月は大吉! …というものである。 この“運試し”、家族との精神的連携が重要である。 勿論、こんな遊びがあることは、家族の方でも先刻ご承知というものであった。 (しかしながら当然、打ち合わせは厳禁) 実に他愛もない。占いなんてそんなものである。 他愛もないからこそ、結構マジになってくんくんしてしまうものだし、 下らないことに真剣になってこそ、翌日の仕事場での語らいのタネになる。 皆、そんな『給料日の運試し』を、意外と心待ちにしているのであった。 三毛猫のサンダルも、そんな一匹。 彼は、I=Dの脚部間接を調整する技士である。 戦争景気(あんまり良くない単語だ)に、アメショーの鍋の国案採用の勢いも手伝って、工場はふつふつと繁盛していた。 忙しい毎日だが、結婚して6年になる愛妻スリッパと、5歳になる愛息シューズが、彼の心の支えであった。 慌ただしくも、充実した毎日。愛する家族と囲む鍋。 順風満帆に見える彼の生活だが、本人には一点の不満があった。 “運試し”である。 三ヶ月前は牡丹鍋と読んだ。結果は寄せ鍋。 ちょっとマニアックすぎたかと反省し、先々月はオーソドックスにキムチ。結果は水炊き。 いや、君のせいじゃないんだ、次回はお互い気にせず自由にいこう。あはは大丈夫さ、僕達夫婦じゃないか。きっと何も考えない方がうまくいくさ。相性はバッチリさ。 先月予想:鴨鍋。 結果:(なんと)シチュー。 スリッパさん(鍋の国・主婦)のコメント: 「あの人が最初に家に来たときに食べてくれたお料理が、ホワイトシチューだったんです」 「夫婦の想い出だし、憶えててくれるかなって…」 サンダルは、マジになった。なんだか気まずいのである。 いや、忘れていたわけじゃない、でも…気まずいのである。 まさかそんな重めのトリックを仕掛けてくるとは思いもよらない。奥さん、気を回しすぎちゃったのである。 ほんの遊びが、夫婦の危機。 シューズまで、なんだかよそよそしい。 いや、お父さんアレだよ?お母さんのこと、ほんっと、愛してるんだよー?大好きさ。 「うん、知ってるから、お父さん…」 その点々はなんだ。 ちょっと大人びて見える気遣いとか、いいから。 早々と寝るとか、休日にぱっぱと一人で遊びに行くとか、そんな必要ないから。 ヤバい。 サンダルは、マジであった。 給料日一週間前あたりから、周囲もなんだかおかしいぞ、と気付き始めた。 「その話」になると、雰囲気がおかしいのである。 これは…サンダルさんは、マジだ。なんでか知らんが、マジだ。 こうして、周囲と当事者の異常な緊張の中、給料日は、やってきた。 何故だか、強火で煮たように過ぎる時間。ゆっくりでいいのに。 終業のチャイムが………鳴った。 「…いや〜、みんな、お疲れお疲れ…。“さあ、いつもどおり飲みに行こうか”…っ…」 ひぃっ。 一斉に、耳が下がる一同。 怖いのである。 サンダルさん、目がマジの大マジ。『100%中の100%』って感じ。 いや、勿論みんな、飲みたいのである。恒例と化した“運試し”だってしたい。 でもさらに毛が白くなるような雰囲気の中で“おつかれ”するのは御免だった。当然といえる。 「…あの〜、サンダルさん、俺、今日はですね…」 「…あ、俺もその」 「さ〜ぁ、今月もよく働いたねぇっ!お、そうだ、運試し行くか、運試しっっ!!楽しみにしてたろっ??なぁっ!!」 「「…は…はい…」」 しかしまわりこまれてしまった。ノーエスケープである。 橋までの途中、異常なハイテンションと無言を繰り返すサンダル。凍りついた笑いの一同。 感応レベルが1もあれば、道行く人は絶望の叫びを上げる猫達の声を聞いたことであろう。 橋に、着いた。着いてしまった。 橋が見えた時点から、もはや一言も喋らなくなったサンダルを先頭に、一同、横一列。 …「銃殺刑される心地だった」と、後に一人が語っている…。 くんくん。くんくん。 異常に集中しているサンダル。 一生に一度の本気パワー。それが出ていた。こんなんで。 …余談だが、普段使われていない潜在能力を引き出す方法は大きく分けて二つある、という。 ひとつは危機的状況に陥った時の、とっさの行動。 そしてもうひとつが、集中である。 異常な集中力。今のサンダルは回避も命中も+20%であった。 …そして、それはやってきた。 『…?!!……見える……?!見えるぞ!! カニだ、鱈だ!スリッパとサンダルが笑っている…!!…あれは…あれは…』 「海鮮だッ!!海鮮鍋だッッッ!!!」 びくっ。 怯える一同。見ると、声の主はうずくまって顔に手を当てている。 「…スリッパ…サンダル…!お父さんはやったぞ……!!」 どうしたんだろうか。とうとう電池が切れたのか。 心配する一同をぶっちぎって、(またも)突如立ち上がるサンダルさん。 「よぅしっ!みんなぁ!飲みいくぞー飲みー!はっはっは、今日はいい日だなぁー」 …先ほどの悪魔憑きが、超が付くさわやかさんに。 「ブレイン・ハ○ルヤかと思いました」と、これも後の証言である。 ともあれ、機嫌が直ったようで良かった良かった…と、 頭がついていかないまま、飲みに連れて行かれた一同は、したたかに飲まされたのであった。 さて、結果発表である。 先ほどの天啓に絶対の自信を抱いていたものの、なんだかんだで不安なサンダル。 解散と同時にすっ飛んで帰宅。…したものの。 家のドアが、なにやら大きな門のように見え、立ち止まっていた。 『大丈夫だ…僕には見えたんだ…今日は海鮮だ、間違いない…っ』 …と、なにやら中から聞こえる声。 「おそいねーおとうさんー」 「“今帰るから”…って連絡があったわよ。…もうすぐエビが煮えるから、テーブルに座って」 …心なしか緊張が伝わってくる妻の声。 『大丈夫だ、大丈夫だ。僕は確かに…!確かに…エビ? ……エビ?エビって言った?!今!? そうか!!そうか!!やっぱりね!!僕は勝ったぞ…!!』 ガチャン! 「ただいま〜〜!!いや〜〜、さすがキミだ!!やっぱり夫婦は心の底では分かり合って……分かり合って……?」 今月の答え : 海鮮“キムチ”鍋。 サンダルさんち、今月は中吉。 (おわり) 以上、しょーもない話(笑)。お粗末さまでした。 pass:1234 [No.294] 2007/01/22(Mon) 09:35:26 |