![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
カタカタカタカタ・・・ 「おーいデータバンク番号何番だっけ?」 「そこォ!油売ってないで現場見て来いよぉッ」 「スミマセーン後ろ通ります――」 半年後に日本で開催されるサミットの準備で、首相官邸や国会議事堂 内にあるサミット対策室はまさに戦国時代の合戦場かと言わんばかり に激務に追われていた。 パソコンに向かいひたすらタイピングする者・・・ 部下に指示を出しつつ自らも右往左往する者・・・ 様々だが、その激しく人とデータが行き交う場の一角に他とは一線を 画す場があった。 デスクの上には湯気を纏う缶コーヒー、その他はノートパソコン一台 という素っ気のない、まるで個人オフィス・・・いやそれにすら満た ないレベルの仕事道具そんな平平凡凡とする不思議な空間にその男は エア・コントロールの椅子の上で足を組み、目を閉じて座っていた。 「そこから先に入るな・・・」 そのp男は戦場から逃げ出す落ち武者のように疲れきって、その混雑し ていない場に入ろうとする一人の対策室スタッフに言う。 「ちょっとだけ、ダメッすか?神坂さん」 この檄飛び交う中、優雅に足を組んでいるこの神坂という男に拝みこ むようなアクションを取りつつ、懇願するように頭を下げる。 だが、即座にこう神坂は言い返す。 「私の時間の流れを変えるな・・・」 そう言うと置いてある缶コーヒーを一口飲んだ。 「おーい、ここで何してる?」 がっくり来ている落ち武者君は追い討ちをかけるように後ろから別の 人物に声をかけられる。 そのまま落ち武者君はソ――っと後ろを向くと、落ち武者君の指揮官 とも言うべき人物がそこに立っていた。そしてもう一言 「はい、持ち場に戻って――」 神坂と同期の志村であった。 「あ”〜い」。 そう言いながら落ち武者君はもう一段肩を落として、猫背のまま持ち 場にすごすごと戻っていった。 それを見送った志村は神坂に声をかける。 「お前は相変わらず、マイペースで仕事するなぁ〜。まぁ、いつもの ことだから心配はしてないけどな」 そう・・・、神坂は2年半前に起こった第三時ネットワーククライシス の原因調査、そしてまた起こりかねないネットワーククライシスの防止 を進めるチームに所属し、そしてその実績を買われ、首相のブレーンに 抜擢されたのだ。 ネットワーククライシスはオンラインゲーム「The・World」に 原因があった。その結果、世界的にオンラインゲームの規制、そしてつ いには廃止へと追い込まれるのである。 もともとオンラインゲームはその中毒性に社会人、学生の本業を妨げる ものとしてメディア、行政ともに問題視していたという背景もあったの で、それが廃止への加速を促進したのだろう。 一方、志村は神坂ほどの華々しい経歴でこの部署へ来たわけではなかっ た。地道に政務をこなし、自他ともに誰よりも努力していると評価され るほどの努力家だった。 それ故に同期で入ってきた神坂のマイペースぶりが始めは頭にもきてい た。 しかし、このマイペースな男はいつも自分より結果を出していた。自分 が努力という”力”で仕事を行っているように、この男にとってはこの マイペースというものを力として仕事をしているのだろう。そのように 思うようになったのだ。 それは将棋や囲碁の世界で言う長考派なのだろう・・・と。 「まあ、ある程度の準備は前もってしているからな」 すわり心地の良さそうなエア・コントロールの椅子に深くもたれかかり ながらリラックスしている感じでそう言った。 神坂にしても志村のことを他のスタッフ達と比べて物事に対しての情熱 を感じていた。だから、志村からの言葉には必ず耳を傾け、対話するよ うにしていた。 「今回ばかりはさすがの神坂でもそんな事も言ってられんぞ〜」 左腕に持っていた書類に目を通しながら神坂との会話を続ける。 「ここのところ日本は色々な分野で新興国に押されっぱなしだからな、 実のところ首相も危惧しているんだ、今後日本がサミットから外さ れるんじゃないかと・・・な」 そう言うと神坂に持っている書類を手渡す。 「中国、インド・・・・・か」 実際のところ日本は苦しい位置に立たされていた。日本の国土は他の 国と比べ狭く、資源に乏しい。なおかつ食糧自給率は自国ではまかな えない。 そして核も保有することが出来ず、軍事面でも不利な面があった。 唯一優位性があるのは、日本の生み出す技術であるが、それにしても インド、中国、韓国といった国々がどんどん力を増してきているのだ。 資源問題、それはもはや日本だけの問題ではなかった。新興国が増え、 資源も、食糧も奪い合いになってきている現実があった。 それに加え温暖化問題、世界の都市化による水資源の枯渇など、これら の問題を解決するための案を出さなければならない。そして、その案は サミットに参加する他の七ヶ国よりも優れていなければならないのだ。 眉間にシワを寄せながら気を引き締めるように、 「今回は開催国だからな、しかも世界が資源の奪い合いで一触即発とき てる、だから今回はどうしても他国に負けられん。だから、こうやっ て地道にデータ取り、ほんと必死だ」 一通り目を通した書類を志村に返しながら話を聞いても、特に神坂の様 子は変わらない。 「私は君らとは違うスタンスで今回の件を考えている」 その一言に志村は 「違うスタンスって・・・」 その言葉をかき消すように神坂のノートパソコンからメール着信音が 鳴り響いた。 「来たか・・・」 神坂は仕事に入るからあっちに行けと言わんばかりの態度で椅子を机 に寄せ、ノートパソコンにかじりつきになった。 それを察して、志村も持ち場へ帰ろうとした。その時、一瞬だけ神坂 の開いたメールの内容がちらりと見えた。「Yes」と。 そのメールが届いてから神坂はちょくちょくアメリカに行くように なった。その間も志村は、分刻みのスケジュールで動いていた。そ んな忙しい中でも志村は神坂がアメリカで何をしているのかが、も のすごく気がかりでしょうがなかった。 「まったく、アイツの才能がこれほど欲しいとおもったことはないな」 と仕事をこなしながらも激務に抵抗するように愚痴をつぶやく志村だっ た。 ・ ・ ・ ・ ・・・Test・・・Test・・・Project・・・Inis・・・ ・ ・ ・ ・ そしてサミットの朝が来た。 サミット当日、会場となる札幌は早朝から騒然としていた。 八ヶ国から来た各国の首脳が帰国するまでの安全を確保しなくてはな らないのだ。そういう取り決めがサミットという行事にはある。 その関係からか、常に現場は警察や機動隊などが殺気立っていた。も ちろん政府関係者とて人事ではない。やらなければならないこと、突 然に要求されることなどにも迅速に対応しなければならないのだ。 マスコミ関係者はそんな殺気立った場所で他社よりもいい”絵”を撮 ろうと、場所取りで白熱する。 「え――、A班は車が来たらぁ――」 「あ――、そこ邪魔――」 「マスコミ関係者の方はこちらでボディーチェックを・・・」 「おい、機材まだか―――」 「なにやってんだぁ―――、こっちだよこっちィ―――」 まるで大量にビー玉の入った箱を坂道でひっくり返したような・・・ そんな感じの人の動きだ。 準備も整ってくるとさっきとは対照的に、人が倒す前のドミノ倒しの ようにキッチリと整列する。 「こんな中で果物ナイフ一本でも持って歩いたら即射殺されそうだな」 さっきボディーチェックを受けた記者が警察に皮肉を込めてつぶやく。 そんな中、続々と要人を乗せた車が、会場へ到着する。 車を出たばかりの首脳たちはマスコミのいる場面ではにこやかな笑顔を 見せる。しかし、会場の円卓に着く頃には数段険しい表情に変貌する。 まさに今から殴り合いのケンカをするかのような心構えをそこからにじ ませる。 全ての関係者が会議室に着く、その中には志村の姿もあった。 そして会議は始まった。 サミットの会議室、ここには2015年以降、秘密裏に様々なハイテク 技術が導入されるようになった。会議室自体が日本の主要5都市に移動 することができたり、各マイクに人物認証機能が付けられ、どんな言語 で話しても、各人の前にあるディスプレイに約されたテキストとして表 示されるようになっていたり・・・。 ネットの機能も盗聴される恐れがある為、ネットワーク管理局「NAB」 ですら管理できないサミット国のみで構築された独自のネットワーク システムで運用されるといった、国家ならではの機能が使われている。 とりわけ日本は自国の技術力をアピールするため、この部屋の技術には ものすごい国家予算をつぎ込んでいた。主要国のトップに直に”宣伝” できるのだから安いものだ、そう考えているのだろう。 テロ回避のため、会議中に東京に移動することとなった。 これは毎回のサミット共通のことなのだが、各国ともどもお互いの妥協 点の探りあいが展開される。大人になるとどんな人間であっても無意味 にケンカなどしたくはないのだろう。 その為かサミットではそうそう革新的なアイデアが出て、しかもその案 が進展するということはあまりない。 しかし、今回に限ってはそうも言っていられない状況なのだ。 技術の進歩は残虐な物を見せた。 その進歩した調査機器の能力は世界の資源の枯渇の数値を具体的に示し た。まさに死滅に向けての数字だ。 Dead or Alive 映画や小説などでもよく出てきそうなフレーズ、しかし、この先の各国 の未来というカタにガッチリはまりそうな言葉だろう・・・。 そして八ヶ国の中でもっともDeadに近い国が日本であり、他の各国 も口にこそ出しはしないが、このサミットでリーダーシップを取れない ようなら日本をサミット国から外し、そして喰らおうといういい機会だ った。 他の七ヶ国にとって、日本の技術力を取り込むことは次世代のリーダー シップを担っていくためのキーと考えているのだろう。 しかし日本という国を取り込めたとしても、資源問題という壁にぶつか りいずれは滅亡するだろう。それは、この場に居る者ならば誰にでも 分かることであった。 宇宙開発を進めればいずれは・・・などという考えもどこかにあるのだ ろうが、それが成功に転ずるとは限らない。 やはり抜本的な案が必要なのだ。少なくとも大幅に「時間」を稼げるよ うなアイデアが必要だ。 志村及び対策室のブレーン達は半年以上も前からこの大きな問題と闘っ ていたが、誰一人として他の七ヶ国が納得しそうな案を打ち出すことは できなかったのである。 志村達とて、あらゆる考えを張り巡らせはしたのだが、この日本という 国の国土の不利、そして世界レベルで考えてみたところでどこかの国か らは文句が出てしまう。国内のみで解決できない問題ではないのは明ら かだった。 サミット開催まで一ヶ月を切る頃には首相自らがプレッシャーをかけて きていた。それは首相自らが追い詰められている事の証拠でもあった。 志村自身、会議中に首相に対する申し訳無さからか、ものすごく時間の 進みが遅く感じられる。 この時間をまさに資源枯渇までの時間に使いたい、そんなことまでが頭 をよぎるほどだ・・・。 そして、会議室は東京に到着した・・・。 国会議事堂の地下深くには、ひそかに裏政府が会議をするスペースがある。表層の大会議室とまったく同じつくりの大部屋すらあるほどに広大 な施設だ。 それどころか、この地下施設には表の施設よりも色々な機能が備わって いる。 なにゆえにこんな施設が必要なのか、しかも一般市民には秘密裏にだ。 政府は突然の核攻撃、バイオテロ、クーデター、未知のウィルス等 ありとあらゆる天災、人災を見越して、数年間の間この施設のみで生活 出来るようにしていた。 そして政府はそういう事態が起こることを見越して各分野のスペシャリ ストの人選をも国民の首に埋めたチップによる管理によりすることが可 能だった。 チップで人を管理しようとした裏にはこうした国民に伝えられていない 事情もあったのだ。 そのスペシャリスト達をこの施設で生活させ、そして新たな政府を構築 するというのがこの施設最大の目的なのだ。 その裏施設の1スペースにサミット会議室は着いたのである。 各国共に違う案は出てくる。しかしその内容はやはりどこかの国がデメ リットをこうむることばかりだ。そして、その内容を議論しあった所で 話は平行線をたどるばかりだ・・・。 日本国首相「皆川」はなるだけ目立たないようにしていた。どこの国の 味方をすることもなく、ただただ、なんとか志村達の纏め上げた案を牽 制程度に出すだけしかできない。 皆川の顔は青ざめ、その心境は、ロシアン・ルーレットの獣をコメカミに当てがっているかのような感じである。 弱気になっている者をいつまでも放置しておくほどこの場は甘くない。 時間が経つにつれ、その殺気にも似たようなドス黒い気配が増してくる のを、卓に座っていない志村にすら感じられていた。 しかしその中で、とりわけ不思議に見えるものがあった。同盟国である アメリカ大統領シーヴルのみまったく涼やかな顔をしているのである。 皆川とは全く対称的でその対比が余計に志村の目には不思議に映った のだ。 そして動かないアメリカという群れから離れたという子羊のような弱国 を狼のようにほかの国は言葉という牙で追い詰めていく。お前はこのサ ミットの開催国の代表だろう?・・・と。 バンッッ いきなり会議室のドアが今から捕食しようかという狼の雄叫びをかき消 すように大きな音を立てて開いた。 その音に一斉にドアに視線と銃口が集まる。 そこに現れたのは両手を上げた神坂だった。 「Welcome ・・・ Kamisaka:」 第一声を発したのはアメリカ大統領のシーヴルその人だった。 その声にハッと我に返った志村は神坂が関係者だということを慌てて 説明する。 銃口はその国々ごとにまるでロボットのような正確さで下ろされた。 神坂は志村にマイクをくれという合図を送りつつ、円卓へ進む。 マイクを受け取った神坂はマイクの認証を済ませて、ゆっくりと発言 する。 「・・・さあ、世界を変えよう・・・」 この後、数分でこの場は戦慄することとなる・・・。 ・ ・ ・ ・ ・・・Test・・・Test・・・Project・・・Phidhell・・・ ・ ・ ・ ・ (あとがき) 予告通りサミット編です。長いですゴメンナサイ。そして.hack風味は いったいどこに?ッて感じですゴメンナサイ。 まぁでも無い頭を振り絞ってがんばって書きました。脳細胞が40個 くらい死んだと思います。ブラッ○・ジャッ○先生に直してもらう予 定です。もしかしたら無理!もうア○ムに作り変えちゃおうって。 ジャッ○先生の粋な計らいでロボットになってしまうかもですが・・・ そのときは誰か骨を拾ってくださいね・・・;; それでは・・・。 [No.1050] 2008/02/19(Tue) 20:55:25 |