![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ ショップ《葉園》―― 木漏れ日の真下で営業している《VIVID*Tourist》のドル・ドナ支部こと《葉園》 ここには常備3人のギルドメンバーが居る。 「撫子(ナデシコ)、この間のミッション報酬どうした?」 「んぁ? ……あ。ワリ、トレードしちまったわ」 軍服調の衣を身に纏っている青年が、「自分はお祭り男です!」と言わんばかりのエディットをした『撫子』という男に問う。 「通りでショップの商品が少ないはずだよ……」 「キャハハ^▽^ 撫子おバカさん万歳・万歳・万々歳だぁ〜いw」 独り万歳三唱をしているのは、肌の色が若干黒く、オレンジ色の呪衣を身につけた『ポピー』と言う 名の女の子。この《葉園》メンバーの中で唯一の女性である。 「だよな!? 俺は馬鹿。万歳―――って、ポピーッ!!?」 「ノリツッコミ万歳〜ww」 「モーブ、コイツをどうにかしてくれッ!!」 「(^^;)」 撫子にとっては天敵で、どうにも彼女のペースに巻き込まれてしまう。 というわけで、モーブにも、ただ苦笑するしかないのだ。 狭いショップの中で、ポピーを撫子が追いかけまわしていると、眼鏡を掛けた美青年が客として やってきた。ネットゲームというのは、美男美女を演じることが多いものだ。 「ショップやってます?」 「あ。やってますよ〜? この人たちは義務そっちのけで遊んでますけどね〜ん‐ε‐」 それを聞いた途端、撫子は一気にポピーを襲おうとした。が、モーブも咄嗟に押さえつける。 「なら。訊きたいことがあるのですが、よろしいですか?」 店の奥の出来事も笑顔で受け流し、尋ねる。 「エリアのことならお答えできますよ」 ようやく撫子を落ち着かせたモーブが、客の男性と同じような笑顔を浮かべて答える。 すると、客の目が鋭く一変した。……まるで、獲物を狩る獣のような視線で。 「それで結構です。――“とあるPKパーティ”の潜伏場所をご存じですか?」 『“とあるPKパーティ”?』 「有名なところでいうと、《ケストレル》とか?o?」 唸りながら、ポピーが顎に指をあてて訊く。しかし、青年はにこやかに微笑んで否定した。 「いえ。《花水仙(アマリリス)館》という小規模のギルドです」 「で、パーティっちゅうのは?」 すかさず撫子が返す。 「そこまではお答えしかねますね」 「ケチんぼ〜Θ皿Θ」 「すみません」 「ようは、PKが好むようなエリアを教えてほしいってことですよね?」 「ま。そういうことですね」 膨れっ面のポピーや撫子に苦笑しながら、客は素直に頷く。 「うみゅ〜……Θ懇願する 死凰の 遺灰 とかかなぁ〜? どういう訳かPKたちって、結構ダーティーなワード好むんだよにぇ゜Δ°;」 客はエリアワードを聞くと、ピクリと片眉を上げて反応した。 「『懇願する 死凰の 遺灰』……そうですね。彼らにはピッタリかも知れません。―――ところで、 あなた方のなかで呪療士はいらっしゃいますか?」 「呪療士なら、こいつが――」 ついでなので…と、訊いてみる。撫子は怪訝そうな表情で、その人物を右手親指で示した。 「ぃぇ〜いv^▽^v」 「僕と一緒にアリーナ、参加しませんか?」 客は一瞬キョトンとしたが、すぐに持ち直してさらに訊く。いきなりにもほどがあると思うのだが―― 「……いいよ〜゜v ^b★」 ―――案の定、アッサリOKのポピーであった。 「おいおい、女郎花の許可なくいいのかよ」 100人を超えるメンバーがいる《VIVID★Tourist》だが、ショップ担当は僅か10人程度。ひとつの ルートタウンに3人の配分だ。残りのメンバーは全員、遊びながらのエリア散策担当なのだ。 そんな貴重なショップ担当が、あのギルマスに無断で遊びに行くと、何をされるかわからない。 それが当事者だけなら、無関係の撫子も黙っているのだが…連帯責任だったりする。イジメだよね。 「その心配は無いぞ」 不意に、声がした。いかにも男らしい、低い声。 「アンタは…?」 「オイラは濡烏(ヌレガラス)。ビリジアンのパーティメンバーだ」 名前の由来であろう、黒く艶のある髪をなびかせ、声の主は木漏れ日に映る。 そして、眼鏡の客はビリジアンというらしい。だが、その声に対して異常に反応した男が一人…。 「濡烏!?」 「んだよモーブ、お前知り合いなのか?」 「《VIVID*Tourist》初代ギルドマスターだよ。ちなみに女郎花は3代目」 「じゃ2代目はぁ?」 「さぁ?」 素早く2代目の存在を問うポピーであったが、モーブはしらばっくれる。 「そんなことより、ポピーがアリーナに出てもいいっつったのは本当に女郎花なんだろうな?」 話を戻した撫子は、なんだか怒っているようにも見えた。濡烏との顔の距離が、近い。 そんな撫子の気持ちを知ってか、濡烏は思わずニヤケながら答える。 「もちろん、本人に直接交渉してきたとも。……それとも何かい? 嫉妬ですかな?」 「なっ!? んなわけねーだろ!!?」 図星だったのであろうか、赤面して唾が飛ぶほどの大声で叫んだ。 「キャハハッ^▽^ 撫子はおバカさんだけど愛いヤツよのぉ〜ww」 「うるせぇッ!!」 撫子と濡烏のやり取りを面白がっていたポピーは、実に嬉しそうに撫子に飛びついた。当の本人はおもいっきり振り解こうとしているが、まんざらでもない様子である。 「で。協力して頂けるかな?」 「もっちろん^▽^/」 「じゃ、ポピーは借りますよ」 ビリジアンが諭すと、ポピーは子供のようにはしゃぎながら、行ってしまった。 3人が去った後も、落ち着かない様子だった撫子が、モーブに振り返り、真剣な表情で訊く。 「《花水仙館》……。なぁモーブ、そのギルドってアイツが――」 店の商品を整理していたモーブも手を止めて、頷く。 「ああ。多分、な」 今日は、いつもより木漏れ日が多い日だった。 ―あとがき― お、お久しぶりででです(ド緊張 わん仔、復活です<(`ω´)> 一週間に一回ペースの更新は難しくなるでしょうけど、何が何でもこのお話は完結させますので、 再び応援の程、よろしくです [No.1137] 2008/03/10(Mon) 22:33:22 |