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友人に隠し事はしたくない、しかし言いづらいということはないだろうか。 俺は信頼できる人物に対しても秘密を明かせられそうにない。 どっちにしろ、いずれ分かってしまう事だ。 **** 「なんか、知ってそうで知らないような場所に来たな・・・」 また時が巻き戻ったのか、気づいたら見覚えのない所に。 街の中に川が流れていて、そこを中心に店舗が並んでいる。 PCのような者がいることから、これはThe Worldの可能性があるが、 現在のシステム、表示やらなにやらが全然異なっている。 この時代がいつなのかを調べようとした瞬間・・・ 「ひゃあ!!」 「!!」 聞き覚えのある声がすぐそばで響いた。 その声の主は・・・ 「! なつめっ!!?」 そこにはしりもちをついているなつめの姿が。 「あれぇ?ライト、さっき寝てたはずじゃあ・・・?」 「どうしてここにいるんだ!?何があった!?」 「えっと・・・HOMEで寝てたライトを触ったらいきなり画面がザラザラして・・・」 聞くところによると、俺に触れたことが原因なのか、なつめまで時を戻ってきてしまったようだ。 初対面のときも疑われて当然な不自然さだったのに、余計やっかいなことになってきた。 自分の正体を問いつめられるのを覚悟したが、当のなつめは街を見たままボーッとしている。 「な、なつめ、どうしたの?」 「『マク・アヌ』・・・」 なつめの口から△サーバーのルートタウンの名前が。 「ここが?『マク・アヌ』はもっと広くて−」 「違う。 ”R:1”の『マク・アヌ』・・・」 「! ”R:1”!?」 そして俺はこの時代の年月を調べる。 −今は・・・2010年!?7年も前だ!! 俺がタイムスリップしてきたのは、The Worldがまだ”R:1”だった時代。 現代より小じんまりした『マク・アヌ』であった。 「うわぁ〜!なつかし〜い!!ライト、前はこんな感じだったんだよ。」 「・・・・」 「? どうしたの?」 「いっ!いや、別に・・・」 俺の予想を反してこの状況について平然としているなつめ。 −なつめって、案外気にしないタイプなのか? いや、これって気にしないレベルじゃ・・・ ますますなつめが分からなくなってきた。 自分について何も問いかけてこないし、疑問を持ったりもしない。 まるで、そのことが当然であるかのように。 すると、俺達の横を通る2人組のPCの会話が聞こえてきた。 −(さっき掲示板で質問してた娘、大丈夫かなぁ。) −<あのエリア、初心者には結構キツイからな。 何っていう双剣探してるんだっけ?> −(えっと・・・あれだよ、スパイラルエッジだっけ?) 「!? 『スパイラルエッジ』・・・!?」 その言葉を聞いたとたん、なつめの跳ねている髪がピーンと逆立った。 「ライト!『△激怒する 情熱の 旋律』に行こっ!!」 「えっ!?いきなりどうして・・・うわぁ!!」 なつめに引っ張られ、小柄な体が宙に浮かぶ。 カオスゲートらしき場所に着き、先ほどなつめが言っていたエリアワードに転送されていった。 **** 「R:1は普通のフィールドとダンジョンが一緒になってて、 ダンジョンはああいう建物にあるんだ。 たしかあそこに・・・」 何か心当たりがあるのだろうか、ダンジョンに向かってゆくなつめ。 ダンジョンの前に着き、彼女は立ち止まった。何か発見でもしたのか。 俺も覗いてみると、建物の入り口から中が見え、 そこに2人のPCがいた。おそらくジョブは双剣士。 1人は赤い少年双剣士、 もう1人は緑の髪に、細い目のエディットがなされている少女PC。 「ねぇ、もしかしてあのPCって、7年前のなつめ・・・」 俺がなつめに問いかける。が、 なつめは2人を見たまま動かない。 「カイト・・・さん・・・?」 なつめの声が聞こえたのか、赤い双剣士がこちらを振り向いた。 −ま、まずいっ!! 俺がそう思ったとき、また頭に激痛が走り、目の前が真っ暗になった。 なつめもそこに頭を抱えてうずくまるのが見えた。 何故あの時突発的にそう思ったのかは不明。 そして、時が元に戻る。 **** 「どわっ!!いつの間におったのだ!?2人とも!?」 目が覚めてから早々ぴろし3の声。 無事ギルドHOMEに戻ってきたようだ。 「寝ボケておるのか、小娘。 いい目をした人の夢でも見たのか?」 「夢・・・?そうだったのかな・・・?」 しゅんとしているなつめ。あの出来事が本当に彼女の中で夢で済まされてしまったらしい。 「あっ、ライト、起きてたんだ。」 「うっ、うん。なつめもどうしたの?寝オチ?」 「えっとね、昔の夢見てたんだ。 R:1時代のThe Worldをしてたときに、 初心者の私を手伝ってくれた優しい人がいて。 年下でかっこよくて、少しかわいくて・・・ 名前は『カイト』さんって言うの。 「体で払います!」とか、 「付き合って下さい!」とかあの人に向かって言ってたなぁ、私w 今は・・・何処にいるのか分からないけど。」 俺のデータにも記されている伝説のPC『蒼炎のカイト』、あの赤い双剣士。 やはりなつめはさっきの光景を夢と思っているようだ。 「なつめ、なつめが見たって言う夢は・・・その・・・」 「は〜あ、なんだか疲れちゃった。 ぴろし3〜!今日はもう落ちま〜す!」 「え、ちょ、ちょっと・・・」 「じゃ、またね、ライト。」 俺の話を聞かず手を振りながらログアウトしてゆくなつめ。 なつめが去らなくても、俺は本当のことを切り出せなかっただろう。 俺の正体を伝えるべきか、伝えないべきか、どっちが正しいのだろうか。 −Report:5"Natsume's Memory"(一部調査終了) あとがき なつめといえば珍名言で有名(? Returnerのなつめが持っている風船といい、粘着ストーカーぶりが伺えます。 ツギハギに反応ナシなど偽者の区別もできてますしw あと、本編とあまり関係ない題名ですいませんm(_ _)m [No.1159] 2008/03/16(Sun) 21:29:16 |