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No.1175へ返信

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Report:6"Sacrifice"part2 - 菊千文字 - 2008/03/26(Wed) 21:28:09 [No.1184]
Report:6"Sacrifice"part1 - 菊千文字 - 2008/03/24(Mon) 15:39:41 [No.1175]
Report:5"Natsume's Memory" - 菊千文字 - 2008/03/16(Sun) 21:29:16 [No.1159]
Report:4"Again The World" - 菊千文字 - 2008/03/08(Sat) 20:32:30 [No.1125]
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Report:1"Write Ezer" - 菊千文字 - 2008/01/20(Sun) 21:11:55 [No.1026]
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Report:6"Sacrifice"part1 (No.1024 への返信) - 菊千文字

 −△サーバー、ルートタウン『マク・アヌ』

俺は傭兵地区の裏路地に腰をかけていた。

「はぁ・・・何してればいいんだ俺は・・・」
一向に自分の目的も見つけられず、途方に暮れる。

木箱を壊すと出てくるチムチムを見ているうちに
俺もチムチムも同じNPCだと思った。

ただ違うのは、チムチムには”役割”がある。
チム玉を所持し、PCに蹴られ、その繰り返し。

俺にはそれがない。
もともとはあったのだろうが、それを失ってしまった。
探す宛もない俺は完全にエラーで発生した放浪AIと同じだ。

そう考えると、目的を持っているチムチムに劣等感を感じる。



 「えっと、次の報酬まで15人・・・か。」



ため息をついていたところに、階段の方から声が聞こえてきた。

軽装備な青年PCがクエスト専用NPCディンゴと話している。
あの装備からして双剣士か錬装士の1stフォームだろうか。


こっちの目線に気づいたらしく、彼は俺の方を向いた。

「? 何か?」
「あ、すいません。何も・・・」
ジロジロ見ているのが相手に不快に思われ、一応謝っておいた。
その後相手は、俺にこう言ってきた。

「そのチムチム、蹴らないのか?」

「え?」
「正確には『蹴ってあげないのか』だ。
 チムチムは蹴られなければ意味を成さない。
 蹴ってやらねば逆に失礼だ。」
「?」

そう言いながら青年PCは俺の頭にポンッと手を置く。
俺はチムチムの方を見ようとし、後ろを向いたが、

「あれ?チムチムが・・・?」

チムチムがその場から姿を消している。
初めは時間が経ったからだろうかと思った。

振り返ると、すでに彼はその場を去ろうとしていた

「そうでなければ邪魔なゴミ同然な存在になってしまうのだからな。

 お前のように。」

「何!?」
青年は角に曲がり駆けたときに俺にそう言い放った。
まるで俺を知っているかのような言いぐさで。

「ちょっと、待・・・!」
反射的に彼を追いかけ、階段を駆け上がった時、


「わぁ!!」
「うおっ!!」

 −(ドンッ!)

衝突音が鳴る。急いでいたせいか何者かにぶつかってしまった。

ぶつかった相手は幼い少年PC、黒いランドセルを背負っている。

「だ、大丈夫か!?」
「う、うん。だいじょうぶ・・・」
「悪い、今度会ったら何かアイテムでもプレゼントしてやるから、じゃあな!」

少年に謝り、すぐさまあの青年を探したが、
時間をロスし、見失ってしまった。

時間といえば前の報告書<レポート>にも述べたが、
そう便利に使えるものでもなく、戻せる時間は自分では決められないので
今の状況では全く役に立たない。


 (メールが届きました)

と、そこにメールの着信音が。
内容は・・・

送信者 シン

『△脈動する 光琳の 行楽地

 ちなみにお前のアドレスは頭に触れたときに調べさせてもらった。』

エリアワードに一言書いてあるだけの知らない者からのメール。
しかし書いてある内容からさきほどの男であるのは読みとれた。

「『シン』ってさっきの男の名前なのか?
 それにこのワードは・・・?」

わざわざエリアワードを載せたメールを渡してくるとは、
来いという無言の知らせだろう。

迷わず俺はカオスゲートに向かった。

今思うと、何故あんな丁度いいタイミングで物事が起こるのかを
疑わなかったのが不思議である。



****



シンという男に導かれたかのように
△脈動する 光琳の 行楽地に着いた。ダンジョンである。

彼の姿は見あたらず、先にいるのかと思った俺は
奥にある一室のような空間に入った。

するとそこの入り口が厚い壁によって塞がれてしまう。

これはその空間内でチム玉を集め、上納する事によってロックが解除されると言う
The Worldの仕組みの1つである。


ところが、何か様子がおかしい。
モンスターが一匹もいなければ、仕掛けの1つのスイッチを押してもチムチムが出てこない。
チム玉も必要個数持っていない俺は完全に閉じこめられてしまった。

「オイオイ、まさか罠ってわけじゃあ・・・」



すると、扉の隙間から何かが入り込んできていた。

液体のような、個体のような、泡のような、断定出来ないような
黒い物体が次々と出現している。

「何だ、コレ!?
 こ、こっちに近づいてくるッ!?」

直感でマズイと感じた俺は扉から距離を置く。

しかしその黒い物体は他の扉からも現れ、
周りから中央に向かって囲まれてしまった。

 −バグか!?こんなものは初めて見たぞ!?

「くっ、マズイ!!」



そう思った瞬間に、俺が羽織っているコートから
まるで黒い手のようなものが何本も一斉に現れ、伸びてゆき、
そのバグの塊を捕らえた。


 −!!? な、何なんだ!?この黒い手・・・!?


自分の腹部から放たれた物に動揺し、息を飲んだ。

やがてバグの塊は黒い手と共に俺のコートの中へと引きずりこまれてゆく。


バリバリ、とかみ砕くような音が微かに聞こえてくる。


「・・・・


 ・・・・


 ・・・はぁ・・・」


何事も無かったかのような情景を見て、脱力してしまい、
しばらくその場にペタンと座り込んでいた。







 −Next"Sacrifice"part2







あとがき
想像力が試されるような感じになりました。
って単に表現力がないだけ何ですけど(笑
黒い手とありますが
AIDA<anna>みたいな形です。

オリジナルキャラのネーミングには突っ込まないでくださいw
ちゃんと法則性がありますんで。


[No.1175] 2008/03/24(Mon) 15:39:41

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