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No.1195へ返信

all .hack//G.U.Break - MINE - 2008/04/03(Thu) 00:17:08 [No.1194]
Episode3「惨殺」 - MINE - 2008/04/18(Fri) 10:36:01 [No.1214]
Episode2「死神」 - MINE - 2008/04/11(Fri) 15:11:57 [No.1210]
第1章 「黒い死神」 Episode1「プロローグ」 - MINE - 2008/04/03(Thu) 00:20:06 [No.1195]


第1章 「黒い死神」 Episode1「プロローグ」 (No.1194 への返信) - MINE

Episode1「プロローグ」


「うおぉぉりゃぁぁぁぁ!」

夜の月明かりに照らされながら、死神は鎌を振る。怒りに満ちたその眼は真っ赤に染まる。

「こぉぉんのぉぉぉぉ!!」

手に持つ、大きな死神の鎌で次々とPCを切り裂いていく。だが死神もまた、周りに居る敵に傷つけられていく。

「はぁはぁ……ぶっ殺してやる!」

片手には紫色の大剣、片手には死神の鎌。双方を片手で扱うのは、普通は不可能なのだが、怒り狂う死神にそんな理屈は通りはしない。

「ふぅぅぅぅぅ……喰らいやがれぇぇぇぇぇぇぇ!!」

唸り、そして叫び、死神は両手の武器を振り回した。鎌は空を裂き、大剣は大地を揺るがす。そしてその眼は地獄を見る。そしてその心は潤いを求め、乾ききった荒野をさ迷う。

気が付くと、PCデータの残骸が放置してある。そしてその中央にはボロボロになりながらもこの戦いで勝利を掴んだ黒い死神が立っていた。死神のPCには、所々に亀裂やノイズが走っている。そして、あんなに鋭く尖っていた目は、今や何かに対する虚しさに囚われていた。

「強くなったな…ハセヲ。」

自分を呼ぶ声を聞いて、死神はゆっくりと後ろを向いた。そして自分を呼ぶ男の姿が見えてくると、それまで生気を失いかけていた目は大きく見開いていき、終にはさっきの戦闘で見せた狂気の目になっていた。

「……オーヴァン!!」

死神の前に現れたその男は死神を前にしても微動だにしない。それどころか、男は死神にゆっくりと歩み寄ってくる。死神も又、男を強く睨みながら近づいてくる。

「テメェェ!今更何しにきやがった!」

怒鳴りつける死神、それを無視して近づいてくる男。二人の距離が縮まるに連れて、死神の殺気はどんどん強まってくる。

「もっと強くなりたくはないか?…ハセヲ。」

男は闘うのではなく、死神に手を差し伸べてきた。死神は疑問の念を抱きながら差し出して来た手を弾き、一瞬で取り出した双剣を、男に突きつけた。

「何言ってやがんだ?俺はなぁ!あんたが居なくなって、志乃が意識不明にされて、助けようとしてここまで力を求め続けて来たんだよ!もうアンタに出来る事なんて何も無いんだよ!いつまで自分が上だと思うんじゃねーぞ!」

死神の息遣いが荒くなる。男を睨みつける目が更に悪意に満ちて来た事を悟り、男はなだめようとして喋ろうとしたが、死神が突き付けていた双剣がのど元に触れた途端に、右手に銃剣を構えた。死神の腹にその銃口を押し当て、交渉に出た。

「話しを良く聞け、俺はお前に力を与えてやると言っているんだぞ?」

男の目はサングラスで隠れている。この男は前から何を考えているのか分からない。死神はそれを分かってはいたが、半年振りに顔を出したと思ったらいきなりこの話しを持ち掛けてきて、一体何を考えているのか?今回はそう思うほかなかった。

「今度は何を考えてやがんだ?」

死神は双剣を更に喉に付き立てて聞いた。だが、帰ってきた言葉は口からではなく、自分に向けられた銃口からだった。静かな夜をイメージしたこの地に、銃声とともに苦痛の叫び声がこだました。

「あ……ああ」

ボロボロだった死神は、男の放った銃撃に耐えられる訳も無く、無残にも吹き飛ばされ、銃撃とともに、荒野にただずむ岩に当たって倒れた。PCデータは酷く破損している。

「悪いな、こうでもしなくてはコイツを使えないのでな…。」

男の右手には禍々しく光る球状の何かが浮かんでいる。男はその光の玉を死神の体に触れさせた。



死神が目を覚ますと、そこはさっきの荒野だった。変わった様子はなく、あの男も今は見当たらない。

「オーヴァン…あんたは何を考えているだ?」


                   
                                                    つづく




早速投稿しました!
楽しく読んでもらえたらうれしいです!


[No.1195] 2008/04/03(Thu) 00:20:06

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