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No.1208へ返信

all .hack//adjoin - わん仔 - 2007/11/10(Sat) 19:08:15 [No.975]
act.9 迸る 裏切りの 空涙 - わん仔 - 2008/04/21(Mon) 17:22:56 [No.1221]
act.8 糜爛する 少女の 行ひ - わん仔 - 2008/04/07(Mon) 23:18:06 [No.1208]
act.7 悩める 少女の 人間関係 - わん仔 - 2008/04/07(Mon) 23:08:47 [No.1207]
act.6 忍び寄る 災厄の 眼光 - わん仔 - 2008/04/05(Sat) 22:52:47 [No.1201]
act.5 疼き出す 少女の 影 - わん仔 - 2008/03/25(Tue) 21:03:18 [No.1180]
act.4 さんざめく 木漏れ日の 園 - わん仔 - 2008/03/10(Mon) 22:33:22 [No.1137]
act.3 視察する 我らが 観光大臣様 - わん仔 - 2007/12/01(Sat) 14:13:59 [No.986]
act.2 奥ゆかしき 古都の 案内所 - わん仔 - 2007/11/17(Sat) 23:05:09 [No.978]
act.1 気ままなる 天真爛漫の 店番 - わん仔 - 2007/11/10(Sat) 19:17:16 [No.976]


act.8 糜爛する 少女の 行ひ (No.975 への返信) - わん仔

遡ること一週間余。きっかけは、彼女からだった。

『女郎花さんからお休みもらったから、たまには二人だけで冒険にでも行こう? 錬金地区で待ってるね』

こんなメールが、届いていた。あのクエストでPKに会ってからというもの、あからさまなまでに様子がおかしかった。萌黄は真相を探るべく、彼女の誘いに乗ったのだった。

――Δ悠久の古都 マク・アヌ 錬金地区――
そこは海風が薫る場所。
母なる海が優しく問いかけるように髪が靡く。私の決心をも、揺るがせる。
すると。
「シアン……?」

来た。

「行こ」
「…うん」
パーティになるわけでもなく、ただ二人でドームへと歩く。
その間も二人の空気は重苦しく、特に萌黄は耐えきれない様子だった。

――Δ豊かなる 悲しみの 夜更け――
虫の音、環境音しか聞こえない夜のフィールド。その中を、少女たちは歩いていた。
しかし冒険するにも、このエリアレベルは低すぎる。萌黄とシアンのレベルが40台にしても、だ。


―――Lv.5


「ねぇシアン。ここ、レベル低すぎない?」
彼女は………無表情のまま振り向いた。
「今日、初心者さん来てるかな?」
「…え?」
どういう、ことだろう。萌黄はまったくもって理解できなかった。
シアン個人でやっている初心者サポートだろうか。でも、エリアで突然「サポするよ」なんて言われても驚くだけだ。そういうことは大体タウンで行うはず……。

「この間のクエストで会った人ね、私が初めてメンバーアドレスを交換した人なの」
不意に、シアンが声を発した。
「いつも一緒に居てくれて、この『The World』じゃ一番の仲良しなんだ」
「シアンの嫌いな“PK”……なのに?」
「……仲良し」
彼女は、いつだってPKを否定し続けていたのに。
萌黄の頭の中は、疑問符でいっぱいになる。
彼女の言っていることは、どこか矛盾に感じてならなかった。


「アンタよりも、ねwww」


小高い丘の陰から、あのPKが、灰梅が現れた。
萌黄の脳裏に、あの時の恐怖が浮かび上がる。一方のシアンはあの時と打って変わって、無表情。
「あっちに居たよ、獲物様w」
灰梅はそのまま、自身の指差した方向へ歩き出した。
「行こ」
萌黄もシアンに促されるまま、灰梅の後を追った。
ただならぬ不安を胸に抱きつつ…


「きゃーー!!」


一足先にたどり着いた灰梅は、パーティの一人を狩っていた。他のパーティ二名は愕然とした表情で、どうすることもできないでいた。
「ちょっと! 何してんですか?!」
萌黄は敵意むき出しに、灰梅に対して妖扇を取り出す。

「何って、PKじゃない」

答えを発したのは、シアンだった。
シアンに振り返ると、カーソルが彼女にターゲットされた。
「!?」
もはや、驚きは隠せない。
彼女は―――シアンは灰梅のパーティになっていた。
萌黄はうまい具合に誘い出されたということか。信じられない。でも。事実。

「――――…リウクルズ」

少女は、言葉を失った。
あろうことか、シアンが、彼女が。
萌黄の後ろに居る銃戦士の少年に向かって
―――PKを。

「ぅぁああぁあ!!!」
強烈な水圧を受けた銃戦士は、灰色に染まって、倒れた。
これが、真実なのか。

「全ての原因は。――――私。だから。」

ワタシの後ろには、灰色のシタイ。
萌黄の頭の中は、混乱していた。
「どういう……こと?」
「こういうこと」


「――――――レイザス」


“彼女”は、PKだった





―あとがき―
今回は奮発して一気に2話更新しましたー^^
第7話は短かったのに、8話長……い…か、なぁ……?

あ、あと。題名が“少女”“少女”と連発でどっちがどっちか判んなくなってますね…すみませんm(_ _;)m

でも、これでちょっとは遅れを取り戻せたかなぁ…
では。今回はこの辺で失礼します〜


[No.1208] 2008/04/07(Mon) 23:18:06

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