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No.1210へ返信

all .hack//G.U.Break - MINE - 2008/04/03(Thu) 00:17:08 [No.1194]
Episode3「惨殺」 - MINE - 2008/04/18(Fri) 10:36:01 [No.1214]
Episode2「死神」 - MINE - 2008/04/11(Fri) 15:11:57 [No.1210]
第1章 「黒い死神」 Episode1「プロローグ」 - MINE - 2008/04/03(Thu) 00:20:06 [No.1195]


Episode2「死神」 (No.1194 への返信) - MINE

Episode2「死神」


――力を与える。

オーヴァンが言ったその一言が、いつまでもハセヲの耳から離れない。しかも、傷だらけのハセヲはその場に座ったまま動けずに居た。次々と、破損箇所から壊れていくハセヲ。

「はぁ…。こんな所で止まっている時間は無いのに…」

気持ちだけが焦りそうにり、大きく深呼吸をした。息を吐いて、少し落ち着きを取り戻したハセヲは、自分の身に起きている異変に気付いた。

「何だよこれ…?」

壊れて行ったはずのハセヲの体は、新たなデザインへと変わっていく。亀裂は消え、データが剥がれていた部分には新しいデータが出来てくる。

今までも十分黒がメインの色だったが、当たらしデザインは更に禍々しく、黒が濃いイメージのデザインになっている。まさに黒い死神だ。

腰の部分から、引きずってしまうほど長くて黒いマントのような物が加わり、風になびいている。肩からは大きな赤黒い棘が出ている。

「力だ…。はははははは!これが力か?!はっははは!礼を言うぜ!オーヴァン!はははっ!最高だぜ!」

一人、怪しく笑いをあげるハセヲは完全に力に溺れていた。ずっと求めていた力が手に入り、最高に気分のいいハセヲは、この力を試すべく、違うエリアへと行こうと、マク・アヌへと帰還した。

転送が完了し、目の前が明るくなると、そこには白くて大きな帽子をかぶり、緑色の服、まるで妖精のようなデザインの女のPCが目に入った。だがハセヲは、そのPCに見覚えがあった。

「志乃?」


――志乃とは。

ハセヲが力を求め、戦い続ける理由になったPCだった。8ヶ月前ハセヲは、志乃をトライエッジにPKされ、目の前で消された。そして、志乃のプレイヤーは意識不明になった。それ以来、ハセヲはトライエッジをKILLするため、力を求めていた。志乃を助け出すために。


ハセヲが驚いている間にそのPCはマク・アヌの街に消えて行ってしまった。そしてすぐにハセヲはそのPCを追った。志乃じゃない事は分かっていた。だけど、追わなくては居られなくなっていた。

少し走り、橋を渡った先の中央広場に着いた時、噴水の辺りにあのPCが居るのを見てハセヲは駆け寄った。そして歩き出そうとしていたそのPCの手を掴んだ。

「え!?…誰ですか?」

振り向いたそのPCは驚きながらハセヲの顔を見た。ハセヲはその声で我に帰り、掴んだ手を急いで離した。

「悪い…人違いだった」

ハセヲは自分自身が恥ずかしくなって下を向いた。目の前のPCは困ったように笑った。

「アトリ、遅くなってすまない。」

後ろから男の声がしてハセヲが振り向くと、そこには緑色の髪をした男が立っていた。その男はハセヲの顔を見ると、鼻で笑って言った。

「君が死の恐怖か…まさにその名の通りだな。殺気が漂っている」

ハセヲはその言葉を聞いて、しばらくその男を睨んで舌打ちをしてその場を去ろうと、男の横を通ろうとしたハセヲにもう一度言った。

「君は自分を正義だと思っているのか?PKKも、実際の所はPKと同じ事をしていると、いつになれば気付くのだ?」

それを聞いたハセヲは立ち止まると、背中から大剣を取り出して男に向けた。

「あんまり俺を怒らすんじゃねーよ…殺すぞ!」

殺意に満ちたその言葉は男に動揺を与えると思われたが、アトリと言うPCがハセヲの前に立ち、剣をしまう様に言って来た。もちろんハセヲは聞こうとはせずに居たが、真剣な目付きで自分を見るアトリに、志乃の影を重ねてしまい、思わず大剣をしまってしまった。

「ちっ…紛らわしいんだよ」

すると再びハセヲはゲートの方へと歩き出した。




                                                      つづく



――あとがき――

更新が大分遅くなりましたが、更新します!


[No.1210] 2008/04/11(Fri) 15:11:57

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