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Episode3「惨殺」 ――Δ嘲笑う 必衰の 帝国 そこは大規模なギルド『ケストレル』の@ホームとして使われる無法者の溜まり場。 「ここが…」 ハセヲはエリア全体を見回した。すると、一人のPCがハセヲを見た。 「お前は…死の恐―」 ハセヲはそいつに全部言い終わらせはしなかった。取り出した死神の鎌で首を切り落とした。そのPCが倒れると同時にハセヲの前の階段の上に、ケストレルのPCの軍勢が現れた。その数はハセヲが軽く数えて20はいる。 「20か…上等だ。」 ハセヲが構えに入ると、ケストレルのPC達はいっせいに掛かって来た。ハセヲは怪しい笑みを浮かべると、鎌を振りかぶりながら向かってくるPCに突っ込んだ。 「おおおぉぉぉ!」 鎌を一振り。たった一振りで、かなりの数のPCが吹き飛びロストした。そしてハセヲがまた鎌を振ると、今度は数人だが、地面へと落ちて行った。わずか5秒の間にあのPK軍団を消し去った。 「お前強いな!(^o^)」 さっきまで、このエリアの奥にある王座に座っていた獣が大座から降りてきた。この獣こそがこの大規模ギルドケストレルのギルドマスター「がび」である。赤い顔に、白い毛。そして何よりも脅威なのは、その手にする赤い大剣。まさにがびにふさわしい大剣だ。 「テメェがこいつ等の頭か?」 ハセヲは鋭い目付きでがびを睨んだ。がびも又、ハセヲをの顔を見た。だが、その顔は笑っている。歴戦を超えて来た自信からか、はたまたハセヲに対する挑発かは定かではないが、おそらく前者の方だろう。そうでもなければ、この大ギルドを収めては行けにだろう。 「フンッ!」 一瞬のうちにがびに近づき、ハセヲは鎌を振った。並みのPCじゃ目で追えない速さなのだが、がびはまゆ一つ動かさずにその大剣でハセヲの高速の攻撃を受け止めた。そして、がびはハセヲを見て笑った。 「ハッハハハハ!これは愉快だ!久々に退屈しなくてすむぞ(^w^)」 ハセヲはがびのこの態度で調子を狂わせられた。これはがびの素なのか挑発なのかはやはり判りかねる。だが、ハセヲは鎌を引き、がびとの距離をとる。そして鎌をしまうと、ハセヲも大剣を取り出した。凄まじい轟音と共に漆黒の大剣が姿を現す。その大剣をハセヲは両手で持つと、地面に引きずりながら、がびの懐へと突き進んだ。そして、大剣を力いっぱいに振り上げた。 「喰らいやがれぇぇぇ!!」 がびも自分の大剣で応戦するが、ハセヲの力に押されて空中に飛ばされた。体制を崩したがびに、ハセヲは追い討ちを掛けるべく、地を蹴り、大きく跳んだ。 「終わりだ…!」 ハセヲは大剣を振りかぶり、何も出来ない無防備ながびの腹に大剣を振り下ろした。ドガァァァン!物凄い衝撃音を残し、ハセヲとがびの姿は、砂埃に消えた。そして、砂埃の中から黒衣のPCが姿を現した。その片手にはたった今、がびを殺めた大剣がある。ハセヲは砂埃の中のがびを鼻で笑うと、歩き出した。のだが、雄叫びがしたかと思えば、砂埃が一瞬のうちに吹き飛び、中から倒したはずのがびが姿を現した。その目は怒りに満ちている。 「コイツは笑えねぇ状況だ」 いつものがびではなく、その姿はまさしくケストレルのギルドマスター「がび」の姿だった。がびは地面を蹴ると、いきなりハセヲの目の前に現れた。一瞬の出来事に戸惑ったハセヲはガードに遅れた。その結果、がびの重い一撃を喰らった。 「がはっ!」 ハセヲは吹き飛んだ。立ち上がろうとした時、またしても目の前にはがびが居た。今度はハセヲのガードは遅れはしなかったが、体制が体制だ。又しても思い切り吹き飛んだ。岩にあたり、岩を背にして座り込むハセヲは、下を向いた。その時、悔しさと怒りが頂点に達したハセヲは顔を上げると叫んだ。 「調子に乗ってんじゃねぇぇぇぞぉぉぉぉぉ!!」 すると、ハセヲの体から赤い模様が浮き出した。そして、今まで以上に溢れる力を感じた。ハセヲは自分でも驚きながらも、手のひらを見ながら、握り拳を作った。自分の力を信じるように。だが、模様はすぐに消えた。当然あふれ出す力も、同時に消えた。 「な…!?どうなってんだ?」 そうこうしているしている間にも、がびはハセヲの目の前で大剣を振りかぶる。ハセヲは大剣が振り下ろされて来たのを見て自分の限界を感じた。 ――結局、俺は弱いままだったのか…ごめん志乃。 だが、志乃の顔を思い出したハセヲは、息を吹き返したように鎌を取り出しながら、大剣を振り下ろす、がびの隙だらけの腹を真っ二つにした。ハセヲは肩で息をしながら、口ずさんだ。 「俺は負けられないんだった……志乃、ありがとう」 そしてハセヲは、死体だらけのケストレルを後にした。 つづく [No.1214] 2008/04/18(Fri) 10:36:01 |