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悠久の古都―マク・アヌ。ドーム内にあるカオスゲート前に1人のPCがいた。 「随分、変わったなぁ・・。」 辺りをキョロキョロと見、肩を落とした。そのPCは、白を基調とした服を着ていた。種族は人族らしい。背中に小さな白い羽がはえているが、顔・身体は人間だ。 そのPC、呪療士の『藍瑠』は、The world R:1からのプレイヤーだった。R:2にログインしたのは、R:2が発売して5ヶ月になった今日がはじめてのログインだった。 「・・・・・。」 R:1からの大幅な変更に残念がっていたが、そろそろと歩を進め、ドームの外へ出た。 大きな門を開くと、広大なマク・アヌが視界いっぱいに広がった。 「わぁ・・。」 前作とは違い、かなり広く違ったマク・アヌだったが、その新しいマク・アヌもまた好きになった。小走りにドームから中央区へとつなぐ橋を渡り中央区に着くと、いろんなギルドのショップがあった。あるところは、そのギルド限定のアイテムを売り、またあるところは普通よりも安い値でアイテムを売っていた。欲しいアイテムがあったが、まだログインしたばかりなので所持金があまりないことに気付き、諦めた。 とりあえずタウンは後にしてフィールドに行こう。そう思い、またドームへと引き返した。行きの小走りとは逆にゆっくりとオレンジ色の空を見ながら歩いた。 と、余所見をしながら歩いていたそのとき、ドンッと大柄の獣人のガ族PCにぶつかってしまった。 「あ!ご・・御免なさい!!」 とっさに謝るが、相手は怒りのこもった目を魚のようにギョロリと動かし、鋭い歯を剥き出しにした。 「おい、嬢ちゃんよぉ・・ケストレルで上位ランクの俺様にぶつかりやがったな・・。」 トゲのある声で言い、藍瑠の目線にあうように腰を屈めた。 「これがフィールドだったら・・どうなってるかわかってるよなぁ?」 PKでしょうね。藍瑠は心の中で言う。 それにしても困ったものだ。The world R:2での最強最悪ギルド―ケストレルの・・しかも上位ランクの(自称かもしれないけど)のPCを怒らせてしまった。黙ってログアウトした方が無難かな? 「おい、聞いてんのか?!」 そうこう考えているうちに藍瑠の顔よりも大きい手が藍瑠の肩をつかんだ。 「!」 これは、もうログアウトだ!!急いでログアウトのコマンドに決定ボタンを・・・ ・・・フッと、獣人PCの後ろにいるPCに気付いて決定ボタンを押す指が止まった。 ―――続く [No.1251] 2008/06/05(Thu) 21:31:47 |