![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
「?」 藍瑠がそのPCの方に視線を向けたのを見て、獣人PCもまたその方に目をやった。 そのPCは、ふふっと笑っていた。黒いミニハットを斜めにかぶり、黒の燕尾服を着たそのPCはオッドアイの目を獣人PCに向けた。そのオッドアイは右が青で、左は赤。そのPCは、黒を基調としているので目だけが唯一の明色であった。 「なんだ?テメェは?!」 藍瑠の肩をつかんだ手が、その黒衣のPCの胸倉をつかんだ。そのPCは無表情に 「獣人は・・自然を尊ぶのではないか?」 と意味不明な事を言った。 「何が言いたいんだ?貴様・・」 「創世神話を読んでないのかい? −争いの起神−の章で『獣人は自然を尊ぶ』と。そんな心優しき獣人がぶつかったぐらいで怒るなど・・」 子供だね。とでも言うような目で、そのでかい図体のPKを見上げた。 「き・・貴様ァァァッ!!!」 業を煮やした獣人PCの拳が黒衣のPCに向かってとんできたが、ぴたりと顔のスレスレのところで止まった。 「すぐ手が出る・・その癖、なおしたら?」 ずぶりと、獣人PCに刺した剣を抜くと、獣人PCは糸の切れた人形のように崩れ落ち、灰色の死体となった。 「え・・?」 普通ならタウンでPKは出来ない。その規則を知っている藍瑠は、何故このPCは抜刀しPKができたのか疑問に思った。が、このPCの服と先程の行為から彼はチートしてるんだということがすぐにわかった。 「てめぇっ!!卑怯だぞっ!!!」 死んだにもかかわらず、灰色の死体は喋った。 「?君は死体だろ?おとなしく死体のロールをするべきではないか?」 そう言って、その黒衣のPCは、すたすたとドームの方へ向かう。それを見て藍瑠は慌ててそのPCに声をかけた。 「待ってください!」 その声を聞いて黒衣のPCはゆっくりと振り返った。綺麗だが何故か暗色にも見えるオッドアイが藍瑠の藍色の目に向けられた。 「・・・・・?」 そのPCにターゲットカーソルをあわせて名前を確認すると、『ノエル』とPC名が表示された。 「あの、ノエルさん。先程は助けてくださって有難う御座いました。」 微笑むモーションをし、お礼を言ったところで、ノエルは何故か首を傾げた。 「どういう・・こと?」 「え・・?」と、藍瑠は戸惑った。私を助けたんじゃなかったの? ・・・その背後で先程の獣人PCがログアウトした。 ―――続く [No.1252] 2008/06/06(Fri) 09:31:31 |