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「ヨッシャ!心機一転、気持ち入れ替えていくじぇ」 軽快なシャドウボクシング風な動作をしながらのギュンディアの激励の一言が飛ぶ 「そうだ、イスカどんや、さっき覚えたスキルをセットして使ってみてはどうじゃ?」 未だ老師風のパムちんからの一言で、すっかり忘れていたスキルの 事を思い出す。 スキルのメニューからセットして・・・と、初めて覚えたスキルだけあってか、どんな変化が自分のキャラに起こるのか、ガキンチョの頃の遠足前のような心境に胸が高鳴る。 力動・・・って、マッチョにでもなるのか?マッチャンの姿が頭に浮 かび、一人思い出し笑い。 「なにニヤニヤしてんだよイスカ、ははぁ、さては初めてのスキル 取得に浮かれてんなコンニャロウ」 そんな半分正解なギュンディアの指摘を何となく聞きつつ、発動 させてみる・・・って発動できない。 「あ、ありゃ?パムちん発動できない・・・なんで??」 もしかして、それ、常在型のスキルなんじゃないかのぅ?ワシのツ イン・ウェポンも常在型能力なんじゃよ」 「常在型ってことはとりあえずセットしとけば効果が出てるってこ とでいいのかな?」 「その通りじゃよ見た目は変わっておらんが何かがかわっておるは ずじゃ、とりあえず考えるな感じるのじゃ、そう偉大などっかの武 道家も言っておったから戦ってみてはどうじゃ?」 的確なアドバイスにふざけてやっているパムちんの老師スタイルが ハマり役に見えてきた。 「そうそう、そのスキルでさっきのリベンジと行こうゼっと」 そう言うなりギュンディアは早駆けを発動、あっという間に走り去 ってしまった・・・と思ったら。 「た〜〜」 「すぅぅ〜〜」 「けぇぇ〜〜〜」 「てぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜」 「ちょっ・・・おま・・・え、何やっとんじゃ〜!!」 その信じられない光景に考える前に声が出てしまった。 大量の敵を背にしたギュンディアは救援の雄叫びを上げながら、 猛ダッシュで戻ってきたのだ。 「あぁ〜教えんの忘れたわぁ、同種族の敵は仲間意識持ってるやつ もいて一匹と戦ってたら近くにいるやつも加勢するんじゃ、これを 同族リンクというのじゃ」 パムちんはにこやかに逃げ惑うギュンディアを尻目にもう起こって しまった事態の解説 「ごらぁ〜パムっち、のんきに解説してないで何とかしちくりぃ」 「冒険にはこれくらいの緊張感がなくてはのぅ、どれ、ギュンディ アや、イスカと一緒にこの窮地を脱してみぃ、ホッホッホッ」 「しょうがねぇ、イスカ〜、やるぞぉ」 って全然しょうがなくないんすけど、オマエが持ってきた窮地だろ ぉぉ、とも思いながらもリベンジマッチがスタートする。 敵は大まかに見積もって十数匹それだけの数の敵を相手にしながら もギュンディアはその華麗な動きでダメージを最小限に抑えている 「オレが囮になるから、少しずつ敵を倒して数を減らしてくれイス カ」 無数の羽音と襲い掛かるくちばし、そんな混戦の戦中にもギュンデ ィアは冷静な指示をオレにぶつける (こりゃシャレならんな、さっきみたいな事してちゃギュンディア がやられちまうな) さっきの二の舞はごめんだ、オレは力まないよう、まず、深呼吸。 より、イケる!自分で心理状態をチェックし、武器を構えギュンデ ィアを狙い下降してくる鳥へ走り込み一閃 「キャィィィイィ」 敵の断末魔が響く、初期装備のショートソードとは威力が比べ物に ならない、しかも、先ほどよりも心なしか武器を振るスピードが上 がっているように感じる、これが力動の力・・・? 自問自答している時間を敵は与えてくれない、とにかく数を減らさ なければ、と次の敵との戦闘に入る頃、ギュンディアのライフゲー ジは2/3ほどまで削られていた。 さすがにあの数を相手にしては捌ききれない、もっと早く、もっと 強く、自己暗示をかけるように自らのモチベーションを高める。 二匹、三匹・・・倒す数が六匹に達する頃、敵の数が減ってきたから か、ギュンディアにも多少の余裕が出来てきたのか、くちばしで ついばまれすぎて頭にきたからなのかは分からないが、次の指示の ような、そうでないような言葉が放たれた。 「づぁぁぁぁぁ、チクチクもううんざりだぁぁぁまとめてブッつぶ ぅぅっす!イスカ後はオレにやらせてくれィ」 ブッ飛んだ発言をしながらギュンディアは早駆けで敵と距離を取る と、敵を威嚇するような構えを取り、さらに早駆けを発動。 弓から放たれた矢のごとく一匹の敵に向かって突進したかと思えば その敵に加撃せず、するどいフットワークでほぼ真横に弾かれるよ うに移動、迎え撃つような敵の攻撃は空を切る。 その間ギュンディアはほかの敵に、美しいリズムで攻撃を全段ヒッ ト、さらにそこからかわした敵へ、流れるような動きでコンボをた たき込む。 要所要所に早駆けを駆使し、戦う、その静と動が入り混じる姿を一 言で言い表すなら華麗。 まさに最初から敵の動きまで自分で作っているような完璧なファイ トプラン、オレとは一味も二味も違っていた。 「ふぅぅぅぅ、成敗完了ッ!ヒーローは負けないのだ」 全ての敵を倒しきったギュンディアはフィニッシュポーズらしき動 作を取り勝利宣言、するとまたあの「!」マークが出現した。 ギュンディアはスキル「旋」を習得した 「キタ〜〜、スキィィィ〜ル!これで明日もマンプクだぁ」 ま、満腹?スキル取得の嬉しさからか激しい戦いのあとだからかギ ュンディアの言動、意味不明。 そしてヒーローの変身ポーズのようなポーズを取っていると「!」 とまたマークが現れた。 「おおおおおおおおおおっ!連続でスキル取得なんて始めて見たス ッゲ」 爺さん化しているのも忘れたパムちんがあっけに取られ声を上げる ギュンディアはスキル「蹴撃」を取得した 「ダブルでキタァ〜、校歌斉唱〜、お父さんアリガト〜ゥ」 さらにハイテンション、しかし、うれしい気持ちは分かる。 パムちんの驚きから察するに一度に二つもスキルを覚えるのはめ ったにないらしい、でもあれだけの動きなんだからそういう事も あっておかしくはないかも・・・とも思う。 「相変わらず、お前はスゲーなぁ、ギュンディア」 「早くセットして使ってみたいぜィ」 右拳を天に突き上げガッツポーズのままにこりと笑みを見せる。 「まぁこれもイスカのおかげだじぇい、オレ一人だったらあの鳥ど もについばまれて骨になってたぜィ」 そう言われてみて思い返すとコイツが敵をいっぱい持って来たのが 始まりだったな・・・そう思うとふと笑いがこみ上げてきた。 「ハハハッそうだったな、マジ、死ぬかと思ったよ」 ハプニングも結果オーライで楽しめる、分かち合える、それもMM Oならではなんだと思う。 「イヤイヤイヤこの師のおかげじゃ」 「パムちん何もしとらんかったじゃないか〜〜い」 「しかもリンクのこと教えてなかったやないか〜〜い」 と連ツッコミ。 戦闘に何の手もわずらわせていないパムちんも話に乗っかってきて 三人に笑いの渦が巻き起こった。 その後もレベル上げに勤しみ、オレもギュンディアもレベルが8と なり、タウンへ帰る事にした。 タウンへの帰路でオレはふと気付く、ゲーム内の時間があることは 知っていたが、しっかりと現実のように時間が来ると陽が落ちて夜 になる・・・、この作り込みには脱帽させられるばかりだ。 今日は週末の金曜、この後も遊ぶか?などと話す中パムちんがある 提案を切り出した。 「そだ、ち〜っと時間的にきびしいかもしれないんだけど、今度の 日曜の夜って二人ともログインできるかの?」 「日曜の夜かぁ〜、次の日学校あるしなぁ〜」 (あ・・・しまった、オレ何リアルの事べらべら喋ってんだ) 「オレのほうは昼寝てるからいいよ〜」 (ん?おいコラッ!タケト月曜寝てるってどういうことだよ、学校 は?授業どうすんだよ・・・って、そうか、コイツ午後の授業いっつも寝てるわ・・・嘘をつくことなく自分の素性を明かさない・・・さすが MMO経験者かわしかたがうまいわ) 「ってタケ・・・いやギュンディアそんな簡単に返事しちゃっていい の??」 日曜夜だよ、次の日月曜だよ?あの名作アニメ、サザ○さんのある 日ダヨ?相撲の千秋楽の日ダヨ?」 何か自分がリアルの事バレちゃってシッチャカメッチャカな言動、 ホント何言ってんだオレは。 「イスカも行こ〜よぉ〜、せっかくのパムっちのお誘いなんだから さぁ〜・・・ってまだ何のお誘いか聞いてないってかぁ」 言いもってすりよってくるギュンディア、しかし、何の誘いか分か らないから即答はできない。 「ねぇパムちん、いったい何があるのかな?詳しく教えてくれない ?」 詳細をたずねてみることにした。 「簡単に説明すると、ゲールニー一座とスペシャルゲストによるラ イヴがあるんだよん、聞き応えありますよん、ダンナ」 ギュンディアに引き続きパムちんもすり寄ってくる。 「なぁ、パムっち、ゲールニー一座は見たから凄いの知っているけ どスペシャルゲストって誰なの?」 ギュンディアはスペシャルゲストってところに食いついたらしい。 「ムッフッフッ・・・それはヒ・ミ・ツ・じゃ、当日のお楽しみって ことでヨロリ」 不適な笑みを浮かべながらもスペシャルゲストのことを明かさず、 pパムちんはこちらの好奇心を刺激する。 そうもったいつけられると、やたら行きたい気持ちになってきた。 BBSなどでいうところの、オレ完全に釣られてるってヤツなの だろうか。 しかし、それが分かっていてもどうも興味をそそられて仕方がない って〜かパムちんのリアルは営業マンだったりするんだろうか、そ う思わせるくらい話術に長けている。 「よっし、決めた!行く、オレも行く!誰が何と言おうと行くこと に決めたわ、ギュンディア逃げんなよ」 言いつつ今度はこっちがギュンディアにすすり寄る。 つい勢いで行くことを決めてしまった・・・でも、まぁ楽しみが一つ 増えたと思うと悪くはない。 ルゥド・サン・トゥーナに着いたところで、オレ達は一旦休憩を取 るため、ログアウトすることにした。 別れ際にもパムちんは日曜忘れないでねんと、釘をさすように言っ てた・・・が、忘れるもんか、スペシャルゲストとやらをとくと拝ん でやる・・・自分の中で自分の楽しみを膨らませながらのログアウト となった。 [No.1304] 2009/10/08(Thu) 13:53:38 |